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第163話 アニス、地下牢から出る

ーアトランティア帝国 帝都学園教師棟ー


昼食時間を過ぎ、教師たちの大半が帰宅した教師棟の教職員室に、エマ達「銀翼クラス」の女生徒達が駆け込んできた。


キイイッ! バンッ! タタタ!


「先生ッ! キャサリン先生ッ!」 ドタバタ


「うん? あ、貴女たち、一体どうしたの、そんなに慌てて?」 ギッ


「「「先生ッ! アニスちゃんが! アニスちゃんがああッ!」」」 ガバッ!


エマ達はアニスの事、憲兵隊の事をキャサリンに話した。


「なッ! なんですてえええーッ⁉︎」 ガタンッ!


「先生…アニスちゃんを助けてください!」 ウルウル


エマ達は、キャサリンにアニスの救出を懇願した。が、キャサリンはそれどころではなかった。


「ああーッ!(まずいッ まずいッ まずいッ! もうッなんでッ あの娘はこうもトラブルに巻き込まれるのよおッ!)」 ガアアッ! ブンブン!


キャサリンは生徒達の前で、両手で頭を抱え左右に振っていた。そんな時、エマは背後から誰かが近づいてくる気配に気がついた


「先生…えッ!」 クルッ


コツコツ、コツコツ、コツコツ


キャサリンやエマ達の方に近づいていた人物、そう、4回生「王金獅子クラス」の担任教師、【レイラ・ヴァン・クリシュナ】だった。


「レイラ先生ッ!」 ババッ


「キャサリン先生、皆さん、どうしましたか?」 ニコ


「え! あ、いや…あのですね…(どうしよう、なんて言えば)」 オドオド


キャサリンはレイラにアニスの事をどう言おうかと思ったその時…


「レイラ先生も助けてください!」


「え、なにをですか?」 ウン?


「なッ⁉︎(キャアーッ 言わないでえ!)」 あたふたッ!


「アニスちゃんが! アニスちゃんが憲兵隊に連れて行かれたんですッ!」ババッ


「ッ‼︎」 ピクッ!


レイラは一瞬眉を動かしたが、いつもの美しい美人教師の表情をしていた。


「そうなんですッ! 私を庇って、アニスちゃんが…だから先生ッ!」 グッ


「そうですか…(憲兵不勢が…アニスちゃんをねえ…)」 ボソッ


「レイラ先生?」


ピクッ!


「わかりました、後は先生とキャサリン先生に任せて、貴女達はお帰りなさい」 ニコ


「え?、で、でも…」 スッ


「「 ねえ…」」 コクン


「聞こえませんでしたか? 帰りなさい」 ジッ


「「「「 はッはいッ‼︎ 」」」」 ババッ! パタパタ キイイ パタン


エマ達は教職員室を慌てて出ていった。レイラはエマ達が教職員室を出ていったのを見届けた後、キャサリンに近づいていった。


コツコツ スタッ!


「キャサリン先生…」 ニコオッ!


「は、はいッ!(ヒイイイイーッ!)」 ガクガク ブルブル


「アニスちゃんなら大丈夫ですよ」 ニコ


「レイラ先生?…でもッ! 憲兵ですよッ! ビクトリアスさんに、もしもの事があったらッ!…」 ババッ!


「大丈夫、むしろ、心配なのは憲兵隊の方です」


「え? レイラ先生、一体なにを…」


「彼らが無事だと良いんですけどねええ..」 ニコオッ ふふ…


「ッ⁉︎ (ヒイイイイーッ! 怖いッ 怖いッ 怖いーッ‼︎)」 ガクガク ブルブル


「まあ、私の方から、然るべき所に連絡を入れておきます」 ふふ コツコツ


「は はあ…」 キョトン


そう言ってレイラは教職員室から出ていった。

          ・

          ・

          ・

ーアトランティア帝国 帝都憲兵隊総本部 地下牢ー


「どう? 落ち着いた?」


アニスは、さっきまで食べ過ぎて苦しんでいたニールに声をかけた。


「はい、どうもご迷惑かけ、すみませんでした」 ペコ


「ん、いいですよ、気にしないでください」 ニコ


「はい…」


「ところで、ニールは何故ここに捕まっていたのですか?」


「はい…私の友人達と繁華街で食事をしていたのですが、私が中座して席に戻ると、憲兵隊のベルター中尉と名乗る者がいまして、私が『王族批判をした』と言うことにされてました」


「それでここに?」


「はい…着いてすぐ…その…」 


「死刑囚にされたんだ」


「なぜそれを…」


「私もそうだったからね」


「アニスちゃんも…」


「ん、まあ、私の場合は、友人が『王族批判』って言われて、連行されようとしたのを、私が代わってあげたんだけどね」


「そんなッ! 友人の身代わりにッ⁉︎」


「ん」 コクン


ニールは、アニスが身代わりでここに来たことを知り驚いた。


「でも死刑囚って言うのは、ウソだねッ!」


「ウソ? 死刑囚と言うのがウソだなんてッ! 一体なんなのッ⁉︎」 ババッ!


「ニール落ち着いて聞いて…」


「アニスちゃん… うん、ごめんなさい…つい、取り乱しました」 ペコ


「ううん、いいのよ。で、今回私たちの置かれた立場は、人身売買の商品、それも女性ならではの…性奴隷…」


「なッ⁉︎ せ、性奴隷…そんな…」 ガクン… ペタン…


ニールはアニスに自分の置かれた状況を聞いて、絶望の表情を見せ、膝から崩れ落ちた。


「ニールッ! 大丈夫だからッ! 私が貴女を必ず守るッ! だからしっかりしてッ!」 ガバッ! ギュッ!


アニスは崩れ落ちた放心状態のニールに抱きつき励ました。


「アニスちゃんッ アニスちゃんッ! ううッ…」 グスッ ギュウウッ!


「大丈夫… 大丈夫だから…ねッ!」 サスサス


「ありがとう…ありがとうアニスちゃんッ!(ああ、暖かい…心が安らぐ…)」 ギュウウッ!


アニスはニールが落ち着くまで、抱き合い、背中をさすってあげた。 しばらくして落ち着いたのか、ニールの方から、アニスと離れた。 そしてアニスはニールに促す。


「さて、帰ろっか」 スクッ!


「え! か、帰れるのですか?」


「ん、あの憲兵は『憲兵隊総本部に連行する』と言ったから、ここまで来たんだ、だからここに来た事でその件はもうは終わった。したがって、もう帰ってもいいんじゃないかな。でもその前に、ちょっと許せない事も起きてるから、それも片付けていこうと思うんだ」 ニコ


「アニスちゃん?」


「じゃあ、先に行くね」


「待ってッ!」


「ん? ニール?」


「アニスちゃん、私も一緒に行ってもいかな。ダメ?」


「ニール…憲兵隊と戦う事になるかも知れないけどいいの?」 


「はい、私、彼らが許せないんですッ! こんな所に連れてきて、それどころか…人身売買、せ…性奴隷だなんて…」 ググッ


「ん、じゃあ一緒に行く?」 バッ ニコ


「はいッ♡ では、何か武器になる物はないかしら?」 キョロキョロ


ニールは地下牢の周りを探しだした。


「武器? ニールは武器が使えるの?」


「ええ、私、父には幼少の頃から鍛えられましたから、こう見えても学院ではクラス主席の腕前ですよ」 ウフ


「学院? ニールは学生だったんですか?」


「はい、アトランティア帝国 『アダム宮廷学院』2回生『紅玉クラス』の主席を務めてます」 ニコ


「宮廷学院…つまり私の帝都学園とは姉妹校の学校ですね」


「そうです、アニスちゃんのその服、帝都学園の物ですよね。アニスちゃんは、何回生ですか?」 ニコニコ


「ん、私は帝都学園 3回生『銀翼クラス』の生徒です」


「3回生ッ! では、私の一個上の先輩…お姉さまとお呼びしても?」 ニコ


「お、お姉さま?」 ピク


「はいッ! ダメ…ですか?」 ジッ


「さっきまでの『ちゃん』づけで良いよ」 ニコ


「ダメです!」 バッ!


「おっとッ!」


「学生、特に女子の世界ではソレはいけません、目上、しかも自分より優秀な方については、ちゃんとしなくてはいけないのです!」 ググッ


「はは…(まあ、学校も違うし、ここを出るまでだけならいいか…)わかりました、いいですよ」 コクン ニコ


「ありがとうございますッ! アニスお姉さまッ♡」 ギュウ!

 

「う、うん…はは…で、武器だけど、コレ使える?」 スッ


アニスは異次元空間より、レイラから渡されていた、実戦用ライトニングセイバーを取り出し、ニールに手渡した。


「え⁉︎ これって実戦用? 本物じゃあないですか!」


「ん、私のだけど、それ使えそうですか?」


「え…(アニスお姉さまの♡)」 ギュッ


ニールは大事そうにアニスのライトニングセイバーを持ち、起動させてみた。


ビシュウウーッ! ブオンッ ヴアンッ ブンブンッ! ビュンッ!


ニールはライトニングセイバーを起動し、それを振り回してみた。


「ええ、大丈夫です。使えますわッ!」 ブンブンッ! シュンッ! パチン! サッ


まるで長年使い込まれた愛刀の様に、ニールは手慣れた手つきで、ライトニングセイバーを振り、起動終了させて、自分の腰に据えた。


「ん、じゃあそれを使ってね。行こうか」 スッ テクテク


「はい、アニスお姉さまッ!」 トッ トコトコ


アニス達は地下牢の通路を歩き、隠し扉の前まで来た。


「この先が出口なんだけど、この扉が邪魔だね」 スッ!


アニスは隠し扉に手を当て、念じた。


「(開けッ!)」 ピッ ガコンッ! ゴゴゴ


「開いたッ! なに今の? 魔法ですか?」


「ん〜 ちょっと違うけど、似た様なものかな」 はは…


ゴオオンンッ! 扉が開き、出口へと通路が現れた。


「ん、じゃあ行こうか」 テクテク


「はい」 トコトコ


2人は軽い上り坂の通路を上へ上へと進んでいった。すると、アニス達の前に見知った物体が立ちはだかった。


ブ〜ン ブ〜ン ピッ ピッ ピコッ!


「ん? アレは…」 テクテク ピタッ


「アニスお姉さま、ドローンです」 トコトコ ピタッ チャキッ


ニールの言う通り、そこにいたのは 4体の警務ドローンであった。


ピッ ピッ ビーッ! クルッ!


「「「「 オマエ、ソコデナニヲシテイルッ!」」」」 ガチャガチャンッ! 


4体の警務ドローンは、一斉に動き、アニス達に向け両腕を出し、その先に着いているフォトン銃を構えた。


「ニール、行くよッ!」 ザッ!


「はいッ! アニスお姉さまッ!」 ザッ! ビシュウウー! ヴオンッ!


2人は4体の警務ドローンに構えた。


「「「「 ハイジョッ! ハイジョッ! 」」」」 バババッバーッ!


4体の警務ドローンはアニス達に向けフォトン銃による銃撃を開始した。

         ・

         ・

         ・

ー憲兵隊総本部 1階大広間ー


この時間、すでに憲兵達しかおらず、罪人や一般人はそこにはいなかった。そして、アニスが受付をした窓口の際に、ベルター中尉と青年憲兵隊員の姿がそこにあった。


「いやあ、今日も働いたぜ」


「はは、全くです。いい仕事しましたね中尉」


2人がそんな会話をしたその時、カウンター横の通路が吹き飛んだ。


ドゴオオオオーーンッ! バアアアーー! ボウンッ! メラメラ!


「うわああッ! な、なんだああーッ!」 バアアアーーッ!


「ちゅ、中尉ーッ!」 ブワアアーーッ!


ジリリリリリリリ… ボウッ ボウッ  モクモク メラメラ


『火災警報 火災警報 1階大広間付近に火災発生! 繰り返します。 火災警報…』 ピッ


「グウウッ いったいなにが…え⁉︎」 スクッ ガタタ…


ビュンーッ! ドコオーンッ! ガンッ ゴンッ! ドガアアンンッ! ブワアアーーッ!


爆発の勢いで倒れたベルター中尉が起き上がった時、目の前を警務ドローンが勢いよく吹っ飛び、大広間の数多くある柱の一つにぶつかり爆発炎上していった。


「け…警務ドローンが…」 ワナワナ


帝都軍仕様の防衛ドローンほどではないが、この警務ドローンも頑丈で戦闘力もあるドローンである。それをこうまで破壊する、自分には到底出来ない事をする何かがいる事に、ベルター中尉は恐怖した。


そんな中、燃え盛る炎の向こうから人影がふたつ現れた。


「ん、出れた出れたッ! ようやく1階だよ、ニール!」 テクテク


「わああ、アニスお姉さまって強いんですね」 トコトコ


そこには、アニスと、片手に実戦用ライトニングセイバーを持ったニールの2人が立っていた。


「なッ 貴様達! 脱走したのかッ⁉︎」 ガバッ ザッ!


「ん? あ、ベルター中尉だッ!」 スッ!


「うッ! あの憲兵ッ! 絶対に許さないわッ!」 チャキッ! ヴオンッ!


「うわッ! おいッ! 何をしているッ! 警報だッ! 脱走者が出たッ!」 ババッ!


「は、はいいッ!」 ポチッ!


ベルター中尉は青年憲兵隊員にニールの気迫に押され、慌てて指示を出した。


ビーッ! ビーッ! ビーッ! ビーッ!


『全館に警報、脱走者、脱走者、各員は武装装備、脱走者を確保せよ、繰り返す、脱走者…』 ピッ


ビーッ! ビーッ! ダダダッ!


「急げえッ! 第一班、第二班は銃を携帯、脱走者の確保及び鎮圧ッ! 警務ドローンを全て出せッ! 残りの班は火災の消化に努めよッ!」ババッ!


「「「「 はッ! 」」」」 ザッ! ダダダッ!


大佐の階級章を持った憲兵隊員が総指揮を取っていた。


「はははッ! 公爵には悪いが、オマエ達はここで終わりだ! 抹殺してやるッ!」 ダダダッ


「あ、逃げた…」


ベルター中尉はそう言って逃げ出した。


「アニスお姉さま、ベルター中尉は私が行きます」 グッ


「ん、大丈夫?」


「はい、なんかこのアニスお姉さまのライトニングセイバーを持った時から、動きがいいんです。負ける気がしません!」 ニコ


「えッ! あ…まあいいっか…」 はは…


「行ってきます!」 ババッ タタタッ!


「ん、気をつけてね」 フリフリ


ニールは警務ドローンが数体いる方向へと駆け出し、その向こうに逃げていったベルター中尉を追っていった。 数秒後、 ニールの向かった辺りに、激しい斬撃音と爆発が起こった。 どうやらニールの腕前は確かなようで、警務ドローンは次々と破壊されていった。


ドゴオオオオーーンッ! バンッ! ダンッ! コロコロ シュウウウ….


奥の火災発生方向から、爆発音とともに、爆風と警務ドローンの残骸が飛んできた。


「なッ! 何が起きていると言うのだ⁉︎ これはッ!」 シュウウウウ…


大佐という人物が、警務ドローンの残骸をみていると、火災方向から慌ててこちらに駆け寄ってくる者がいた。


「大佐ッ! 大佐ーッ!」 ダダダッ!


「うん? ベルター中尉ではないか、どうした、そんなに慌てて?」


「は、はいッ! 脱走者ですッ! 死刑囚の脱走者がドローンを破壊しまくってますッ!」 ガッ!


「うん? 死刑囚だと? おい中尉!ここ最近、我が憲兵隊総本部からは1人の死刑囚も出してないのだが、それはどういうことだ?」


ドゴオオオオーーン! パラパラ メラメラ モクモク


「ヒッ! た、大佐殿… そ、それはそのう…」 


「待ちなさいッ! ベルター中尉ッ!」 トコトコ ヴオン ブンッ!


「うん? 誰だね?」 スッ


「ヒッヒイイイイーーッ アワワワーッ! き、来たあああッ!」 ガクガク ブルブル


爆炎とともに、大佐とベルター中尉の前に現れたのは、金髪ロングヘア、白地に赤の宮廷学院の女生徒の制服に、その右手にはアニスのライトニングセイバーを起動して、歩み寄る【ニール・ヴェル・ベッケンヴァウアー】の姿があった。


「ムウ…ベルター中尉とは何か訳ありの様だな…」スッ ビシュウウーーッ! ヴオンッ!


大佐は自身のライトニングセイバーを起動し、ニールに向けて構えた。

          ・

          ・

          ・

キュインッ! ビシイイイッ! 


ピッ! ピピッ! 『ビビーーッ!』 ザシュンッ! ドガアアーーンッ!


クルクルクルッ! シュキン! ザッ!


「ん、ドローン、結構多いな、いくついるんだろう? えっと、ニールは…ああ、あっちか、うん?」 テクテク ピタッ


アニスはミドルダガーの神器「アヴァロン」を、腰裏の鞘に戻し、ニールの向かった先に行こうとした時、フォトン銃を構えた憲兵隊員に囲まれた。


ダダダッ! ザザザッ チャキチャキッ!


「そこの者ッ! 止まれえッ!」 チャキ!


「ん、憲兵隊員か、どうしようかな」


アニスがそう考えていた時、憲兵隊員にも驚きの声が上がっていた。


「おい、アレが脱走者なのか? 女の子じゃないか!」 ザワ


「ああ、しかも帝都学園の制服を着てるぞ! 何かの間違いじゃないのか?」ザワ


「は、班長ッ! 本当にアレが脱走者なのですか?」 ザワザワ


「私にもわからんッ! 俄かに信じられんが…」 ザワ


アニスを包囲していた憲兵隊員の中から、1人の憲兵隊員の奇声が上がった。


「その女が脱走者だあッ! 撃てええッ! 撃ち殺せええッ!」


それは、ベルター中尉と共にいたあの青年憲兵隊員だった。彼は保身に走った。ここでアニス達を抹殺しないと、自分達のこれまでの事が露見してしまう。そうなれば、自分もその家族、親戚一族郎党、全てがおしまいになってしまうからだった。


「貴様あッ! 何勝手に命令しているッ! この班は俺の班だッ!勝手に命令するなあッ!」 ババッ!


「うるさいッ!アイツさえ…あの女さえ消せば全てが!」 ダダダッ! ガバッ!


「ムッ 貴様ッ何をッ!」 ググッ!


青年憲兵隊員は第一班班長の憲兵隊員と揉み合いになった。


「そ、それを貸せええッ!」 グイッ ババッ


「なッ 貴様ッ! それを返せええッ!」 ガバッ


青年憲兵隊員は第一班班長の憲兵隊員からある物を奪い取った。


「はははッ! これで、全てがうまくいくッ!」 グイッ!


「やめろおおおおーッ!」ババッ!


カチッ!


ダンッ! ガラガラガラ…


「はッ! ス、スイッチは…」 ピッピピピピッ! ビコッ!


第一班班長の憲兵隊員が青年憲兵隊員に体当たりをして、奪われた物を取り返したが、すでにそのスイッチは押されていた。


「押されてる…アレが…アレが動くぞおおッ!」 


「ん? アレってなんだ?」 


「総員退避ーッ! 警報を鳴らせッ! 総本部内で『対人兵器 タドン』が作動ッ! 敵味方識別バッジを着用せよ!」 ババッ


「「「「 はッ 」」」」 ダダダッ!


憲兵隊員達は大慌てで、胸に銀色の3cm四方のバッジを胸に付けスイッチを入れていた。


ウイイイイイインンン! ウイイイイイインンン!


『緊急警報 緊急警報、総本部内で『対人兵器 タドン』が起動、憲兵隊員及び館内職員は避難及び敵味方識別バッジを装着せよ! 繰り返す、緊急警報…』


「ん? 対人兵器? タドン? なんだろ?」


アニスはただ放送を聞いているその時だった。 1階大広間の外から音が聞こえてきた。


ウイイインン! ウイイインン! ガシャアアンン! バラバラ ドンッ!


そこには、あの暗殺型対人戦闘ドローンよりも凶悪な出立ちのドローンが数多く現れた。


「うわああ、またたくさん来たねえ…」


「おいッ! そこのオマエッ!」


「ん? 私の事ですか?」


「そうだ、貴様、本当に死刑囚なのか?」


「はは…まさか、ベルター中尉達のでっち上げですよ!」


「そうか… ならばコレを付けろッ!」 ヒュッ


「ん?」 パシッ!


「それは敵味方識別バッジだ、それがあれば、タドンは攻撃してこない」


「ん、そうなんだ…」スッ


「何をしているッ! 早く付けろッ!」


「ん、コレは、私の友達に渡します。ありがとう!」 シュンッ!


「なッ! き、消えた…」


アニスは第一班班長の憲兵隊員の目の前から一瞬で消え去った。彼からもらった敵味方識別バッジをニールに渡すために…





いつも読んでいただきありがとうございます。

次回もでき次第投稿します。

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