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第178話 交流戦当日早朝

-帝都学園 近郊上空ー


ゴウン ゴウン ゴウン バウウウウーー


ピコ タン タンタン ピピッ!


「本艦、予定空域に到達、機関減速、速度15ノット」 ピコ ピッビーッ


「減速開始、舵そのままッ 機関前進半走ッ!」 ピッ タタ ピッ!


バシュッ! バシュッ! ババーッ! ババーッ! ゴゴゴ…


交流戦当日、朝の0450時、強襲巡航艦「ライデン」は、帝都学園演習場上空付近にやって来た。


ポンッ!


『艦長! 予定空域です、ブリッジまでお越しください』 ピッ


「うむ、分かった。すぐに行く」 ピッ ババッ! ササッ! カツカツカツ


「ライデン」艦長のグレイは、艦長室で起床後の身支度中に報告を受け、素早く軍服を着て艦橋、ブリッジに向かって行った。


プシュー カツカツカツ


「おはようございます! 艦長!」 ササッ!


「ああ、おはよう副長」 サッ!


「「「 おはようございますッ! 」」」 ザッ!


「諸君ッ! おはようッ!」 サッ


観測員と操舵手以外は皆、グレイに敬礼した。


「ああ、みんな、そのままでいい、前のライデンのようにしてくれ」


「いやあ、艦長、ふねが新しくなると、なあ..」 はは…


「そうですよ艦長、ブリッジ要員も何人か新人がいます。前のようにとは、なかなか…」 フリフリ…


「そうか、私は気にしないぞ! あははは…」 グッ…


「「「「 あはははははッ! 」」」」 ドッ!


旧駆逐艦「ライデン」乗組員以外はキョトンとしていた。 駆逐艦の時はブリッジ内も狭く、艦長以下全員が手狭な艦橋内にいたせいか、皆家族のような感覚になっていた。 しかし、新鋭艦の強襲巡航艦「ライデン」のブリッジ内は広く、扱う計器類も増え、新たに配属された新人乗組員も数人いたのだった。


ピッ プシュウー! カツカツカツ ふわああ〜…


「う〜ん…おはようさん…」 ガシガシ カツカツ… ギシッ!


和気藹々としたブリッジにまた1人、ねむそうな顔をした男が、頭を掻き入って来た。


「おッ! レオンッ!ちゃんと起きて来たか、流石は大隊長、えらいぞ!」 


「当たり前だろッ! グレイ、隊長の俺が寝坊するわけにはいかないからな!」


「中佐殿、他のライナー達はもう起きてますか?」 サッ!


「シュトラウス大尉、俺の部下達は俺より早起きだぜ!」 グッ


「では、すでに?」


「ああ、ハンガーデッキで皆自分の愛機を整備中さ、特にあの3人は張り切ってるぜ!」


「うん? あの3人?」


「なんだ、もう忘れたのかグレイ…ほら、あの3人だよ英雄のッ!」


「英雄? ああ、アニスと一緒に来て早々にブレードライナーになった奴らか!」


「ああ、そのアニスの連れ達だよ! 今は俺の大隊に入って、この「ライデン」に乗ってるのさ」


「ん? アイツらは『フェリテス』の搭乗員じゃなかったか」


「皇太子殿下だよ! 殿下が護衛にと指名したんだ」


「なる程、英雄で、学園の同級生、必然的にそうなるか…」

          ・

          ・

          ・

ー新鋭艦 強襲巡航艦「ライデン」ハンガーデッキー


ウィイイイインン  ガシュンッ! ピピーッ ピピーッ


「オーライ オーライ ストーップッ!」 ガシュン ガシュン!


『整備班Bは第一小隊のアウシュレッザ整備を開始 C班D班も応援に回れ』


「ようしッ! かかるぞおッ!」 ババッ


「「「「 おおーッ! 」」」」 ダダダダッ! ガガッ! ガガガッ! 


「ライデン」艦内にあるブレードナイト、ハンガーデッキでは、まだ早朝だというのに活気付いていた。


「お〜い! アラ〜ンッ!」 フリフリ 


「うん? 何だ、マイローッ!」 ゴソゴソ…


ハンガー内の自分の愛機、「アウシュレッザD型F1ライナー」のコクピットで、下から呼ばれたアラン少尉が、顔を黒く汚して出てきた。


「ジェシカが何か、話があるんだってよッ! 降りて来いよッ!」 ブンブン!


「おうッ! 今行く、ちょっと待ってくれ!」 バン! ピッ ピッ!


『システム再起動、シバラクオ待チクダサイ』 ピッ


「ああ、任せたぜ!『相棒』ッ!」 グッ


『了解デス マスター』 ピッ


ウィイイイインン カシュン! バッ ダダダ!


「悪い、待たせた」 サッ!


「いや、自分の愛機を整備するのは当たり前さ、何たって一生の相棒なんだもんな!」 グッ


「ああ、ほんと、もう自分の分身の様なもんさ! 俺の大事な愛機『アウシュレッザD型F1ライナー』…」


アランは自分の愛機を下からジッと見つめていた。


「さッ! 詰所へ行こうぜ、ジェシカが待ってる」 ザッ!


「おうッ! で、ジェシカは一体何の用だって?」 ザッ ザッ ザッ


「さあ? まだ俺も聞いてない、まあ行けば分かるさ」 ザッ ザッ ザッ


2人はハンガーデッキ横のブレードライナー専用詰所へと向かって行った。

          ・

          ・

          ・

ーブレードライナー詰所ー


ピッ プシューッ


アラン達が中に入ると、そこにはジェシカともう1人、なんと今回の護衛対象で同級生でもある【ラステル・ヴェル・アトランティア】皇太子がそこにいた。


「やあ、アラン、それとマイロ、久しぶり」 サッ ! ニコ


「「 皇太子殿下ッ! 」 ババッ! ザザッ スッ!


2人はラステルに会った途端、その場で片膝を着き、王族への挨拶をした。


「ああッ! いいって いいって、そんなに大袈裟にするなよ! 同じ『金扇クラス』の同級生じゃないか」


確かに、ラステルは同じ学園で同じ「金扇クラス」の同級生である。しかし、やはり王族、しかも次期皇帝候補、帝位継承者第1位の同級生、不遜な態度が取れるはずもなかった。


「はッ! しかし殿下、流石にそう言うわけには…」


「ふうう、じゃあジェシカと同じように…これは命令である、友達のように振る舞え! 良いな!」 バン!


「「 えッ⁉︎ 」」


「良いなッ‼︎」 ドンッ! ギラッ!


「「 ははーッ! わかりましたッ! 」」 ババッ!


「うん、それでよし、じゃあ立ってくれ」 サッ


2人はラステルにそう促され、立ち上がった。


「おはよう、2人とも目が覚めたでしょ?」


「ジェシカッ! もうとっくに覚めてるよッ! 逆に驚いて腰が抜けそうだぜ!」 グッ


「そうだぞジェシカッ!人が悪いッ!」 ググッ


「あははは、ごめんね、ラステル殿下に頼まれたのよ、『黙って呼べ、目を覚まさせてやる』ってね」 ニコ


くるッ! ババッ!


ジェシカに言われ、2人はラステルに振り返った。


「ああ、すまんすまん、もうすっかり起きてたんだね、学園生のノリでついやってしまった。申し訳ない」 ペコ


「あッ! いえ…大丈夫です殿下…」 ペコ


これが帝位継承者第1位の【ラステル】と帝位継承者第3位の【ゼビオ】との違いである。ラステルは常に皆と対等の立場に立ち、自分に非があれば即座に頭を下げる。身の振り方や節度、マナーや仕草、人との関わりや語り方が良好で友人も多い、それが生粋の帝位継承者の品格を醸し出していた。


「それで殿下…じゃなく、てラステルはここで何をしてるんだ?」


「うん、実は今日の交流戦、『金扇クラス』のメンバーにちょっとトラブルがあってね…」フリフリ


「「 トラブル? 」」


「ああ、全員出れなくなった」 


「「 はあああッ⁉︎ 」」 ババッ!


「そう言う反応になるわよねえ、私もさっき聞いてそうなったわ」 はああ…


「何やってんだよッ! うちのクラスはッ!」 グッ


「まさかッ!【ゼビオ】様がまた何かッ?」 バッ!


「いや、アイツは今回関係ない、関係する前にちょっとまずい事で謹慎くらってんだ!」


「はあ…ですが、全員出れないとなるのは尋常では無いかと…」


「そう、私達のクラスが不戦敗の憂き目を見る。そんなのはいやだよね?」 ニコ


「は? え…はい、いやです」 コクン


「うん、いやだな」 コクン


「そこで、昨晩、クラス担任の【アシュア】先生から打診があった」


「あのう…それって、もしかして…」


「うん、流石はジェシカ、女の子の感は鋭いね、そのとうりだよ!」 ニコ


「何だ? マイロわかるか?」


「わかんねえよッジェシカは分かってるみたいだがな!」


「もうッ! 2人とも、察しなさいよッ!」 バッ!


「「 え⁉︎ 何だ? 」」


「はは…先生から、君達に交流戦メンバーとして参加してほしいそうだ」


「やっぱり…」 はああ…


「「 ええーッ⁉︎ 」」 ババッ!


「どう? 驚いただろ? 既にブレードライナーになって、活躍してる君達3人に、まだ学生の『銀翼クラス』の生徒と模擬戦をやろうってんだ、無茶だよねええ」 ニコニコ


「無茶どころか、模擬戦にもならないですよ!」


「そうだな…もう、俺たちの魔力量や身体能力なんて、学園の学生とは雲泥の差だからな!」


「私、弱い者いじめなんて嫌よ!」 


「ククッ!弱いものいじめ、雲泥の差か…」 ククク…


「ラステル?」


「まあ、君達も油断しないことだよ、今回の『銀翼クラス』、ヘタをすると学園最強という話も出てるからね」 ニコ


「ラステル、それはないぜ、俺たちがその学園最強なんだからさッ!」 グッ


「アランの言う通りだぜ、ラステルも知ってるだろ? 俺たちの凄さを…」


「ちょっと、あなた達、ラステル様に失礼よ!」


「いや ジェシカ、別に構わないよ。友達の様にしてくれと言ったのは私だからね。ただ、友達だから忠告するんだ。油断はしないで欲しい」 ジッ!


「「 わ…わかりました 」」 ササッ!


「ジェシカも気をつけてね!」


「はい、ラステル様」 サッ!


「それで、他のメンバーは誰です?」


「えっと、私と、あとこの同級生達!」 ババッ!


「ちょッ! ちょっと待ってください! ラステルも出るのか?」


「ああ、そのつもりだ、私も3回生、『金扇クラス』の生徒だぞ! ダメか?」


「えッ! あ…いやあ…ダメじゃないです」


「じゃあ、今日から3日間、演習場内ではよろしくな!」


「「「 わかりました 」」」 ザザッ!


「後はこの者達だが…」 ウ〜ン…


「マイロどう思うコイツら?」


「他人任せのいいとこ取りばかりするクズ貴族の子弟だわ…」 ググッ


答えたのはジェシカだった。


「ジェッ ジェシカッ!」 おいおい


「ははは、そのとうりだと思うよ、私もそう思う連中ばかりだ、だから頭数だけで期待はしていない」


「では、今日からの交流戦は、ラステルと俺たち4人でと言う事で行きますか」 うん!


「そうだね…あッ、女子には私が何人か推薦しておくよ。女の子がジェシカ1人じゃ可哀想だから」 ニコ


「ありがとうございます」 ペコ


「じゃあ、連絡しておく、少し遅れると思うが、間違いない子だから」


「はい!」


「では、時間が来たら集合と言うことで、準備に入ってくれ」


「「「 はいッ! 」」」 ザッ! タタタ…


アラン達3人は、交流戦準備のため、ライナー詰所から出て行った。


「さて、『銀翼クラス』か…どんな奴が出てくるんだろ。楽しみだな…」 ふふん


ラステルは1人、詰所で交流戦の相手、「銀翼クラス」の選手のことを考えていた。

          ・

          ・

          ・

ー新鋭艦 強襲巡航艦「ライデン」ブリッジー


ゴク ふう〜


「朝一番のコーヒーはいつ飲んでも2番目に美味いぜ」 ゴクン


「うん? 2番目? じゃあ1番は何なんだ、レオン?」 ゴク


ブリッジ内の奥にあるブリーフィングテーブルで、艦長のグレイと大隊長のレオンが2人、朝のコーヒータイムを楽しんでいた。 ブリッジ内の手空きのブリッジ要員も、作業をしながら一緒に飲んでいた。


「ああ、1番はアニスの入れてくてた紅茶さ、あれは美味いぜッ!」


「なに紅茶ッ⁉︎ お前がか? レオン!」 カチャ


「なんだよ、俺が紅茶を飲んじゃいけないのか?」 ゴク


「いやだってお前、前に【アシュリー】が入れた紅茶を飲んで吹き出してたろ!あれから『紅茶は飲まない』って、言ってなかったか?」


「いや…まあ、アシュリーのはなあ…ありゃあ紅茶じゃなくて焦げ茶だ! あん時は苦すぎて飲めたもんじゃ無かったんだぜ! だからアシュリーにそう言ったんだ」 カチャ


「ああ…そうなのか、でアニスのは美味いのか?」


「そりゃあもうッ! 宮殿給仕の奴らもビックリの美味さだぜ!」 グッ!


「ほうう…またいつか飲んでみたいものだな!」


ビーッ! ポンッ!


『艦長ッ! 目的地に到着、『ライデン』停止します』 ピッ


「うむッ! レオン、紅茶の話はまた後でな!」 スクッ カツカツカツ


「ああ…(グレイ帝都学園ここにはそのアニスがいるんだぜ! すぐにでも美味い紅茶が飲めるさッ!)」 ピッ プシュウウウー ザッ ザッ ザッ


艦長のグレイが艦長席に戻って行ったので、レオンもブリッジから、ブレードナイト、ハンガーデッキへと降りて行った。


「現在目標地点、帝都学園 演習場待機設備地域、機関停止」 ピッ ピコピコ


「アイサーッ! 機関停止、自動懸垂装置正常 空間ジャイロ安定ッ!」 ピッ タンタン


「制動ッ! 1番2番ッ! 最大噴射10秒ッ!」 カチカチ ピッ


バシュウウウーーッ! バババアアーッ ゴゴゴ…


「艦制動ッ! 8ノット…5ノット…2ノット…停止ッ!」 ビュウウウンン…


「停止ッ!」 ピッ ピコ ポン! ゴゴ…ゴ… ピタッ!


新鋭艦、強襲巡航艦「ライデン」は、0630時、帝都学園 演習場にある、グランドシップ専用の待機設備上空で完全停止した。


「機関停止、アイドリングモードに移行」 ピッ グオン グオン


「全域探査、…周辺空域にストレンジャー無しッ!」 ピコン!


「全艦、正常ッ!」 ビュウウウンンン…


「みんな朝早くまでご苦労ッ! 半間休息を取ってくれ」


「「「「 アイサーッ 」」」」 ババッ!


「ライデン」は予定空域の場所に着き、その艦体を停止した。後は、学園からの連絡を待つだけとなった。


「副長、後は任せる。私は皇太子殿下にあってくる」 スクッ! カツカツ 


「はッ! 了解しました」 サッ!


艦長のグレイは、後の指揮は副長に任せ、皇太子殿下のいる貴賓室へとブリッジを後にした。

          ・

          ・

          ・

ー帝都学園 女子寮棟横の空き地ー


チチッ ピチュピチュ バサバサッ! サアアーッ!


強襲巡航艦「ライデン」が帝都学園に近づいていた頃、ここ女子寮棟横の空き地でテントを貼って、アニスとニールは一晩を明かした。 テント横には、交流戦専用判定ドローンのEG-6が、物言わず、2人を警護しており、その場の安全は確保されていた。 そのテントの中から奇妙な音が鳴り始めた。


トテ…トテトテ…トトト…トテトテ…トテタタタ…タタタ…


「ん⁉︎ う〜ん…なんだ…うん?…ああ…ニールの目覚まし時計か…変なの…」

 

トテテ…カチッ!


アニスはテント内のベットの中から、脇に置いてあった、ニールの目覚まし時計に手を伸ばし、寝ぼけながら、その音を止めた。


「う〜ん…0500時…ニール、早起きだねええ…ん?」 あれ?


アニスがベットの中から隣に寝てるはずのニールのベットを見ると、そこにはニールの姿がなかった。


「ん〜…(どこ行ったんだろ? トイレかな?)」 


そんな事をな惚けながら考えていた時、アニスは異変に気がついた。


ムニュッ… モミッ ギュッ!


「ひゃあッ! なッ!なにッ⁉︎」 ピクンッ! バッ!


アニスは自分の身体に何かが触れ、敏感な処に何かを感じベットのシーツを剥いだその時、アニスは顔を真っ赤にしてしまった。


「ニッ ニニニッ ニールッ⁉︎」 カアアッ!


ベットに入る時、就寝する時アニスは、いつも薄手の白いキャミソールに下着と言った格好で寝ているのだが、ベットの中のニールは、その小さな体に一糸纏わぬ姿、全裸でアニスに抱きつき、右手をアニスの胸に当てていた。


「う…んん…母様…良い匂い…」 モミモミ… スウウ…スウウ…


「ンッ! ニッ ニールッてばあッ!(隣で服着て寝てたのにッ!なんで裸でこっちのベットに潜り込んでるんだよおお!)」 ユサユサ カアッ!


アニスは顔を真っ赤にして、自分の身体に全裸でしがみつき寝ているニールを起そうとしたが、一向に起きる気配がなかった。 逆に起こして離そうとすると、シーツが無くなって肌寒くなったのか、さらに強く、アニスの身体にしがみついてきた。


ギュウウッ!


「ううう…母様…ニールを…捨てない…で…」 ツツウ〜…


「えッ⁉︎ ニール、あなた…」 スッ……バッ! フワッ! 


アニスは小さなニールが寝言で涙を流しながら寝ているのを見て、無理に起す事をやめ、今一度寒くない様にシーツを掛け、抱き着いたままの彼女が起きるのを待った。


そのまま優しく添い寝をして、小さなニールの癖っ毛のあるセミロングヘア、薄緑色の髪を撫でてあげた。


「目が覚めるまでだよ、ニール…」 スッ ナデナデ ササーッ


「あう…暖かい…母様…」 スウウ…スウウ…


ニールはアニスに抱きつきながら静かな寝息をたて、気持ちよさそうに眠り続けた。


「普段は気の強い娘だけど、どこか無理してるみたいだね…」 ニコ


アニスはニールを優しく見つめ、普段からは想像出来ないニールの一面を見た様な気がした。それから15分後、再びアレが鳴り始めた。


トトト…トテトテ…トテトテトテ…トテタタタ…タタタ…


パチッ! ガバアアッ! ババッ!


「ッ‼︎ あッ ああッ わッ!…」 ササッ! バッ!


「ん、目が覚めましたか? ニール」 ニコ


「きゃあああああーーッ!」 ババッ! サササッ! 


目が覚めたニールは、自分が今どの様な状態で、どんな事をアニスにしたかを理解し、大声で叫びシーツに包まって、テント内の隅の方に縮こまってしまった。


「うう…わたし…わたし、また…寝ぼけて裸に…アニスに…」 プルプル


小さく縮こまっていたニールにアニスはそっと寄り添っていった。


「ニール…おはよう」 スッ ナデナデ


「う…アニス…わたし…みんなには…」 グス…プルプル…


「ん、大丈夫」 ニコ


「え? アニス…」 グス グス…


「誰にも言いません、私たちだけの秘密ですよ!」 シ〜…


パアアアッ! ガバアアッ! ギュウウッ!


「アニスッ! アニスーッ!」 ギュウウッ!


アニスにそう言われ、ニールは包まっていたシーツから飛び出し、全裸のままアニスに抱きついた。


「うわッ! ニッ ニールッ!」 ギュウウッ!


「アニス…こんなニール…きらい?」 ウルウル…ジッ…


アニスのお腹あたりに抱きつき、涙目で一糸纏わぬニールが見つめてきた。


「ううん…好きですよニール、さあ、早く服を着てください」 ニコ ナデナデ


「ありがとう…アニス…わたしも…大好きッ♡」 ギュウウッ! パッ! ササッ!


ニールはアニスに思いっきり抱きついた後、自分の服を着てテントの外に出ていった。 今日は登校日、アニスも学園の制服に着替えテントを出る、朝食を作るために…


ババッ! テクテク ザッ!


「うん! 今日もいい天気だね」 パアアアーッ


ピッ ピッ ピコ! ヴォン! ガシュン!


『オハヨウオザイマス、アニス』 ピッ


「ん、おはよう EG-6」 ペチペチ


『本日ハ快晴、気圧1013mb 気温20° 降水確率10% 南南西ノ風 微風デス』 ピッ


「わあッ! そこまで正確とは…やっぱり君はすごいね」 テンテン!


『正常デス 問題アリマセン』 ピッ ウイイインンッ!


「あははは…」 


トコトコトコ… クイクイ…


「ん? ニール…どうしたんですか?」 スッ!


「アニス〜… また一緒に…ねても…いい?」 ギュッ ポッ…


EG-6と話をしてたアニスに、制服のスカートの裾を軽く引っ張り、ニールが赤い顔をして頼んできた。


「ん、ニール…いいですよ。でも、寝衣は来てね…さあ、今日は交流戦ッ! 朝食にしましょッ!」 ニコニコ


「うんッ!」 コクン


アニスは交流戦を楽しみにしながら、ニールと朝食作りに入った。




いつも読んでいただきありがとうございます。

次回もでき次第投稿します。

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