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第22話 アニスと奇跡の力

ー宿屋 一蘭亭ー


アニスは今サイルに紹介された宿の前に来た。


「宿屋一蘭亭、ここかなサイルさんの言っていた宿屋は」


一蘭亭の扉を開き中に入るとそこは40人ほどが入るレストランで、カウンター席の横が宿泊受付窓口になっていた。アニスは中に入るとそのまま受付窓口まで進み宿泊の手続きをした。


「いらっしゃいませー、ってすみません、ここは女性専用の宿なんですけど?」


そう、アニスは今外套を被ったままだったので、受け付けの女の子には性別が判らなかった。 そこでアニスは外套を脱ぎ受け付けの女の子答えた。


「そう聞いて来ました。ダメですか?」


外套を取ったアニスを見て受け付けの女の子は驚いていた。


「か、かわいい〜って、は ご、ごめんなさい!てっきり男の人かと思ってしまって」


「ん、良いですよ、外套を被ってるとわからないですね」


「すみません、え〜とそれで、お食事ですかそれとも宿泊ですか?」


「宿泊でお願いします」


「はい。それでは1泊2食付きで銀貨2枚です」


アニスは銀貨を渡した時、後ろから声をかけられた。


「アーッ! カレーのアニスちゃんだッ‼︎」


その声を聞いてアニスは振り返りながら思った。


「(彼?華麗?加齢? なんだその二つ名は?)ってあなたは......あ」


アニスが声の主を思い出した。『ロフティドリーム』のソフィーっだった。


「ああ〜、また会えたね、アニスちゃん!元気だった?」


そう言いアニスに抱きついて来た。その奥の丸テーブルに他にメンバーも座ってこっちを見ていた。


「ん、そうだねソフィー。私は元気だよ」


「う〜ん、アニスちゃんの髪柔らかいし良いにおい♡!」


「あのう、ちょっと恥ずかしいので離れてもらっていい?」


そう言うとソフィーはガバッと離れ謝ってきた。


「あ、ごめんなさい。つい嬉しくって」


「良いですよ、気にしてないから」


「本当!じゃあこっち、こっち来て一緒に食事しましょっ!」


アニスはソフィーに手を引かれ、ソフィーのパーティー、ロフティドリームの皆がいるテーブルに連れて行かれた。


「アニス、元気そうだな」

「また会えたね、アニスちゃん」

「アニスちゃんきれい、かわいい...」

「以前は助かった。礼を言う」


メンバーから声をかけられるがあれ?と思いすすめられた席に着く。


「皆さんにもまた会えて良かったです、けどたしか、ルビアさんだったかな?見当たらないんですけど」


そう言うと皆塞ぎ込んでしまい、エアとミアの双子は涙ぐんでいた。そしてリーダーのオリビアが答える。


「ルビアは今、部屋にいる。ちょっと怪我を負ってな..」


「怪我? ひどいのか?」


「ああ、顔と両腕がな、....ちょっと酷い」


「何があった?」


「ギルドの調査依頼で森に入ったところで、先行していたあの子が得体の知れん連中と遭遇してな、その時に魔法攻撃を受けたんだ」


「で、容態は?」


「命には別状ないけど、やっぱり女の子でしょ、顔に怪我はちょっと...それに、あの子の怪我を治すには高額の治療費と高位の神官様か正聖女様しか治せないの」


アニスは自分も今は女の子だ、確かに自分もそんな事になったら嫌だ。そう思って一度は一緒に食事をした仲、助けてあげようと思い口を開いた。


「なあオリビア、私ならなんとかできるかも知れない」


「えッ! あなた、怪我の治療ができるの?」


「ええ、一度見させてもらえないか?」


「お願い、ルビアちゃんを助けてアニスちゃん!」


ソフィーがアニスの手を両手で握りお願いしてきた。


「ん、わかった。では彼女の所に案内して」


アニスはメンバー全員に案内されて、宿屋の2階にある大部屋の一つに来た。

部屋に入る前にオリビアが声をかけた。


「ルビア、私だオリビアだ。今いい?入るよ」


返事がないがドアを開け皆が部屋に入った。そこには顔を布で巻かれ目だけだし、両手も腕から下はどう見ても人の手だはないものになって、ベッドの脇に座っているルビアらしき人がいた。


「ルビアどう、今いい?」


ルビアは空な目でオリビア達を見ていたが、その後ろからアニスが入ってきたのを見て騒ぎ出した。


「イヴャーッ!ベベイッベーッ!ヴィビャイヴェーッ‼︎」


おそらく声帯もやられているのだろう、はっきりと言葉が出ていなかった。それを見てアニスはルビアの前まで来て優しく声を掛ける。


「ルビア、分かるよその気持ち。だから私がその苦痛を無くしてあげる。いい、落ち着いて私の話を聞いて」


ルビアの肩に優しく触れてアニスが語ると、不思議とルビアは落ち着きを取り戻した。


「いい?、今から私があなたを治療してあげる。だからじっとしていてくれる?」


アニスの言葉を聞いてルビアは目を見開いていた。


「ヂリョー?ヴァダヂナボルノ?」


「ん、治せる。今からするけどいい?」


ルビアは軽くうなづいた。


「アニス、これほどの大怪我だが治せそうかい?」


「ん、問題ない。これくらいなら治せる」


「これくらいって、ものすごく重症だと思うけど」


アニス以外が皆不安げに見ていた。


「じゃあ、今から治療をするけど、一つ皆んなに約束してほしい。今からする治療を誰にも言わないって、いいかな?」


「わかった、誰にも言わないよう約束しよう。皆んないいね?」


皆んな素直にうなづいた。そしてアニスは、ルビアの治療を始める。

まず、ルビアに巻いてある布を全部取った。やはり両手同様、顔の方もひどい状態であった。


「始めます!(神語はまずいんで人語の方で)《リングッ!》」 パアンッ‼︎


アニスが人語魔法でまず《リング》を唱えると、大部屋全体が光り輝き天井と床に部屋いっぱいの魔法陣が現れた。そして、女性の声が聞こえ出した。


『隔離空間が形成されました。これより神聖魔法が発動されます』


この声を聞いて、エアとミアがそろって言う。


「「妖精の声?それに凄く濃い魔力だわ」」


アニスはその声の正体を知っていた。


「(No.001だね、たぶん魔法仕用のフォローに入ってくれたんだ。ありがとう)」

「この世界を創造創生し神よ(神って私だよね、たぶん)今、その力を用いて傷負いし此の者に祝福を、再び立ちあがる力を、勇気を、神聖治療高位魔法!《コンプリート.リバイバルヒール》‼︎」


治療魔法を唱えると、上下の魔法陣から光の筒状にルビアを覆った。そしてその光が一層輝き誰も眼を開けていられないほどの力強い光が放った後、徐々に収まりそこには怪我をする前のルビアがいた。顔も両手も完璧に傷一つない状態で座っていた。それを見て全員が驚いた。


「「「「「ええーーッ‼︎ うそおッ」」」」」


「こ、これは奇跡の力? 正聖女様と同じ治癒魔法?アニスちゃんって」


『神聖魔法が終了しました。隔離空間を解除します』 パリーーンッ‼︎


「ルビア、終わったよ。どう、どこも痛くない?」


ルビアは自分の両手を見、その手を顔に当て確認し、すぐに立ち上がり部屋に据えてある姿見を見て泣き出した。


「治ってる、腕もある、声も出るよおおおおお!わああああーーーーっ!」


余程だったのか、しばらく彼女は泣き続けていた。


「ん、いいみたいだね。しばらくはゆっくり休んでね」


そう言ってアニスは部屋を出た。その後すぐにオリビアが出てきてアニスに声をかけた。


「アニス、ルビアを治してくれてありがとう!お礼はどうしたらいい?」


「ん、お礼なんていらない。友達だから助けた、それでいいよね」


「でもそれではこっちが得をし過ぎてしまう。いいのかい?」


「だからさっき約束した。『この魔法は誰にも言わないように』と、それが報酬。それだけでいい」


「わかった、アニスがそう言い切るならそれを絶対守る。ありがとう」


「じゃあ、私も自分の部屋に行くね」


そうしてアニスは宿の自分の部屋に入った。


「ふう、治るのはわかってたけど、人語でも神聖魔法が発動するとは思わなかった。No.001が隔離空間でフォローしてくれなかったら周りにバレバレだったね、助かった」


宿屋の一蘭亭の2階では喜びの歓声に溢れていた時、街の外れでは聖王都第2騎士団がパルマ方面に出発していった。団長のアーデルベルトを先頭に精鋭500名、皆、金等級近い能力魔力の持ち主達である。


「それでは第2騎士団、これよりパルマの地防衛任務に出発する。行くぞおっ‼︎」


「「「オオーーーッ‼︎」」」


門より第2騎士団の精鋭達が整然と出ていった。















 








「アニスちゃん、これ見てこれ」

「ん、なんだこの紐は、ニョロ!」

「ヘビ君」

「ぎゃああー こいつ足がないぞ!ユキヤマ!」

「足なんて飾りみたいな物だよ。 ふふふ」

次回も出来次第投稿します。


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