第149話 アニスとジオス
―神帝都中央タワー地下ー
ゴオオオオオンンンーッ!
『う…うぐ、な、なんて…速さ…』 ブルブル
白い仮面の者は、アニスの強烈な蹴りの打撃で入り口のドアまで吹っ飛び、体を強打し呻き声を上げていた。
「ん、意外と丈夫なんだね、悪いけど人形には用はないの」 サッ
『グッ… 気づいて…いた…か…』 グシャッ! シュウ〜
ドアに激突したその者は、そのまま崩れ消えていった。
「で、そこにいるのだろう!いい加減、姿を現したらどうかな?」
コツコツコツ スタッ!
入り口からまた1人、先程の者と同じ白い仮面を被った者が現れた。
『ふふふッ! 一瞬で我が炭素体ユニットを見破るとは流石だジオスッ! いや、いまはアニスだったな!』
「ん、別にどちらでも良いよ。それで、まだその仮面は被ったままなのかい?」
『そうだな、今更か…』 スッ! ポイ カラン カラン カラカラ…
アニスに言われ、その者は被っていた白い仮面を取り外し、床に投げ捨てた。
「やっぱり…君だったか【ノルン】、いや…はじめましてかな?ノルンの姿を借りた特殊制御コア、【個体No.000Zfar01】ッ!」
「ふッ! やはり誤魔化せんか…」フリフリ シュバアアーッ! モアモア…
アニスに正体を見破られたノルンの姿をした「個体No.000Zfar01」は一瞬、白い煙に包まれ、やがて本来の姿が現れた。
シュワンッ! バアアアーーッ! ファサッ!
「ん、ソレがおまえの本当の姿か…全くあの娘たちは…」 ハア〜…
アニスは現れたその姿を見て、呆れ顔でため息をついていた。そう、その姿は、神界でのジオスの姿と瓜二つの姿だったからだ。
「どうだ、これが私だ! 6大女神によって私が生まれたのだ!」
「うん、すごいけど、ここではソレも人形だろ?」
「流石だなジオス、そのとうりだ、私は今、この世界にはいない。私自身は、元の異世界「アーク」にある。この偽世界「アーク」には存在しない。この世界は貴様と共に消える世界だからな!」
「なあ、『個体No.oo…』」
「『ジオス』だッ!」
「え⁉︎」
「わたしが本当の『ジオス』だッ!」
「いやいや、『ジオス』は私だよ!おまえは『アリシア』達、6大女神が作った特殊制御コアの一つだろ⁉︎」
「そうだ、だがきさまをここで消し去れば、私が『ジオス』となる。なんの問題もない」
「なんかメチャクチャだな! もう『ジオス』でいいや」
「ふふふ!認めたな『アニス』」
「ハア〜…別に認めたわけじゃない、面倒くさかったからなんだけどな。で、この後はどうなるんだ?」
「しれたこと、きさまとこの世界、全てを消去、消滅させてもらう」
「そんな事ができるとでも?」
「できるさ、すでにその準備はできてる!」 ふふふ
「ああ…【次元幽閉】の事か…」
「なッ⁉︎ 何故それをッ⁉︎…」
「ん、知っているのかってか?」
「うッ!…」
「まあね、この巨大球体に見て触れるまでは知らなかったさ、だが全てわかった。おまえ、私だけを消去、消滅させるのに随分と手の込んだ事をしたんだな」
「ふふ、だがそれも、もう終わりだ。直ぐに作動して全てを終わらせてやる」
「無駄だよ」
「なにッ⁉︎」
「もう、次元炉は動かないよ。それに球体をよく見てみるんだね」 スッ
「はッ‼︎」 ババッ!
ジオスは、アニスの指さした、巨大な球体に目をやった。そこには、無数の文字が急速に現れては消えを繰り返していた。
ピッ ピピピピピッ!
『神徒番号00000001から99787688まで、スピリット、次元炉より解放、「スピリット.コレクトスフィア」に回収保存』 ピッ
『アトランティア帝国 国民スピリット、次元炉より解放回収開始!』 ピッ
『アトランティア帝国国民…』 ピッ ピッ ピッ ピピピピピ!
球体表面には、これまで回収され、次元炉に送られていた全ての人の精神、スピリットが急速に、この「スピリット.コレクトスフィア」に再度回収保存されはじめた。
「きさまッ! まさかッ⁉︎」 ババッ!
「ん、この世界は、もうおまえの思い通りには動かないよ」
「馬鹿なッ!」 タタタタッ! スッペタッ!
アニスのその言葉に「ジオス」は球体に駆け寄り、ソレに触れ指示をし出した。 が、球体は反応しなかった。
「おいッ! どうしたッ⁉︎ 我が意に答えよッ! 反応しろッ!」
ピッ ピッ ピッ ピッ ピッ
『ゼルファ神帝国 大陸艦隊全軍撤退開始!』 ピッ
『作戦行動中のアトランティア帝国軍、全て停止、帰還せよ!」 ピッ
「おいッ! 私だッ! 『ジオス』だッ! お前らの創造神だぞッ! 反応しろッ!」 バンバン
「ジオス」は懸命に叫びながら巨大球体を叩き指示を出したが、一向に巨大球体は反応せず、彼の意とは真逆の指示を表示させていた。
ピッ ピッ ピッ ピッ ピッ
『ゼルファ神帝国兵、兵器封入スピリット回収開始、『スピリット.コレクトスフィア』へ』 ピッ
「おいッ! なんだそれはッ! そんな指示出してないぞッ!」 バンッ!
「無駄だよ。もうお前にそいつに指示を出す権限はない。既に、この世界は「ジオス」、お前から離れたのさ」
「な、なんだと…」
「今回、お前は重大な計算ミスをした。いや、前々からかな」
「私が、計算…ミス…だと?」
「【ノルン】になってた時、自分でも言ってたよね、私の『神界での能力』は計算できなかったって」
「ま、まさかこれが…これが私の計算できなかった能力…」
「ん、お前の計算能力もたかが知れるな」
「そ、そんな物、些細な誤差でしかない!私の計算は完璧だッ!」 バッ
「そうかな? 既に気が付いているんじゃないのか?」
「うッ!…」
「しかし良く考えたじゃないか、この巨大球体『スピリット.コレクトスフィア』か、これ一つでこの世界の人、すべてを意のままに操ると事ができるとは恐れ入ったよ。触って確かめるまでわからなかった」
アニスの指摘通りだった。ゼルファ神帝国、アトランティア帝国、両国に生きる人は全て、この球体で管理できたのであった。
「アトランティア帝国のメイン制御コアの「ソフィア」も、「ジオス」、お前が作った人形なんだろ?」
「ふッ ふふッ! そうさッ! そのとうりさッ!」 ガバッ!
「と言う事は本当に、この世界全てが偽物、虚像の空間世界、偽世界って事か…」
「ふははは、少し違うぞアニス」
「ん?」
「確かにこの世界は全て私が作った物だ、しかし、特殊制御コアの「個体No.D01ダイアナ」と「個体No.F01フェリシア」は本物だ! 私の指示でこの世界に入った。さらに、この世界でスピリットが存在する両国の人々も本物だ!私が創造してやったのだッ!」
「で、ソレらを全て犠牲にしてまで私アニスを、イヤ…私ジオスを消去、消滅しようとした」
「ふ、そのとうりだ。 しかし、ここまでのようだ。この偽世界が私の意に従わないのならもう必要ない。私はこの世界から離れる」 ふふ
「ん、諦めたのか?」
「いや、確かに今回は、きさまの言うとうり、計算ミスだよ!」
「認めたか…」
「だが、私は「ジオス」ッ! 次は必ず、きさまを消してみせる」
「ん、まあ無駄だと思うけどなあ…」
「ふんッ! まあ、せいぜいこの偽世界で足掻けばいい。直にこの偽世界「アーク」は崩壊する。この偽世界から出れたのならまた会おうアニスッ!」 ヴオンッ! ブシュウウウウウーーッ!
そう言って、「ジオス」消えていき、「ノルン」だったその体は崩れて消えていった。
「ん、完全に消えたか…全く、無責任な創造神(仮)だな、作ったんなら最後まで面倒見ないと…」 テクテク
アニスはこの偽世界を作った創造神(仮)の「ジオス」が、この偽世界から完璧に気配を消した事を感じた。「ジオス」が去った後、アニスは巨大球体とその球体に浮かぶいくつもの文字を見てつぶやいた。
「神に見捨てられた世界か…創造神(仮)だった「ジオス」が見捨てたんだ、やがて魔素はなくなり、この世界は崩壊する。私には影響ないのだが…この世界に住む者たちにとっては最悪だな、やがてくる消滅の恐怖か…」
ピッ ピッ ピッ ピッ
「創造神(仮)は逃げ、特殊制御コアの「個体No.F01フェリシア」は消滅、アトランティア帝国の制御コアだった「ソフィア」は人形…後はこの娘だけか…」 テクテク ピタッ スッ!
アニスが歩を止め触ったのは、巨大球体、「スピリット.コレクトスフィア」であった。 球体は、今も数多くの人のスピリットを回収していた。
「ん、見つけた…『個体No.D01 ダイアナ』」 ジッ
アニスが球体の奥を、その魔眼で凝らして見ると、球体の中心核、そこに蹲る様に丸い殻のようなものの中に彼女はいた。
「ダイアナ、『個体No.F01フェリシア』の頼みだ。まず、君を解放しよう」スッ
アニスは目の前にある巨大球体「スピリット.コレクトスフィア」に両手をかざし、魔法を放った。
「創神技!《リビレイションッ!》」 ビンッ! パアアアンンッ!
ヴアンッ! シュウウンンッ! トサッ!
アニスが創造者だけが使える技を唱えると、アニスの前の床に、1人の女性が転移し現れた。そう、「個体No.D01ダイアナ」が、そこに現れたのだった。
「よし、さあ『ダイアナ』、目をあけて」 サッ
「うッ ううッ こ、ここは…私は一体…」 ヨロ…
アニスの呼びかけに、目を覚ましたダイアナは、ゆっくりと立ち上がった。
「どうだい、解放された気分は?」
「『アニス』ッ! いや、『ジオス様ッ!』」 ババッ
「ん」 コクン
「は、はい…此度の件、消滅してしまったフェリシア共々、お詫び申しあげます」 ペコ
ダイアナはアニスにこれ迄の行いに対し謝った。
「ん、もういいよ、全てはあの「ジオス」の行った結果だ」
「しかし、私達は…」
「もう済んだ事だよ『ダイアナ』それに、『フェリシア』はもういない…そう、もう済んだんだ…」
「『ジオス』…様…」
「それよりもダイアナ、私の願いを聞いてくれるかな?」
「ジオス様のでしたら何なりと」 ペコ
「ん、じゃあ、まず君にはここ、偽世界「アーク」の最高神、女神になってもらいたいんだ」
「わ、私がですか⁉︎ で、出来るでしょうか?」
「ん、大丈夫だよ、君の姉「個体No.A01 アリシア」も特殊制御コアから正式に最高神となって、別の異世界「アーク」の神、女神になってやってるよ」
「本当ですか? 『アリシア姉様』が…」
「ん、君たち女神シリーズの特殊制御コアは皆、その素質があったからね」
「わかりました。ジオス様、出来るだけやってみます」 ペコ
「よし、創神技!《ディアファケーションッ!》」 キンッ! シュゴオオオーッ!
アニスが呪文を唱えると、ダイアナの身体は黄金の光の柱に包まれた。そしてしばらくしてソレが収まった時、そこには特殊制御コアのダイアナではなく、この世界の最高神、女神ダイアナが誕生していた。
「よし、上手くいった」 シュウウンン
「こ、これが私…これが神の、女神の力…」 グッ
「さあ、今度はこの世界だ、完璧な世界にしてしまおう」
「はい!」
アニスと女神の力を得たダイアナ2人は、この偽世界「アーク」を、正しい世界へと変革していった。ゼルファ神帝国、アトランティア帝国の人々を元に戻し、「スピリット.コレクトスフィア」の力を借りて、両国の関係を改善。拉致、誘拐者は元に戻し、両国の管理は、人格のない制御コアを作り任せた。
そんな工程を、2人は1日でやってしまった。元々世界ができていた事、魔素の元になる発生源を次元炉から容易に変換できた事、「スピリット.コレクトスフィア」で大抵のことが行えた事、2人の強力な力と能力があった事などで、それはできた。
「うん、こんなとこかな、あとはダイアナ任せてもいいかい?」
「はい、ジオス様、もう大丈夫です。あとはお任せください」
「ん、さて、私は行くね」
「ジオス様」
「ん?」
「しばらくはこの世界におられるのですよね?」
「ああこの世界はもう大丈夫なんだけど、元に戻る方法を探さないといけないからね」
「この世界から出て行かれるんですか?」
「心配しなくてもいいよダイアナ、行き来、出来るようにするから」
「ならいいです。此処からジオス、じゃなくてアニスちゃんを支援しますね」ニコ
「あはは、ほ…程々にね…」
「あと一つ、良いでしょうか?」
「ん?」
「アニスちゃんは女の子ですから、もう少し女の子らしい振る舞いと話し方をしたほうが良いかと」
「ん〜、やっぱりそうかな?」
「はい、せっかく6大女神『エレンディア』様から頂いたお体です。こんなに可愛い女の子が、男性口調ではちょっと…」
「ん、わかった努力してみるよ、いや、努力してみるね、ダイアナお姉ちゃん♡」 ニコ
キュンッ!
「アッ アニスちゃんッ!可愛いいいッ!」 ギュウッ!
「わッ! ダ、ダイアナお姉ちゃん!」 ギュウウ
「アニスちゃん、お姉ちゃんがしっかり守ってあげるからねッ!」 ギュッ!
「あはは…(やりすぎたかな?)、じゃあ行くね」
「気をつけてねッ! アニスちゃんッ!」
「うん!」 シュンッ!
アニスは、ゼルファ神帝国 神帝都中央タワー地下の最奥から一瞬で、両国の激戦地、国境周辺に転移してきた。
ーアトランティア帝国国境周辺 森林地区ー
シュイイイインンッ! パッ! スタンッ!
そこは、見通しの良い森の中だった。木々の間隔が広く、生えている草花は足首までの短いものばかりの森であった。
「え〜ッと、こっちの方角がアトランティア帝国だったかな?」 テクテク
アニスは、転移してきた場所からアトランティア帝国の帝都方面に向けて歩き出した。1時間ほど歩いていくと、森の中には相応しくないものを見つけた。
「ん、なんだコレ?」 ペチペチ
それは巨大な楕円形の金属の塊であった。それには所々、焦げ目がついたり、此処に落ちた時にできたのであろう、擦り傷がたくさんついていた。 アニスはその巨大楕円形物体の周りを調べてみた。
「まさか、また『ジオス』関連のものじゃないよねえ…」 サクサク ジロジロ
来た方向とは反対側に回り込んだ時、その物体に紋章と文字が描かれていた。
「ん、これって…ん?」 ガサガサガサッ! ババッ!
「おりゃああーッ!」 ビュンッ!
「んッ!」 ビュンッ! ギャギイイインンッ!
アニスが見つけた紋章と文字を見た瞬間、すぐ横の草むらからアニスを1人の人物が金属棒で襲って来た。アニスもすかさず、腰裏の神器「アヴァロン」を抜き、それを防いだ。
「クウッ! って、あれ、アニス…大尉か?」 グッ!
「ん、なんだ、グレイ艦長さんだ!」 グッ!
ババッ! スッ!
2人はすぐに離れた。草むらからアニスを襲ったのは、駆逐艦「ライデン」の艦長、「グレイ少佐」だった。
「すまんッ! てっきりゼルファ神帝国の残党狩りかと思ってな、飛びかかってしまった」ペコ
「ん、大丈夫ですよ、グレイ艦長、別に怪我もしてませんから」 ニコ
「いやあ、本当にすまん、服装が軍服じゃあ無かったからついな…」
「ああ、コレですか、元々の私の服ですから仕方ありませんね」
「ふむ、しかしこう見ると、お前さん…いや、大尉は凄い美人なんだな。レオンが惚れるわけだ」
「へ? い、い、いまなんと…」 カア
「いやだからさあ、レオハルト少佐の奴が大尉に惚れて込んでるって話さ!」
「はうッ!」 ボンッ!
アニスの顔は真っ赤になった。
「なんだ、大尉も満更じゃなさそうだな」 ふふん
「ちちちッ 違うッ! こ、これは…そのう…そう!びっくりしたからだッ!」 ババッ!
「ふむ、そんな大尉も可愛いな」 うん!
「う〜…はッ!(なんで私は赤くなってんだ?)」
「まあ、大尉も無事でよかった。何かあったらレオンに顔向けできんからな」
「はあ〜、で、グレイ艦長」
「うん? 何かな大尉」
「なんで『ライデン』、こんなに小さくなったんですか?」 スッ
アニスは楕円形の物体を指差しグレイ艦長に問いただした。
「そんな訳あるか!」 バッ!
「でもそこに「駆逐艦ライデン」って書いてますよ。ご丁寧に帝国の紋章付きで」
「これは脱出艇! 『ライデン』は落とされたんだよ!」
「え⁉︎ じゃあ他のみんなは⁉︎」
「ああ、怪我人はいるが全員無事だ。被弾してすぐに皆脱出艇に乗れたからな、全く奇跡だよ」
「それじゃあ、ライナーは⁉︎ アラン達はどうなったんですか⁉︎」
「ああ、『ライデン』所属のブレードナイト隊なら、皆無事だぞ! 全員、戦闘空母『フェリテス』に収容されてるはずだ」
「そうですか」 ホッ
「我々は今、此処で回収部隊が来るまで待っている状態さ」
「では、他の乗組員は?」
「ああ、ほとんどは既に、前の便の回収艇に回収されて、今残ってるのは、我々だけさ」
「我々?」
ガサガサゴソゴソ!
すると、さきほどの草むらから10人ほどが出てきた。
「あーッ! アニス様ああッ!」 タタタッ! ガバアッ!
「え! あッ! マッ マリー曹長! うぐッ」 ギュウウ!
「アニス様、マリーは御心配申してました。ご無事でよかったですうう」 スリスリ
「あ、あははは、マリーも無事で安心たよ」 ナデナデ
「はああッ♡ ありがとうございます」 ギュッ!
「やれやれ、マリーの一途は男女関係なしか」
そう言って後ろから現れたのは、駆逐艦『ライデン』の甲板長『ダゴス中尉』だった。
「あッ!ダゴスだ!」
「アニス大尉殿、無事で何よりです」 サッ
「あなたも無事でよかったですね」 ニコ
「あ、ああ…ありがとうございます」 カア
ダゴス中尉は顔を赤くして返事をした。
「あーッ! 甲板長赤くなってるッ! ダメですよッ!アニス様は私んだからッ!」
「ち、ちげえよッ! 馬鹿野郎!」 ザッ ザッ ザッ
甲板長は怒りながら、脱出艇の方へ歩いていった。
「ん、じゃあ、回収艇が来るまで、私も此処で一緒に待とうかな」
「はい、じゃあ今夜はマリーと一緒ですね!」 ギュッ!
「はは……」
アニスは、駆逐艦『ライデン』の皆と、回収艇が来るまでここで野営をする事になった。
いつも読んでいただきありがとうございます。
次回もでき次第投稿します。