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第166話 アニスと2人の上級大将

ーアトランティア帝国 憲兵隊総本部ー


パチパチ メラメラ モクモク…


「もう一度聞きます。 コレをやった張本人は貴方ですか?」 ニコ ゴゴゴッ


「クッ! ううッ!(なんて強力な魔力・・だッ! こうしてるだけでも体力が削られていくッ!)」


アニスは問いかけながら、密度の濃い魔素・・を放ち、周りに充満させていった。それに対し、グレゴリーは次第に汗まみれになり、膝や肘、肩などが小刻みに震え出し、立っていられるのがやっとの状態だった。それでも彼は必死に体制を維持し、アニスの問いに答えた。


「貴女の言うコレとは、この『対人兵器 タドン』の暴走の事かね?」 プルプル


「ん、タドン? コレはタドンと言うのか…ええ、そうです」 ゴゴゴ ギンッ!


「ウグッ! で、では…我等は関係ない…むしろ、ソレを…止めに来たのだ!…クッ!…」プルプル


「止めに来た? では、貴方は私の敵ではないと言うことですか?」 ゴゴゴ


「そ…そうだッ!ググッ…うがッ!」 ガクンッ!


グレゴリーはついに耐えきれず、片膝をついてしまった。


「グレゴリーッ!」 ダッ!


「クッ!… ち、近寄るなッ! ウィリバルトッ!…貴様も、う…動けなくなるぞッ!…」 ググッ! プルプル ザッ!


ザザーッ! ピタッ!


ウィリバルトはグレゴリーの忠告を聞き、少し近寄っただけで、立ち止まった。


「私の友人が撃たれて傷ついたのですが?」 ゴゴゴ


「そ…ソレについては…ウググッ!…しゃ…謝罪を…さ、させて…も…もらう…すま…ない…」 ググッ! プルプル!


「ん、どうやら本当のようですね…」 ゴゴゴ


「は…ははは…し、信じて…も…もらえないかな?…お…お嬢さん…ククッ!…」 ズシャアッ!


「グレゴリーッ!」 ババッ!


グレゴリーは遂に四つん這いになってしまった。


「ウッ!…ウググッ…がはッ!…クッ!」 ギンッ!


グレゴリーは地面に伏したが、その両目はアニスをしっかりと見ていた。


「ん、わかりました、貴方を信用しましょう!」 ヴンッ! シュワアアーーッ!


パアアアンンッ! ササーーッ! ヒュウウウ……


アニスがグレゴリーのことを信用すると、その場に重たげに充満していた魔素・・が霧散し、消えていった。


ドシャッ! ババッ!


「ハアハアハア…ゼエゼエ…あ、ありがとう、信用してくれて。ハアハアハア…」 ブルブル


グレゴリーは、高密度の魔素・・から解放され、全身の力が抜けた状態で大きな息をしていた。


「グレゴリーッ!」 ダダダダッ!


「ウィ、ウィリバルト…もう大丈夫だ…ハアハア…」 ヨロッ


「そ、そうか…ほれ、立てるか?」 スッ


「ああ、すまない…」 スクッ ヨロヨロ…


「貴様ッ! 一体グレゴリーに何をしたッ!」 ババッ!


「ん?」 


ウィリバルトはアニスに食ってかかろうとした。が、それをグレゴリーが止めた。


「よせッ! ウィリバルトッ!」 ババッ!


「なッ! グレゴリーッ! なぜ止めるッ!」 グッ


「ウィリバルトッ! 落ち着けッ!」 ググッ


グレゴリーはウィリバルトをその体全体で制した。


「そっちの方は私に何か?」 テクテク


「まッ 待ってくれッ! 今、コイツに説明するから!」


「ん、」 ピタッ


「グレゴリーッ! どうしたんだッ! 一体ッ⁉︎」 ググッ


「ウィリバルト…この少女に逆らってはダメだッ!」 ガッ


「グレゴリー、一体何を…」 ピクッ


「いいから聞けッ!」 ググッ!


「あ、ああ…」 スッ


グレゴリーはウィリバルトをアニスから少し離れたところへ誘い、アニスに聞こえないように小声で話した。


「(あの娘はダメだッ! 逆らえば死ぬぞッ…)」 コソコソ グッ!


「なッ!…(グレゴリー、何を言ってる?どこにでもいる小娘ではないか)」 コソコソ


「(違うッ! さっき、俺は初めて死を覚悟した。あの娘には何をやっても勝てない、手足が、身体が動けなかったのだ…)」 コソコソ


「(グレゴリー、お前ほどの男がか?…わかった、取り敢えず様子を見る。貴様の言う通りにしよう)」 コソコソ


「(すまない…)」 コソコソ


2人は取り敢えず、アニスに敵対しないと言う認識に至った。


「ん、それで、あなた方は誰ですか?」 スタッ!


「ああ、自己紹介がまだだった」 スクッ!ザッ!


そう言って、グレゴリー達2人は姿勢を直し、改めてアニスに自己紹介をした。


「私は、アトランティア帝国、帝国宰相【グレゴリー・ヴァン・ベッケンヴァウアー】上級大将である」 バッ


「私は、アトランティア帝国、憲兵総監【ウィリバルト・フォン・アイゼンベルガー】上級大将だ」 バッ


2人はアニスに自分の官、姓名を明かした。


「じょうきゅうたいしょう?、なにそれ、すごいの?」


「なッ 知らないのかッ⁉︎」 ババッ!


「ん、知らない。 何ですかそれ?」 コクン コテ…


「上級大将を知らないって…この帝国には4人しかいないのだぞッ!」 グッ


「たった4人? 4人しかいないんじゃ大した事ないんじゃ…」


「4人しかいない(・・・・・)んじゃないッ! 4人しかなれない(・・・・・・)んだよッ!」 ガアッ!


「ん?」


「もうよせ!ウィリバルト、この娘は理解できていない」 ハア〜…


「くううッ! なんか悔しいぞグレゴリー!」 ググッ


そんな会話中、アニスはグレゴリーの名字に気がついた。


「ん? 【ベッケンヴァウアー】? ニールと同じ苗字…」


「なッ! ニールを知っているのかッ⁉︎」 ババッ! ダダダッ!


グレゴリーはアニスがニールの名を出した途端、我を忘れ、彼女に詰め寄った。


「うわああッ! 近い近い近いッ!」 バッ!


「あ、ああ…すまない、つい、我を忘れていた。で、ニールを知っているのか?」 


「ええ、さっきまで一緒にいましたから…」


「何いッ! さっきまで…だと…」 ワナワナ


「ん?」


「おい! グレゴリー?」


「き…きき……」 ワナワナ プルプル


「ん? ききき? なんだそれ?」 ン?


「貴様がッ! ニールを誘拐したのかああーッ‼︎」 ババッ! チャキッ!


カチッ ビシュウウーッ ! ヴオンッ! 


グレゴリーはいきなり、ライトニングセイバーを起動し、アニスに向けた。


「うわああー! なんだなんだッ⁉︎」 ビクッ!


「おいッ! グレゴリーッ! 落ち着けええッ!」 グイッ!


「貴様がッ! 貴様があああーッ!」 ジタバタ ブオン ブオンッ!


ライトニングセイバーを振り、暴れるグレゴリーをウィリバルトが後ろから羽交い締めして止めていた。


「離せッ! 離せえええーッ!」 バタバタ ブン ブン ブオン!


「はああ…仕方ない人だなあ…」 テクテク


アニスは暴れるグレゴリーの近くまでやってきた。


「うがああッ!」 ジタバタ ブオンッ! ブアンッ!


「おいッ 【グレゴリー・ヴァン・ベッケンヴァウアー】ッ!」 ビシッ!


「「 えッ⁉︎ 」」 ピタッ!


テクテク ピタッ スッ!


「自分を見失うなッ! もっと大勢をよく見よッ! それでもニールの父親かッ! しっかりしろッ!」 ペシッ!


「うッ!」 ピタッ!


「(すげええッ この少女…一体何者だ? あのグレゴリーが一発で萎縮している…)」


「ごめんなさい、落ち着きましたか?」 ニコ


「あ、ああ…度々すまない…もう大丈夫だ、それでニールとはどこで…」


すっかり落ち着いたグレゴリーは自分の娘、ニールの事をアニスに尋ねた。


「ん、彼女と私はここの牢獄で出会い、一緒に抜け出できたんです」


「「 ろッ!牢獄だとおッ⁉︎ 」」 ザワッ!


「はい! 牢獄です」 コクン


「私の娘が牢獄にいただとおッ! どういう事だッ ウィリバルトッ‼︎」 グイッ!


「知らん知らんッ! 私は何も聞いておらんッ!」 ググッ


「ん〜 グレゴリー、ウィリバルトは何も知らないと思うよ」


「「 えッ⁉︎ ((グレゴリー(・・・・・) ウィリバルト(・・・・・・) だとおッ! 呼び捨てか?))」」

 ピタッ キョトン…


2人は皇帝陛下以外の者に、自分たちを呼び捨てにされ、唖然としていた。


「ん、何か?」 ジッ!


「あ…いえ…何でもない…か…」 コク


「ああ、何でもないな…」 コク


「ん、ならいいです」 ニコ


グレゴリーとウィリバルトの2人は「この少女にならいいか」と、暗黙の了解を持ち頷いた。


「で、君は娘と一緒にと言ったが…今、娘ニールはどこに?」


「ええ、彼女なら今、安全な状態で建物内の一室にいます」 


「安全な状態? それはどういう事だ?」 ウン?


「私が授けた武器を持ってますし、大佐という男の方と、2人っきりで一緒・・にいますから…」


「何いいッ⁉︎ ニールが男と2人っきりだとおおおーッ!」 ババッ!


「うわッ!(なんだこの人?)」 バッ


「どこだッ! どこにいるッ!」 ガッ


「あ、はいはい…いま案内しますから…」 ザッ


そう言って3人はアニスを先頭に、総本部の中に入っていった。


「こっちですよ」 テクテク


「ニール! ニール! ニールッ!」 ザッ ザッ ザッ!


「ねえウィリバルト」 テクテク


「何ですかお嬢さん?」 ザッ ザッ ザッ!


「グレゴリーっていつもああなのですか?」 テクテク


「あ〜…イヤイヤ、あれは特別だ。 ふだんはこの帝国の宰相をしてる厳格な男なのだが、娘の事となるとなあ…」ザッ ザッ ザッ!


「ああ、なっちゃう?」 テクテク


「うむ、娘を溺愛してるのさ」 ザッ ザッ ザッ!


「ニールも大変だねえ…」 テクテク


そして、アニス達はニールがいる部屋へとやってきた。


「ニール、帰ったよ」 スッ テクテク


部屋に最初に入ったアニスが見たその光景は、ニールの膝に頭を乗せて眠っている、大佐という憲兵隊員がそこにいた。


「あ、お姉さまッ! 帰ってきたんですね! よかった…」


「ん、ていうかソレ…どうしたの?」 スッ


アニスはニールの膝で、膝枕で寝ている大佐を指さした。


「え、ああ、この人ですか、なんか、まだ体が辛いとかで、眠ってらっしゃるの」 ニコ


「へ…へえええ…そうなんだ…はは…」 アラ〜


「う〜ん…ああ、ニールちゃん、僕は幸せだあ…」 ゴロ


「きゃっ! もう、大佐さんったら」 ニコ


「わあああ……」 チラッ


アニスは部屋の入り口を見た。


「うわああ…(赤い顔の鬼神がこっち睨んでる…あはは…)しーらないっと!」 そそくさ


アニスはそっとその場を離れた。


「お姉さま?」


「ニールッ!」 バンッ! ザッ ザッ!


「えッ! あ、お父さまッ!」 バッ!


「ん〜? お父さま?…お父さまッ⁉︎」 ガバッ! ザッ!


ニールの「お父さま」の声を聞き、膝枕で寝ていた大佐は飛び起きた。そこには赤い顔をして鬼の形相をした帝国宰相のグレゴリーと、自分達のトップ、帝国憲兵隊総監のウィリバルトが2人、入り口に立っていた。


「えッ! あ…そ、そそッ…総監殿おおおおーッ‼︎」 ババッ! ブルブル


「貴様あ…ニールが私の娘と知ってのことかああ? ああッ⁉︎」 グイッ!


「へ⁉︎ あ…あああッ! 宰相閣下ああーッ!」 ブルブル! ガクガク


2人を見て、大佐は直立不動の体制で敬礼をしたまま大汗をかいていた。


「ほう、大佐は我々が誰か判るようだな…」 ザッ ザッ!


「そのようだなグレゴリー、俺の部下のようだがお前の好きにしていいぞ」 ザッ ザッ!


「それは有難い、ふふふ…」 ザッ ピタッ ニイイッ!


「あわわわわッ!(ヒイイーッ! 死ぬ! 死んだあッ! もうダメだああーッ!)」 ビクビク


「お父さまッ! お待ちください」 タタタ


「おお、ニール。我が娘よ、無事だったようだなッ!」 ガバッ! ギュウウーッ!


「お、お父さまッ! いたい、いたいです」 ううッ…


「おお、すまんすまん、つい嬉しくなってな! お前が無事で本当によかった」


「ご心配、おかけしました」 ペコ


「それで! 貴様は私の娘になにをした…」 ゴゴゴ ザッ ザッ!


グレゴリーは震え敬礼したままの大佐に近寄っていった。


「い、いえ…私は何も…(ヒイイッ! 怖ええーッ!)」 ブルブル ガクガク


大佐は目の前の人物が余りにも雲の上の存在で、気を失いそうになっていた。


「貴様、官 姓名を名乗れッ!」 グイッ!


「はッ、はいッ! 自分は、『アトランティア帝国 帝都憲兵隊 本部付大佐【フーバー・フォン・キッペンドラーク】ですッ! 宰相閣下ッ!」 ビシッ!


「ふむ、【キッペンドラーク】…たしか伯爵家だったか?」


「はッ! 自分はキッペンドラーク伯爵家の次男に当たります」 ババッ!


「ふむ、貴様が我が娘を守ったのか?」


「あ…いえ…自分も助けられた方で、その…」 オズオズ


「うぬ? ニールよ、詳しく話せるか?」


「はい、全て、アニスお姉さまのおかげです! お父さまッ!」 コクン


「そうかそうか、なるほど…アニス…お姉さま?……うん?」 スクッ


「やあ、ニールの嬢ちゃん。久しぶりだね」 スッ! サッ!


「あら、ウィリバルトのおじ様、ご無沙汰です」 サッ!


「うんうん、綺麗になったね…でッ!…」


「「 『アニスお姉さま』って、誰ですか(だッ!) 」」 ババッ!


グレゴリーとウィリバルトの2人が同時に、ニールに質問した。【アニスお姉さま】とは誰かという事を…


「え? お父さま達、一緒に来たではないですか…」 スッ!


「「 なにいいいッ⁉︎ 」」 ババッ! クルッ!


グレゴリーとウィリバルトは、ニールにそう言われ、彼女が指さした先にいた少女を見た。


「ん、私の自己紹介がまだでしたね」 スタッ! スッ


アニスはそう言うと貴族の女性が行う挨拶、カーテシを決め、2人の上級大将に挨拶をした。


「初めまして、私は【アニス】、【アニス・フォン・ビクトリアス】です」 スッ!


「「 【アニス】だとおおおおッ‼︎ 」」 ババッ!


「なッなななッ! き、きさ…いや、貴女様がアニス…様でしたかッ!」 ザッ 


「失礼いたしました。此度の我々の言動と行い、平にご容赦を!」 ザッ


グレゴリーとウィリバルトの2人の上級大将は、アニスの前に片膝をつき、挨拶をした。


「(この娘が【アニス】、皇帝陛下の義理の娘であり、レイラ様とアリエラ殿の妹君)か、こんなに早く会えるとは…」 ヒソヒソ


「(先程の高密度の魔力、それに加え私に対してのあの躊躇なき言動、大陸艦隊総司令【エイプス】大将の部下が言ったとうりだ…『敵対してはならない…敵に回せば帝国が滅ぶ…』…何と大袈裟なと思っておったが)これは聞いていた以上のようだ…」 ヒソヒソ


白銀髪を靡かせた1人の少女の前に、帝国上級大将の男が2人、片膝をついて頭を下げている。まるで、王城の皇帝陛下に挨拶をしているかのような光景だった。


「ん、気にしてないし、別にいいでですよ」 スッ


「はッ! しかし、我々はアニス様に…」


「『アニスッ!』ですッ!」 バッ!


「「 は? 」」


「グレゴリーッ! ウィリバルトッ!」


「「 ははッ! 」」


「私の事は『アニス』でいいです。様はいりません」


「「 は? 」」


「いや、しかし…それでは…」


「ん?」


「そうですぞ! 我々が貴女をそんな、呼び捨てなんてしたら…」


「ん? したらなんでしょう?」


「「 皇帝陛下に怒られますッ! 」」 ザッ!


「へ?」


「うん? お父さま、なにを言ってるの?」 トコトコ


「ニール、後で説明する、控えなさい!」 ササッ


「でも…」


「いいから…」


「はい…」 コクン ススス 


「ん? ニールは私の友人です。構いませんよ」


「何とッ⁉︎ 我が娘を友人と…ありがとうございます」 サッ!


「いや、だから…そういうのいらないから。 もっとこう…友人らしく接して欲しいのだけど…」


「ですが、皇帝陛下が…」


「ん、わかった…」 コク


「「 わかっていただけましたか? 」」 ザッ


「ん、皇帝に会って文句言ってくるッ!」 グッ! スタ…


「「「 は?(え?) 」」」 ピクッ!


グレゴリーとウィリバルト、そしてニールの3人は、アニスの一言に一瞬体が固まった。


「い、今何と…」


「ん? だから、皇帝に『グレゴリーとウィリバルトが困るから呼び方ぐらい自由にさせろ!』って文句を言ってくる」 ニコ テクテク


アニスはそう言って、部屋の出口方向に歩き始めた。


「「 わああああーッ! やめろおおーッ! やめてくださいいいーッ! 」」 バババッ!


2人の上級大将は、出て行こうとするアニスに駆け寄った。


「ん? 何で? 一度言ったほうがいいよ! 何だったら一度ガツンと言ってやって、王城のどこかを吹っ飛ばせば解ってくれるかも…」 ふむ テクテク


「はあッ⁉︎ や、やめてくださいーッ! お願いしますッ!」 ザッ!


「ん?」


「ア、アニスお姉さまッ!」 バッ!


「ニール…どうしたの?」 ピタッ


「お父さま達と何があったかわからないけど…」 モジ…


「ニール…」


「アニスお姉さま、お願いします。ここは引いていただけませんか?」 ペコ


「ん〜、しかしなあ…」 


「「 分かりましたッ! 」」 ババッ!


「おっと、びっくりしたあ、どうしたの?」


「アニス様いや、アニスッ! こう、呼べば良いのですか?」 ザッ


「我々だけの時だけですが、それで勘弁してください。だから王城、皇帝陛下には…」 ザッ


「アニスお姉さま…私からも…」 スッ!


「ん、友人のニールがそう言うのなら、やめておくね」 コク


「アニスお姉さま、ありがとうございます」 ペコ


「「 おお、ありがとうございます 」」 ザッ!


「グレゴリーとウィリバルトも、今日から私の友人だからね」 ニコ


「「 はッ! 」」 ザッ!


テクテク スッ!


アニスはグレゴリーとウィリバルトの2人のそばまで行き、耳打ちをした。


「(グレゴリー、ウィリバルト、これは私からのお願いです)」 ヒソ


「「(はッ! 何なりと)」」 ヒソヒソ


「(ニールには、私の事は普通の女生徒と言うことで通してください)」 ヒソ


「「(えッ! 何故ですか?)」」 ヒソヒソ


「(ニールに、余り気を遣わせたくないので、ね)」 ヒソ


「「(わかりました)」」 ヒソヒソ ザッ!


「ん、じゃあそう言う事で」 スクッ! 


「はい、アニス、わかりました」


「そうだ、2人とも、私には敬語もいらない、いや、無しで、いいですね」ニコ


「そ、それでは…ああ、わかったぜ! アニスッ!」 ザッ!


「アニスッ! これでいいかい?」 ニカッ!


「ん、よろしくです」 ニコ テクテク


そう言ってアニスはニールの元に歩いて行った。


「なあ、ウィリバルト」


「うん?なんだいグレゴリー」


「俺達、何か物凄いのと友人になったんじゃあねえか?」


「ああ、多分な! それも、もしかすると…」 


「うん、もしかすると…」


「「 この世界最強の友人だな! 」」 コク


「うん?」


「おッ?」


「「 わははははッ! 意見が一致したなッ!」」 ははははッ!


2人の上級大将はその場で大笑いをしていた。 ただ1人、フーバー大佐だけは、何が起きたかわからず、その場で直立不動のままでいた。




いつも読んでいただきありがとうございます。

次回もでき次第投稿します。

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