第140話 驚異の創生身体 アニス神帝国へ
ーアトランティア帝国 国境付近平原上空ー
シュゴオオオオオーーッ ゴゴゴゴッ!
ピッ ピッ ビコッ! カチカチ
『方位0337 テーブルNo.07 マーカー03 速度27ノット!』 ピッ ポン
『機関巡航! 到着まで約20分ッ!』 ビコッ ピッ ピッ
『アニスお姉ちゃん、もうすぐ着くからね』 ポン
「ん、ルイ、ありがとね」 ニコ
『えへへ』 ポン
新生・装甲重巡航艦「ノイ・バルゲイト」の広いブリッジには今、アニスが1人いるだけで誰もいなかった。現在、「ノイ・バルゲイト」の操艦はルイ少年自身が、「ノイ・バルゲイト」の中央制御室のメイン制御システムに接続して行っていた。
乗組員のいなくなった「ノイ・バルゲイト」だが、アニスの能力でルイ少年がメイン制御システムにつながる事で、彼1人だけでもこの巨大な艦を自分の手足のように動かすことができた。 元々この艦はルイ少年専用艦として製造された物であったので、彼に取っては容易のことだった。
アニスによって再構成された装甲重巡航艦「ノイ・バルゲイト」は、この世界で唯一、ルイ少年1人で操艦できる『単身操艦 装甲重巡航艦』となった。
旧装甲重巡航艦「バルゲイト」には、乗組員624名がいたのだが、その全てがゼルファ神帝国からの一方的な接続遮断で機能停止して動かなくなり、乗組員だったソレは作業途中で停止した状態で固まっていた。
アニスは動かなくなって椅子に座ったままの兵士の1人を調べてみた。彼もまた何か操作中に止まったのであろう、目を開け、スイッチ類に手をかけたままの状態で、動かなくなって停止していた。
「ん、やっぱり、どれも作り物の身体、生身じゃあない…か…」 スッ! バラバラ
グシャッ! ズシャアーッ!
アニスがそっと手を触れると、その動かなくなった兵士の身体は、まるで砂で作った城のように、細かく崩れていった。そして、崩れた兵士だった物の中に、黒くくすんだ水晶玉が残されていた。
「ん、これは…簡易制御コア…そうかコレで動いていたのか。ダイアナ…考えたな…ん、待てよこれって…こうして、こうするだろッ、それでこうすれば…うん、これは使える。…だとすれば、元の本体はダイアナが把握してるな」 グッ! パキッ パラパラ…
アニスがその水晶を見てある事を考えつき、その水晶を軽く握ると、最も簡単に割れ、崩れていった。アニスは手のひらで崩れた水晶を見て決心する。
「まだ、間に合うかもしれない…ダイアナに会ってみるか…」 ジッ!
「ノイ・バルゲイト」のブリッジから、神帝国方面を見て、アニスは決めた。
ーアトランティア帝国 国境付近平原ー
ヒュウウウ〜 そよそよ
「うッ うう…こ、ここは…?」
平原に山岳地帯からの風が吹き、地に生えている草花が揺れていた。そんな中、怪我で気を失っていたベルダム大佐は目を覚ました。
「ようッ! 気が付いたか⁉︎」 サッ!
「き、きさまは…」 ググッ
草原に横たわっていたベルダム大佐に目の前にいたその人物は、ライナースーツを着たレオハルト少佐だった。
「おいおい、あまり無理するなよ 頭打ってんだぞ!」
ベルダムは自分の頭に手をやると、包帯が巻かれ、治療されていた事に気が付いた。
「コレは、きさまが…」 ササッ
「まあな、俺はレオルト少佐、『アウシュレッザ』のライナーだ」
「うむ、俺は…」
「ベルダム大佐…だろ」 サッ
「なぜ、名を知ってる?」
「ああ、大佐のブレードナイトが教えてくれたのさ」 スッ
そう言うと、少し離れた所に着座して動けないでいるベルダム大佐の愛機、青いブレードナイトの「シュバルツライザー」が、純白のブレードナイト「アウシュレッザ」と共にそこにいた。2体は何かコソコソと話をしているようであった。
「白いブレードナイト…強かったな…少佐のか?」
「いや違う、俺のは大佐に落とされたヤツだ」
「あの、すばしっこいヤツか…」
「大佐の怪我の治療は、アウディに頼まれてやったんだぜ」
「アウディ? 誰だソレは?」 ジロッ!
ベルダムは、レオハルトにそう呼ばれた人物を探そうと、寝ている状態で周りを見た。
「まあ、信じられないだろうけど…」 クイッ!
レオハルトは親指を立て、「アウシュレッザ」を示した。
「アイツがアウディ? ブレードナイトが俺の治療を指示したのか?」
「ん〜、いや…多分アニスだろなあ」
「アニス? ヤツのライナーか?」
「ああ、そうだ、アニスには大佐と、あのブレードナイトを助けろって言われたんだぜ」
「『シュバルツライザー』と私を…なぜだ?」
「ああ、何でも『必要な人達で用があるから』だと」
「敵である我々が必要か…」
「やっぱ変か?」
「いや、私もあの白いブレードナイトには興味があった。そのライナーにも会ってみたい」
「そっか、ゼルファ神帝国にも話の分かる者がいるのだな」
ゴゴゴ……
その時、国境方面から巨大な艦影が徐々に大きくなって近づいて来た。
「うん? 何だありゃ⁉ でかいッ! 重巡か?」
レオハルトが、目を細めみたそれは、まぎれもなくアニスによって新生した、元ゼルファ神帝国所属の装甲重巡航艦、新生・装甲重巡航艦「ノイ・バルゲイト」であった。
「て、敵艦だああ―ッ!」 ババッ!
「おお、我が艦ッ!「バルゲイト」かッ!」 ガバッ!
ゆっくり近づいてくるその巨大な艦影を見て、ベルダム、レオハルトの両名はそれぞれ別の反応を見せた。
ベルダムは援軍として、レオハルトは脅威としてみていた。
シュゴオオオーーッ! バウウウウーッ! ゴオンゴオンゴオンッ!
「な、なんて美しい… 本当に戦闘艦なのかッ!」
「はッ⁉ ち、ちがうッ! 「バルゲイト」ではないッ!何だあれはッ!」
バッバッ! バウウウウーッ! ドドドドオオ―ッ プシュウウウー
その巨大な艦影は、次第にはっきりとし、2人の頭上上空、240mの所で停止した。2人が驚いたのは無理もなかった。レオハルト少佐にとって初めて見る艦型で、流れるようなラインに純白の艦体塗装、要所要所に存在する模様と神語のヒエログリフ、まさに美、そのもであった。
方や、ベルダム大佐にとって自分の艦の様変わり用に驚いていた。艦体横に書かれている艦籍番号は合っているのだが、自分の見知っている艦の形ではなく、全く別物の新造艦にしか見えなかったからだ。
ピッ ピッ ピコン!
『アニスお姉ちゃん、目的地に到着 艦を降ろすの?』 ポン
「ん、ありがとう、そうだね、上陸出来る高さまで降ろしてくれる?」
『了解、降下します』 ポン
ゴゴゴ バッ! バッ! シュウウウー
「ノイ・バルゲイト」は、ゆっくりと降下し始めた。
「うおッ!降りてくるぞッ!」 バアアアーー
「うぬううッ!」 ぐぐッ! ババアアー
ビユウウウウウウ…… ガクウーーンッ ゴオンゴオン
『上陸高度に到達、自動懸垂、タラップ下ろします』 ポン
カタタタタ ガコンッ! プシュウウゥゥ…
『アニスお姉ちゃん、上陸できるよ』 ポン
「ん、じゃあルイも一緒に行こう。船は自動で任せておけるんだよね」
『うん、じゃあちょっと待てて』 ポン
ガコンッ! ピピッ! ビコッ ピッ! ピッ! ピコンッ!
艦の指令系統が切り替わったのか、ブリッジ内の計器が著しく動く、やがてそれらは安定していった。
プシュー タタタ
「アニスお姉ちゃん、お待たせ」 ニコニコ
「じゃあ、降りてみんなの所に行こうか」 スッ
「うん!」 スッ
自由になったルイは、アニスと一緒に手をつなぎ艦を下りて行った。
・
・
・
「うん?誰か降りてくるぜ」
「あれは…まさかッ!『バルゲイト』の制御体か⁉」
タラップの奥の方から2人の人影を見た。少年と少女、仲良く手をつなぎ地上へと降りてきた。
「あ、あれはッ! アニスーッ!」 バッ! ダダダッ!
「ん、レオンッ!」 フリフリ
ダダッ! ガバアッギュウウッ!
「えッ⁉ わッちょッ! レオン―ッ!」 ギュウウ―ッ!
レオンハルトは、タラップにいるのがアニスと分かると、急に駆け出し、アニスに抱き着いた。
「ばかやろうッ! お前ってやつは…」 ギュウウー
「ん、レオン…心配かけてごめんね…」 ポッ サスサス
アニスは抱き着いてきたレオンハルトの背中をさすりながら、顔を少し赤らめ謝罪した。
「アニスお姉ちゃん、コイツだれ?」 むす~
ルイ少年は、アニスに抱き着いてる男に、警戒心を持ちながら尋ねた。
「ん、ああ、この人はね,【レオハルト・ウォーカー】、ブレードナイトのライナーで、少佐なんだよ」
「で、アニスお姉ちゃんとはどんな関係?」
「出会って、数日だから…友達…かな…」 ニコ
「友達か…ならいいや」 ニコ
「ああ!そりゃあねえだろッ!アニス!、俺とお前の仲じゃねえかッ!」
「ん? それはどんな仲なんだ?」
「だって! ほらッ そのお~…なんだあ…」
「ククク…あはははッ!」
「アニス?」
「あはは、ごめんねレオン、分かってるから」 ニコ
「そ、そうか…はは、そうか…」 デレ
そんなやり取りを見て、ベルダムは、不思議な顔をしていた。
「(この少女がアニス? あの白い『アウシュレッザ』のライナーだと? 信じられん、こんな娘が、あんな凄腕だとは…)」
テクテク アニスはベルダム大佐の所にやって来た。
「ん、初めまして、私はアニス、よろしくねッ ベルダム大佐』 サッ
アニスはベルダムに手を差し伸べながら挨拶をした。
「ああ、ゼルファ神帝国 【ベルダム・グリスファー】大佐だ」 ギュッ
「はい、大佐、よろしくです」 ニコ ギュッ
「うむ、(なんて可憐な…こんな娘がこの世界にいたなんて…)」
そうベルダムが思っていると、離れた場所にあったブレードナイトのあたりで声が聞こえた。
「ジェシーお姉ちゃんッ! 大丈夫ッ⁉」 タタタ
そう、ルイ少年が着座して動けなくなった「シュバルツライザー」に駆け寄り声をかけていた。
『え⁉、ルイ? あなた、艦から離れれるの⁉ どうしたのその体は⁉」ポン
「うん、アニスお姉ちゃんが僕を自由にしてくれたんだ! 見てよこの体ッ!凄いんだよッ!」
『アニスお姉ちゃんって…まさか…アウディ!』 ポン
『Rog、私の創造者であり、ライナーでもある偉大な方だよ』
『アウディ、貴方の言ったことは本当の様ですね』 ポン
「で、大丈夫なのジェシーお姉ちゃん?」
『ええ、大丈夫よ、機体が壊れているだけだから』 ポン
『Lst、なら、私からアニスにお願いしようか?』
『え⁉』 ポン
『Lst、君も自由が欲しいだろ、その子の様に…』
『ええ、でも、本当にそんなことが…』 ポン
「ん、できるぞ、してみようか?」 ニコ
そこへアニスが割って入り、「シュバルツライザー」のジェシーに話しかけた。
『Rog、アニス、お願いできますか?』
「私はかまわんが、ジェシーだったか?」
『は、はい』 ポン
「私がお前を再構築、そして秘術を使う、ただし、そうするともう二度とゼルファ神帝国には帰れないぞいいのか?」
『……かまいません、お願いできますか、アニス様』 ポン
「様はいいから、いいのならやってあげる」
『ではアニス…お願いします、私を、この機体を治して弟の様に自由を…』 ポン
「ん、弟のようにか…分かった、ついでにベルダム大佐とアウディ、あなた達にも自由をやるぞ」
「なに⁉︎ 俺に自由だと?」
「ん、神帝国のメイン制御コア『ダイアナ』から解放してあげる、どう?」
「ソレが可能ならばお願いしたい。この身がいつ崩れるかわからぬこの恐怖、こんな物はもうたくさんだッ!」
「そうだよな、ソレは生きてるって言わないからね」
『Rog、ではアニス、よろしく頼みます』
「ん、じゃあルイッ!」
「なに、アニスお姉ちゃん?」
「君もそこにいてくれ、さっき思いついた事を、施したい」
「うん!」 タタタ スタッ!
「よし、じゃあレオン以外、そこに集まってね」 スッ
アニスの指示で、ブレードナイトのアウディとジェシー、ベルダム大佐と装甲重巡航艦のルイの皆が、一つの場所に固まった。
「ん、準備はいい?」 ササッ!
アニスにそう言われ、皆が身構えた。
「じゃあ行くよッ! 《エインッ!》」 パアアアンンッ! シュワアアンンーッ
彼らの地面と頭上に、彼らを包む大きさの白い魔法陣が現れた。
『こ、コレは、旧魔法文明時代の神聖魔法陣ッ⁉︎」 ポン
『Rog、アニスの持つ特殊能力ですよジェシー』
「わああー、さっきのよりも綺麗だ」
「なッ! これは一体⁉︎ (こんな物ッ! いったい彼女は何者なんだッ⁉︎)」
シュワアアアアアーー!
「よしッ! 創生神級魔法ッ!《ファンタスフュージョンッ!》」 キンッ!
ブワアアアーーーッ! バアアアアアーーーーッ‼︎
『『「「 うわあああああーーッ……. 」」』』 パアアアーーッ!
「うおッ!眩しいッ! ア、アニスーッ!」 グウウッ!
それは、白一色の世界がそこに現れ、一切の景色が見えなくなった。アウディやジェシー、ベルダムとルイ、皆がその白い世界に溶け込んで消えていった。まりの眩しさに、レオハルトも怯んでいた。
「ん、これでいい…《ディーバイスッ!》」 パリイイイインンッ! パアアーッ!
シュワアアアアアーー! ヒュウウンンンッ! シュウウウウー…….
アニスがもう一つの魔法を唱えた瞬間、あたり一面が弾け飛び、風が舞い起こったあと、高原の普段の景色が現れ、静寂が戻ってきた。
「お終わったのかアニス?」
「ん、終わった、彼らはもう大丈夫だよ」 ニコ
シュウウウーー シュウウウーー
そこには4人の人影があった。やがて、水蒸気の湯気がはれ、その姿がはっきりとしてきた。
「はああツィ⁉ ア、アニスあれって…」
「ん、完璧ッ!」 グッ!
そこに現れたのは男性3人女性1人の四人組で、誰もが皆、美男美女の若者達であった。
「うん、終わったのか?なんか若くなったみたいだが…」
「わああ、僕、背が伸びたみたいだよ」
「Rog、これが人の体ですか、悪くないですね」
「私…元の私…元の体だ…うう…戻れた、やっと…うううッ…」 グス…
そう、4人はアニスの魔法で、その姿が変わっていた。
「お、おいアニスッ!」
「ん、なに?」
「ブレードナイトが、ブレードナイトが消えちまったぞッ!」 サッ!
「レオン、消えたのはブレードナイトだけではないよ、ほらッ」 スッ
「うん? なにいいいいーーッ! 重巡航艦まで消えたああーッ!」 ババッ!
レオハルトが驚いたのも無理はなかった。先ほどまであった10mもの巨体を持ったブレードナイトが2体、忽然と消えてしまっていた。それだけではなかった、自分たちの上空に存在していた、装甲重巡航艦「ノイ・バルゲイト」も、その姿を消していたからだ。
「アニスッ! ブレードナイトはッ! 重巡航艦はどこに消えたあッ!」 ガバッ!
「ん、そこ」 スッ!
アニスは4人の方を指さした。
「お、おまえ、まさか…」
レオハルトの予想は当たっていた、アニスはあの巨大兵器達を人の姿に変換してしまったのであった。
【バリアブル・トランスアーム・ヒューマノイド】人の形をした究極の変形戦闘兵器、普段は人としてその姿で活動、生活するが、有事の際にはその体を変形する。アウディとジェシーは、10mのブレードナイトに、また、成長したルイはそのまま1200m級もの巨大な装甲重巡航艦「ノイ・バルゲイト」に変形して戦う事ができる。
そんな3人だから、人の姿でもその強さは元の兵器の強さを誇り、防御力、攻撃力共に普通の人では対処できない程に強い存在である。
「わああ、これならみんなといつでも一緒にいられるね」
「Rog、しかし力の使い所は注意しなくてはいけませんね」
「私はなんでもいい! 人の体に戻れたんだから!」
「あの女神とこれで縁が切れる!礼を言うぞアニス」
「ん、調子は良さそうだね、ゆっくりと体を慣らすんだよ」
コクン! 皆は一斉に頷いた。
「さて…」 ザッ スタッ!
「うん? アニスどうしたんだ?」
レオハルトが、急に向きを変えゼルファ神帝国の方を見たアニスに問いかけた。
「レオン、ちょっと行ってくるね」 ニコ
「アニス、お前なにを…」
「アニスお姉ちゃんッ! どこに行くんだッ⁉︎」
「ん、ルイ、ここでみんなと一緒に待っていてくれるかな?」
「Rog、アニス、あなたはもしかして…」
「はは、アウディには分かっちゃうか…」
「え⁉︎ じゃあ…」
「ゼルファ神帝国の中枢に行く」
「無理だよッ!アニスお姉ちゃんッ!」
「ん、なんで?」
「だって、神帝国領内は完全に支配されて、何人も侵入できないんだよ!」
「ん、大丈夫」
「アニスお姉ちゃん?」
「ダイアナの事だ、抜け道はいくらでもあるからね」
「じゃあ、僕も一緒に…」
「ルイ、私からのお願い、聞いてくれる?」
「お願い?」
「ん、お願い…」
「なに?」
「君とここのみんなでアトランティア帝国領内を守ってほしいんだ」
「僕がアトランティア帝国を?」
「うん、ルイ達は目立つからね、私が潜入するとき、敵の目を惹きつけて欲しいんだ」
「そうか、アニスお姉ちゃんの役に立つならそうするよ」
「ありがとう、ルイッ!」 ギュウッ!
アニスはルイに礼を言いながら抱き着き、彼の耳元でささやいた。
「(ルイ、君の力は大きいんだ。みんなを守ってあげてね)」 ヒソヒソ
「(アニスお姉ちゃん…)うん!」 コクン!
「じゃあ俺はついて行ってもいいだろ?」 クイッ
レオハルトがそう名乗り出た。
「ん、だめえ〜」 べ〜
「な、なんでだよアニスッ!」
「レオンには皇太子達を無事、帝都に連れて帰って貰いたいんだ。それに…」
「うん? それになんだ?」
「山岳地帯でまだ戦ってる、ライデン小隊のみんなを助けてほしいんだ」
「だが俺のブレードナイトは、大破して動けないぜ」
「Rog、レオハルト少佐、自分に乗ってください」
「アウディ…」
「Lst、私と少佐なら問題ないです」
「ん、そうだね、レオン、どうかな?」
「ああー、もうわかったよ、だがそれが終わったら迎えに行くぜ!いいなッ!」
「ん、ありがとう、 レオンッ!」
「アニス様、気を付けてください」
「ん、ジェシーもありがとう、じゃあ行くね」 ザッ!テクテク
アニスはその場から離れ、ゼルファ神帝国方面位歩いていった。
「彼女は歩いて行くのか?」
「うん? ベルダム大佐、その心配はないぜ!」
「レオハルト少佐、それはどう言う事だ?」
「まあ、見てなって」 クイッ
レオハルトとベルダムがそんな会話をした後、アニスは行動を開始した。
「待っていろ【ダイアナ】ッ!」 ヒュインッ!
アニスの周りの空気が渦を巻き始めた。
「《刹那》ッ! 神蒼走破!《ベルウィング.グラン.ハリアー》ッ!」 キュインッ シュッ!
バアアアアアーーーッ!
「なにッ! 消えたッ!」
「な、言ったろ、あれがアニスなんだ」
シュワアアアアアーーッ! ビュンッ ビュンッ ビュビュンッ!
アニスは超高速で、ゼルファ神帝国に向かって走っていった。
いつも読んでいただきありがとうございます。
次回もでき次第投稿します。