第162話 アニスと地下牢の少女
ーアトランティア帝国 帝都憲兵隊本部ー
ここは帝国内の治安を守る組織、帝都「アダム」にある憲兵隊の総本部である。 今、その憲兵隊総本部にアニスは憲兵のベルター中尉に連れられて、その大門の前にやってきた。
ザッ ザッ ザッ ピタッ テクテク ピタッ
「帝都憲兵隊ッ! ベルター中尉であるッ! 王族批判者を連行した、 開門ッ!」 ババッ!
『了解しました』 ガコン! ゴゴゴッ ゴオオンン!
高さ3mはある鋼鉄製の重厚な扉が、中尉の報告と共にゆっくりと開いて行った。
「おお! 城、いや、要塞みたいだ!」
「む、どうだ我が憲兵隊総本部は、凄いだろ。貴様が何者か知らぬが覚悟しておけよッ!」 ふふふ
「は〜い」
ザッ ザッ ザッ テクテク
アニスと中尉は鋼鉄製の大門をくぐり、城とも要塞とも言えるその強固な建物の中に入って行った。
ギイイ パタン ザワザワ ガヤガヤ
建物の中は意外と人が多く、ドアを開けたそこは大広間になっていて、正面のカウンターには数人の憲兵が来訪者の対応をしていた。大広間には様々な声が飛び交っていた。
「はいッ! 直ちに向かいます」 ザワザワ
「おい、早くしてくれよお!」 ガヤガヤ
「コイツですッ! コイツがやったんだああッ!」 ガタタッ! ワイワイ
「違うッ 俺はなにもやってねええッ!」 バンッ! ザワザワ
「助けてください〜ッ! ほんのできごころだったんです〜」 ガヤガヤ
ワーワー ギャーギャー ザワザワ ガヤガヤ
とにかく忙しそうに係の憲兵は動き、違反者や被害者達の喧騒が凄かった。
「さあ、こっちだ。 着いてこいッ!」 ザッ ザッ ザッ
「ん」 コクン テクテク
憲兵のベルター中尉はアニスに指示を出し、カウンターの隅、何故か空いている窓口を通り過ぎ、奥の窓口へと連れて行った。
「憲兵隊 ベルター中尉である。王族批判者だ、手続きをしてくれ」 トントン
カタン スッ
「了解しました」 ニヤッ!
「いつも通り頼むぞ」 ニヤッ!
「ん⁉︎」
カウンター内にいた青年憲兵隊員は、中尉が示した人物を見て、何やら手続きをし始めた。
「それで、私はどうなるのですか?」
「うん? ああ、とりあえずそこに座ってろ!後で案内する」 スッ
ベルター中尉は、少し離れたところの椅子を示し、そこに座るようアニスに指示を出した。
「ん!」 テクテク ストン
アニスは言われるまま、椅子に座って指示を待った。
「(ベルター中尉、またこれで昇進ですか)」 ヒソヒソ ニヤッ!
「(ふふん、まあなッ! まあ公爵様様だぜッ!)」 ヒソヒソ ニヤニヤ
「(その公爵ですが)」 ヒソヒソ
「(うん?、なんだ? また注文か?)」 ヒソヒソ
「(いえ、『交流戦が近いので、しばらく控える』だそうですよ)」 ヒソヒソ
「(ああ、英雄達が来るからな、ばれて面倒な事にはしたくないんだろ)」
ヒソヒソ
「(おそらく)」 ヒソヒソ
「(とりあえず、今日のはとびっきりの上玉だ!頼むぜ!)」 ヒソヒソ
「(その様ですね、わかりました)」 チラッ ヒソヒソ
「(一昨日連れてきたヤツはどうしてる?)」 ヒソヒソ
「(ああ、あの貴族令嬢ですか?)」 ヒソヒソ カキカキ
「(おお、そうだ。アレも公爵の注文品だろ、どうなった?)」 ヒソヒソ
「(まだここの隠し地下牢ですよ。公爵が例の件で来ていませんですから)」
ヒソヒソ トントン
「(たああ〜、勿体ねえなッ! アレも上玉なのに地下に置きっぱなしかよ!)」
ヒソヒソ
「(仕方ありませんよ、公爵だって、こんな事バレたら大変ですからね)」
ヒソヒソ
「(ちゃんと飯、食わしてんのか?)」 ヒソヒソ
「(まさか、どうせまた使い捨てるんでしょ、そんなのに無駄な事はしませんよ。水だけで充分です!)」 ヒソヒソ スッ!
「(ま、俺たちの知ったこっちゃねえわなッ!)」 ヒソヒソ
「そういうことです中尉殿! これが書類です」 カサ
「うむ、ご苦労、ではコイツを頼む」 クイッ
「はッ 了解致しました。」 カチッ ビーー!
憲兵隊員の2人が、カウンター越しに怪しげな内緒話をした後、青年憲兵隊員はテーブルにあるボタンを押した。
キイイ ガコン ヒュウーン ピッ ピッ
筒状の人の背丈ほどの警務ドローンが4体、すぐ隣の扉から現れた。
「死刑囚だッ!地下牢へ連行しろッ!」 バッ!
『リョウカイシマシタ』 ピッ ビシュウウウー! ブウウンン…
ザワッ! シ〜ン……
「(お、おい! 今、死刑囚って…)」 ヒソ
「(ああ、聞いた、確かに死刑囚と…)」 ヒソヒソ
「(あんなに可愛いのに、何やったんだよあの子…) 」 ヒソヒソ
ヒソヒソ ヒソヒソ……
あれだけ騒々しかった大広間が一瞬で静かになり、そこにいた全ての人がアニスに注目した。
刑務ドローン4機がアニスを囲み、拘束シールドで覆い、青年憲兵隊員を先頭に、そのまま奥の通路へ連れて行った。
ブウウンン! ガコオオンンッ!
大広間から奥の通路に入った途端、扉が閉まり、アニスとベルター中尉、青年憲兵隊員、刑務ドローンだけになった。
「ん、いきなり死刑か…取調べや裁判はしないのですか?」 テクテク ブウウンン
「うん? 聞こえないなあ、ここでは俺たちが法なんだ。貴様の罪状などなんとでもなる」 ふん ザッ ザッ ザッ
そんな時、歩きながら青年憲兵隊員は、ベルター中尉に小袋を渡した。
「では、中尉殿、この囚人はこちらで処分します」 スッ チャリンッ コツコツ
「うむ」 コク ゴソッチャリ ザッ ザッ ザッ
ベルター中尉は、青年憲兵隊員より、金属の音が鳴る小袋を受け取り、それを自分の懐にしまった。
「ん、(貨幣か? つまり私はコイツにここで売られたわけだ)」 ブウウンン
「ふふふ、 貴様もこれで終わりだ。もう会うこともないだろ」 ザッ ザッ ピタッ
全員が通路の途中で立ち止まった。
「こっちだッ!」 ピッ ガコンッ!
青年憲兵隊員が、何やらスイッチらしいものを持ってそれを押すと、通路横の壁が開いた。隠し通路の様だった。
「じゃあ、俺はここまでだ。あばよッ!」 クルッ ザッ ザッ …
ベルター中尉は来た道を引き返し去って行った。
「さあ! こいッ!」 カツカツカツ
ブウウンン ヒュウーン テクテク
アニスは青年憲兵隊員の後について行った。そしてしばらく歩くと、通路は異様な雰囲気に変わっていった。そう、空気が澱んでいる感じだった。地下牢特有の匂い、腐臭や汚物、カビの匂いが充満し始めた。
「ん、この匂い…あまりいい環境ではないね」 テクテク ブウウンン
やがて、周りは鉄格子の牢が並ぶ薄暗い通路へと変わっていった。数にして10畳ほどの鉄格子の牢が8つほどあったが、一つを除いて全て空の牢だった。
「止まれッ!」 ザッ!
ブウウンン ピタッ
「ん?」 テクテク ピタッ
「さあ、お前さんの部屋だッ! 公爵様が来るまでここにいろッ!」
ピッ ガチャン!
ひとつの空の牢の鉄格子が開き、青年憲兵隊員は、アニスにそこに入るよう命令した。
「ここ?」 スッ
「そうだッ! さっさと入れッ!」 グイッ
「おっと…」 トっテテテ… ガチャン! ピッ
「ふんッ! そこで大人しくしてろッ! 後で水ぐらい持ってきてやるッ!」
コツコツ
ヒュウーン コツコツ ピッ パタン……
青年憲兵隊員と刑務ドローンはその場を出ていき、アニスは牢に中に取り残された。
「さて、これは想定外のことが起きたね、この後どうしよう…」 フム…
「ねえ、そこの方……」 カタン
アニスがどうしようか思案し始めた時、アニスの隣の牢から、弱々しい少女の声が聞こえてきた。
「ん? だれ?」 クルッ
「あ、ご…ごめんなさい…驚かせるつもりはなかったの…ただ…」 ふら…
「ん? 大丈夫ですか?」 スタ
アニスは鉄格子ごしに彼女を見た。そこにいたのは、金髪ロングヘアで青い瞳の美少女がそこにいた。しかし、かなり衰弱しているのか、その青い瞳に元気がなく、着ていた服も少し汚れていた。
「ええ…すみません…まる2日、水も食事も取っていませんでしたから…」 ふらふら…
「え! 水もですかッ!」
「はい…」
人とは案外食事をしなくても水だけで数日は動ける。だが、それすらも取らないと、3日も持たず倒れてしまい4〜5日で死に至る。彼女は今、そんな状態であった。
「なぜッ! 水は貰ってないのですかッ⁉︎」 ババッ
「憲兵は…水を持ってきては…くれますが…とても飲める様な…もの…じゃない…です…」 ペタンッ!
その少女は、遂に立っていられなくなったのか、力無く床に腰を落としてしまった。
「ん! 不味いッ!」 ブンッ! チャキッ!
アニスは彼女の状況がまずいと悟ったのか、異空間より神剣「デザートシーゲル」を取り出し、牢の鉄格子に向け剣技を放った。
「剣技ッ!《イージス.エッジッ!》」 キュンッ! ズバアアーッ!
キン カラン カラン コロン コロコロ
頑丈そうな鉄格子は、アニスの剣技により数本が切られ、人が行き来できる程の隙間を作った。
「よしッ!」 バッ タタタ
アニスは真剣を異空間に戻し、その少女のそばに駆け寄った。
「大丈夫?」 スッ
「あ…あなた…」 ハアハア
「ちょっと待って、今、水をあげるから!」 バッ!
アニスは牢の隅にある水桶を見た。
「え!…なッ⁉︎…何だよこれッ!」 スッ!
アニスはその水桶の中を見て驚いた。その水は到底、人には飲めた物ではなかった。澱んで濁っており、奇怪な虫が中を泳いでいた。
「ふざけるなあッ!」 ガンッ!
アニスは鉄格子を思いっきり叩いた。
「はあ、仕方ない」 ブンッ!
アニスは異空間よりコップと水差しを取り出し、コップに水差しの水を汲んだ。この水差しは魔道具で、その昔、アニスが作った物、無限に飲料水が出る魔道具である。
コポコポコポ スッ!
「はい、これは綺麗な水ですよ、飲んでも大丈夫です」 ニコ
そう言って少女にコップの水を差し出すと、少女はコップの水を一気に飲み干した。
コクコクコクン ふうう〜
「美味しい…あ…あのう…」 オドオド
「ん?」
「もう一杯いただけますか?」 ソオ〜
少女は空になったコップをそっと、アニスに差し出した。
「ええ、沢山ありますからどうぞ」 ニコ
「ありがとうッ!」 コポコポ ゴクゴク コポコポ ゴクゴクン!
少女はよほどのどがかわいていたのであろう、何杯もお代わりをして飲み干していった。
「はああ…ありがとうございます。おかげで命拾いしました」 ペコ
「ん、元気になってよかった」 ニコ
「失礼しました。 私は【ニール】、【ニール・ヴェル・ベッケンヴァウアー】です」 スッ
「ん、私は【アニス】、【アニス・フォン・ビクトリアス】です」 スッ
2人はこんな場所でも、貴族の女性の挨拶、カーテシで挨拶を交わした。
グウウウウウ〜…
「ん、お腹が空いてる?」
「は…はい、ほんの少し…」 カアア… グウウウウウ〜…
「ん、じゃあ食事にしよう! だけどここはあまり食事をするには不衛生だね」
スタッ スッ!
そう言ってアニスは両手を上げ魔法を使う。
「浄化魔法ッ!《ディスフェクトッ!》」 キンッ! パアアアーーッ‼︎
シュバアアアアーーーッ! パアアアンンーーッ‼︎
アニスの魔法は一瞬でこの薄暗い空気の澱んだ牢獄空間を浄化してしまった。 壁や床、天井、鉄格子など、その全てを除菌、殺菌、滅菌し、空気も清浄化され、あの忌まわしい異臭も全て、何もかもが清潔な空間へと変貌してしまった。
それは、その部屋のみならず、ここにいた少女、【ニール】にも働き、彼女自身も清浄化され、髪や素肌、着ている服までもが綺麗になっていった。
「え⁉︎ えええーーッ⁉︎」 サッ サッ!
ニールは驚き、自分の髪や身体、着ている物を見て驚いていた。
「ビクトリアスさんッ! 凄いですッ! 宮廷魔法士以上よッ!」 バッ
「ん、ベッケンヴァウアーさん、私の事は【アニス】でいいですよ」 ニコ
「え! じゃあ私の事も【ニール】でね、アニスちゃん」 ニコ ギュ!
ニールは笑顔で、アニスに握手をしてきた。
「ん、じゃあすぐ用意するから、これに座ってて…」 スッ!
ドン ドン ストッ ダンッ!
アニスは異空間より、2人掛けのテーブルと椅子、調理台にその上に食材を取り出した。
「え! 収納魔法⁉︎ ア…アニスちゃんてまさか…」 ピクッ
「ん?」 クルッ ファサッ キュッ!
アニスは振り向きながら、白銀髪のセミロングヘアをポニーテールにし、エプロンをつけた。
「(わああ…アニスちゃん…綺麗…)」 ポッ
ニールはアニスのエプロン姿に見惚れていた。
「さて、やるぞおお!」 ダンッ! サッ サッ! トントントン!
アニスは清潔になった地下牢空間で、簡単なミニかまどを作り、調理を始めた。
パチンッ! ボウッ! メラメラ …
今日の料理は、ニールが2日ほど食べてないので、お腹に優しい肉料理! 材料は、 鶏肉、野菜のニジーとブロコ、オニーにニジン、カルトに牛乳、白ワインに薄力粉、チーズと調味料これらを用意して作り始めた。
「さて、からっぽのこの鍋を火にかけて、中にバターを溶かす。その途中に、小さく一口サイズにした鶏肉に塩胡椒を振って鍋に投入、鶏肉に火がとおったら刻んだオニーを入れシナっとするまで一緒に炒める。 オニーがシナッとしたらそこに、皮を剥いてざく切りにしたニジンとカルトを入れる。全体に程よく混ぜ、ニジンとカルトに火がとおったらそこに薄力粉、白ワインを投入、薄力粉は大さじ2杯、白ワインは150cc」
ジュウウ〜 ボウッ!
「ん、火力を強くしてしっかり混ぜ炒める。しっかり炒めた後、ここに牛乳1ℓを入れ、コンソメも投入、火を強くししっかりと煮込む。ポコポコしてきたら中火にしてチーズを溶かしてゆっくりと混ぜる。最後にブロコを入れて煮込む。 普通は30分ほど煮込むがここは魔法で圧力をかけ数分で終わらせて完成」
パンパカパーン!
「簡単クリームシチューの出来上がりいッ!」 ニコ
「アニスちゃん凄いッ それにいい香り…美味しそうッ!」
カチャカチャ トン スッ! カタン
ニールの前のテーブルに、深皿にはクリームシチューとその横の皿に白パンが二つ、グラスには冷たいレモンティーを添えて並べた。
「さあ ニール、どうぞ、食べてみてください」 ニコ
「ありがとう! アニスちゃん。では、いただきます」 カチャ スッ パク
ニールはアニスの作ったクリームシチューを口に運んだ。
「ッ! 美味しい…これッ 物凄く美味しいですッ!」 パクパク モクモク
「ん、よかった」 ニコニコ
「私、まさか地下牢でこんなにも美味し物を食べるなんで夢にも思いませんでした」 モクモク ゴクン
「まあ、普通ないよね」 はは…
ニールはよほど、アニスの作ったクリームシチューが気に入ったのか、おかわりまでして夢中で食べていった。
2人の少女が、地下牢で食事をしていたその頃、とある建物の中にいる人物が、物凄い形相で部下である人物に怒鳴り声をあげていた。
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ーアトランティア帝国 王城隣接棟 王族機関国内管理行政棟ー
そこは、アトランティア帝国王城の横、この帝国の全てを管理行政執行する建物、その3階中央執務室に、1人の体格の良い男が大声をあげていた。
「まだ私の娘は見つからんのかああッ!」 ドンッ‼︎ バキイイッ! ビリビリ
その男の大声は窓ガラスを震わせ、怒りに満ちた腕は応接テーブルを叩き割った。
「はッ! いまだに手がかりがありません!(こ…こえええ…)」 ブルブル
「どこの何奴だッ! 私の娘を誘拐などした奴はあ…」ググッ
「目下の所、帝国警察機構、宮廷親衛隊、宮廷魔導第一大隊が捜索にあたっています。今しばらくお待ちを!」
「うぐぐ…娘に手を出してみろお、関わった奴は全員死刑だ!いや、死すら生ぬるいッ!死の方がマシだという程の苦痛を与えてやるッ!」 ググッ ダンッ‼︎ ギンッ!
キュインッ! ドゴオオオオーッ! バラバラ…パラ… カラン…
室内に置かれていた兵士の彫像が、彼の魔法で粉々に粉砕されてしまった。
「ヒッ! ヒイイイイーッ‼︎ 」 ブルブル ガタガタ
その時、その部屋の扉がノックされ、1人の兵士が入ってきた。
トントン ガチャ
「失礼します」 スッ
「うむ」
「閣下、皇帝陛下がお呼びです。至急、謁見の間までお越しください」 サッ
「なに、陛下が? 夕食の時間が近いのに、また急だな」 フム
「閣下」
「わかった、すぐに行くとお伝えせよ!」 バッ!
「はッ!」 キイイ パタン
「仕方がない…中尉ッ‼︎」 ギンッ
「は、はいいいッ!」 ブルブル
「王直属の暗部も使えッ!」
「は? まさかッ!」 ガタタ
「良いなッ! コレは私の命令だッ! 急げッ!」
「はッ! 了解致しましたあッ!」 サッ! バタバタバタ!
命令を受けた中尉は大慌てで執務室を出ていった。 この執務室で大声をあげていた人物、【グレゴリー・ヴェル・ベッケンヴァウアー】上級大将は、王族機関宰相で、この帝国の行政No.2であり、元魔法兵団長でもある。帝国、侯爵家筆頭の彼は準公爵家の扱いで、【ニール・ヴェル・ベッケンヴァウアー】の父親でもあった。
ババッ! ザッ! キイイ バタン ザッ ザッ ザッ
「(ニール、必ず助けるッ! 苦しいだろうが、待っててくれッ!)」 ググッ ザッ ザッ
グレゴリー宰相は、そう思いながら、皇帝が待っている謁見の間に急いだ。
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ーアトランティア帝国 帝国憲兵隊本部 地下牢ー
「く… 苦しいいーッ! お腹がいっぱいですう!」 ふうう
「ニ、ニール、ちょっと食べすぎだよおッ!」 オイオイ…
アニスは、クリームシチューを食べすぎて椅子にもたれ苦しんでるニールの介抱をしていた。
「さて、この後どうしよう?」 ん〜…
アニスはニールの介抱をしながら、今後の事を考えていた。
いつも読んでいただきありがとうございます。
次回もでき次第投稿します。