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第210話 アニスと巨砲対巨砲

ー帝都上空ー


ブオオオオオーーーッ!


ビーッ! ビーッ!


「敵超大型艦より超高圧フォトン 粒子弾ッ!」 ピッ


「なにッ!」 ババッ!


シュバアアアアアーーーッ! ヒュイイイイインンーー


「「「 うわあああーッッ? 」」」 ガタガタ ビリビリビリ…


ピッ ピピ


「フォトン粒子弾、右舷後方へと去りますッ!」 ピコ


「ブレードナイト、ベイル隊、応答ありませんッ! ベイル隊ロスト、消失しましたッ!」 ビコビコ!


「ベイル隊が…消えた…そんな…」


「艦長ッ! 敵超大型艦に再び高フォトン反応ッ!」 ピッ ピコッ!


「くッ またアレを撃つ気かッ! フォトンフィールド展開ッ! 主砲発射用意ッ!」 バッ


「アイサーッ! CICに伝達、主砲発射用意 照準、敵超大型艦ッ!」 ピッ ビビ ビコッ!


ピッ ピポッ! ビーッ


「CICよりブリッジ、主砲発射準備、目標、チャートNo.01 マーク02オレンジッ チャーリーッ! 補足ッ!」 カチカチ タンタン ピッ ビコ ビコビコッ!


ウイイイイイインンン ガコンッ ククク ピタッ


「照準よしッ! 全砲身固定ッ!」 バッ! 


「CICッ! 全主砲ッ 発射ーッ!」 ザッ!


「全主砲発射ッ」 カチッ ピッ ビコッ!


ヒイイイイインンン ドドッ ドオオオオオンンンーーッ! シュワアアアアーーッ


戦闘空母「フェリテス」の主砲、40.6cm連装フォトン砲 3基6門の対艦徹甲フォトン弾6発が、ガーナ神教団、神聖艦「ルシェラス」へと飛んで行った。


「全弾命中コース、着弾まであと 3、2、1、今ッ!」 ピッ ビコッ!


ドゴオオオオンンーーッ! グワアアアアンンーーッ! バアアアーーッ!


「全弾命中ッ!」 ビコッ ポン!


「よしッ! これでもうッ あの巨砲は使えないわッ!」 グッ!


艦長のアリエラは、「フェリテス」の主砲弾全てが、敵艦艦首に集中着弾したのを見て、流石にあの艦首砲は破壊したと思った。 しかし…


モクモク ファサアア〜…


「なッ! 何いいッ!」 バッ!


「あああッ! 馬鹿なああッ!」 ガタガタッ!


「そ、そんな…」 ザワザワ


戦闘空母「フェリテス」のブリッジ内はざわついた、主砲の40.6cm砲のフォトン徹甲弾6発は、間違いなく神聖艦「ルシェラス」に命中した。 しかし、命中による爆炎が晴れると、そこには無傷の神聖艦「ルシェラス」の姿があった。


「主砲が効かないなんて…」 ガタタ…グッ


戦闘空母「フェリテス」の艦長、アリエラは目を疑う光景を見て、唖然としていた。

          ・

          ・

ー神聖艦「ルシェラス」ブリッジー


「ふふふ…ああっははははははッ!」 


神聖艦「ルシェラス」のブリッジ内にて、フィラウス大司教は高々と笑っていた。


「そのような物、この神聖艦『ルシェラス』に効くわけがなかろう…『ルシェラス』の装甲ッ! そして全体を覆い尽くす強靭なフォトンフィールドッ! これを破る事など、お前達のふねの搭載兵器では無理というもの、諦めて我が艦の切り札、フォトン衝撃砲の餌食となるがいいッ!」 フハハハッ


「フォトン衝撃砲ッ 第2撃発射体制ッ! 砲撃目標ッ 王城前方の敵大陸艦隊ッ!」 カチカチ ピコッ!


「チャンバー内、フォトン粒子圧力正常、臨界点ッ! 発射準備よしッ!」 ピッ タンタン ピコッ!


フィフィフィフィイイイイイインンンンーッ!


「ふふふ、撃てええーッ!」 バッ!


「フォトン衝撃砲ッ! 第2撃発射します!」 カチ ピッ!


ブオオオオオオオオオオオーーー! シュバアアアアアアアーッ!


神聖艦「ルシェラス」の艦首より、再びあの強力なフォトン粒子の塊が、王城前面に布陣をしていたデルタ艦隊に向かって放たれた。


シュバババババアアアアアーーッ!

          ・

          ・

ー戦闘空母「フェリテス」ブリッジー


ビーッ ビーッ ビーッ ビーッ!


「艦長ッ! 前方の超大型艦よりフォトン粒子弾ッ! 方位0.0.0ッ! 当艦隊正面ッ! 直撃しますッ!」 ババッ!


「操舵手ッ! 艦を左舷に移動ッ! 右舷スラスター全開ッ 最大噴射ッ! 躱してッ!」 ザザッ!


「アイサーッ! 艦体左舷に移動しますッ! 右舷スラスター、1番から15番ッ! 最大噴射ッ!」 カチカチ ピッ タンタンッ!


カシュンッ! カシュンカシュンカシュンッ! バウウウウウーーッ! ゴゴゴゴ…


戦闘空母「フェリテス」艦長のアリエラは、即座に反応し、「フェリテス」を左方向にスライドさせ、懸命に回避行動に出た。


バッ! ババババババアアーーッ!


「直撃ッ 来ますッ!」 ビーッ! ビコビコッ!


「「「 ダメだああーッ!  うううッ! 」」」 バタバタ ガタッ!


「まだよッ!『フェリテスッ!』フォトンフィールド最大ッ! 急いでッ!」 ババッ!


「アイサーッ! フォトンフィールド最大ッ!」 カチッ! ピコ! 


ドオオオオオオオーーッ! シュゴオオオオオーーッ!


ビーッ ビーッ ビーッ!


「「「「 うわああああーーッ! 」」」」 ガクンッ! ガクガクッ ガタガタッ!


ビーッ ビーッ ビーッ ビーッ! バンッ! ビシッ ビリビリビリッ!


「ウウウッ! 『フェリテス』頑張って…機関最大ッ! 艦首下げッ ピッチ角60ッ!」 ビリビリッ! ガクガク


「アッ、アイサーッ! ググッ 機関最大、艦首下げッ! ピッ…ピッチ角60ッ! うおおおーッ!」 グイイイッ! ガタガタ ガクガクッ!


「こ、この威力ッ! 攻城砲ッ!ぐッ!」 ガタガタ ビリビリビリッ!


ヒイイイイインンンッ バウウウウウーーッ! ゴゴゴゴッ!


凄まじいフォトン粒子の嵐、全てのものを飲み込み、破壊、魔素還元し、フォトン粒子に分解してしまうそんな中、戦闘空母「フェリテス」は、強力なフォトンフィールドを張り耐えていた。 だが、「フェリテス」の僚艦、右舷側に位置していた軽巡航艦「キリン」駆逐艦「ウルファ」「オパルト」の3隻は,直撃に耐えきれず、一瞬で溶けて分解し、消えていった。


ジュワアアアアアアーーッ! ドオオオンンンーーッ! ヒイイイイインンン…イン…イン……

          ・

          ・

ゴウン ゴウン ゴゴゴゴッ! 


膨大なフォトン粒子が過ぎ去ったそこには、いたる所を損傷した「フェリテス」の姿があった。


ピッ ピッ ピッ ピコッ! ピーッ! カタカタ ピコッ!


「うう…み、みんな大丈夫ッ⁉︎」 ヨロッ…


ピッ ピッ ピッ ピッ


「痛てて…う〜ん、な…なんとか全員無事です…うう…」 ヨロヨロ


「ああ…痛ううッ、ててぇ~…」 フリフリ


ザワザワ ピッ ピコピコ ガササッ! ガヤガヤ


戦闘空母「フェリテス」のブリッジ内では、死者こそ出なかったが、全員があの激しい衝撃で、シートから落ちたり、壁にぶつかったりと、軽い打撲をおっていた。


「状況を報告してッ! 負傷者はすぐに医務室へ」 サッ!


「アイサーッ!」 カタカタ ピッ ピッ カチャカチャ…


ピッ タンタン ピッ ピコ カチャカチャ ピコッ ピピピッ!


「報告ッ! 当艦右舷第一装甲板大破ッ! 主砲2番3番使用不能ッ! 右舷側兵器群全て使用不能ッ!」 ピッ


「くッ 戦力は半減以下ね…はッ 艦隊…僚艦は無事なのッ⁉」 ババッ!


カチャカチャ ピッ ピコピコ ピー…


「か…艦隊は…あれ…右舷側ッ 僚艦の反応、ありませんッ!」 バッ!


「そ…そんな…一瞬で…」 ガタッ…


アリエラがその報告を聞いたその時、左舷側からも、絶望的な光景が見えた。


ドオオオオオンンンーーッ! メラメラ バキバキッ シュウウウウ…


「左舷ッ! 駆逐艦「オヴリビオン」大破降下中ッ!」 ピッ


駆逐艦「オヴリビオン」は艦体中央部から火を吹き、力なく地面へと落ちていった。


ドオオオオオンンンーーッ!


「駆逐艦『オヴリビオン』轟沈ッ! 残るは本艦と駆逐艦「キーファ」「ウィロウ」だけです!」 ピコッ!


「旗艦は中破、軽巡に駆逐艦が3隻も…デルタ艦隊は全滅ね…」 フリフリ


その時、艦内通信が入った。


ピッ ピーッ!


『ブリッジッ! ブレードナイトデッキだッ アリー姉ッ! 今のうちに俺たちを出せッ!』 ピッ


「レオン君ッ! だ、ダメよッ! ブレードナイトが何機束になってもアレには勝てないわッ!」


『ああ? どういう事だよッ⁉︎』 ピッ


「『フェリテス』の主砲が効かないの…恐らく、強力なフォトンフィールドが張られているわ。ブレードナイトじゃ突破もできない…」 ググッ…


『そんなものッ! やって見なければ分からんじゃないか!』 ピッ


「ダメですッ! 命令あるまでそこで待機ッ! いいですねッ!」


『分かったよ!』 ピッ ブン…


ブレードナイトデッキのレオハルトは、不満げな顔をして通信を切った。


「さあ…どうしようかしら…」 ジイイ…


満身創痍の戦闘空母「フェリテス」のブリッジ、艦長のアリエラはその窓の外に存在しているガーナ神教団神聖艦「ルシェラス」を見ていた。

          ・

          ・

ー神聖艦「ルシェラス」 舷側ー


デルタ艦隊が神聖艦「ルシェラス」の艦首砲、フォトン衝撃砲を受けた直後、艦の舷側に出たアニスが、炎に包まれ落ちていくデルタ艦隊の駆逐艦を見て叫んでいた。


「レオオオンーッ! うう……ん?あッ 違う…あっちか…う〜ん、あのふねもだいぶ焦げてる、けどアリエラお姉ちゃんも無事みたいだね…でも……多くの人が亡くなったんだ…許せない…かな…」 ググッ…


ドオオオオオンンンッ! メラメラ モクモク…


アニスは、落ちて行った駆逐艦をレオハルトの乗るふねと勘違いした。が、すぐにその近くにいる損傷だらけの戦闘空母「フェリテス」に、レオハルトとアリエラの2人の気配を感じ少し落ち着いた。それと同時に、地表に落ちて爆発していった駆逐艦を見て、ガーナ神教団に憤りを感じ始めた。


「フィラウス大司教…神の名を使い、信仰を深めるのはいい、それで人々が繁栄し、幸福になるのなら…だが、神の名を使い、争いを起こし、無駄に人を死に追いやるのを…私はゆるさない…」ググッ…


テクテク ガチャッ


「あれはもう…撃たせたくない…」 スッ テクテク テクテク…


アニスはそう呟くと、再び神聖艦「ルシェラス」の艦内に入り、フィラウス大司教を探しに歩き始めた。



ー同「ルシェラス」ブリッジー


「艦首砲、フォトン衝撃砲第2撃発射終了、敵艦隊、半数を撃沈ッ! 敵旗艦沈黙ッ!」 ピコ ピッ


「ククク…素晴らしいッ! この威力ッ! 大陸艦隊など恐るるに足らんッ! 我が『ルシェラス』がある限り我が教団は最強であるぞッ!」 ババッ!


「「「「「「 おおおーーーーッ! 」」」」」」 ザザッ!


神聖艦「ルシェラス」のブリッジ内は、フィラウス大司教の言に沸き立っていた。


「では、我が信徒諸君、次なる目標はあれだッ! 王城ッ!皇帝陛下の首だあああーッ!」


「「「「「「 おおおーーーーッ! 」」」」」」 バババッ!


神聖艦「ルシェラス」は艦首砲、フォトン衝撃砲の第3撃目の発射準備に入った。

          ・

          ・

          ・

ー戦闘空母「フェリテス」ブレードナイトデッキー


ギギギッ ガンガンッ! ピーッ ピーッ 


「オーライッ オーライッ ストーップ!」 ガコオオンン!


「おらあッ そこおッ! さっさと片付けろッ! 整備の邪魔だあッ!」 ババッ!


「「 はいッ! 」」 ダダダダッ!


「班長ッ! 動力が半分逝ってますッ! どうしますかッ⁉︎」 ババッ!


「どうするもこうするもねえッ! ねえもんはねえんだッ! 半分でもあるんだ!それを修理に使えッ!」


「「 了解ッ! 」」 ダダダダッ! ガンガン バンバン ジッ ジジジジッ!


中破損傷を受けた「フェリテス」のブレードナイトデッキでは、残った機材と動力エネルギーで、損傷をおったレオハルトのブレードナイト「アウシュレッザD型FARアウディ」の修理を続行していた。


「班長ッ! どうだ、間に合いそうか?」 サッ


「中佐殿ッ! 残念だが無理だッ! こうも修理設備がやられるとなあ…今回は諦めてくれ」 サッ


「そうか…」 ササッ う〜ん…


レオハルトは腕を組み、どうしようか考えた。


「隊長、今回は俺達だけでやります」 サッ


「そうですよ、今回は私達がアニスちゃんを迎えに行きます。隊長はここから指示を出してください」 サッ


「お前達…」 スッ


「隊長、任せて下さいください、自分とマイロ、ジェシカの3人で、必ず、アニスちゃんを連れ戻して来ますから!」 サッ


「うん? お前達、何か勘違いしてねえか?」


「「「 え? 」」」


「俺は別にアニスを連れ戻しに行くつもりはねえぜ」 ヒラヒラ


「では、隊長は何しに行くんですか?」


「決まってんだろッ! 俺もアニスと一緒に暴れてやるのさッ!」 ニイッ!


「じゃ、じゃあ俺達も…」 ザっ


「うん、付いて行きたいね」 コク


「そうですッ! 私達もアニスちゃんの手助けに行きたいです」 サッ


「いや俺だけで行く、お前達は残れ!」 スッ


「何故ですかッ⁉︎ 理由をッ! 訳を言って下さい!」 ババッ!


「俺達では、まだ力不足という事ですかッ!」 バッ


「そうです! 教えてください!」 サッ!


アラン達はレオハルトに、自分達の同行拒否の訳を聞いた。


「ああ…そうじゃねえよッ! お前達にはこの『フェリテス』を守ってほしいんだ!」 グッ


「「「 守るッ? 」」」


「そうだッ! 今、この『フェリテス』を守り切れるのは、お前達しかいねえんだよ!」 フリフリ


「でも、この艦にはまだ多くのブレードライナー達がいるじゃないですか?」


「ん〜、あいつらか?」 ジイイ…


レオハルトは、ブレードナイトデッキの隅にある、ブレードライナー待機室を見た。そこには、ライナー同士談笑をしている者や、アラン達同様、ブレードライナーになりたての新人ライナーが待機していた。


「隊長?」


「フッ あいつらはではダメだな…今の『フェリテス』を守りきれない…」 フリフリ


「隊長…」


「ああーッ くそッ! 機体さえあれば、アリー姉が何を言おうと出てやるのにッ!」 ググッ


「隊長ッ! それって命令違反ですよッ! ダメ、ダメですッ!」 サッ


「うぐぐ…わかって…うん?…」 ピタッ


「隊長? どうしたんですか?」


「そうか、『ライデン』じゃないんだ!」 バッ!


「「「 はいい? 」」」 はて?


「はははッ そうだった『ライデン』じゃないッ! ここは『フェリテス』だったじゃないかッ!」 ババッ!


レオハルトは急に笑い出し、1人で何かに気が付いたのか、納得のいった顔をしていた。


「隊長…大丈夫ですか?」


「ああ、大丈夫だぜ、お〜い、班長ッ!」 バッ!


「なんですかい、中佐殿? 『アウシュレッザ』ならまだ出せませんぜ!」


「ふふん、わかってるって、班長…奥のアレを使いたい、準備してくれ」 ザッ


「は? えッ! だッ ダメですッ! あれは艦長の許可が無ければ出せませんぜッ!」


「ふん、このままじゃそれも消し飛ばされるんだッ! 俺が使う、艦長には…後で俺がこの身を持って謝罪するッ!」 グッ! ニコニコ


「はああ、こりゃ何言っても無駄だな…わかりやした、いいでしょうッ! おいッ 第1班ッ!」 バッ


ガタタッ! ヒョイ ヒョイッ!


「なんすかッ 班長?」 ヒョコヒョコッ!


「中佐殿が出るッ! 奥のブレードナイトッ!『ヤクト・ベルテッサD型XSシーラ』発艦準備ッ!」 バババッ!


「「「「 はッ! 」」」」 ザザッ! ダダダダッ!


「「「 隊長ッ! 」」」 タタタッ


「お前達、後は頼む!」 サッ!


「「「 了解ッ! 」」」 ササッ!


レオハルトは、班長達と共に、奥に格納されているブレードナイト「ヤクト・ベルテッサD型XSシーラ」の元へ向かった。

          ・

          ・

ー戦闘空母「フェリテス」 ブリッジー


「艦長ッ! 敵超大型艦に再び膨大なフォトン反応ッ! 第3撃が来ますッ!」 ピッ


「くうッ! 次はこの『フェリテス』でも防げない…これまでか…」 ググッ!


「艦長ッ ブレードナイトデッキより報告、レオハルト中佐がブレードナイト『ヤクト・ベルテッサ』で出るそうです」 ピッ


「えッ!」 バッ!


ピッ ブンッ! パッ!


『アリー姉ッ! 悪いけどこいつを借りてくぜッ!』 ピッ


ブリッジのサブモニターに、ブレードナイト「ヤクト・ベルテッサD型XSシーラ」を背に、レオハルト中佐が映った。


「レオン君ッ! その機体は局地戦闘機よッ! 長時間は使えないわッ!」


『ああ、知ってるよ! 奴の中に入るまででいいんだッ! 止めても無駄だぜ!』 ピッ


「それでも無理よッ! あのフィールドは絶対に破れないわッ!」


『ああ、そうだったな、どうすっかなああ…』 ピッ


ピッ ブオンッ!


レオハルトが悩んでいたその時、「フェリテス」のブリッジにある大型モニターに1人の大男が映り、アリエラとレオハルトの交信に割り込んだ。


「えッ⁉︎」 ビクッ!


『ふふふッ! ならワシが穴を開けてやるッ! 小僧どもよく見ておけッ!』 ブンッ! 


そう言って、モニターは真っ黒になった。


「『 だれ?(だ?) 』」 ピッ


ビーーーッ! ビコビコッ! ピッ


「艦長ッ! 艦後方より高エネルギー反応ッ! 大きいッ!」 ビーーーッ!


「えッ!」 バッッ!


ドゴオオオオオオーーッ! ギュワアアアアーーッ!


ソレは真っ赤に燃えたフォトン粒子の塊で、その太さは「フェリテス」の艦体より大きく、ものすごい速度で戦闘空母「フェリテス」の脇を通過し、神聖艦「ルシェラス」に向かっていった。


「方位ッ 艦後方168. 30. 0よりの弾道ッ! 敵超大型艦に向かっていますッ!」 ピッ ピッ


ブワアアアアアーーーーッ! ドオオオオオオンンンーッ! ジュウオオオオオオッ!


「超大型艦に命中ッ!」 ピッ ピコビビイイーッ!


「なッ! こ、これはッ!」 バッ!


ジュウウウウウー-ッ! キュパンッ! ドオオオオオオンンンーッ!


「フォトンブラスターーッ‼︎」 ババッ!


グワアアアアアンンーーッ! ドオオオオオンンンーーッ!


戦闘空母「フェリテス」の後方から来たソレは、この世界最強の兵器、要塞砲とも言われている艦艇に搭載が可能な最大級の武器、フォトンブラスターだった。 ソレはフォトン粒子を最大限まで加速し、超膨大な魔力と熱量を持たせ放たれる、最大最強の兵器である。


「か、艦長ッ! アレをッ!」 サッ!


「ああッ! あいた…あの強固なフィールドに穴が…」 ギュ


戦闘空母「フェリテス」のブリッジから、アリエラが見たそこには、ガーナ神教団の神聖艦「ルシェラス」の艦中央部に大穴があき、そこから炎と煙が上がっていた。


ピピ ビコビコッ! ピッ!


「センサーに感ッ! チャートNo.01 マーク12アルファ グリーン28 大型艦艇ッ!」ピコ!


「艦艇識別 アクセル級重巡航艦ッ!『ヴィクセリオン』ッ! マイヤー辺境侯爵艦隊ですッ!」 ビコ ピッ


「辺境侯爵艦隊…あッ……アニスちゃんッ!…だ、大丈夫かしら…」 


アリエラは、後方から撃ってきた重巡航艦「ヴィクセリオン」のフォトンブラスターよりも、その攻撃で大穴のあいた神聖艦「ルシェラス」の中にいるアニスの心配をしていた。

         ・

         ・

         ・

ー神聖艦「ルシェラス」ブリッジー


ビーーーッ!


「フェリテス大司教様ッ! フォトン衝撃砲第3撃、発射準備完了ッ!」 ババッ


「ふふふ、これで終わりだ…用意ッ!」 ザッ


ビッビーーーッ! ピッ! ビコビコ ビッ!


「大司教様ッ! 左舷方向より高フォトン熱原体接近ッ! 当艦に命中しますッ! 着弾まで後5秒ッ!」 ピッ ビコッ!


「は?…なッ! 何だあれはああああーッ!」 クルッ! ババッ!


フィラウス大司教は観測員が指示した方向を見ると、まさに今、巨大な紅蓮の炎を纏ったフォトンの塊が迫っていた。


「か、回避だッ! 回避いいーーッ!」 ザッ!


「間に合いませんッ! 直撃ッ!」 ピッ


ドオオオオオンンンーーッ! 


「「「「「 うわああああああーーーッ! 」」」」」 グラグラ ゴンゴン


「ふ…ふふふ…こ、この神聖艦「ルシェラス」の防御、そう易々とは…」 グッ


「直撃弾ッ! フォトンフィールドを突破ッ!」 ピッ ビコビコ


「バッ バカなあああーッ!」 ドオオオオオンンンーーッ!


ビーッ ビーッ ビーッ


「艦中央に命中ッ! 第1、第2装甲を破壊ッ! Bブロック大破ーッ!」 ピコ!


「そんな…フィールドが…装甲が破られた…」 ガクンッ!


フィラウスは、自信満々のこのふね、神聖艦「ルシェラス」の最強と自負していたふたつの守りを、易々と破られた事に、只々唖然としていた。

          ・

          ・

          ・

ー帝都「アトム」上空ー


ゴウン ゴウン ゴウン シュゴオオオオオオーーッ!


ソレは大型のラウンドシップ、重巡航艦「ヴィクセリオン」を先頭に、7隻の艦隊が帝都上空に侵入して来た。


ピッ ピッ ピッ ピッ ビコビコッ! ポンッ!


「マイヤー提督、フォトンブラスター1番ッ、敵艦に命中ッ! 火災発生ッ!」 ピッ


「フフフッ! ブラスターッ! 2番用意ッ!」 ザッ!


その重巡航艦のブリッジにいる大男、マイヤー侯爵家当主本人で、ブリッジにある大型モニターに映る超大型艦、神聖艦「ルシェラス」を睨み、号令をかけていた。 あの強固なフォトンフィールドを破る攻撃、フォトンブラスターの第2撃目を撃とうとしていた。


「我が娘の恩人であり、友人のためである! ブラスター2番発射と同時に全艦突撃せよッ!」 ババッ!


「アイサーッ! 全艦に通達…」 ピッ ピピ タンタン カチカチ ピコ!


フィフィフィフィイイイイインン! ヒュイイイイイインンン!


「目標、照準よしッ! フォトンブラスター 2番ッ! 用意よしッ!」 ピコッ!


「提督ッ!」 バッ!


「皇帝に弓引く狂信者どもッ! 大義を得た今、お前達に慈悲はないッ! ブラスター2番ッ 撃てえええーッ!」 ザザッ


「アイサーッ! 2番発射ッ!」 カチッ ピッ


ヒイイイイイインンッ! ドオオオオオオオーーッ!


「全艦突撃いいいーッ!」 ババッ!


バウウウウーーーッ! ゴゴゴゴッ! ズズズッ!


マイヤー侯爵艦隊の7隻は、全艦スラスターを全開にして王城の向こう、ガーナ神教団 神聖艦「ルシェラス」の艦隊に向かって突撃していった。



いつも読んでいただきありがとうございます。

次回もでき次第投稿します。

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