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第174話 マイヤー侯爵家

ー帝都学園演習場内 野営地ー


パチパチ カタン ボウッ メラメラ パチ…


「本当に大丈夫かしら…」 ゴソ ピッ ピピッ パチパチ…


早朝の帝都学園演習場内、竈門と焚き火、緑色のミニテントの前で、【ベルギット・フォン・マイヤー】は1人、焚き火の薪を突きながら、アニス達の帰りを待っていた。 演習装備の腕時計を見ると現在時間は0800時、アニスが自分の仲間を助けに出掛けて既に1時間を過ぎていた。すると、近くの草藪が揺れだし、そこから小さな人影が飛び出して来た。


ガサガサ バサバサ バササアアーッ! トンッ! スタッ!


「うん?」 バッ


「あああーッ! マイヤー様ッ!」 ババッ! トトトッ!


「ニールッ!」 スタッ!


ガサガサ バサバサ バサッ! トコトコ テクテク


「もうッ! ニールッ! 歩くの早いよッ!って、ベルギットッ!」 トコトコ ザッ!


「えッ! ベルギットッ⁉︎」 バサバサ トコトコ


「サンドラッ! メルティーッ! 皆さんッ!…無事だったんですねッ!」うう…


「マイヤー様ーッ!」 ガバッ! ギュウウーッ!


「ニールッ!」 ギュウッ!


ベルギットがサンドラやメルティー、ニールの姿を見て嬉し泣きをしている所へ、小柄なニールが彼女に抱きついた。


「マイヤー様、ニールは頑張ったんだよ!」 ニコ


「そうですか、無事でよかったですわ」 ニコ ナデナデ


「えへへ…」 ニコニコ


ガサガサ バサバサ トコトコ テクテク


「ん? ああ、ベルギット、今戻りました」 ペコ


「ただいま、ベルギットッ!」 ニコ


「アニスさんッ! シルティーッ!…よかった…みんな無事で、本当に良かったですわ」 うう…


女子メンバー全員と、それを助けに行ったアニスが皆無事に帰って来たことに、ベルギットは更に涙を流し泣いてしまった。


「ベルギット、もう泣かないでください。皆無事に救出できましたから」 サスサス


アニスは無いて伏しているベルギットに背中をさすりながら、慰めた。


「そうよベルギット、アニスさんのおかげでみんな帰ってこれたわ。だからもう泣かないで、ねッ!」 サスサス


「そうね、もう大丈夫ですわ…」 スクッ


「ん、ベルギット、もう大丈夫だね」 ニコ


スッ! カツカツ、 スタッ ササッ!


ベルギットはアニスの前までくるとその場でしゃがみ、頭を下げた。それを見て、ほかの女子メンバーもベルギットの後ろに下がり同じようにしゃがんで、頭を下げた。


「ベルギット、みんなッ?」


「アニスさん、いえ【アニス・フォン・ビクトリアス】さん、此度、私どもの救出をして頂き、ありがとうございます」 サッ!


「「「「 ありがとうございますッ! 」」」」 ササーッ!


ベルギットの感謝の言葉に続き、女子メンバー全員がお礼の言葉を述べた。


「ベルギット、皆さん、私は助けたかったから動いたまでです。気にしないでください」


「それでもッ! それでも、私達は貴女に感謝しなければなりません」


「ん、では、その言葉だけ、いただいておきます」 ニコ


「そういうわけには…」 サッ


「そうです、私は、失ったこの腕を治していただきました。どう感謝すれば良いか…」


「えッ⁉︎ シルティーッ!今のはどういう事なのですかッ⁉︎」 ババッ!


「えッ! あ…いや…ベルギット、落ち着いて聞いてね…」 スッ


「ええ…で、何ですの?」 グイ


「私、ベルギットと別れた後、アディオスと戦ったの…」


「アディオスッ! あの『金扇クラス』の面汚しッ! 絶対に許さないッ!」グッ


「ええ、で、その時に…私…アディオスに…右腕を切られ失くしたの…」 スッ


「なッ!…で、でも今は右腕があるわッ!」 ササッ


「はい、その…アニスさんに、元に戻して頂きました」 サッ!


シルティーは、元に戻った右腕を、ベルギットに見せた。


「そ…そんな…元に戻した?…右腕全てをですの?」


「はい、肩の下から指先まで…」 ギュウッパッ!


「凄い…こんな、完璧な治癒魔法…アニスさん、貴女は神官…いえ…もしかしたら、聖女なのですか?」


「ん? 聖女? なにそれ?」


「ベルギット、アニスさんはそうかもしれないわ!」


「そうそう、なんか凄い魔法だったもん!」


「ニールは見てたのですか?」


「私だけじゃ無いですよマイヤー様、みんなその場にいましたから!」


「皆さんも、アニスさんの治癒魔法を見てたのですか?」


「「「 うん 」」」 コクン


「凄かったんだからッ! もうッ! パアアッとやって、ああッと思ったら、フワッと終わって、シルティーの腕があったの!」 ふんふん!


「あはは…ニールの説明は大雑把だわ」


「そうですわねえ、私もそれではよくわからないのですが…要するに、一瞬でシルティーの腕を治したということかしら?」 うん?


「そうッ! それですッ! マイヤー様ッ!」 バッ!


「それはそれで凄いですわね!」 


「ん? そうなのですか?」


「ええ、たぶんアニスさんの治癒魔法は特別としか思えませんわ」


「ん、普通に腕、治しただけなんだけどなあ」 ん〜…


「「「 いやいやいや、普通治せません! 」」」 ブンブン


「そうなの? ベルギット…」


「ええ、身体の欠損、それを無から完全に戻す。そんな事をできると言う治癒魔法は、この帝国では宮廷司宰の教皇様か、大司教様にしかできないと聞いてますわ」


「ん? それって『ガーナ神殿』のっていう人達ですか?」


「ええ…そうですけど…それが?」


「本当に、その人達は身体欠損の治癒ができるのですか?」


「ええ…たぶん…噂ですけど…」


「そっか…(では、あまり使わない方が良さそうだな)」


「しかし、ますます、アディオスは許せませんわッ!」 ググッ!


「まあ、アディオス、いや【ガスティー】家はこれで終わりね」 ふう… フリフリ


「そうですね…シルティーに怪我を負わせただけでなく、よりにもよって、ベルギットを怒らせるなんて…」


「アディオスはなにを考えてるのかしら? 少し考えれば分かりますのに…」


「ん? ベルギットを怒らすとまずいの?」


「ああ、アニスさんは知らないかな…」


「ん?」


「あの、女好きの公爵家、ゼビオがベルギットには手を出さない、いえ口さえも出さない、それどころか、ベルギットの友人である私達にも手を出さないのよ」


「ベルギット、そうなのですか?」


「ええ、あの方は、一切私には近づかなかったですわ」 フリフリ


「なんでだろ? 何か彼の弱みでも握っているのですか?」


「いいえ、あの方は私を、我が【マイヤー】家を恐れているのです」


「ん? 公爵家が侯爵家のベルギットをですか? ベルギットの家って凄いのかな?」


「そうだよアニス!、マイヤー様はすっごいのッ!」 ふふん!


ニールはまるで自分のことのように、両手を腰に当て自慢した。


「どう凄いの?」


「それはねえ…」


ニールの話はこうだった。

         ・

         ・

         ・

【ベルギット・フォン・マイヤー】、マイヤー家の彼女の家は侯爵家なのだが、正式爵位は『国選辺境侯爵家』である。 国選辺境侯爵家とは、アトランティア帝国の南部国境沿いを帝国から領地とし与えられ、そのまま国境の警備、監視を任されている、帝国防衛の要を任された侯爵家である。 ベルギットの家、マイヤー国選辺境侯爵家は、代々皇帝陛下よりその地を任され、今まで無数の外敵からこの帝国を、守って来たのであった。


その為、帝国内外での権力は凄まじく、その発言力も大きい。また、マイヤー侯爵家は唯一、独自の軍と艦隊の所持を許されており、皇帝からの信頼も厚く自他共に、帝国内最強侯爵家として認められている。 


マイヤー国選辺境侯爵家の戦力は一個艦隊、重巡航艦をはじめ、空母、巡航艦、駆逐艦など約30 隻を保有している。また兵員も兵士を約26,000名、ブレードナイトに至っては約100機を保有し、その数だけ、ブレードライナーも在籍している。


そんな強大な侯爵家に、歯向かう者は存在せず、公爵家のゼビオも、その実力はよく知っており、彼の父親、【ゼレオ】からも、『絶対に、マイヤー家の者とそれに連なる者には関わるな! 怒らせてはならん!』と言われており、彼はベルギット達には手を出さなかったのであった。

          ・

          ・

          ・

「ん、…そうなんだ……」


「アニスさん…貴女、よくわかってないでしょ?」 ジッ


「あはは…わかる?…全くよくわかんなかった…」 はは…


「はああ…貴女は、前もそんな感じでしたわね…」 はああ…


「ん!」 ニコ コクン


「あははッ! アニスさんッ! 可笑しいッ!」 ククク


「まあ、とにかくベルギット、今回の事は先生方に報告した方が良く無いかしら?」


「あら、報告なら既に致しましたわ!」


「え! そうなの! じゃあ先生方が全て処理してくれるわね」


「いいえ、先生方ではありませんわ」


「先生方ではないの? じゃあ誰に報告を?」


「それは勿論、お父様にですわ」 ニコ サッ!


そう言って、ベルギットは野戦服の内ポケットから、小さな板状の端末を取り出した。大きさにして縦10cm横8cm程の、どこか別の異世界で有名な携帯端末とそっくりであった。


「ん? それはなんですか?」


「これは、お父様から私に持たされた、緊急連絡用携帯端末ですわ」


「ま…まさか…ベルギット、あなたおじ様に連絡をッ!」


シルティーはベルギットの父親をよく知っているようだった。


「ええ、音声では送れませんので文章で…」 ニコ ピッ サッ


ベルギットは携帯端末の電源を入れ、自分の父親に送ったと言うメッセージを開いてみせた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーお父様へー


『お父様、緊急連絡です。私は今、フォトン銃で撃たれ、森の中を逃げています』


『もっとお話ししたかったのですが、それもできそうにありません』


『さようなら』


ーベルギットよりー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ちょ、ちょっとベルギットッ! これ、おじ様に送ったの?」 バッ


「ええ、昨晩、暗い森の中を走りながら、アニスさんにお会いする前に送りましたわ」 ニコ


それは、まるで父親に最後のメッセージを送る娘の連絡のようだった。これを読んで、動かない親など存在しない。ましてやあの【マイヤー】侯爵家である。 シルティーは気が気でなかった。


「でッ! おじ様はなんと…」 


「さあ? この端末には返事が一言」 ピッ サッ


ベルギットは再び、携帯端末の返信を開き、みんなに見せた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーベルギットへー


『すぐ行く』


ー父よりー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「……」


「ね、お父様ったらこの一言だけなんですよ。つまらないわッ!」 プン


「いや、流石にこれは…」


「ねえ、シルティー、これってヤバくない?」 スッ!


「ヤバいなんてもんじゃないわよッ!」 ババッ!


「はは…やっぱり…」 たら〜


サンドラはベルギットの携帯端末の中を読み、シルティーに尋ねた。やはり、その内容は、良くなかったらしい。


「ん? よくないのですか?」


「ベルギットの…彼女のお父さんが動いたのよッ! タダでは…え?」 ゴゴゴゴッ!


シルティーがアニスに話している時、上空後方より、大きな音が響いて来た。


「え⁉︎ なになに!」 バッ! ゴゴゴゴッ


「なんの音かしら?」 スッ ゴゴゴゴッ


ドバアアアッーッ‼︎ シュゴオオオオオーーーッ! ビュウウウーーッ


「「「「きゃあああーッ!」」」」 ババアアアーーーッ! バサバサバサッ!


「ん、あれはッ!」 グッ!


「やっぱり…」 バサバサバサッ! ビュウウウーーッ!


アニス達の上空を、一隻の黒い艦艇が猛スピードで駆け抜けていった。


強行偵察巡航艦 「シュランベルジュ」アトランティア帝国随一の速度と情報収集を誇る偵察艦で、その艦体の横には艦名の他に、マイヤー家の紋章が描かれていた。


「あら、今のは私のとこのふねでしたわ、うちの紋章がありましたから」 ジイイ〜


「あっちの方向って…」


「ええ、『金扇クラス』専用の準備棟がある方向ですわ」


「じゃあ、今のは..」


「おそらく、お父様が派遣した私のお出迎えのふねだと思いますわ」 ニコ


「ん、あれ、出迎えだけなのかな?」


「いや、アニスさん…おそらく違うわ…」


ドオオオン…オン…オン……


しばらくして、遠い場所からの爆発音が聞こえて来た。


「男子メンバー達、どうなったかしら?」


「どうって…ベルギット、あの人達どうなるのかしら?」


「どうなろうと、私達を襲った時点で自業自得ですわ」 ふん!


「あはは…そうだよねえ…」


ベルギット達がそんな事を話しているうちに、先程、上空をかすめていった黒い艦艇が、ゆっくりと現れた。


ゴウン ゴウン バウウウウーーッ! バッ! バシュッ! バシュッ! 


「あら、戻って来ましたわ」 スッ


ゴゴゴゴッ! シュバアアアアーーッ! シュウウウウー


漆黒の強行偵察巡航艦「シュランベルジュ」は、アニス達の上空で制動をかけ、停止した。


ゴウン ゴウン ゴウン


「止まったよ!」


「ん、止まったねえ」


プシュン シュウウウウー


「あら、連絡艇が降りて来ますわ」


シュウウウウ ババアアアッ! ヒュウウウンン… ピッ バクンッ!


「お嬢様ああーッ!」 ダダダッ!


地上に降りた連絡艇から、顔立ちの整った青年士官が降りてきた。


「あら、【ゼクトス】じゃない、貴方がお迎えを?」


「はいッ! 御無事で安心しましたッ! 旦那様からお聞きした時はもう、心臓が止まる思いでした」 うう…


「大袈裟ですよ、うふふ」 ポッ


「しかし、旦那様が、『娘は、ベルギットは殺されたぞッ!全軍で仇を打つッ!』と仰いまして、当家艦隊戦力の大半を出撃され、私が急遽ここへ派遣されたんです」 バッ


「お父様ったら、なにをそんな勘違いを…」


「ですがお嬢様からの通信文、私も拝見しましたが、あの内容では…」


「あら、何か変ですの?」


「いやいや、ベルギット、私もあんな通信文を送られたら焦るわ」 はああ…


メルティーがベルギットに、通信文の内容の事について言った。


「なぜ、焦る必要がありますの?」


「いやだって、あの内容に、最後は『さようなら』よ、誰だって、これで最後みたいに受け取るわ」


「え〜、貴方もそうなの? ゼクトス」


「じ…自分は、そ、そのう…お嬢様を…」 カアア…


「あら…」 ポッポッ!


「わあ、ベルギットが赤くなってる…」


「ンンッ! シルティー…」 ジロ


「あらあ、ごめんなさ〜い…うふふ」 きゃっ


「しかし、ゼクトス、よくここがわかりましたわね」 ふむ


「ああ、それは、お嬢様の携帯端末の電源電波を頼りにさがしましたから」 スッ!


「まあ、この端末、居場所もわかるんですね!」


「最初は準備棟の方におられると思いまして、急行してしまいましたが、不届き者しかおらず焦りました」


「携帯端末、様様ですわね」


「はい、助かりました!」


ははは…ワイワイ…


「ところでベルギットッ!」


「はい、なんですか? アニスさん」


「ベルギットのお父さんはどこ?」 キョロキョロ


「そう言えばいませんわ…ゼクトス、お父様はどこですの?」


「え! あ、いやその…」 タジ…


「ゼクトス、お父様はどこ!」 ジッ!


「は、はいッ! 旦那様は、大陸艦隊総司令部に、総司令官【ワイアット・フォン・エイブス】大将閣下に、【ガスティー】家討伐の許可をもらいに行きましたッ!」 ババッ!


「わああッ! 物凄く分かりやすい人だッ!」


「とにかく、私は無事だと言うことをお父様に言わなければッ!」


「そう言えば、準備棟の男子メンバーはどうしたんだろ?」


「ゼクトス、さっき、あちらでものすごい音がしたんだけど…」


「はい、お嬢様に不埒なことをした者どもは、当艦の留置施設に捕らえています」


「じゃあ、アディオスも捕まったのね」


「準備棟にいた者は全て捕らえ、当艦にいます」


「そう…アディオスはもう…」


「ベルギット、これからどうするのですか?」


「私は、お父様の所へ行きます、ゼクトス準備をお願い」 タタタ


「はッ! 了解しましたッ!」 バッ! ダダダッ


ベルギットとゼクトスは急いで準備に入るため、連絡艇の方に向かって走って行った。


「シルティー達はこれからどうするのですか?」


「そうね、もう交流戦どころではないので、私達は自宅に帰ります。交流戦を辞退するわ」 ふうう…


「そうね、アディオスも捕まったし、公爵家のゼビオもいない…男子メンバー全員がいないんじゃ、話にならないわ」 フリフリ


「ん、そうだね」


「私達はベルギットのふねに乗せてもらうつもりです、アニスさんも一緒に行きません?」


「ん…私はいいです、『銀翼クラス』の交流戦メンバーが来るかもしれませんから、ここに残ります」


「そう…【アニス・フォン・ビクトリアス】さんッ!」 タタタ トト


ベルギットを除く女子メンバー全員がアニスの前に来た。


「ん?」


「私と、メルティー、サンドラ、ニールことニベルダの4人は、ベルギット同様、貴女を親友とします。特に私、【シルティー・フォン・アイゼンベルガー】は、生涯、貴女を恩人として迎えます」 サッササーッ


女子メンバーが一斉に野戦服ではあるが、女性貴族の挨拶、カーテシを決め、アニスに挨拶をした。


「こちらこそ、皆さんとは親友ですね」 サッ


アニスも同様、女子メンバーに挨拶を返した。


「みんさーん! 準備ができたそうですわッ! 乗ってくださいッ!」 フリフリ


「「「「 はいッ! 」」」」 タタタ


「ではアニスさん…」


「ん、シルティー…」


女子メンバーとベルギットに気づかれず、シルティーはアニスに向かい急に抱きついた。


ババッ! ギュウウーッ


「シ、シルティー?」 ギュウ!


「本当にありがとう…大好きです♡」 チュッ


いきなり、シルティーはアニスの唇に自分の唇を重ねた…


「ッ!」 カアアッ!


「ふふ、アニスさん、ご馳走さま♡ またねッ!」 バッ! タタタッ!


シルティーはすぐに離れ、その場を後にした。


「あ…ああ…シルティーーッ!」 カアアッ!


「またお会いしましょう、アニスさんッ!」 フリフリ


タタタッ! プシューッ バクンッ! ヒュイイイイイインンンッ!


ベルギット達を乗せた連絡艇は、急上昇をした後、母艦である強行偵察巡航艦「シュランベルジュ」の中に消えていった。 しばらくして、「シュランベルジュ」はスラスターを全開にして、その場を離れ、一路大陸艦隊総本部、カルディナ軍港へと飛んでいった。


キュウウウウンンッ! バウウウウウーーッ! シュゴオオオオオオーーッ!


その場に残されたアニスは、「シュランベルジュ」の飛び去った方向を見て一言呟いた。


「シルティーのバカ…」 ううう…カッカッ カアアーッ!


真っ赤な顔をしたアニスが1人、立っていた。




いつも読んでいただきありがとうございます。

次回もでき次第投稿します。

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