第215話 千変万化、アニスの返事
ー帝都王城付近上空ー
帝都王城付近、遥か上空では、無数の無人ブレードナイト「ファウストFAV22」と帝国側のブレードナイト「アウシュレッザ」、「ウルグスパイアー」の大空中戦が起きていた。また、帝国、教団両者の艦隊戦も始まっていた。
シュバアアアアーーッ! ギュウウウンンーーッ!
ピッ ピピピピピ ビコビコッ!
『ビッ ビビビ』 カチッ!
ブオオオオオオーーッ! シュバババーッ!
『うわああーッ!』 ピッ ガンガンッ! ビシイッ! ドオオオオオンンンーッ!
ピポッ!
『隊長ッ! カラゾフがやられたッ! プラム小隊ッ陣形崩れますッ!』 ピッ
「なにッ! 不味いッ!」 グイッ!
レオハルトが、ブレードナイト「ヤクト・ベルテッサ」の操縦系統を、ミドラスから手動に取り戻した頃、王都上空では、教団側無人ブレードナイトの大部隊と空中戦をしていた戦闘空母「フェリテス」所属の、ブレードナイト第2中隊が苦戦を強いられていた。
ブオオオオオオー-ッ! ガンガン ギンッ!
『隊長ッ! 隊長おおーッ!』 ピッピーーー ガガ ザーー
『いやだッ! いやだああーーッ!』 ピーー ザザーーッ!
ギュワアアアーーッ! シュバアアアアーーッ! ドババッバババッ!
ブラム小隊のブレードナイト「ウルグスパイアー」2機が、10機の無人ブレードナイト「ファウストFAV22」に周囲を囲まれ、集中攻撃を受けていた。
『隊長ッ! プラム小隊がッ!』 ピッ ババッ!
「よせ【ワセジ】少尉ッ! アイツらはもう助からんッ! 陣形を崩すなッ! 今度は自分がああなるぞッ!」 グッ!
『しかしッ!』 ピッ
ガンガンッ! ドコオッ! ドオオンンーッ! バアアーーッ! ドガアア――ッ!
第2中隊、リーク小隊のワセジ少尉が叫んだ時、2機のプラム小隊のブレードナイトは爆発して、地表へと落ちていった。
『ちくしょうッ! リーク小隊ッ! 奴らを許すなッ! 突撃ッ!』 ピッ グイッ!
『『『 おおッ! 』』』 ピピピッ グイイッ!
バババウウウウーーッ! シュギュワアアアーーーッ!
リーク小隊の隊長機、ブレードナイト「アウシュレッザD型Gカスタム」を先頭に、ブレードナイト「ウルグスパイアーD型Rsファイン」3機、合計4機が、先程プラム小隊を撃破した教団無人ブレードナイト「ファウストFAV22」の集団に向け突っ込んでいった。
ー戦闘空母「フェリテス」所属 第2中隊 キドニー小隊ー
ヒイイイイインンンー シュゴオオーーーッ!
プラム小隊が全滅したすぐ近くに、アラン達の先輩【ガスト・フォン・ブラウザー】准尉の第2中隊、キドニー小隊が、3機で飛んでいた。 彼らは敵無人ブレードナイト3機を共同撃墜で墜としていたが、その際に、小隊長の【ルガー少尉】を失い、今は3人だけになって飛んでいた。 キドニー小隊はガスト准尉が小隊長代理として飛んでいた。
ピピピッ ビコ!
『ガスト…聞こえる?…』 ピッ
「何だ、ユミア、戦闘中の私語は禁止されてるぞ!」 ピッ
『ごめんなさい…でも…』 ピッ
『大丈夫ですよ、ユミアさん』 ピッ
『え?』 ピッ
『ガストと私で、貴女だけでも守ります』 ピッ
『ケベック…』 ピッ
「ケベックの言う通りだ、俺達がお前を守る!」 ギュウ!
彼らは近くで全滅したプラム小隊の惨状を見ていた。 中隊長達がどんなに撃墜しても、次から次へと襲って来る敵無人ブレードナイト、ライナーが操縦していないせいか、躊躇なく集団で接近攻撃をしてきた。 尋常ではない敵ブレードナイトに対し、ガストとケベックは、女性であるユミアだけでも守ろうと必死の覚悟でいた。
ビーッ ビーッ!
『マスター、正面左方向、敵ブレードナイト接近中、数6機ッ!』 ピッ ビコビコ
「来るぞッ! 2人とも構えろッ!」 カチカチ ピッ ピコ
『『 了解ッ! 』』 ピッ
「ケベック、何としても守り切るぞッ!」 ググッ! ギュウッ!
『了解だガストッ!』 ピッ!
ガシュンッ! ブオンッ!
彼らは既に、何回か戦ってきて、弾薬や魔力が少なくなってきていた。そんなキドニー小隊に向け、教団無人ブレードナイト「ファウストFAV 22」6機が急速に迫っていった。
ー戦闘空母「フェリテス」ブリッジー
ピッ ビコビコ ビーッ! ビーッ!
「左舷ッ! 敵駆逐艦魚雷発射ッ! 雷数4ッ!」 ピッ ピピピッ!
「回避ッ! 面舵20ッ! 機関最大ッ! 」 ババッ!
「アイサーッ 面舵20ッ! 機関最大ッ!」 グイッ! ピッ タンタン ピコ
バウウウウーーーーッ! ゴゴゴゴッ!
「PDS起動ッ! 左舷『テアドロップッ!』全弾発射ーッ!」 ザッ!
「PDS起動、左舷『テアドロップ』発射しますッ!」 カチカチ ピコッ!
バクンバクンバクンッ! ドババババアアアーーッ! シュワアアーーッ!
ドオンドオンンッ! ブワアアーーッ! ババッ! シュワアアーーッ!
「敵魚雷2発迎撃ッ! 雷数2ッ さらに接近ッ!」 ビコビコ ピッ
「迎撃しろッ!」 バッ!
ヴオオオオオオオオーーッ! シュシャシャシャシャーッ!
戦闘空母「フェリテス」の左舷側、12基のPDS、近接防御兵装の高速回転フォトン機関砲が、接近中の空間魚雷に向け、一斉に火を噴いた。
ガンガン ビシッ! ドガアアアーーンンッ!
「敵魚雷排除ッ!」 ピッ ピーッ!
「よしッ! 艦戻せッ! 主砲ッ! 敵駆逐艦を狙えッ!」 サッ
「アイサーッ 進路戻します」 ピッ タンタン ピコン グイッ!
「1番砲塔転回ッ! 目標、敵駆逐艦ッ!」 ピッ タンタン ピッ ビコビコッ!
グイイイインンッ カシュンンッ! ピタッ
「目標補足ッ! 進路1.558 マーク33 速度32ノット」 ピッ ビコビコ ピッ!
「撃てええーッ!」 バッ!
ドオオオオオンンンーッ! シュワアアーーッ!
ガンッ ゴンッ! ドオオオオオンンンーッ! ズワアアアアーッ! ボウンッ!
「敵駆逐艦に命中ッ! 撃沈ッ!」 ピッ ビコッ!
戦闘空母「フェリテス」の主砲の直撃を受け、教団側の駆逐艦はあっという間に火を吹き、空中で爆発して消えていった。
レオハルトが出撃した後、戦闘空母「フェリテス」は 僚艦の駆逐艦2隻と共に、教団艦隊と戦闘をしていたが、制空権を無人ブレードナイトに奪われつつある中、奮戦していた。 既に僚艦の駆逐艦2隻は、敵の攻撃を受け落伍し、戦闘空母「フェリテス」が単艦1隻で行動をしていた。
ビーッ! ピピピッ
「右舷ッ チャートNo.01 マーク13 オレンジ21 敵軽巡航艦ッ!」 ピッ
「しまったッ! 武器の使えない右舷にッ!」 ババッ!
敵駆逐艦の動きに惑わされ、戦闘空母「フェリテス」は、損傷して全ての武器が破壊され使用不能の右舷側を襲われた。
「艦首下げッ! ピッチ角40ッ! 面舵いっぱいッ! 右舷側を狙わせるなッ!」 ババッ!
「アイサーッ! 艦首下げピッチ角40」 ピピ タンタン カチ ピコ
「面舵いっぱい、艦回頭します」 ピッ グイイッ!
バババッ! バウッ バウッ! シュゴオオオーーッ! グググ ゴゴゴゴ
戦闘空母「フェリテス」艦長の【アリエラ】大佐は、的確に指示を出し、教団側からの波状攻撃を回避していた。 教団無人ブレードナイト隊の方は、マイヤー国選辺境侯爵家艦隊から派遣された、ブレードナイト一個大隊が防いでくれていたが、それも徐々に押されていた。
ゴゴゴ ギシギシ ミシミシ ガタガタ シュバアアアアーーッ!
「うう…予想以上に艦のダメージが大きい…艦体が悲鳴を上げてる。(ブレードナイトの数が足りない…このままじゃ….)」 ググッ
ゴンゴンゴンゴン クククッ ピタッ ドオンン ドオンンッ!
「敵艦発砲ッ! 来ますッ!」 ピッ ビコビコ
「回避ッ! フォトンフィールド最大」 ババッ!
「アイサーッ フォトンフィールド最大」 カチ ピッ タンタン ピコ
ブワンッ! ブブブブ シュルシュリュシュルッ ドオンン ドオンンッ! シュウウウウ…
「敵弾着弾ッ! 被害なしッ! 次、来ますッ! 敵艦空間魚雷発射ッ! 雷数16ッ!」 ビコビコピッ ピピピッ!
シャアアアアアアアーーーッ!
ビーッ ビーッ!
「敵魚雷放射状に接近ッ! 可否不能ッ!」 ビーッ!
「くッ…これまでか…」 ググッ ギュウッ!
戦闘空母「フェリテス」艦長のアリエラは、歯を食いしばり、両手の拳を強く握りしめた。
フォトンフィールドは、その艦やブレードナイトの出力に応じて、艦砲や臼砲、ブレードナイトのフォトン銃など、フォトン弾を全て防ぐことができる。しかし空間魚雷だけは別だった。 空間魚雷は実体弾で、その先端部部には、アンチフィールド幕が貼られており、どんな強力なフォトンフィールドもこれを防ぐことはできなかった。
したがって、空間魚雷を撃たれた艦船は、迎撃するか、回避行動で回避するしか手段はなかった。 現在、戦闘空母「フェリテス」は狙われた右舷側の兵器全てが使用不能となっていた。 空間魚雷を防ぐ手立てがなく、アリエラは魚雷の着弾を余儀なくされていた。
ビーーーッ! ビコビコ ピッ
「敵魚雷ッ 着弾まで後20秒ッ! 総員衝撃に備えよ!」 ビコッ! ピピピピピ!
「もうダメッ!」 ギュッ!
シャアアアアアアアーーッ!
戦闘空母「フェリテス」に16本の空間魚雷が迫り、アリエラは目を強く瞑り、命中の衝撃に覚悟した時、命中する寸前のその全ての空間魚雷が破壊された。
ビュンッ! ババババッ! ビシビシッ! ドオオオオオンンンーッ! バアアアアアーーッ!
「「「 うわああーッ! 」」」 ガタガタ ビリビリ ビーッ! ビーッ!
「うううッ!」 グッ ビリビリビリッ グラグラ ゴオオオオーッ! ガタガタ
激しい揺れと、フォトンフィールドの緩衝波が、艦全体を揺らした。
ビーッ! ビーッ! ビーッ!
「な、何が起きたのッ⁉︎」 ギュウ グラグラ ガタガタ
「敵空間魚雷ッ! 至近で全てが消失ッ! 本艦に被害はありませんッ!」 ピッ ピッ ピッ
「一体何が…」 ザッ…
ビーーーッ! ポンッ!
「本艦後方より接近する艦影1ッ!」 ピコッ!
「え?」 ババッ!
ピコ タタタタ ポンッ!
「チャートNo.01 マークポイント06 グリーン17 友軍艦艇ッ 強襲巡航艦『ライデン』ですッ!」 ピッ
シュゴオオオーーーッ! ドドドドッ!
ピッ ブンッ!
『よおッ! アリエラ大佐ッ! 間に合って良かった』 ピッ サッ!
「グレイッ!」 ババッ!
戦闘空母「フェリテス」を空間魚雷から守ったのは、強襲巡航艦「ライデン」だった。
バウウウウーーッ! ゴンゴンゴンゴン!
『軽巡は任せろッ! 一瞬で終わらせてやるッ!』 ピッ ブンッ…
そう言うと、強襲巡航艦「ライデン」艦長グレイ中佐は通信を切った。
「グレイ…右舷の軽巡は、僚艦『ライデン』に任せますッ! 周辺警戒を厳とせよッ!」 ババッ!
「「「 アイサー! 」」」 ザザッ!
戦闘空母「フェリテス」は、接近中の教団側軽巡航艦を、強襲巡航艦「ライデン」に任せ、左舷警戒に集中した。
ー強襲巡航艦「ライデン」 ブリッジー
ブ〜ン ピッ ピコピコ
「捉えましたッ! チャートNo.01 マーク23 イエロー38 チャーリーッ! 敵軽巡航艦ですッ!」 ピッ ビコビコ
「ヘディング190 距離2500 速度32ノット 照準固定ッ!」 カチャカチャ ピッ!
「主砲発射準備よしッ!」 ピコ
「目標、敵軽巡航艦ッ! 主砲発射ああーーッ!」 ババッ!
ドドドオオオーーンンッ! ギュワアアアーーッ!
「全弾発射ッ 着弾まで後5秒ッ!」 ピッ
「3、2、1、 今ッ!」 ビコッ!
シュバアッ! ガンッ! ゴンッ! ドコオッ! ドオオオオオンンンーッ!
「全弾命中ッ! 敵艦降下中ッ!」 ピッ
バキバキ メラメラ ドンッ! ボウボウ ボウンッ! ヒュウウウ… ドオオオンンンーッ!
「敵艦撃沈ッ!」 ビコッ!
「よし、このまま『フェリテス』の右舷に付き護衛するッ!」 ババッ!
「アイサーッ」 ピピ タンタン グイイッ!
バウウウウウーーッ! ゴオン ゴオン ゴオン シュゴオオーーー
強襲巡航艦「ライデン」は、戦闘空母「フェリテス」の右舷200の位置に着くと、相対速度と高度を合わせ、同航した。
ピッ ブンッ!
『ありがとうグレイ、助かったわ』 ピッ
「何、当たり前の事だ、気にするな」 二ッ
『また貴方に助けられたわ、これで何度目かしら…』 ピッ
「さあな、それより現状はどうなんだ?」
『敵の数が多いの、マイヤー提督の艦隊ががんばってるけど一進一退だわ』 ピッ
「そうか…レオンのヤツは見なかったか」
『ああ、レオン君ならあそこよ』 ピッ
モニター画面のアリエラは、超大型艦、神聖艦「ルシェラス」を指さした。
「全く、アイツはいつも無茶しやがる…」 ふう…ポリポリ…
『ふふ…仕方ないわよ、あそこにはあの娘がいるもの…素敵な白馬の王子様だわ』 ニコ ピッ
「うん? あの娘?…ってまさかッ⁉︎」 バッ!
『ええ、そのまさか…私たちの女神、【アニス】ちゃんよ!』 ピッ
「ふう、やっぱりそうか…なら、あっちはアイツらに任せとくか、いざとなったら俺が突っ込む」
『ええ、その時はよろしくねグレイ』 ピッ ブン…
そう言ってアリエラは通信を終わらせた。
「その時がくればな…」 グッ!
グレイは、ブリッジの窓か見える超大型艦、神聖艦「ルシェラス」をじっと見ていた…
ー第2中隊、キドニー小隊ー
ドバババババッ! ギュウウウウンッ! バウウウウウーーッ!
「ケベックッ! 後ろだッ!」 ババッ!
『うおッ! このおッ!」 グイッ! カチ ピッ
ヴオオオオオオオオーッ! シュシャシャシャシャ!
ガンガン ゴンッ! ドオオオオオンンンーッ!
『きゃあッ!』 ピッ シュバアアアアーーッ!
「ユミアッ! 待ってろッ!今行くッ!」 ピッ カチカチ グイッ!
ブオン ビシュウウウウーーッ ブン ジジジ バウウウウウーーッ!
『いやーッ! 来ないでえーッ』 ピッ ババッ!
ピッ ピピピッ
『ビコビコ ピッ』 ブオンッ! バアアアアアーーッ!
ユミナのブレードナイトに対し1機の無人ブレードナイトが迫って行った。
シュバアアアアーーーッ! ブンブンッ!
「うおおおおおーッ! ユミナに近づくなああーーーッ!」 グイイッ! ギュッ!
『ビピイイーッ⁉︎』 ババッ!
「邪魔だああーーッ!」 ピッ
バアアアアアーーッ ブンッ! ジュワアアーッ! ザンッ!
『ビビビーーッ』 ジ、ジジジッ ドオオオオオンンンーッ!
ヒュウウウンン ヒイイイイーッ
「ハアハアハア…ぶ、無事か…ユミナ…ハアハア….」 グッ
『あ…ありがとう…ガスト…』 ピッ
シュバアアアアーーッ ヒイイイイーッ
『ガスト、ユミナ大丈夫ですか?』 ピッ
「ハアハア…ふうう…ああ、俺は大丈夫だ…」 ギュッ!
『私も大丈夫です…けど、もう弾薬が…』 ピッ ヒイイイイーッ
第2中隊のキドニー小隊、ガスト達3人は、急接近してきた、教団無人ブレードナイト6機をなんとか撃墜する事に成功したが、主装備のフォトンライフルの弾薬を使い切ってしまっていた。
「ああ、俺ももう無い、後はライトニングセイバーのみになったな…」 ブオン ブンブン
『一旦『フェリテス』に帰って補給を受けましょ!』 ピッ
『僕もそう思います、ガスト、指示をッ!』 ピッ
「………」
『ガスト? どうしたの?』 ピッ
「もう一戦しないと帰れそうもないな… 11時方向ッ! 新手が来るぞッ!数は10機だッ!」 グイッ! ピッ
バウウウウーーッ! ヒイイイイイインンーーッ!
ピッ ビコビコ ピッ
キドニーのガストは、この戦いで間違いなくレベルアップした。探知能力が向上し、敵意ある者の数と方向が、いち早くわかるようになった。 が…
ピピピッ ピコ ガシュンッ!
ブオオオオオオオオーーッ
「来るぞッ! 俺が前に出るッ! 散開ッ!」 グイッ!
『りょ 了解ッ!』 ピッ グイッ! バアアーッ!
「ケベックッ! ユミナのフォローを頼むッ!」 バウウウウーーッ!
『了解したッ! 気をつけろよ!』 ピッ
弾薬を失ったガストは、「ウルグスパイアー」の装備、ライトニングセイバーだけで、教団無人ブレードナイトの部隊に突っ込んでいった。それに対して、教団無人ブレードナイトは一斉にフォトンライフルを撃ち始めた。
ピッ ピピピッ! ガシュンッ!
ブオオオオオオオオーーーッ ドッバババババババーーッ!
「くそッ!」 グイッ! グイッ! ギュウッ!
バッ! シャッ シャッ! ギュウウウンッ! バウウウウーーッ!
無数に迫るフォトン弾を交わしていくガスト、だが交わしきれなくなり、1発、1発と命中しはじめた。
ドガガガガガッ! バンバン ギンッ! ビシビシッ! バンッ!
「うぐぐッ! くそおおーッ!」 グイ バウウーッ! バウウーッ!
ギンギンッ! ドカドカッ バキイッ! ボンッ! ドオオオオオンンンーッ!
「うわあああーーッ!」 ピーッ ピーッ ガクガク ガクンッ!
『『 ガストーッ! 』』 ピッ
ピーピーピーッ! ビコビコッ! ピッ
『マスター、左腕駆動システム大破、右掌損傷、ライトニングセイバー使用不能ッ! メインモニター損傷、胸部排気ダクト損傷、右足駆動システム損傷、当機ハ間モナク行動停止二ナリマス』 ピッ
「くそおおッ!」 ガンッ! ビュウウン… フッ! ヒュウウウウンン…
遂に、ガストのブレードナイトは行動不能となり、地表へと落ち始めていった。彼等の機体は、新人ライナーと言う事で、防御重視の硬いアーマータイプの「ウルグスパイアー」だった、そのおかげで損傷はするも、火を吹かず、ただ動かなくなって落ちていくだけだった。
ヒュウウウウウーッ!
『『 ガストーッ! 』』 ババッ! ガシイイッ! ヒイイイイインンンー
ケベックとユミナの2人は、落下するガストの機体を捕まえ、空中で停止した。
『ガストッ! 大丈夫か⁉︎』 ピッ
『ガストッ ガストッ! 怪我してないッ⁉︎』 ピッ
「ああ…2人とも、助かったよありがとう。俺は大丈夫だ…ただ、機体がな…」 グッ…
『生きてるッ! うう、良かったああーッ!』 グスッ! ピッ
『ふう…さすがD型FA、頑丈さに助けられましたね』 ピッ
3人が空中停止していたところへ、教団無人ブレードナイト「ファウストFAV22」10機が集まってきた。
ピッ ピッ ピピピッ ブオンッ! ヒュウウウーッ ガシュンッ! ジャカッ!
「ここまでか…2人とも、俺を離して逃げろッ! やられるぞッ!」 グッ!
『そんな事できないわッ! 私達、いつも一緒でしょッ!』 ピッ
『そうですよガスト、お前を見捨てるなんて出来ないッ!』 ピッ ブオンッ!
「ユミナ…ケベック…すまないッ!」サッ!
ガストが2人に感謝の言葉を口にした時、事態は一変した。
ヴオオオオオオーーーーッ! ドッバッバッバッバッ!
『ビッ⁉︎ ビビイイーーッ!』 ガンガンッ ドオオオオオンンンーッ!
バンバンバンッ! ガアンンッ! ドゴオオンンーッ! バアンンッ!
「なッ!」バッ
『ええッ⁉︎ 』ピッ ヒイイイイー
『なんだッ! 何が起きたんだ!』 ピッ! ヒイイイイイイー
ガスト達3人を狙っていた教団無人ブレードナイト10機は、瞬く間に撃墜され、全て地表へと落ちていった。そして、彼等3人の眼前を3機のブレードナイトが高速で通過していった。
シュバアアアアーーーッ! ピッピピピピピッ!ビコビコッ!
『マスター、目標を撃墜しました。友軍機は無事ですよ』 ピッ
「ああ、間に合ってよかった、マイロッ!ジェシカッ! このまま次に向かうぞ!」 グイッ!
『『 了解ッ! 』』 ピピピ グイイッ!
ヒイイイインンーッ バウウウウウーーッ! シュバアアアアーーッ!
それは、アラン少尉達、英雄と呼ばれている3人だった。 彼等は当初の目標、敵無人ブレードナイトを全て撃破し、この帝都上空の敵集団を見つけ次第掃討戦に移行していた。 彼等の強さは尋常ではなく、すでに3機で一個大隊規模の戦力となっていた。
ヒイイイイーーッ!
「うん、先輩達、皆無事みたいだね!」
ピッ ピコン!
『はい、マスター、中央の1機は大破行動不能ですが、ライナーは無事のようです』 ピッ
「あらレパート、そんな事も分かるの?」
『分かりますよマスター、何だったら貴女のスリーサイズも…』 ピッ
「ダメえええーッ!」 グッ
『冗談ですよマスター』 ピッ
「もうッ! レパートの意地悪ッ!」 ギュッ!
「はははッ! 兎に角、これで先輩達は『フェリテス』に帰還でそうだね」
「そうねマイロ…大丈夫そう…」 ジイイ…
ジェシカのモニターには、ガスト達3機が戦闘空母「フェリテス」に向かって飛んでいく様子が見れた。
「ああ、この辺りに敵はもういない、先輩達は大丈夫だ。あとは、第2中隊の向こう…あの巨大艦からまだ出てくる…あれを叩くッ」
アランの機体にある長距離センサーモニターには、超大型艦、神聖艦「ルシェラス」から発艦してくる無人ブレードナイトの機影を映し出していた。
「もう、いったいどれだけの機体を保有しているのよ」 フリフリ
ピッ ポン
「ジェシカ、あの大きさからして、おそらく正規空母5隻ほどかじゃないかな」
『マスター、それ、当たってますわ』 ピッ
「ありがとうサニー」
『サニー? 私の事ですか? マスター』 ピッ
「ああ、君は女性っぽいから…R32じゃあ変だろ、だからその…サニーと…変かな?」
『いいえ、ありがとうございますマスター、では、これからはサニーとお呼びください』 ピッ
「ああ、サニー、これからもよろしくな」
「ふふッ マイロったら…」 ニコニコ
「なんですか? ジェシカ」
「なんでもな〜い」 ニコニコ
ビーッ! ピコビコビコ
『アラン様、敵集団を捕捉しました。チャートNo.01 ブラボー08 イエロー29 チャーリー 速度459km/h 総数24機 接近中です』 ピッ
「わかった、ありがとうマークII」
『気をつけてくださいねマスター』 ピッ
「ああ、マイロッ!ジェシカッ! いくぞッ!」 カチカチ ピッ グイイッ!
『『 了解ッ! 』』 ピピッ! グイイッ!
ババババウウウウーーーーッ! シュワアアアアアーーーッ!
アラン達3機はスラスターを全開にして、新たな敵に向かって飛んでいった。
ー神聖艦「ルシェラス」艦内ー
「「 はああああーッ⁉︎ 」」 ババッ!
神聖艦「ルシェラス」艦内では、ミドラスからの答えに、アニスとフィラウス大司教が声を上げて驚いていた。
「ミドラスッ! やはりお前は狂ってますぞ!」 ググッ
『Non. 私は正常だ、正しい判断を下している』 ピッ ガシュンッ!
「ん〜、」 テクテクテク
「ア、アニス様?」 サッ
アニスはミドラスが宿っている戦闘用ドローンにのすぐ側まできた。
スッ!
「ごめんね、私にはレオンがいるから」 ペコ
ビーーーーーッ! ガチャガチャ ピピピッ プシューッ!
アニスにそう謝ると、戦闘用ドローンの様子がおかしくなり、やがて、ミドラスが答えた。
「Oui. では、レオンを消そう、さすれば貴女は私のものだ!』 ブン ガシャンッ
そ言うと、戦闘用ドローンは壊れた人形のように崩れ、床に倒れた。
「え? おいッミドラスッ! 君はいったい何をするつもりだッ! ミドラスッ!」 ババッ!
アニスの声に、ミドラスは反応しなかった。
いつも読んでいただきありがとうございます。
次回もでき次第投稿します。