第16話 神界世界 疑惑と暗雲
ー神界 シュウゴー
創造神シュウゴは思い浸っていた。先日の第23神界の結末を思い返して.。
なぜニアミスなど起きたのだ?
なぜ彼らは神界維持ができなかったのか?
なぜこっちの神界に来たのか?
なぜ他の神界は警告を出さなかったのか?
なぜ、なぜ、なぜ、なぜッ!
どんなに考えても腑に落ちない、違和感だらけが湧いてくる。
以前、創造者のジオス様に聞いた事がある。そうだ、あれは確か10番代後半の神界世界をお作りになっていた時だ...
シュウゴは以前ジオスと交わした話を思い浮かべた。
『ジオス様、こんなに神界を創ってしまって大丈夫でしょうか?』
『ん、どうしてだい、たくさんあれば賑やかで楽しいよ』
『神界世界同士ぶつかったり、混ざったりしないのか心配なのです』
『ああ、それは大丈夫、ぜっったい!そんな事ならないから』
『そうなんですか?でもこれだけ有るとちょっと不安で』
『創造神が不安がってはいけないよ、腰を据えて構えてなきゃあ』
『ですが......』
『ん、わかった、では全神界に衝突防止機能と神界操作機能を付けて、さらに神界移動速度、神界進路を全部、同方行、同速度、同位置にしよう。そうすれば安心安心、だね.......』
「そうだ、思い出した‼︎ ジオス様は絶対このような事にならないようにしてくださったはずだ。私は横でそれを見ていて知っている。おかしい何かが起きている」
今一度ジオス様に聞いてみようと私はすぐにジオス様を探すのだが、いない。ジオス様がこの神界世界にいないのだ。何処を探してもあの御方の気配が無い、どう言う事かとこの神界最強6大女神、アリシアに聞けば、....
「なにィィィーーッ‼︎ ジオス様のいた異世界が行方不明だとおおおーッ!」
と言う状況で、現在捜索中と言うのだ。彼女にそのことを聞いたあと私も全身全霊を持って探そうと決意した時、一つの呼び出しを聞いた。
ピンポンパンポン~
シュウゴ様 シュウゴ様 至急神界ラインルームへお越しください。繰り返します、シュウゴ様 シュウゴ様 至急神界ラインルームへお越しください。
「なんだ急に、この忙しい時に..」
そい言ってシュウゴは神界間通信設備の神界ラインルームに入って行った。
ラインルームは円形の小ホールで、中央に管理制御専用水晶が浮いていた。
シュウゴがラインルームに入ると水晶が優しい女性の声で語り掛けてきた。
「ようこそ神界ラインルームへ、コード及び認識番号をお願いします」
「創造神シュウゴ、認識番号 0001A-A」
「コード及び認識番号 照合確認! ようこそシュウゴ様、ただいま1名の方がシュウゴ様をお待ちです。接続しますか?」
「ああ、頼みます」
「了解しました、接続します」 ヴィンッ!
するとシュウゴの前に立体映像の一人の美青年が片手をあげ現れた。
「よおおー シュウゴ!久しぶり、元気してたか?」
「まあまあかな、久しぶり【ゼクス】、君も元気そうでなりよりだ」
「なんだなんだあ、あまり元気そうじゃないじゃないかあ!ってこないだの事か?」
「まあな、それより珍しいな、君から僕にラインしてくるなんて」
「おう、ちょっと話があってな、今ちょっといいか?」
「まあちょっとなら、でなんだい用って」
【ゼクス・ディオ・ゼルタ】
最高神 第6神界世界創造神、ジオスの作った6番目の神界世界の最高神で創造神。シュウゴとは神格は同位で誕生以来シュウゴの親友神。
「先日より、この神界世界全体からジオス様の気配が無いのだが、何か知っていないか?」
「う、その事だが.........」
シュウゴは事のあらましを、アリシアから聞いたとうり全部ゼクスに話した。
「そうか、そんな事に...まッ、あのジオス様だ、大丈夫、心配するな!」
「すまんな、うちの女神達のせいでこんな事になって」
「いやあ、この間の神界世界の操作、見事だったぜ、すごいな。操者神はだれだったの?」
「この間のか、あれはミルアがやってくれたよ」
「ミルアちゃんか~ うちに欲しいなあ」
「また冗談を、君の所にもちゃんといるじゃないか、操者神のミロアが」
「そう、うちの自慢の可愛い操者神! あげないよ~」
「相変わらずだね、そういうところ、で本題はそんな事じゃないんだろ?」
するとさっきまでの明るい雰囲気だった美少年の創造神ゼクスは急に声のトーンが下がり、真顔になってすごんで話してきた。
「ああ、そのことでな内密な話がある」
パアアンッ‼︎ そう言うとこのラインルームが強固な結界に包まれ、水晶から報告がでる。
「隔離空間が形成されました、以後この空間はスタンドアローン状態になります」
その報告が終わるとゼクスは話し出した。
「ここだけの話だ、シュウゴは第23神界世界の動きどう見た?」
「おかしかった、ジオス様は各神界が絶対にぶつからない、交わらないようにしてくださったはずだ、にもかかわらず、これだけ派手に僕の神界世界に接近ぶつかってきた」
「そう、そこで俺がひそかに調べたんだ、いつ軌道がずれた、どうして君の神界世界に接近したのかをね。そして分かったことがある」
「何がわかったんだ教えてくれ!」
「いいか、よく聞けシュウゴ、今回の件には、『セカンダリ―』が絡んでる」
「え、そんなまさか、セカンダリーって、何かの間違いじゃ」
「認識できないのはわかる、だが事実だ!」
「ゼクス、本当にセカンダリーなら、セカンダリーの誰?」
「調べた結果、俺の見立てでは、【エルフラ】と【ツヴァイア】そして【ドラッツェ】、この三人だ」
「そんなッ! なぜ彼らが? しかも三人? ゼクス!本当にこの三人なのか?」
「間違いないし、何度も確認した」
「ゼクスがそこまで言うんならそうなんだな」
「取り合えず、俺とお前、それから【フィーア】の三人で対処しようと思う」
「え、フィーアも知ってるの?」
「ああ、あいつが一番最初に動いたからな」
「ええ~、フィーアが動くの?チョーッとまずくないか?」
「無理、もう動いてるからね。僕に彼女を止められると思う? 無理だから物理的にも精神的にも、あの人を止められるのはジオス様だけだから、だから君も覚悟していてね、不測の事態にならないように」
「わかった、ありがとう留意しておくよ」
「良し、じゃあ今度はフィーアも一緒に来るから、これで落ちるね。後ジオス様によろしく言っておいて」
「わかった。じゃあ」
ヴン、!と言って彼の立体映像は消え、結界が解かれ神界間通信は終わった。
「お疲れ様でした。 またのお越しをお待ちしております」
シュウゴはラインルームから出て自室に入り、椅子に座ってため息をついた。
「ハアー、どうなってるんだこの状況、セカンダリーの三人と...フィーアか、三人はともかくフィーアはなあ、..ジオス様、早く帰ってきてください。ジオス様の事を聞いたらフィーア、たぶん爆発する!頼みますジオス様、フィーアが何もしませんようにッ‼」
創造神が祈っている、神が祈る、それはそれほどの事だったのであった。
【フィーア・ディア・ゼルタ】
最高神 第4神界世界創造神、ジオスの作った4番目の神界世界で初の女性最高創造神。シュウゴ達創造神とはやはり同格で超長女型気質の女創造神、ジオス以外の言うことは一切聞かないが本来は優しい創造神、だがそれこそ怒らせたら超まずい神である。
【エルフラ・ディア・デルタ】
最高神 第11神界世界創造神、ジオスの作った11番目の神界世界創造神で【フィーア】の次に顕現された女性創造神。シュウゴやゼクス、フィーアより少し神格が低い女創造神で、普段はおっとりしているが中味のほどは.....
【ツヴァイア・ディア・デルタ】
最高神 第12神界世界創造神、ジオスの作った12番目の神界世界創造神で【エルフラ】とは双子創造神。容姿振る舞いはエルフラに似ているが性格は全く違い、妹ならではのお節介焼きである。やはりシュウゴ達より神格は少し低い。
【ドラッツェ・ディオ・デルタ】
最高神 第13神界世界創造神、ジオスの作った13番目の神界世界創造神、向上心が高く優等生のような模範的創造神、ジオスを崇拝しているが、その他の神は全て下に見ている。特に秀でた特徴無い創造神。やはり神格はシュウゴ達より少し低い。
【セカンダリー】
ジオスの作った神界世界は【ファースター】と【セカンダリー】に分かれる。
【ファースター】はジオスが初めて作った神界世界から第9神界世界までを指す。
【セカンダリー】は第10神界世界から第28神界世界までを指す。
「今回も出番なかったねアニスちゃん」
「............」
「アニスちゃん?」
「..シュークリームううう」
「わ、わかったから、今度あげるから」
「あ、ありがとー!」
次回も出来次第投稿します。