第143話 アニスVSF01 フェリシア
ーゼルファ神帝国 神帝都中央-
ヒュウウウーッ バサバサバサ…
神帝都、中央タワーがあった場所は、アニスの攻撃で更地と化し、今は3人の人影があった。
「お久しぶりですね…ジオス様」 スタスタ…ニコ
「ん、やはり君は私を覚えているんだね」
アニスの前に現れたのは、歳の頃は15歳くらいの美少女、赤い瞳に黒髪のロングヘアー、ピンクを基調としたインナーに白いシャツと黒色のアーマロングコート、黒のショートパンツに膝まである戦闘ブーツ。そしてその手には漆黒のバスターソード、神剣「ヴェルター」を携えていた。
「当然です。私たちにとってジオス様は絶対の存在、姿形が変わろうとも、忘れるなど絶対にありえません」
「そうか…そうだったな…」
ごそッ! ググッ!
「い、いったい…な…何の話…だ…ううッ…」 ググ…
膝をついたまま、ダイアナは問いかけてきた。
「あら、まだ動けたのですか?」 ジロッ スッ
「まだ意識があったのか…ん、やめろッ!フェリシアッ!、ダイアナはもう戦えないッ!動けないんだッ!」 サッ
フェリシアは冷たい視線で、ダイアナをじっと見ていた。
「ジオス様、コレはもういいのです、今、片付けますね」 グイッ!
「うう…コ、コレ?…わ、私の…事か?…」 ググッ…
「全く、こんなにも役に立たないなんて…」 シュリンッ!
「ひッ⁉︎」 ビクッ ガタガタ…
「な、やめろーッ!」 ババッ!
「さようなら、お姉さまッ! ふふッ!」 ビュンッ!
「え、…ぎゃあああーッ!」 ザシュウウウウーッ!
「くッ!」 シュン
フェリシアは持っていた神剣で、膝をついて重症で動けないダイアナを切りつけてしまった。アニスは咄嗟に救おうとしたが、一瞬遅く、フェリシアの凶刃はダイアナの身体を切り裂いてしまった。アニスは勢いでダイアナの抱きかかえフェリシアより離れた。
「遅かったか…」 サラサラ…
アニスに抱き抱えられたダイアナは、切られた自分を見て目を見開き驚愕した。
「あ…ああ、そ、そんな…私が…私が……」 ブルブル…. ポロッ! サラサラ…
自分の切られた体は、自分が見てきた他の神徒同様、足元から崩れ始めたからだ。そして、彼女の頭の中に声が聞こえた。
『神徒番号0000001-D ゼルファ神帝国 「メイン制御コア D01ダイアナ」の単素体ユニットの活動停止 破棄命令』 ポンッ
「う…うそ…そんな…」 ガタガタ… サラサラ…
「気がつきました? そう、貴女もただのユニット、途中迄は良い働きでしたけど、最後はねえ…」
「わ…私は…女神…じゃない…の….」 サラサラ…
「あはははッ! な訳ないじゃない、貴女もただの道具、あ、自分で言ってたわね、『ゲームの駒』って ふふふ」 クスクス
「だ、だけど…私には、女神の…力が…」 ポトポト サラサラ…
ダイアナの伸ばした腕がどんどん崩れていく、まるで乾いた粘土細工のように。
「力が使えたって言うんでしょ、当たり前じゃない、貴女の中に私がいたんだから」 ふふ
「そ…そんな…」 バサッ! サラサラ…
ダイアナの体はさらに崩れていく。
「フェリシア、もういい! ダイアナ、本当のあなたは私がなんとかするから」 ニコ
「え?…」 バサバサッ サラッ!
もう体の半分以上が崩れ、アニスの腕にある頭と上半身のみになっていた。そんな状態の時、言われたアニスの言葉にダイアナも思い出した。あの伝承の一節「創神少女伝説」の一節を…
{「ん、大丈夫、私がなんとかするから」}
「(ああ、あのセリフと一緒だ…この安心感、この娘はやっぱり…)ご…ごめんなさい…」 バササアアーッ サラサラサラー……
ダイアナはアニスに一言、謝罪の言葉を残し消えていった。
「ああ、やっと消えたみたいね」 ふふ
「……」 ヒュウウウ〜 コロコロ パキイインッ サラサラサラ…
アニスに手の平に、黒く変色した制御コアが転がっていたが、一瞬で細かく砕かれ、風に乗って散っていった。それはかつて女神を名乗ったメイン制御コアのダイアナの炭素体ユニットコアであった。
「フェリシア、全ては君の思惑どうりかい?」
「ええ、おそらく…」 コクン
アニスがそう尋ねると、フェリシアはさっきとは打って変わって真面目な顔つきになった。
「じゃあこの後のことも?」
「もちろん、順調に事は進んでいます…今回の事を除いて」
「説明…してくれるかな?」
「説明? もうわかっているのではないのですか?」 ニコ
「…本気か? 私が駄目だといっても?」
「本気です。止めません」
「そうか…念のため聞くが、思いとどまる事は無いか?」
「残念ながら…」 フリフリ
「そうか…では…」 チャキンン スタスタ
アニスはアヴァロンを片手に、フェリシアに近づいていった。
「仕方がありませんね」 チャキ
「私が邪魔か?」 グッ
「あの方が邪魔とおっしゃってますから」 グッ
2人は間合いを詰めた後、お互いの剣を構えた。
「ちなみにあの方って誰だ?」 ジリッ
「ナイショです。私に勝ったら教えてもいいですよ」 ジリッ!
「ん? 私に勝つつもりなのか?」
「当然、でなければ挑みません!」
お互いがそんな会話をしつつ、間合いを詰めていく、そしてそれは同時に始まった。
シュバアアアアーーッ!
「「 《刹那ッ!》 神級剣技ッ!」」 バババアアアーッ!
「んッ!《イージスエッジーッ!》」 シュイン! シュバアアアアーーッ
「ふふ!《イージスエッジ!》」 シュイン! シュバアアアアーーッ
ギュウウウンン! バシイイッ ギギイイインンッ! バアアアーーッ
「ん、私と同じ剣技⁉︎」 グググッ!
「ふふ、ジオス様、いやアニスちゃん、こんなものですかあ」 グググッ
バシイインンッ! ザッ! ダ ダ ダダッ! ザザアアアーーー!
2人は全く同じ剣技を繰り出した。当然相打ち、お互いが中央で鍔迫り合いをした後、それぞれの後ろに飛びのいた。
「ふふ、どうですか、私の剣技は?」 チャキッ!
「ん、申し分ないな、完璧だよ」 チャキッ!
「あら、それだけ?」
「ん、他に何か言ってほしいのか?」
「正直に言ったら良いんですよ! 『自分より強い』って」 ふふ
「そんなことか、まあ、確かに少し威力があったかな」
「ふふ、まだ正直ではないですねえ、じゃあ、次行きますよ」 ググッ!
「ん、来い!」 グッ!
シュバアアアアーーッ
「「 《刹那ッ!》 神級迎撃剣技いッ! 」」 ズバアアーーッ
「ふふッ! 《ガイエリアス.ファングッ!》」 シュウウイーーン!
「ん、《ガイエリアス.ファングッ!》」 シュウウイーーン!
ギュウウウンンッ! バアアアーーンンッ! シュウウウウーッ
「あら、コレも私の方が強そうですね」 ギリギリ
「んッ! こ、コレも使えるのか⁉︎」 ギリギリッ…
「ふふ、随分と力が衰えてませんか、アニスちゃん?」 ババッ!
「ん、そ、そんな事はッ! はあッ!」 ババッ!
ギュイイイインッ! キンキンッ!キキッ! ギインッ! ギャンッ! シュッ! シャッ! ギイインンッ! バババッーーダッ ザッザザアアアーーー!
一瞬の出来事だった。 アニスとフェリシアは、お互いの迎撃剣技を繰り出した後、その場でさらに高速の剣撃を無数に繰り出し、攻撃と迎撃の応酬だった。どちらも決定打に欠き、強力な一撃のあと、再び間合いを取った。
シュウウウウゥゥゥー…
「ふふん、どうですか? これでも私が勝てないと?」 くるくる ビュンビュン
フェリシアは勝ち誇った笑みを浮かべ、自分の神剣を回していた。
「ふう~… ん、確かに今の君は強いね、でも…」 チャキ
「でもなんですの? 私は強くなったんです。だれよりもねえ」 ニコ ビュンッ!
「ん、それは私の事か?」
「あたりまえじゃない~、ここまでやられて気が付きません? 私、まだ本気出してないんですよ~」 うふッ!
「そ、そうか、それはすまなかったな」 ググッ! チャキッ!
「あら、まだやりますの? じゃあ、少し本気で行こうかなあ」 チャキインン!
アニスは再びミドルダガーのアヴァロンを構え、攻撃態勢をとった。それに応じて、フェリシアも、漆黒の神剣ヴァールを構える。
「「 はああああーーーッ!」」 シュワアアーーッ
「さあ、これでおしまいねッ!《刹那ッ!》」 キュインッ! シュバアアーーッ!
「さよならですよお、アニスちゃん、神級激滅剣技ッ!《カルバネル.グラン.バーストーッ!》」 シュキインッ! ドバッバアアアアーーーッ! ギュオオオオーー!
「(ふふ、この剣技は誰も知らないッ! 私だけのオリジナル最強剣技ッ! ジオス様、いやアニスちゃん、さよならですよおッ!)」 バアアアーーーッ!
フェリシアはアニスに対し超高速の必殺権を打ち込んできた。だがアニスはそんなフェリシアを見ても平然として、次の技に入った。
ギュオオオオオーーーーッ!
「あはははッ! さようならアニスちゃーんッ!」 バババアアアーーッ
「ん、《ファントムッ!》」 ブンッ!
アニスの体が一瞬、ぶれた、だが、フェリシアはそのまま剣技を出し切った。
ザバアアアアーーーーッ! ドガアアアーーンンッ‼ バババアアッ‼
「あはああッ! やったやったあーッ!」 ビュウウウーーッ! ドオオンンッ!
バラバラバラッ! モクモクッ バアーーッ!
アニスがいた場所は、極大な爆発と土煙が起こり、勢いで舞い上がった石や砂が舞い降りてきた。フェリシアはその光景を見て、アニスに勝ったと思い喜んでいた。
「あはは、やっぱり私って今、最強って存在、あのジオス様を倒したんだ、もう誰にも負けないって感じ」ふふふ
フェリシアがそう思った瞬間、彼女のすぐ後ろ、首筋に冷たいものが触った。
ヴンッ! チャキッ!
「え⁉︎ なにッ?」 ビクッ!
「ん、私の勝ちだね」 ニコ シュウウウウウゥゥゥ… バサバサ…
黒髪に黒のロングコートをまとったフェリシアのすぐ後ろに、白銀髪のセミロングヘアーで、白を基調とした上着にスカート、その手に神器、ミドルダガーのアヴァロンを、彼女の首筋にあて構えたアニスがさっそうと立っていた。
「ひえッ⁉︎ はあッ⁉︎ はああああッ⁉︎ な… なんでえええッ⁉︎」 ブルブル
「フェリシア、君の負けだ!もういいかな?」 ググッ
「なッ⁉︎ そんなあッ!」 プルプル
フェリシアは何が起こったか全くわからなかった。
「フェリシア、君は自惚れ過ぎだ! ここで終わりにすれば君を消しはしない」
「ふ…ふふ…やるわねえ、アニスちゃん。でも、あまいわよッ!」 ババッ! シュンッ!
「おっとッ!」 バッ! バッ! タンタンタタッ スタッ!
フェリシアは首のミドルダガーに気にも留めず、そのままアニスに回転しながら神剣で切りかかった。アニスもその攻撃をかわすため、後ろに、バク転して交わした。
「ふふ、これも交わすとはさすがはアニスちゃん、少しなめてました」 チャキッ!
「いや、最初からなめ過ぎだろ」 フリフリ
「なッ! くううッ! ちょっと可愛いからっていい気になってええ!」 ググッ
「(いや、可愛いとか関係ないし、何言ってんだ?)ふう〜」 ヤレヤレ
「か、構えなさいッ! 次は無いわよッ!」 ババッ!
「ん、じゃあ私も次はなしでいくッ!」 ギンッ!
ビクッ! フェリシアはアニスのその本気の目を見て少しびくついた。今の今まで、こんなアニスを見たことがなかったので驚いていた。
「な、何よ! 偉そうにッ?(何⁉︎ アニスちゃんの雰囲気が変わった?)」 グッ
クルクルッ チャキッ! ググッ ザッ!
アニスは神器アヴァロンを手の中で回し逆手に持った。腰を少し落とし、右足を少し下げ、右手のアヴァロンを構えた。
「さあ、コレで終わりにしようか…」 ググッ!
「ふふ、そうね終わりにしましょう、アニスちゃん!」 ググッ!
2人はそれぞれの神器、神剣を構えた。
「んふッ!(なんかゾクゾクしてきたわ、こんな気分になったのは初めて!)」 バアアアッ!
「ん、フェリシア…」ググッ!
バババアアーッ!
「「《刹那ッ!》神級近接剣技ッ!《バーゼル.グラン.リッパアーッ!》」」 シュンッ! ドババババッ!ガアアーーーンッ!
2人の雌雄を決した戦いが始まった。お互いが持つ剣技、次第に魔法まで打ち合いながら戦い、まるで戦場にいるような状態になった。
ビュンッ ザザアアアーーーッ! バッ バッ ドガアアアアンン シュンッ! ビュンッ! ババッ
「このおッ! 《シルベスタランスッ!》」 キュイン キュンキュンキュンギュン!
「ん、《エクゼ.ブラン.バースト!》」ヴァンッ! ビュンビュンビュンビュビュン!
ドカドカドカアアアアッ! キュンッ! ヒュンッ! キンキンッ! バッ!バウンッ!
「これなら!《ヴァーギス.レインッ!》」 シュアンッ! ビュオオオオオーーッ!
「おっと《ハルバドール.シルトッ!》」 パアアアンンッ! ドゴオオオオッ!
シュワアアンンッ! ギンッ! ドカアアアアッ! バンバンッ!ズガアンンッ!
ビュウウンンッ! スタッ! ザザアアアーーーッ チャキッ!
「ハアハアハア、流石ね、この…ハアハア、私と…互角なんて…ハアハアハア…」 チャキンン!
「ん、そうだな、フェリシア、君はすごいよ。ここまで打ち合ったのは何千年ぶりかな」 スタッ!
ビュウウン… バサバサ…
中央タワーがあったあたりは一面、更地のようになり、4本あった通信タワーもその存在をなくしていた。
ポタポタ…ポタポタ…
「ハアハア、うッ! 私が血を流してる? ありえないッ!(アニスちゃんの剣や魔法は全部防いだと思っていたのに、いくつか知らないうちに身体に受けてたって事?)」 ササッ!
「ん、もういいのかい?」 チャキッ! ニコ
「くッ! (このままじゃ勝てないッ!)」 ギリッ! ギュッ!
フェリシアは此処に至って、ジオス、アニスの力に対し勘違いだったと気がついた。アレだけの剣技と魔法を使いながらも、自分と違って全く、疲れていない、それどころかまだ本気すら出していないような素振りだった。
「ふふッ あはははははッ!」
「ん、フェリシア?」
「いい、いいじゃないッ! アニスちゃん! これでこそ剣士冥利に尽きるわッ!」 ギュッ!
「フェリシア…君は…」
「ふふ、目覚めなさい『ヴェルター』、その力を解放し、我が敵を滅ぼせ」 キイイインン! シュワアアンンー
フェリシアがそういうと、持っていた神剣「ヴェルター」は、その刃身を輝かせ、神聖なる力を出し始めた。
「神剣解放か… フェリシア本気だな…」 グッ
「さあ、アニスちゃん、もう後には引けないわよ、コレで終わりにしましょう」 ふふッ
「全くだ、その意見に賛同しよう」 スッ!
アニスもまた神器アヴァロンに左手の人差し指と中指を揃えて、その刃身をなぞった。するとなぞった部分には神語であるヒエログリフが浮かび輝き出した。
「アニスちゃん、覚悟は良い?」 ブワアアアーーッ!
「 ん! 」 コクン ヒイイイイインンン!
ドバアアーーッ! ザッ! タタタタタタッ!
「いくよおおッ!《刹那ッ!》神級神剣剣技ッ!《ヴェルター.グラン.バスターッ!》」 ギュウンッ! ドッパアアアーーッ!
「ん、《刹那ッ!》 神級撃滅剣技ッ!《アルテナ.グラン.バスターッ!》」 ヒイイイイインンン ドギュウウウウーーンッ!
シュバアアアアーーーッ! カッ‼︎ ドガアアアアアアンンンーーッ‼︎
ヒュウウウー……
猛烈な威力のある剣技同士のぶつかり合いで、あたり一面が真っ白に光り輝いた。やがてその光が収まった頃、更地と化した大地には、颯爽立ち白銀髪とスカートを靡かせたアニスと大地に横たわっているフェリシアの姿があった。
「う、うう…はは、ま…負けちゃったか…」 ケホケホ
テクテク ザッ!
「フェリシア、勝負有りだ」
「う…うん…」
フェリシアはもう動けなかった。神剣を持っていた右腕は神剣もろとも吹っ飛び、肩から無くなり、足も左足は膝から下がなかった。アニスはそんな彼女の体に手を当て、横に来て座った。
「約束だよ、いろいろ話してもらうぞ」
「そ、そうだね…約束…かあ…」
「ん、何か他に約束があったのか?」
「え…えへへ…随分…むかしのね…」 ケホッ
「そうか、で、あの方って誰だ?」
「それは…アニスちゃん…もよく知ってる…よ…」 ケホケホ
「ん、私が知ってる者か…」
「でも…もう…それを知っても…遅い…かも…」
「まあ、大体予想はつく、『個体No.000Zfar01』だろ」
「…ッ! 流石ですね…正解です…」 ケホケホ
「何をしようとした?」
「……………」 パクパク
もうフェリシアは声を出すことさえできなくなっていた。アニスは彼女の頭に手を当て彼女の言葉を読み取った。
「私をか?」
「………」 コクン
「君はそれを望んだのか?」
「……………」 フリフリ ケホケホ
「ん、そうか…私はてっきり『お前が私に助けを求めた』その為に『アトランティア帝国の少年達に会わせた』と思ったのだがな」
「ッ!………」
「君の予想に反し、偽物のD01ダイアナは最初こそ神帝国を収めていたが、暴走してアトランティア帝国の民を拉致誘拐しだした。その為、軍隊を送り込み、戦争を起こし始めた」
「………」 コクン
「ここへ、この世界へ呼ばれた時感じたんだ。私の知っている世界『アーク』ではない、何かが違うと」
「……」
「で、結論から言うと、この世界も、もう後がないのだろ、違うかいフェリシア」
「……….」 コクン
「で?この後はどんなシナリオなんだ?」
「…………」
「私を抹消か…フェリシア、君の考えではないな!」
「ッ!…………」 コクン
「ん、大方予想はついてる、『個体No.000Zfar01』がお前を、お前たちを唆したんだろ」
「ッ!…」
「こんな大掛かりな仕掛け、お前たちじゃあ無理だ。私を消すために一つの異世界を作る、これだけの事が出来るのは6大女神の力を持ったアイツしかいないからな」
「………」
「D01ダイアナだって、他のゼルファ神帝国国民同様、君が保管しているんだろ?」
「……」 コクン
「だがこの世界が持たない、私を抹消するためにつくった世界、だがその中で生まれ、国を作り生きている者達がいる。このままでは自分も、保管している者達や生きている者達全てが抹消されてしまう。君は彼ら全てを助けたいんだろ?」
「……」 コクン
「わかった、君が保管しているもの達は引き受けよう」
「………」 コクン
アニスはおおよその事情を掴んだ、この世界に呼ばれた理由、この世界の情勢、そして、これこそが1番の情報、この世界がアニス、ジオス1人を抹消するためだけに作られた、また一つの異世界「アーク」だったという事だった。
そこまでしったとき、フェリシアの時間がなくなってきた。
「(アニスちゃん、もっと違う形で会いたかった…)」
「ん、フェリシア…またな、次会うときはいい友達になろう…」 スッ!
・
・
・
『F01フェリシア!F01フェリシア! F01フェリシア!』
『あ、はい!』
『目覚めたわね!』
『私は…』
『あなたは私が作った特殊コアのフェリシア、F01フェリシアよ!』
『はい、ありがとうございます。え〜っと…』
『私は女神、神界6大女神の1人 フェリシアよッ!』
『はい、よろしくお願いします』
『まあ、自由にするといいわ。ただしこれだけは約束して』
『約束?』
『そう約束よ』
『どんなものでしょうか』
『いい、絶対にジオス様だけには逆らわないで!』
『ジオス様?』
『そう、いい約束よ! 絶対だからね ぜったいだ…から…ね…』
「(ああ、そうだ約束したんだった…約束、やぶちゃった……」 フッ
個体No.F01フェリシアの時間が今止まった。
いつも読んでいただきありがとうございます。
次回もでき次第投稿します。