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第222話 アニスと創造神

ー神聖艦「ルシェラス」艦内 礼拝室ー


シュウウウウウウウ…ガラガラ…カラ…パラパラ…


『ふうう………』 ガラガラッ スクッ! パッ パッ パラパラ…パラ…


アニスの一撃を受けた二級天使「グレイタス・イリア」は、何事もなかった様に。瓦礫の中からほこりを払いながら立ち上がった。


「ん、流石だねイリア、私の攻撃を受けても傷一つ無しだね」 うん


『当たり前です、あんな手加減された剣技…傷一つ付くわけ御座いませんわ』 サッ!


「ん? でもアイツはその攻撃で傷ついたよ」 スッ


アニスは創造神ジオスを見た。


創造神あんなのと一緒にしないでください!』 チラッ フリフリッ!


「あはは、創造神あんなのか、やっぱり気づいてたんだね」 ニコ


『当たり前ですわ…先ほど剣技とその神器…『アヴァロン』ですね、それを所持できるのは私の知る限り全世界…ありとあらゆる世界でただお一人、高異次元世界に存在する私たち以上の存在にして全ての創造者…【ジオス】様ですね』 ニコ


「ん、」 コクン


『神界世界、創造以来ですね、ご無沙汰してました。 それで、今はこの世界に?』 サッ


「まあ、色々あってね、今はその事で彼に用があるんだ」 スッ!


「ああ…私をこの世界に創造、顕現した、この世界の創造神あれにですか…全く、何で創造神あんなのに創造、顕現されてしまったのか、未だに信じられませんわッ!』 ふん


「あはは…まあ彼、一応『創造神ジオス』だからね」 はは…


『はああッ⁉︎ 創造神あれがッ⁉︎ 【ジオス】様の名を騙ったのですかッ⁉︎』 ババッ!


「あ…うん、まあ…」 ポリポリ


『それは許せませんね……まあ、それは後で…』 サッ!


シュバッ! パアアアンンッ! ファササア…


二級天使の「グレイタス・イリア」は一瞬輝き、その光が収まったそこには、武器防具は消え、服装を変えた神々しい天使が立っていた。


トコトコ ザッ! バッ


『申し訳ありません、偉大なる【ジオス】様。 知らなかった事とはいえ、あの様な者に創造、顕現され、手先となり数々の暴言、更には武器による不遜な態度をとってしまいました事、どうぞ私に罰をお与えください』 スッ!


二級天使「グレイタス・イリア」はアニスの前まで来て跪き、頭を下げて謝罪をしてきた。


「まあ…私の今のこの姿ではね…すぐには気がつかないのは仕方が無い事だよ。 いいよイリア、気にしないで」 ニコ


『ありがとうございます。 そう言えば【ジオス】様、以前お会いした時とは違い、随分と可愛らしいお姿に…何か意図があっての事でしょうか?』


「ま、まあね、(キミの創造主、エレンディアのせいって言ったら驚くよね)」 はは…


アニスとグレイタス・イリアの2人が、語り合っているその姿を見て、創造神ジオスは大声をあげ叫んだ。


「なにをしているッ! 『グレイタス・イリアッ!』 立てッ! 立ってそいつをッ!、目の前にいるアニスを倒せーッ!」 ババッ!


ピキッ! ズワアッ! ババッ ギンッ!


創造神ジオスの言葉に反応して、二級天使「グレイタス・イリア」は、勢いよく立ち上がり、自分を創造、顕現し、叫んでいる創造神ジオスを睨んだ。


『騒ぐなッ! 確かに私を創造、顕現したのは貴方だ。 だが、私は貴方の命はもう受け付けないッ!』 ババッ!


「なにッ! 本気か?『グレイタス・イリアッ!』」 ザッ!


『本気だ…忘れたかッ! 私達、高位の顕現者は、他の顕現者達とは違い自分たちの意思で動く、たとえ創造主でも、意にそぐわなければ言うことを聞く事は無い。 既に私は貴方を見限った、私を自由には出来るとは思わない事だなッ!」 ザッ!


「ふ、ふざけるなあッ! 私は『創造神ジオスッ!』 貴様の主人ッ! 創造主あるじだッ! 私に逆らうことなど許されないッ! 出来ないはずだッ!」 バッ!


『ふう…なにも分かってないのね…いえ…分からない、理解出来ないのかしら?』 はあああ…


「なッ! 我が僕のくせに…いい気になるなよッ! 私がその気になればお前など容易く…」 グッ!


『容易くなんですか? ああ、私を消し去るとでも? ですが、貴方にはその様な事、出来そうになさそうですが?』 んふ…



「わああ…イリアのヤツ、言っちゃったよ…」


主人あるじ殿、自分の創造主、主人あるじに逆らって、グレイタス・イリア様は大丈夫なのですかな?』 ザッ!


アニスの創造、顕現したグリース・ゼルダが心配そうに訪ねきた。


「ん? ああ、彼女なら大丈夫だよグリース・ゼルダ、彼女や君達は高異次元世界の住民…たとえ、どの様な事になっても、顕現された世界から消え去るだけ、高異次元世界に帰るだけだからね、完全消滅なんてしないよ」


『なるほど…わかりました』 ズウウ


アニスの返事にグリース・ゼルダは安心したのか、創造神ジオスとグレイタス・イリアの2人に目をやった。



「ならば、貴様などに用はない『グレイタス・イリアッ!』 創造神ジオスの名の下にッ!」 バッ! キュインッ! パアアアンンッ!


すると、創造神ジオスが右腕を伸ばし、右手の掌の前に灰色の魔法陣が現れた。


「ん? 確かにアレでいいけど…」 う〜ん


『フッ やはり…』 ニヤ…


アニスはその灰色の魔法陣を見てある事に気づき、グレイタス・イリアはうっすらと笑ってそれを見ていた。


「貴様は用済みだッ! 『グレイタス・イリアッ!』」 ババッ! サッ!


キイイイインンッ!


「《ブレイクッ!》《退けッ! グレイタス・イリアーッ!》」 パアアアンンッ!


魔法陣は一瞬、もの凄い輝きを放ち、礼拝室全体が真っ白な世界となった。 やがて、徐々にその輝きは収まり、元の礼拝室へとなっていった。


シュウウウウウウウ……


「ふむ、私とした事が…あの様な者を創造、顕現してしまうとは…次はもっとマシな…なッ⁉︎ 馬鹿なッ‼︎」 ザッ!


シュワッ! パアアアンンッ! ファサッ!


『どうしましたか? 「創造神ジオス様」、私はまだここにいますよ!』 ふふ…


創造神ジオスが消滅させた筈の「グレイタス・イリア」は、不敵な笑みを浮かべ、元の位置に天使の翼を広げ立っていた。


『ふふふふ…』 ファサッ! 


「何故だッ⁉︎ 消滅の魔法陣は完璧だった筈だッ! 何故「グレイタス・イリア」はまだそこにいるッ! 何故消えないッ! どう言う事だああーーッ!」 ググッ!


自分で創造、顕現した者を、今度は削除、消滅しようとした創造神ジオスだったが、その対象の「グレイタス・イリア」消滅せず、未だにこの世界に留まり、不敵な笑みを浮かべそこに存在していた。


『どうしたんですか? 「創造神ジオス様」 さあ、早く私を戻して下さい、まあ出来るんならですが』 ふふ…


「うぬうッ! 僕の分際で…調子に乗るなああーーッ!」 バッ! キュインッ!


シュバババババーーッ!


創造神ジオスは、自分が創造、顕現した二級天使「グレイタス・イリア」に向け、無詠唱攻撃魔法を放った。


『ふふッ…《ファイヤウォール》』 サッ! パアアアンンッ! 


ズワアアアーーッ! ボオオオオーーッ! ギンギンッ! カンッ!


「なにいッ! 創造主の…神の攻撃を防いだと言うのかッ!」 ババッ!


創造神ジオスの放った攻撃魔法は、「グレイタス・イリア」の防御魔法にすべて防がれていった。


『神の攻撃? アレがですか?…もうお辞めにしませんか?「創造神ジオス様」… ふふ」 ニコ


「グググ…いい気になりおってッ! 私はお前の創造主ッ! 神だッ! 『グレイタス・イリアッ!』 もうお前などいらんッ! お前もアニス同様、この世界から消滅させてやるッ!」 バッ! ババッ! チャキンッ!


グレイタス・イリアの言葉に怒り狂った創造神ジオスは、腰の剣を抜き構えた。


『やっぱりダメですか…残念ですわ…』  ギンッ! サッ! シュキイインンッ!


グレイタス・イリアも再び剣を出現させ、それを構えた。そこへアニスが近寄って来た。


テクテク テクテク ザッ! サッ


「もういいよ…『イリア』、下がっていてくれるかな?」 


『え? 【ジオス】様、ですが…』 ファサッ! サッ! 


「私が話をつけるよ、いいよね?」 ニコ


『はい、では宜しくお願いします。【ジオス】様』 ササッ! チャキン 


グレイタス・イリアは剣を納め、アニスが創造神ジオスの前に出て来た。


テクテク テクテク ピタッ!


「ちッ アニスか…そうだな、言うことを聞かん出来損ないを処分するのは後にして、本来の目的、貴様を完全消滅させる方が先だなッ!」 チャキンッ!


「ん、創造神ジオス…いや、神の力を借り持っている『創造のジオス』が正解かな、もうやめにしないか? 今、君が大人しく私に御されれば、悪いようにはしない…この世界に存在も認めてあげるよ」 ニコ


「クッ! 忌々しいアニスめッ! 何の戯言だ? 神の力を借りてだとッ! まるで私が神でもない言い様、益々貴様を許せんなッ!」 グッ チャキッ!


「ん〜、まだ気づかないのか…」


「さっきから訳の分からぬ事ばかりを…はっきり言えッ!」 ザッ


「え〜ッと、じゃあ『創造神ジオス』…でいいや、聞いてほしい…キミは神じゃない、神の力をその体に帯びているだけの存在、キミも『予定通りに動く人形の1人』なんだよ…」 フリフリ


「はあッ⁉︎ なッ なにを言ってる…私が人形だとッ! ふはは…この期に及んで私を惑わすつもりかっ! アニスッ!」 チャキンッ!


「ん〜ん、そんな事しないよ」 フリフリ


「ははは、では何を言ってるッ! 何度でも言うッ 私は神だッ! 創造神ジオスだッ! 違うかあッ!」 ググッ!


「ん、違うよ」 フリフリ


「なッ…貴様ああーーッ! これでもかああーーッ!」 キュインッ! 


ドバアアアアアアアーーッ! シュゴオオオオーーッ!


『『 【ジオス】様ッ!(主人あるじ殿ッ!) 』』 ババッ!


創造神ジオスはいきなり無詠唱で神級クラスの極炎魔法を、アニスの真近から放った。 それを見たグレイタス・イリアとグリース・ゼルダの2人はアニスに向かって叫んでいた。 この様な直近で魔法を放たれると大抵の者は避けることも防ぐこともできない、ましてや神の魔法攻撃である。 ただで済むはずのない攻撃に、2人は叫ばざるを得なかった。しかし…


「わッ!」 キンッ! パアアアンンッ!


シュバアアアーーーーッ! ドドドドドドドドオオオオーーーッ! シュワッ!


ヒイイイイインンン ヒイイイイインンン チリチリチリ…


攻撃魔法が当たる瞬間、アニスの絶対防御魔法が発動し、創造神ジオスの攻撃魔法は弾かれていった。


「クッ! アニス、オリジナルの絶対防御魔法かッ⁉︎…無詠唱ッ! 流石に早いな…」 サッ!


「無駄だよ、キミの魔法攻撃では私に勝てない」 シュバッ! シュウウウウウウウ…


「くそッ! このままでは…」 ググッ


「ん、『予定通りに、シナリオ通りに行かない』ですか?」 


「なッ! 貴様ッ!」 バッ!


「ねえ『創造神ジオス』、貴方の今までの行動、そして今この状況が、別の誰かの『予定通り、シナリオ通り』だとしたらどう?」 ズッ!


「は?」 ビクッ!


アニスの突拍子の無い言葉に、創造神ジオスは驚き、一瞬動きが止まった。


「はは…アニス、何を言ってるんだ貴様は…」


「ん、『創造神ジオス』、先程の一撃を覚えてる?」


「この傷の事かあッ!」 ババッ!


それは、アニスの何気ない攻撃で、創造神ジオスの腹部にひと筋の線が入り、一滴の赤い血が流れ出た場所だった。 今はもう既に治り、傷跡も、黒いジャケットやその下の黒いシャツも元に戻っていた。ただ、創造神ジオスの右手の掌には、薄っすらと彼の赤い血の跡が残っており、それをアニスに向けて見せた。


「そう、それ…この場にはキミと私以外、創造、顕現した彼等しかいない。キミに一つ教えてあげるよ」


「ふん、今更何を言おうと言うのだッ!」 ババッ!


「『創造神ジオス』…よく聞いて、『神に赤い血はない』んだ…言ってる意味がわかる? 自分の知っている神の知識でその事がわかる?」 サッ


「はッ!… そうだ…神は…全ての神族は…その体に神々しい血を巡らせている…その血は気高く神々しい輝きを放つ…『黄金の血である』…と…」 グッ…


「そう…そして彼等2人もそれは同じ、でもキミのは…」


「う、うう…赤…赤色だッ…人族と…いやこの世界に生きる全ての者と同じ…赤色だった! では…この私はッ!」 グッ!


『やっと気づいた様ですわね』 んふ…


『なんと、あの者は神では無かったと言うのかッ!』 ズズッ!


グレイタス・イリアは気づいていたのか軽く笑い、グリース・ゼルダは驚きの表情を見せた。


「私は神では無いと言うのかッ! アニスッ!」 ババッ!


「ん、だから創造、顕現はできても、削除、消滅は出来ない…『創造神なのに創造神の力の半分以下しか使えない』、魔法もこの世界の人々より少し強い程度、それが今のキミ」 スッ


「馬鹿なッ! では、私が何者かの手による存在とでも言うのかッ!」


「そう、そして分かったんだ…いいかい『創造神ジオス』、キミは【創造神ジオス】の創造でこの世界に誕生した、彼の正確なコピー、彼の記憶を持ち、神の能力を少し付与され、今回の計画、私の…『アニスの完全消滅』のシナリオに登場し、私、アニスと対峙させるためだけに創造された、この世界の人々の1人、彼の手駒の1人なんだ」 バッ!


「嘘だ… 嘘だッ嘘だッ嘘だああーーッ!」 バッ! キュインッ!


ドオオオオオオーーーーッ! シュバアアアーーーーッ!


「ん、」 サッ ヒョイッ!


ドドドドドドドドオオオオーーッ! ドガアアアアアアンンンーーッ!


ビュオオオオオーーッ! ガラガラガラッ ドオオンンン… バラバラ… バラ…


創造神ジオスはアニスに言われたことが信じられなかった、感情剥き出しのまま、左手を伸ばし、その掌から無詠唱で殲滅系の極大魔法をアニスに向け放った、しかしアニスは何事もなかった様に避け、創造神ジオスの極大魔法は、礼拝室の壁やその向こう側の施設も破壊してしまった。

          ・

          ・

          ・

ー神聖艦「ルシェラス」 右舷中央第6ブレードナイト発着艦デッキー


ビーッ ビーッ ビーッ!


アニス達が創造神ジオスと戦っていた頃、神聖艦「ルシェラス」の数多くあるブレードナイト発着艦デッキの1つ、右舷側中央にある第6ブレードナイト発着艦デッキに、ブレードナイト「ウルグスパイアーD型FA」で突っ込んでいくレオハルト中佐がいた。


ピピピピピ ビコ!


「いくぜええッ! 『ウルグスパイアー』ッ!」 グイイッ! ギュウッ!


『了解シマシタ』 ピッ


バウウウウウウウーーーッ! シュバアアアーーッ! ドオオオオオオーーッ!


発着艦デッキに飛び込んだレオハルト中佐は、そこでデッキ内にいたまだ発進前の教団側無人ブレードナイト「ファウストFAV22」の機体を多数見つけた。


「まだこんなにッ! 『ウルグスパイアー』TマインとSマインッ!ありったけ打ち出せッ!」 ピッ カチッ!


『了解シマシタ、保有対ブレードナイト用擲弾、T、Sマイン全弾発射ッ!』 ピッ


ガシュンッ! ドババババババババーーッ!  カチン カチン ガキンッ! ピッ


「点火ッ!」 ビコッ! 


ドオオンンンッ! バンバアアンーーッ! ゴオオオオオーーッ!


「まだだッ! 喰らえッ!」 カチカチカチ ピッ


ヴオオオオオオオーーーッ! シュッ! シャッシャッシャッシャッ!


ガンガン ゴンッ! ドオオンンンッ! ババババッ!


右舷側中央、第6ブレードナイト発着艦デッキ内は瞬く間に火の海と化し、10数機いた教団側無人ブレードナイトは全て破壊炎上し、第6ブレードナイト発着艦デッキは使用不能状態になっていった。


ドオオンンンッ! メラメラ パンパン ボウボウ モクモク…


ピコッ!


『マスター、周辺ニ敵ノ反応ハアリマセン』 ピッ


「よし、俺は出る、『ウルグスパイアー』あとは任せたぞ」 カチカチ ピッ


『了解シマシタ』 ピッ


ヒュウウウンン… ガシュン ダン バクンバクン ウイイイイイ…カシュン!


ザッ!


レオハルトは破壊され使用不可能状態となったブレードナイトデッキに降り、ブレードナイト「ウルグスパイアー」の操縦席からハッチを開け、降りてきた。


『マスター、オ気ヲ付ケテクダサイ』 ピッ


「おうッ! ちょっとアニスを迎えにいってくるぜッ!」 ガシャッ! ダダダッ!


そう「ウルグスパイアー」に言うと、フォトンライフルを片手に、ブレードナイトデッキ出入り口から「ルシェラス」艦内へと入っていった。


ダダダッ! サッ! ダダダッ!


神聖艦「ルシェラス」の艦内を、用心深く駆けていたレオハルト中佐だったが、広い艦内通路には誰も居らず、人の気配がなかった。


「おいおい、少し不用心過ぎるんじゃねえか、ガーナ教団の皆さんよッ! 」 ダダダッ!


彼は知らなかった、通路の端、各小部屋の中や先程までいたブレードナイトデッキの至る所に、主人を無くした服や装備品が無造作に落ちていた事を… それは嘗て、この神聖艦「ルシェラス」の信徒や司祭、司教、そして乗組員だった信徒兵達のものだった。


彼等は既に、創造神ジオスによって不要とみなされ、魔素還元されこの世界から消えていった者達だった。


「本当、誰もいねえな、どうなってんだこりゃってッ! うわあッ!」 ダダダッ! ザッ! ババッ!


ピッ ピコピコ ビーッ!


『『『 人間ヲ発見ッ! 排除ッ! 排除ッ! 』』』 ピッ ピコピコ ブ〜ンッ!


レオハルトはあまりにも人気がない事で、不注意に角を曲がった瞬間、そこには3体の警備ドローンが浮遊しており、いきなりの遭遇戦となってしまった。


「ちッ! 警備ドローンかッ!」 ババッ! ジャキンッ! ピッ


ビコッ! ブオンッ!


『『『 抹殺ッ! 』』』 ガシュン ジャキジャキジャキンッ! ビコッ!


ドババババババババーーーッ! ガンガンッ! ダダダダダッ!


「はあっ!《縮地ッ!》」 シュンッ! シュバッ!


ピッ‼︎


レオハルトは以前アニスに教えてもらった高速移動術、《縮地》を使って、警備ドローン達の激しい銃撃を躱していった。


「ふん、覚えてよかったぜッ おらあッ! ポンコツどもッ! こっちだぜッ!」 チャキッ! カチ


ババババババッ! シュンシュンシュンッ! 


ビーッ⁉︎ クルッ!


ガンガン ビシビシッ! ボコッ! ドオオオオンンーーッ!


『ビッ ビビビッ!』 バンッ! ボウンンンッ! メラメラ パチパチ ガシャンッ!


シュンッ! ザザッ! ジャキッ!


「ふうう、全く…アイツらは人と違って気配が無いのがいけねえな、もちっと注意するか」 ザッ! ダダダッ!


そう言ってレオハルト中佐はさらに奥へと通路を進んでいった。


ダダダッ ダダダッ ダダダッ サッ サッ ダダダッ ダダダッ 


「しっかし広いふねだぜ、全く、アニスのやつは何処にいるんだ?」 ダダダッ!


レオハルト中佐は、神聖艦「ルシェラス」の艦内を今度は用心深く走り回り、アニスの行方を探していたその時、彼の耳に爆発音が聞こえた。


ドオオオオンン…… グラグラ パラパラ…


「うん? 爆発音、少し遠いな…」 ジイイイ…


ドオオオオンン…… グラグラ パラパラ…


「よしッ! こっちかッ!」 バッ! ダダダッ!


レオハルト中佐は、確実にアニス達のいる礼拝室の方へと駆けて行った。


ドオオオオンンーーッ! 


「あそこだッ!」 ダダダッ!


やがてレオハルト中佐は、アニス達のいる礼拝室のすぐ傍にやってきた。その時、彼のすぐ前の通路が突然破壊さてれた。


『嘘だああーーッ!』 


ドガアアアアアアンンンーーーーッ! バキイッ ドオオオオオオーーッ!


「うわああッ!」 バッ! ブワアアアーーッ! バババアアアアアーーッ!


壁を破壊したその勢いで、辺りは煙と爆風で、レオハルト中佐は身を伏せて構えていた。


「うぐうううッ!一体何だッ! 凄え爆風だぜッ!」 ビリビリビリ バアアーッ!


シュウウウウウウウ…… ガラガラガラ…バラバラ…モクモク…


カタン…


「ふうう、おさまったか…ん? あの穴の向こうに気配がする…アニスかッ!」 バッ!


ダダダッ! ババッ!


レオハルト中佐は、今の爆発で起きた大穴の内側、礼拝室の中から、アニスの気配を感じ、思わず駆け出していった。


ザザアアーーッ! バッ!


「アニスッ! えッ!」 ビタッ!


大穴から中に入った所でレオハルト中佐はその場の異様な雰囲気に動きを止めた。 大穴から見て奥の方、そこに4人の人物が確認できた。 1人は自分のよく知っている人物、青みがかった銀髪に白のジャケットとスカートのアニス、それはレオハルト中佐にしっかりと認識できた。


だが、彼の足を止めたのはアニス以外の人物、レオハルト中佐にとって、認識を…いやその存在を初めて見た者達がいたからだった。 アニスの後ろに立つ2人、1人は純白の羽を背に持ち、気品に満ちた神々しい女性、伝説や物語にしかその存在を知らない、天井界にいるとされていた天使。


もう1人は身の丈10mもある大男、だが、その体から溢れる魔力は凄まじく感じ、更には片手に持っている武器、神槍の「コルセスカ」、その武器の存在感だけでも凄まじいものだった。 その男には到底力が及ばないと確信できた。


そしてもう1人、アニスと対峙している黒服の青年、歳格好だけ見れば自分とそう変わらない程だが、その圧倒的な存在感がレオハルト中佐の心に、危険人物としての警鐘を鳴らしていた。


「やべッ!」 シュンッ!


ザッ! ババッ! ザッ! ジイイイ…


レオハルト中佐は、アニス達を見て咄嗟に近くの瓦礫の影に隠れ、様子を伺った。


「(何だよアイツら、アニスの敵か?…アイツ、3人に囲まれているのか? どうする…考えろレオハルト、お前の愛する女の窮地だッ! 考えろ 考えろッ!)」 ググッ!


レオハルト中佐は考えた。 どうすれば自分の愛した女、アニスをこの状況から連れ出せるか、自分の今の戦える力はどれほどなのか、相手の、あの3人の力はどれほどなのか、真正面であの3人と戦って勝算があるのか、などを必死で考えていた。


レオハルト中佐がその様な事を考えていた時、この大空間のある礼拝室全体に、アニスの声がこだました。


「いい加減出てきたらどうなんだッ!【創造神ジオス】ッ!」 キイイイーーーン 


「(なッ! 創造神だとッ⁉︎ アニスのやついったい…)」 コソ…


レオハルト中佐は、瓦礫の影からそっと覗き、アニス達の方を伺った。すると…


シュバアアアアアアーーーッ! ギュオオオオンンンッ! ゴゴゴゴ!


「なッ! (何だあれはああああーーーーッ!)」 ザザッ! ガバッ!


レオハルト中佐はアニス達のいる場所の上方、そこに漆黒の穴が現れ、そこから1人の黒服の人物が姿を現した。 その黒服の人物は空中に静止して、アニス達を見下ろしながらアニスに語りだした。


「よう、アニス、また会ったな! ふふふ」 スウウ…


「ん、今度は本物のようだね」 サッ!


現れたのは、アニスの眼前にいる青年と瓜二つ、だが、その体から溢れる魔力と存在感は桁違いの青年がそこにいた。 【創造神ジオス】、本物の神が現れた。




いつも読んでいただきありがとうございます。

次回もでき次第投稿します。

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