第200話 アニスと皇帝一家
ーアトランティア帝国 帝都「アトム」王城、謁見の間ー
「は…なッ…ゼ、ゼロスが…あのゼロスが…」 ブルブルブル…
広い謁見の間には、アトランティア帝国現皇帝のベルディアと、娘レイラ、皇太子のラステルそして、青みがかった白銀髪を靡かせたアニスが、今回謀反を起こし、床に膝を屈している皇帝の息子ゼレオ公爵を囲んでいた。
「さてゼレオよ、何か申し開きはあるか?」
「うぐぐ…」 ギュウッ
「父…いえ皇帝陛下、兄は陛下だけでなく、皇太子のラステルと私までも手にかけようとした大罪人です。ここは王家の威信を保つためにも極刑を進言します」 サッ!
皇帝ベルディアの娘であり、ゼレオ公爵の妹レイラは、兄ゼレオに対し極刑と言う重い裁断を進言した。
「ふむ…ゼレオ、何故この様な事をした。お前には後々ラステルが皇位に付いた後、摂政として側につき、補佐をしながら、この帝国を導いて貰う算段であったのだがのう…」
「摂政だとお?…そんなもの、ただこいつ、ラステルの使いっ走りの様なものではないか! こんな若造の下に付くなど虫唾が走るわッ!」 ググッ
「兄上…」
「レイラッ! 貴様もよく聞いておけ、わしは王族に生まれ、若かった頃、次男として民のために尽くした。それこそ税を下げ、領地を整え、近隣諸国や貴族達、領地の民達と懇意にしたのだ…だが…」 ググッ
それは、ゼレオ公爵がまだ20代の頃、王宮での出来事であった…
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ー15年前 王宮 第2王子ラステル披露宴ー
ラステルが生まれ、初めて帝国貴族達に紹介するパーティー会場、その場に若かりし頃のゼレオ公爵も参加していた。当時の公爵は新進気鋭の若手貴族の1人で、将来を有望視されていた。
ザワザワ ガヤガヤ ワイワイ…
帝国中の貴族という貴族の当主や奥方、その息子や娘など、王城際に隣接する迎賓館には大勢の人で溢れていた。中では立食型のもてなしがされ、様々な料理や酒、飲み物や果物に菓子が並べられていた。 来賓者達はそれらを摘みながら談笑をしたり、貴族間の話し合いをしたりしていた。
帝国では、このような大きなパーティーは貴族にとって最も重要なものとなっていた。 ただの集まりなどではなく、会場の隅や別室で、貴族間のやり取り、談合や交易、金銭のやり取りから、お互いの子供達の婚約まで、貴族にとって参加せざるを得ない行事であった。
「やあ、皆さんごきげんよう」 サッ!
「おお、これは公職閣下」 サッ
「聞きましたぞ、なんでも領地改革に勤しんでいるとか」
「ああ、私なりにやれる事をやってるだけさ」 はは
周りにはゼレオ公爵を慕う貴族がかなりおり、公爵と懇意になりたがる貴族で溢れていた。
『皆様、お待たせ致しました。陛下のお孫様、第二王子の【ラステル・ヴェル・アトランティア】様です!』
バッ! トコトコ ザッ!
「「「「「 オオーーッ! 」」」」」 パチパチパチパチ!
会場の一段上にある上座には、紹介されたラステルの他、皇帝陛下【ベルディア・ヴェル・アトランティア】とその皇太子、陛下の長男【ゼオス・ヴェル・アトランティア】とその長男第一王子【レトニア・ヴェル・アトランティア】の4人が現れた。
「兄上…素晴らしいですぞ! コレで我が帝国は安泰…」 うん?…
ゼレオ公爵は兄達の姿を見て心底喜んでいた。 だが、その公爵のすぐ側で、全身白ずくめの男が、上座に向け、1発の凶弾を放った。
ドカッ!
「え?」 バッ!
ゼレオ公爵の傍から現れたその男は、公爵を押し除け、叫びながら隠し持っていた小型のフォトン迫撃砲を1発、撃ち放った。
「死ねええッ!」 ババッ! カチッ!
バシュウウウーーッ!
「なッ! 危ないッ!伏せろおおッ!」 ババッ!
「「 キャアアアアーーッ!」」 ザワザワ ワーワー!
ドガアアアアーーン! ブワアアーーッ バラバラ…
ボウッ メラメラ ボウボウ モクモク カタンッ! カラカラ…
会場には炎があがり、煙が充満し始めた。 貴族達はこぞって外へ駆け出し、我先にと逃げ出していった。
ワーワー バタバタ ドタドタ モクモク メラメラ…
「うう…へ、陛下…兄上ッ!…」 ヨロヨロ ザッ ザッ!
ゼレオ公爵は、傷つきながらも壇上へと歩き、皇帝陛下以下、全員の安否を確かめにいった。
ブアン ブアン ブアン…
そこには、防御魔法の中に4人の姿があった。しかし、1人、第一王子レトニアが第二王子ラステルを庇う様に頭から血を流し倒れていた。
「な…レトニア王子ッ!」 ダダダッ!
ゼレオ公爵は一目散に駆け寄っていった。
「レトニアッ! おいッ! しっかりしろ! レトニアッ!」 ユサユサ
レトニア第一王子の父、ゼオスが懸命に呼びかけるが、レトニア第一王子は目を開ける事はなかった。直ぐに衛生兵や医療関係者が駆け寄り、レトニア第一王子を医務室へと連れていった。
「兄上ッ!」 ザザッ!
「ゼレオッ! コレは一体なんの真似だッ!」 キッ!
「は? あ、兄上… 一体何を…」
「とぼけるなッ! 貴様の方から何かが飛んできてこうなったのだ!」 ババッ
「ち、違うッ! 私ではないッ!」 フリフリ
ゼレオは思いっきり否定したが、兄のゼオスは聞く耳持たなかった。
「問答無用ッ! ゼレオッ!」 グッ
ゼオスがそう言ってゼレオに飛びかかろうとした時、皇帝ベルディアはゼオスを止めた。
「待て、ゼオスッ!」 サッ!
「うッ… 父上…いや皇帝陛下…」 ピタッ
「ゼレオが此度の事を起こしたという証拠はない。 だいいち、行う道理がない…よく調べてからにするのじゃ、よいなゼオスッ!」
「は、皇帝陛下がそう仰るなら、しかと調査の上、今回の下手人を捕らえます」 サッ
「うむ、ゼレオも自宅で少し謹慎しておれ、わかったのッ!」
「は…謹んでお受けいたします」 サッ
こうしてゼレオ公爵は自宅に一月間、謹慎していた。 その間によくない噂が広まり、「公爵が皇帝陛下を暗殺しようとした」、「帝国をどこかの国に売ろうとした」など、彼にとって全く身に覚えのない噂が流布されていった。
その噂のせいで、最愛の妻は幼い息子を残し離縁、懇意にしていた貴族や民達も手のひらを返す様に彼から去って行った。 彼の疑いが晴れた時、周りには誰もいなく、幼い我が子と執事のゼロス以下数人の者しかいなかった。 結局下手人は分からず、兄であるゼオスからも謝罪の言葉はなかった。
この時からであった、ゼレオ公爵の心の底から憎しみの感情が湧き起こり、次第に「ガーナ神教団」との繋がりが密になり、今現在に至る。
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「あらぬ疑いと噂でわしを裏切っていった貴族、民、妻、そして、ことの発端だった兄ッ ゼオスッ! 絶対に許せなかった…コレらを踏まえ、わしがこの帝国を治めればよいと思ったのだッ! たとえ悪名が付こうとも、二度とわしの様なものが生まれない国になッ!」 ババッ!
「兄上…貴方にそんな事が…」
レイラには全く知らない過去の話だった。15年と言う歳月は良君を暴君に変えてしまう、充分な時間だった。
「ふむ…のうゼレオよ、他の者は如何致した。姿が見えぬようじゃが…」 キョロキョロ
皇帝ベルディアはこの広い謁見の間に、自分達以外誰もいない事に気が付き、ゼレオ公爵に尋ねた。
「ふんッ! 皇帝…いや、この老ぼれッ! 貴様の子飼いの者達など、とうに始末してやったわッ!」 バッ!
「「「 なッ⁉︎ 」」」 ザザッ!
「この痴れ者があッ!」 ブンッ! ドカッ!
「ラステルッ‼︎」 ババッ! ガシッ!
「うがあああーーッ!」 ドコッ! ゴロゴロ…
叔父であるゼレオ公爵の発言に、若い皇太子のラステルが叫びながら、拳でゼレオ公爵を殴りつけた。それをレイラが背後から制止し押さえた。
「何をしてるのッ! 皇帝陛下の前ですよッ! 感情に任せ、暴力を振るうなど王の器ではないですよッ!」
「うう…ですがレイラ姉さんッ! コイツがコイツがッ!」 グイッグイッ!
もはや、ラステルにとってゼレオ公爵は叔父という存在ではなかった。ただの謀反人、反逆者であった。
「落ち着かぬか! ラステルッ!」 バッ
「は…はい、つい取り乱しました。申し訳ありません」 サッ
「ふう…ラステルはまだまだね…」 スッ
「ううう…いたい…」 ゴソ…
「ゼレオよ、余の側近がそう易々とお前などにやられるわけなかろう、何処へやった?」
「うッ…うう…」 グッ
「おいッ! さっさと言えよッ!」 バッ!
「ラステルッ!」 キッ!
「あ…すみませんレイラ姉さん…」 スッ
皇帝ベルディアの質問に答えようとしないゼレオ公爵の側に、白銀髪と白いスカートを揺らしながら、アニスが近づいていった。
テクテク サッ! ピタッ
「うう…な、何を…」
「アニスちゃん?」
「お爺ちゃん、この者からお爺ちゃんの仲間の居所を聞けばいいんだよね?」
「アッ アニスちゃんッ! 皇帝陛下ですよッ! お、おお、お爺ちゃんって…」 ハラハラ
「ん?」
「ワハハッ! 良い良い、レイラよッ かまわん、アニスとやら、レイラの妹になったと聞いたぞ…するとお前は私の娘と言う事になる…だが、流石にこのわしを父と呼ぶには酷であろう、お主にはお爺ちゃんを許す! ふふふ、それでじゃ、その者から情報を聞き出したいのだが、やれそうかな?」 ニコニコ
「「 ええーーッ⁉︎ 」」 ザザッ
レイラとラステルが驚くのも無理はなかった。皇帝陛下をお爺ちゃん呼ばわりする者など、この世界には皆無、恐れ多き事で、そんな発言をすればまず死罪は免れない。直系の家族の自分達でもそんな呼び方を許されないのに、アニスだけはそれが許されたのだから。
「ん、じゃあ…」 サッ!
「うッ…なにを…」 ゴソッ
「動かないでッ!」 ババッ!
アニスはゼレオ公爵の頭に向け、右手をかざし、目を閉じた。すると、右手の先に黄色の小型魔法陣が現れ、それと同時に、ゼレオ公爵の体全体が一瞬光り輝いた。そのすぐ後、アニスは右手を戻し、目を見開いた。
「一部の者は地下牢、その他兵士、貴族、使用人は薬によって、ガーナ神殿に連れて行かれてます」 サッ!
「アニスちゃん」 サッ!
「なんとッ! それは誠かッ!」 ザッ
「アニスさん、凄い…ますます気に入りました」 グッ
「なッ⁉︎ 貴様ッ!何故それをッ! はッ…ま、まさか…わしの記憶を読んだのかッ!」 ババッ
「ん、色々と…ね」 ニコ
「皇帝陛下ッ! 私は今から地下牢に行き囚われている者達を解放に向かいます」 ザッ! スタタッ!
「うむ、レイラよ頼むッ!」 コク
「はッ! アニスちゃん、皇帝をよろしくね」 スクッ! タタタッ!
「ん!」 コクン
「レイラ姉さん、私は?」 ババッ!
「ラステル…皇太子殿下は、皇帝の守りと後ゼレオ公爵を見張ってなさい、いいですね!」 サッ タタタ
「わかった、言う通りにします」 サッ
レイラのみ、地下牢の方に向かって、謁見の間から出ていった。
「うう…わしの計画もここまでか…」 グッ…
ゼレオ公爵は諦めたのか、落胆の表情を浮かべ頭を下げていた。とその時、どこからともなく声が聞こえてきた。
『公爵様、伏せてッ!』 シュンッ!
「え?」 バッ!
「ん?」 サッ!
「「 なにッ! 」」 ババッ!
ドオオオンーーッ! モワモワ モクモク ブワアアーーッ!
再び謁見の間には、何者かが投げた煙幕弾で何もかも見えなくなっていた。
「ん! 煙幕かッ!」 バッ! チャキンン!
「うわッ!陛下ッ!」 ババッ!
「うぬッ! 何奴じゃ⁉︎」 バッバッ!
突然の煙幕弾に、アニスは警戒し、神器「アヴァロン」を抜き、ラステルは陛下の前にガードに出た。
「うう…」 ググッ
『公爵様、助けに参りました。ここより脱出します』 ササッ スッ!
「おお、助かったぞ!」 バッ
バッ! ババッ! ササッ!
「くそッ! 見えないッ!」 ブンブンッ!
ラステルは煙幕弾の黒煙を、その両手を振り、払っていたが、一向に周りは見えなかった。
「ん、剣技!《イージス.エッジッ!》」 キンッ ビュワアアアアーーッ!
ビシュワアアアーーーッ! ビュンッ サアアアアアアーーーー!
普段は戦闘用の剣技ではあるが、今回アニスは視界確保の為に使用した。その威力で、謁見の間を覆い尽くしていた黒煙は全て吹き飛ばされ、壁際にあった大窓から外へと吹き飛んでいった。
煙幕弾の黒煙が晴れたそこには、ゼレオ公爵とその側に白装束の者が1人、公爵を支え立っていた。
「ん? だれ?」 サッ! チャキ!
「何者だ、その者が罪人と知っての狼藉か?」 バッ!
アニスはゼレオ公爵達に向けて神器「アヴァロン」を構え、皇帝のベルディアは毅然とした態度で白装束の者に尋ねた。
『我は『エスタル』、それ以上でもそれ以下でもない存在、公爵様は連れて帰る』 サッ
「ふむ…『エスタル』…『ガーナ神教団』の手の者か…此処から逃げ遂せるとでも思うてか?」
『当然ッ!』 サッ ビュンッ! パリイイインンッ! シュバアアアアーーッ!
『エスタル』と名乗ったその者は、懐より六角錐の青い水晶を取り出し、自分たちの足元に投げ破壊した。その途端、ゼレオ公爵とその白装束の者は少し宙に浮き、やがて姿が消え始めた。そう、「転移水晶」を使用したのであった。
「ふふ、また会おうぞ!父上…」 フワフワ…シュバアアアアーーッ フッ!
ゼレオ公爵は皇帝に一言そう言うと、白装束の『エスタル』と共に、何処かへと転移して消えていった。
「くそ、逃げられたッ! アニスさんッ! 貴女なら何処に行ったか分かりますか?」 ババッ!
ラステルは転移して消えたゼレオ公爵の行く先をアニスに尋ねた。
クルクルクルッ シュン チャキンン!
「無理、魔法陣を用いての転移ならトレース出来るけど、あれは「転移水晶」を用いた転移先固定魔道具、追跡は不可能だね」 フリフリ
アニスは神器「アヴァロン」を腰裏の鞘に戻しながら答えた。
「でも、彼の行先は決まってるんじゃないかな? ねえ、お爺ちゃん」 ニコ
「え? 決まってる?」
「そうじゃの、ゼレオのやつの行き先など一つしかないわッ!」 ふふふ
「陛下?」
「「 『ガーナ神教団』の総本部じゃ(だね) 」」 ババッ!
「『ガーナ神教団』の総本部ッ! 此処の隣じゃあないですかッ!」 バッ!
皇帝ベルディアとアニスが睨んだ通り、彼らは王城の直ぐ横、行政棟の地下にある「ガーナ大神殿」、その奥に存在する、「ガーナ神教団」総本部へと、転移していた。
「直ぐに追いかけねばッ!」 ザッ
「待てラステルよ」
「陛下?」
「もう、奴に逃げ道などない、レイラが帰ってきたら体制を整え、それからにするのじゃ!」
「わかりました。そういたします」 サッ
やがて、レイラと共に十数人の家臣達が現れた、その中には、憲兵総監の【ウィリバルト・フォン・アイゼンベルガー】と帝国宰相の【グレゴリー・ヴェル・ベッケンヴァウアー】の姿もあった。
「皇帝陛下、此度の失態、申し訳ありません」 ザッ
「「「「「 申し訳ありませんッ! 」」」」」 ザザアーーッ!
宰相のベッケンヴァウアーを先頭に、助け出された全員が謁見の間の中央で片膝をつき、玉座の皇帝ベルディアに頭を下げた。
「うむ、皆の者、頭を上げるのじゃ。此度はわし自身の不徳にきたす所、その方達に過失はない」
「もったいないお言葉、ありがとうございます」 ザッ
「「「「「 ありがとうございます 」」」」」 ザザアーーッ!
テクテク スタ
「よかったね、グレゴリー、ウィリバルト」 ニコ
「「 えッ? 」」 ガババッ!
「ん、久しぶり」 ニコ フリフリ
「「 あああーーッ! アニスーーッ! 」」 ババッ!
「むッ! アニスじゃと? わしの娘を呼び捨てとはいかんのお〜」 ググッ!
「えッ?」 バッ!
「ああッ!」 バッ!
「「 申し訳ありませんッ! 」」 ババッ! べタンッ!
皇帝ベルディアのその一言に、宰相のグレゴリーと憲兵総監のウィリバルトの2人は、ものの見事な土下座を披露した。
「フォフォフォ…冗談じゃ、2人とも許せ」
「「 はああ…」」
「もう、お爺ちゃんダメだよからかっちゃ」 メッ
「うむ、すまんのうアニスや、ははは…」 ニコニコ
「はああ…(父上ったらもう…)」 フリフリ
「うわああ、(アニスさん凄いや、皇帝にタメ口だよ)」 ははは…
皇太子のラステルと皇帝陛下の娘レイラは、皇帝陛下とアニスのやり取りに呆れていた。しかし、謁見の間にいる他の者達は違った。
「「「「「 (ええええーーッ⁉︎) 」」」」」 ザワワワーーッ
皇太子のラステルと皇帝陛下の娘レイラを除いて、その場にいた者全員が、皇帝ベルディアとアニスのやり取りに、声を殺して驚いた。
「(こ…皇帝陛下を、お、お爺ちゃんだとおッ⁉︎)」 ヒソヒソ ブルブル
「(しかも皇帝陛下が怒られてるのに、陛下は笑って許してる)」 ヒソヒソ
「「(皇帝陛下の娘? アニスは一体何者なんだッ⁉︎)」」 ババッ
謁見の間にいた者全員が、この光景に驚いていた。
「まあ、戯れは此処までとして、グレゴリー、ウィリバルトよッ!」
「「 はッ! 」」 ババッ!
「勅命であるッ! 此度の謀反人、【ゼレオ・ヴェア・アルテア】公爵を引っ捕らえ、ワシの前に連れてくるのじゃ!」 バッ!
「「 御意ッ!」」 ババッ! スタッ!
2人は皇帝の勅命を聞き、その場に立ち上がった。
「行くぞッ! ウィリバルトッ!」 バッバサッ!
「ああッ! グレゴリーッ!」 バッ バサッ!
グラッ ゴゴゴ…
「ん?」
「「「「「「 な、なんだッ⁉︎ 」」」」」」 ザワッ!
2人がそう言って立ち上がり、謁見の間を後にしようとしたその時、帝都「アトム」全体が揺れた。
グラッ グラグラグラグラ ゴゴゴゴゴッ! ユラユラッ!
「地震?」
メキメキメキ グシャアアー バラバラバラッ! ドドドド グラグラッ!
「へ、陛下ッ!あそこッ! 外をご覧くださいませッ! 行政棟がッ!崩壊しましたあッ!」 ババッ!
「なにッ! いったいなにがッ!」 グラグラ ユラユラ ゴゴゴッ!
王城横に立っていた地上18階ほどの建物が、まるで積み木を崩すが如く真下に向かって崩れていった。
「ああッ! あれはああッ!」 グラグラ ユラユラ
メキメキバキイイッ! ブワアアアーーッ! ザバアアアアーーッ!
謁見の間の窓から外を見ていたレイラはそこに信じられないものを見た。
ズバアアアアアアーーッ! ゴオンゴオン シュバアアアアーーッ!
「なんと…戦艦か?…」 ゴク…
皇帝ベルディアが見たそれは、行政棟の地下から、地上の建物を粉砕しながら浮上してきた超巨大なグラウンドシップ、この世界には今まで存在しなかった、空想上の艦種、純白の戦艦がゆっくりと上空に上がっていった。
ドゴゴゴゴゴゴゴ ゴオンゴオンゴオンゴオン シュバアアアアーーッ!
いつも読んでいただきありがとうございます。
次回もでき次第投稿します。