第157話 アニスと学園内不審者
-帝都学園 教師棟 教職員室ー
「レイラ先生ー レイラ先生ーッ!」 わ〜ん
「はああ…そうですか、もう諦めましょう、キャサリン先生…」 ナデナデ
「でも、でも、私達がせっかく…」 ウルウル
「指示書にもあったでしょ、『かの少女』、つまり【アニス・フォン・ビクトリアス】さんの行動に関しては、一切の干渉をしてはならないの、そう…例えそれが…この学園の崩壊を招くとしても…」 ……
レイラは、この先何が起こるのか、何が始まろうとしているのか知っているかのような素振りで、窓の外の、この学園の校舎群を見つめていた。
「レイラ先生?」
「あら、ごめんなさい、つい考え事をしていましたわ」 ニコ
「レイラ先生、今後はどうしましょうか?」
「そうね、取り敢えず【ビクトリアス】さんの参加申請は出してください」
「はい…」
「キャサリン先生」
「はい!」
「大丈夫ですよ」 ニコ
「レイラ先生?」
「大丈夫…彼女は…【アニス・フォン・ビクトリアス】さんは、優しい娘だそうです」
「え?」
「あッ…いえ、キャサリン先生は、いつも通りしていて下さい」
「わかりました、では申請してきます」 タタタ
キャサリンはその場から離れ、事務局の方に向かっていった。
「ふう…【アニス・フォン・ビクトリアス】さん、か…」 ゴソゴソ カサッ…
レイラは、キャサリンが教職員室から出ていったのを確認してから、上着の内ポケットから一枚の通信文を出した。
「【ビクトリアス】と言うから、まさかと思ったけどやっぱり…アリーの妹だったのね…」
パラッ… ジッ…
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親愛なる【レイラ・ヴァン・クリシュナ】へ
は〜い、レイナ元気してましたか? 相変わらず教鞭を取っているそうね。 私も相変わらず軍人で、軍艦の艦長をやってます。 そうそう、前言ってた例の男の子、レオン君も私の元で元気にやってます、安心してください。
話は変わりますが、以前相談を受けた件に関して、軍上層部と検討をした結果、1人の女の子をそちらに派遣します。名は【アニス・フォン・ビクトリアス】 そう、私の新たな妹です。 軍では彼女を重要人物指定してますが、安心してください。妹はとっても優しくて、いい娘ですよ!【アニスちゃん】と呼んであげてね。
聞いて聞いて、なんと、あのレオン君がアニスちゃんに夢中になってるんです。レイラもアニスちゃんに会えばわかります。 敵に回せば絶望しかありませんが、味方にすればこれほど心強い娘はいません、アニスちゃんには強大な力と能力、人脈があります。絶対にレイラの力になってくれます。まずは会って、確かめてください。また帝都に帰還したときは一緒にお茶でもしながらお話しでもしましょう。
あなたの親愛なる友人であり従姉妹の【アリエラ・フォン・ビクトリアス】より
追伸
伏せてあるけど、アニスちゃんは本当にすごいからね、軍でも『少佐』待遇の扱いになったから! 私もびっくりだよ。 アハハ
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カサカサ スッ!
「アニスちゃんか…どんな娘何でしょう、会うのが楽しみですね」 ふふ
レイラは従姉妹からの手紙をたたみ、微笑んでいた。
ー連絡通路ー
「これが教師棟か…」 テクテク
「う〜、緊張するう」 ブルッ トコトコ
「怖い先生でもいるの?」 テクテク
「いや、だって…先生よ先生、緊張しない?」 トコトコ
「ん〜、学園長とブログ先生、それとさっきの男の先生にしか会ってないから…」 テクテク
「ブログ先生? ああ、キャサリン先生の事ね」 トコトコ
「ん、先生を名前呼びでいいの?」 テクテク
「まあ、本当は良く無いけど、名前の方が可愛いしね!」 トコトコ
「ん、そうか、そうだね!」 テクテク
アニスとエマが話しながら教師棟に入った時、目の前をキャサリンが走って通り過ぎた。
タタタッ!
「あッ 先生ッ!」 バッ
「え⁉︎ あッ! 出たあああーッ!」 キュッ! ババッ!
キャサリンは急に声をかけられ、その方向を見た瞬間、あの特徴的な青みがかった銀髪の少女、アニスの姿を見て思わず叫んでしまった。
「え! なになになにッ! なにが出たのッ!」 バッ! ギュウウ!
「わッ!エマ⁉︎ 何かいるのですか?」 キョロキョロ
「えッ! もしかしてGッ⁉︎ いやああーッ!」 バッ! ギュウウ!
「「「 きゃあーッ! どこどこおッ? 」」」 ギュウ! ザワザワ
キャサリンの叫びに、アニスを除く全ての女生徒が叫びながら、アニスに抱きついた。その様子を教室棟から出てきたアルテとアレッタが様子を見ていた。
「アレッタ、アレ見て!」 スッ!
「あッ! エマ達ったらもう!」 グッ
「違う違う、あの脇の観葉植物の中ッ!」 バッ!
「えッ⁉︎ あッ、アニスちゃん達の近く、なんかいるわね。何かしら?」
「なんか、危険な物かも! すぐに行かなきゃ!」
「待ってアルテ!」 グッ
「アレッタ、どうしたの?」
「アレもアニスちゃんがどうするか様子を見ましょ!」
「なるほど、アニスちゃんの力量を見るのね、わかったわ。でも危なくなったら行くからね!」
「うん、当然よ」 コクン サッ!
2人は教室棟の影に隠れ、様子を見た。
「うう…これはちょっと…前が…見えない…」 ギュウギュウギュウウーッ!
「ちょ、ちょっと貴方達、アニスちゃんが困ってるわよ! 離れなさい!」
「え〜ッ エマだけずるい!」 ギュッ!
「そうよ! 私達だってアニスちゃんとくっ付きたいッ!」 ギュッ!
「うん、賛成ッ!っていうか…アニスちゃん、柔らかいし…いい香り…」くん…
「あ…あのう…もういいかな?」 ギュウ! フラッ
アニスを中心に、一塊の団子になっていた。
「はッ!(これは不味い! ビクトリアスさんが怒るかも⁉︎)」 バッ ダダダ!
キャサリンはその様子を見て、アニスが怒るんじゃ無いかと思い、アニス達の元に駆け寄っていった。
「あ…あなた達ッ‼︎ すぐビクトリアスさんから離れなさいッ!」
「「「「 ええーッ⁉︎ 」」」」
「いいからッ! 教師命令ですッ!」 キッ!
「「「「 は〜いッ! 」」」」 バラバラ ギュウッ!
1人を除いて皆はアニスから離れた。その1人とは、エマであった。
「【エマリアル・フォン・サクソン】さんッ! 早く離れなさいッ!」 バッ
「いやですッ! 私はアニスちゃんが好きなんです!」 ギュウッ!
「えッ⁉︎ エマリアルさん?」 ポッ!
「ん⁉︎」 ギュウッ!
「「「「「 きゃああー♡ エマッ だいたーん! 」」」」」 キュン!
「え? あッ⁉︎ わ…私…きゃあ!」 カカカアアーッ! ポンッ! ギュッ!
エマは、アニスに抱きつきながら、自分で言った言葉に恥ずかしくなり、再びアニスに強く抱きつき顔を赤くして伏せてしまった。
「わたし…わたし…」 プルプル
スッ ナデナデ
「エマ…ありがとう!」 ニコ
「アニスちゃん…」 ウルウル
そこにキャサリンが割って入り、2人を引き剥がした。
「んッ! んんーッ‼︎ そこまでよッ!」 グイッ!
「あッ!」 グイッ! タタタ
「ん、すいません、先生…」 トト…
「はあ、2人とも落ち着きなさい、いいわね⁉︎」 バッ
「「 はい 」」 ペコ
「全く、最近の若い子達は…,」
キャサリンは、なんとか、事なきを得て安堵した。
「そう言えば先生、さっきはなにが出たんですか?」
「え⁉︎ あ…いや、あれは…その…」 アセアセ
「その? なんだったんですか?」
「あ…そうッ! あっちの方に不審者らしき者がいたような〜…いなかったような〜…はは…」 ドギマギ
「ん⁉︎ 不審者? 先生ッ! それはどこッ⁉︎ 」 バッ!
「え? えっと、 ビ…ビクトリアスさん?…」
「アニスちゃん! あの辺りッ! 何かいるッ!」 ビシッ!
ガサガサ パキポキ ガササッ!
「ん、確認したッ!」 バッ!
「ッ‼︎(え⁉︎ 本当にいたの? 私ってすご〜い!)でもいったい何が…」 グッ!
エマが指さした観葉植物が鬱蒼と生えてる辺りの葉が揺れていた。
ガササッ! ピピッ! ピッ!
「私が対処します。皆下がって!」 ザッ! シュキンッ! チャッ!
アニスはその観葉植物が生えている方に体制を整え、腰裏の神器「アヴァロン」を抜き構えた。
「アニスちゃん…(素敵…かっこいい…)」 ポッ
「「「 アニスちゃん! 気をつけてッ! 」」」
「ビ、ビクトリアスさん? あなたの武器、それって…」 ボー…
エマはアニスのその姿に見惚れ、キャサリンは、アニスのその手に持つ武器に驚愕した。
ガサササッ! ピコピコピコ ピピッ!
「ん、(入学して半日、もう私に感づいたか? 相手の動きが早い、アリエラお姉ちゃんの言うとうりかもしれないな)」 チャキッ!
ザバアアアアーッ! ダンッ! ガシュンッ! ピコピコ! ピピ 『ピポッ!』
「『R−32ッ!暗殺型対人戦闘ドローンッ‼︎ 』 何でこんな所にッ⁉︎」 ババッ!
「先生ーッ!」 ザザッ!
「「「 きゃああーッ! 」」」 ザワザワッ!
ピッ ピピ ピッ ピピ 『ピポ!』 ジーッ!
キャサリンは現れたその物体に驚いた。そう、帝都学園の中に、あまりにも不釣り合いなその物体、存在してはならない、そんな物体が今、彼女達の前に現れたからだ。
それは、漆黒のボディーを持ち、四本脚の足でバランスを正確に保ち、瞳のような赤い丸い光は、青みがかった白銀髪の帝都学園3回生の制服を身にまとい、神器「アヴァロン」を構えているアニスにロックオンしていた。
R−32 暗殺型対人戦闘ドローン
全高 2.28m
全幅 1.66m
装甲 対魔法耐性装甲
武装 フォトン銃 サイレンサー付き x1
ライトニングセイバー x2
対人短針銃 x1
持ち主に目標をインプットされると、自動的に目標の殺害だけをする殺人ドローン、あまりにも非人道的兵器のため、既に破棄命令が出され、存在が許されていない戦闘ドローンである。
ピッ ピピ ピッ ピピ ピコ 『ビーッ!』 ガシャンッ! チャキッ!
「んッ⁉︎ 魔法銃か?」 チャキンッ! ヴァンッ!
アニスはドローンの動きを見て、神器「アヴァロン」に魔力を込めた。
「先生ッ! アレッ なんですかッ⁉︎」 バッ
キャサリンはいきなり現れた暗殺型対人戦闘ドローンを見て驚き、エマの質問が聞こえていなかった。
「暗殺?… ビクトリアスさんを?…誰が?…なぜ?…」 ガクガク
「先生ッ!」 ユサユサ
「はッ! いけないッ! ビクトリアスさんッ! それは大変危険なドローンですッ! 逃げなさいッ!」 ババッ!
「う〜ん、ですけどアレは私に用があるみたいですよッ!」 スッ!
『ビーッ!』 パパパパパッ! シュシャシャシャッ!
R−32 暗殺型対人戦闘ドローンは、アニスに向けフォトン銃を乱射してきた。サイレンサーが付いていたので銃声はほとんど出ず、乾いた音が鳴り響いた。
「きゃあーッ! アニスちゃんッ!」 バッ
「ビクトリアスさんッ!」 バッ
「ん、《ファントムッ》!」 シュッ! ヴンッ‼︎
タタタタッ! タンッ! シュウ〜
ピッ ピピ ピッ ピピ 『ピココッ?』
「ここだよ!」 ヴァンッ! シュンッ!
R−32が、アニスに向けサイレンサー付きフォトン銃を乱射し、その銃弾が迫った瞬間、アニスの体はブレ、銃弾は後ろの地面に全部着弾した。 目標を見失ったドローンが、再度目標を探そうとしたその時、ドローンのすぐ後ろに一瞬でアニスは現れた。
クルッ! 『ビーーッ⁉︎』 ガシュンッ!
「はいッ!」 シュンッ! ドガアアアーーンンッ‼︎
『ビーーーッ‼︎ 』 ビュンッ! ドンッ ゴンッ! バアンーーンッ!
アニスはドローンの背後に一瞬で現れ、神器「アヴァロン」で切りつけた。その勢いで、ドローンは10数mほど吹き飛ばされていった。
「ん、浅かったか?」 スチャ! シュー…
ピッ ピピ ガラガラ ヒュウンンッ! ガシュンッ!
ドローンは吹き飛ばされた所で再び立ち上がった。
「なッ⁉︎ (は…速いッ! ビクトリアスさん、なんて素早さなのッ⁉︎)」 グッ
「わああ、やっぱりアニスちゃんは凄いッ! 見えなかったよ!」
「本当ね、攻撃魔法に防御魔法、それと今の体術、完璧じゃないッ!」
キャサリンも女生徒達も、アニスのその動きに驚いていたが、吹き飛んだ先で起き上がり、ほとんど無傷のドローンを見てキャサリンは思った。
「やっぱり…(確かに、ビクトリアスさんの体術は完璧だわ、でも、それでもあの暗殺型対人戦闘ドローンには勝てない。アレは、ボディーに対魔法耐性処理の装甲がされてるの、魔法や魔法付与の武器では倒せない)」 ググッ
ピッ ピピ ピコピポッ! ジーッ
ガシュン カシャカシャカシャッ ヴオンッ ダダダダッ! ザアアーー!
立ち上がったドローンは、アニスを確認すると4本の足を高速で動かし、急接近していった。
「まだ生きてるよ!」 ザワ
「ビクトリアスさんッ! 早く逃げなさいッ! アレには対魔法耐性装甲がされてるのよ!」 バッ!
「ん、先生、そうか、対魔法耐性装甲か、なるほど…よく考えてあるんだね」
ピピピッ ピッ ピピ 『ビーーッ!』 カシュンッ! ヴオンッ! ブン! ブン!
ドローンは、そのボディーの両側から腕が出てきて、ライトニングセイバーを振り回してきた。
「ん、フォトンソード2刀流か、さて、どうやろうかなあ…」 スッ! チャキン!
アニスは神器「アヴァロン」を腰裏の鞘に戻し、どう攻めようか考えていた。ドローンの方は容赦なくアニスに向かって高速攻撃をしてきた。
ヴオンッヴオンッ! ダダダッ! シュシャアアーー!
『ビーーーッ!』 ピッ ピピ ピコピポ!
「「「 アニスちゃん!あぶなーいッ! 」」」 ワアアッ!
「ん⁉︎」 ちらッ
アニスは、後ろにいる女生徒達を見た。
「(このままじゃ彼女達も危ない、一気にかたをつけてしまうか)」 コクン スッ
アニスはキャサリンや女生徒達の安全を考え、対魔法耐性装甲をも打ち破る武器を選考し、異空間に手を入れた。
「ん、君には悪いけど倒させてもらうね!」 ヴァンン! ビシュウウウウ!
アニスは異空間から手を引き抜くと、一本の剣を掴んでいた。 神剣「デザートシーゲル」、唯一ジオスの時のアニスが作ったアニス専用の神剣だった。アニスはその神剣の刀身を指でなぞり、神剣を覚醒させた。指でなぞった刀身には、神語であるヒエログリフが光りながら浮かび上がり、刀身全体を神秘的なオーラで包み込んだ。
『ビーーーッ!』 ブンッ!
ドローンはアニスのすぐ手前まで来ると、振り回していたライトニングセイバーをアニスに向かって振り下ろした。それに対しアニスも反撃に出る。
「ん、はッ!」 ヴオンッ! ビュンッ! シュバアアーーッ! ザンッ!
『ビッビーーーッ⁉︎』 ズバアアッ! ブシャアアーッ! ゴトンッ ドオオン!
「「「「「 ええーーッ⁉︎ 」」」」」 ババッ!
「切った…あの…対魔法耐性装甲の腕を…」
「凄い凄い凄ーいッ! アニスちゃん強すぎッ!」 ワアア
「な、なんなのよッ! 対魔法耐性装甲を切る? そんなこと出来るはずがないのに! はッ!(絶対に、敵対してはならない)こう言うことなのね…」
ドローンが振り下ろしたライトニングセイバーを、アニスは紙一重でかわし、持っていた神剣「デザートシーゲル」で、逆にドローンの片腕を切り落としてしまった。キャサリンやエマ達女生徒には理解し難いものだった。
『ビーーーッ⁉︎ ビーーーッ⁉︎ ビビビ?』 ガチャガチャ
「これで終わりだよ!」 ブンッ! バアアー!
『ビッビビビーーーッ!』 カシュンッ! ヴオンッ! ブン! ブン!
ドローンは、もう片方の腕に持っているライトニングセイバーを振りまわし始めた。アニスは剣技発動の構えをし、持っていた神剣がさらに威力を高める。
「じゃあね、神級迎撃剣技ッ!《バーゼル.グラン.リッパーッ!》」 シュンッ!
キュアンッ! ドッパアアアアーーーーンッ‼︎
『ビビーーーーーー……』 ドシュウーッ! ザンッ! ドガアアアーーンンッ‼︎
ザザアアーーッ トン スタッ! ビュンビュン! シュキンッ!
暗殺型対人戦闘ドローンは、アニスに襲いかかったが、アニスの突進、神剣剣技の一振りで、袈裟斬りにされ、爆発四散して砕け散った。アニスは技を終えた後それを見届け、神剣「デザートシーゲル」を振って鞘に戻した。
「「「 やったああーッ! 」」」 ワイワイ
「倒しちゃった…アニスちゃん、凄い…なんて強さなの…」
「これが…ビクトリアスさんの力…王族機関が推すだけの事はある、いや…それ以上の実力だわ!」
ビュオオオオオーーッ! ヒュウウウウウーー…
そこには、神剣「デザートシーゲル」を片手に、青みがかった白銀髪のセミロングヘアとスカートを靡かせたアニスが颯爽と立っていた。
スッ ジロ……
『チッ! 話が違うッ 聞いていた以上の力じゃないかッ!』 ザッ! シュンッ!
教師棟の影に潜んでいた怪しげな人物が、一部始終の結果を見て姿を消した。その教師棟から、各クラスの教師達が慌てて出て来た。
「何事だッ!」 ダダダッ!
「教頭ッ! あそこをッ! 何かが燃えてます!」 スッ!
「ええいッ! とにかく消化だッ! 消化器を! 早くッ!」 ババッ!
「は、はい」 バタバタバタ!
「キャサリン先生ッ! 大丈夫でしたか!」 ダダダッ
「ブラット先生♡ はい、大丈夫です…」 ポッ
「キャサリン先生、いったい何があったんですか?」 ジーッ
ブラットは、今も煙を上げてるドローンを必死で消化をしている、他の先生達を見ながら、キャサリンに質問した。
「はい、突然アレに襲われたんです!」 スッ!
キャサリンは破壊され、燃えている漆黒のドローンを指さした。
「あの暗殺型対人戦闘ドローンにですか? よく無事でしたね」
「ん⁉︎」
「キャサリン先生、この女生徒は?」
「ああ、ご紹介いたしますわ、今日、この学園に転入してきた…」
「【アニス・フォン・ビクトリアス】です。ブラット先生」 ニコ スッ!
アニスはブラッド先生に、貴族流の挨拶、カーテシをした。
「これはこれは、私はこの学園の4回生、『白銀聖龍クラス』の担任を務めている、【ブラッド・フォン・アンブローズ】です」 スッ!
ブラッドもまた、貴族流の紳士の挨拶で返した。
「ブラット先生、ちょっとこちらに来てください」
「おっと、教頭先生が呼んでる。すみません失礼しますね」スッ ザッ ザッ ザッ
そう言って、ブラットは教頭先生達のいるもとへ歩いていった。
「さあ、あなた達も戻りなさい。後は私がなんとかしますから、ここはまだ危険です」 サッ
「「「「「 は〜い! 」」」」 トコトコトコ
キャサリンに促され、アニス達6人は教室棟の方へ戻っていった。教室棟の入り口付近に見知った2人の女生徒が立っていた。
テクテク トコトコトコ
「「 はあ〜い、アニスちゃん! 」」 フリフリ
そこにいたのは、アルテとアレッタの2人で、手を振って現れた。
「ん、アルテ、それにアレッタ、ここにいたんですね」
「ま、まあね…はは…」
「それよりアニスちゃん、すごかったねえ…」 グッ
「あッ! 2人ともずっと見てたんでしょ⁉︎」 バッ
「あはは…エマ、ごめんね。アニスちゃんの実力が知りたくて、つい…」 ペコ
「私のですか? それでどうでした?」
「「 合格ッ! 」」 ビシッ
「当たり前でしょッ! 私のアニスちゃんなんだからッ!」 グッ
「「 私の? エマ〜… 」」 ジロッ
「え⁉︎ あ… ああーッ!」 ダッ! タタタタ!
「ん⁉︎ あッ 逃げた」
「ちょ…ちょっと待ちなさい! エマーッ!」 タタタタ
「あッ! アルテッ! 待ってーッ!」 タタタタ
3人は駆け出し教室棟の中に消えていった。
「ん、そういえば、私は今日、どこで寝るんだろ?…」
アニスは1人、今日の寝泊りする所の事を考えていた。
いつも読んでいただきありがとうございます。
次回もでき次第投稿します。