第137話 アウディVSジェシー
ーアトランティア帝国 山岳地帯 山間部ー
バアアアーーッ! ビーッ! ビーッ! ピピピピピッ! ビコッ!
山岳地帯の大空に、青と白の2本の線が引かれる。高速で移動するブレードナイトの軌跡がその大空に描かれていた。そのコクピット内では、近づく相手をその照準に捕らえていた。
『目標をとらえました』 ポン
「白ッ⁉ 白いブレードナイトだとッ⁉ まずはこれでどうだッ!」 カチッ ピッ
ヴオオオオオッ! ババババッ!
ベルダム大佐の乗るブレードナイト「シュバルツライザー」は、ブレードナイト界最強のフォトンライフル、「ヘッケラーKHC127」127mmフォトンライフル銃を連射で、アニスのブレードナイト「アウシュレッザD型RFAアウディ」に、撃ち込んできた。
ヒイイイイーーッ! ビコッ! ピーッ!
『Lst、アニス、相手が射撃開始、少し揺れます』 グイッ!
「ん、」 コクン
バアアーッ! シャッ! シャッ! バッ! ババッ! ビュンッ! ビュビュンッ‼︎
アウディは、シュバルツライザーの撃ってきたフォトン弾を高速を維持しつつ、そのすべてを交わしていった。
ピポンッ! ブーッ!
『うそおッ!私の照準をすべてかわした⁉』 ポン
「ほう、すごいじゃないか、な、ジェシーこれでわかったろ」 ピッ ピッ
『うーッ! 生意気ですッ!』 ポン
ビーッ! ピポンッ!
ヒイイイイーーッ! ビコッ! ビビコッ!
『Rog、アニス、目標を補足しました』
「ん、アウディやれそう?」
『Rog、すれ違いざまに、一斉射しますッ!アニスッ!いきますッ!』グイッ!
カチカチカチッ! ピピピッ! ポンッ! ビゴッ!
ギュンッ! バウウウウウーーッ!
ピーッ! ピコンッ! ビビッ!
『ベルダム大佐、ロックオンされました』 ポン
「ああ、任せろ!」 グイッ! ギュウッ! カチカチッ!
グイイイイイイッ! バウウウウウーーッ!
急接近してくるアウディに対し、ベルダム大佐は操縦桿を捻りアクセルを踏み回避行動に出た。その一瞬後、両者のブレードナイトは200m程の近距離を、相対速度が音速になる速度ですれ違った。
ヒイイイインンンーッ! チャカッ ヴオオオオオーッ! シャシャシャシャ!
アニスのブレードナイト「アウシュレッザD型RFAアウディ」は、ベルダム大佐の「シュバルツライザー」とのすれ違いざまに、120mmフォトンライフル「トルーパーAS46k」を連射モードで撃ち込んだ。アウディの目標照準は完璧に「シュバルツライザー」の動きを捉えていた。
「ん、これは全弾命中だね」 ビュウウウーッ
その弾道を見たアニスは、アウディの撃ったフォトン弾の弾道を見て確信した。
が……
ビーッ! ピポンッ!
『敵弾、被弾しますッ!』 ポン
「くそうッ!こんな速度差で撃つかッ!」 グイッ! ピッ
『あッ! ダメッ! 躱せないッ! このッ!』 ピピピッ ポンッ! ヴオンッ!
ドカドカドカッ! ガンガンガン! ババババーッ!
「うおおおッ!」 ガンガンッ!ビリビリッ!
ビュヲオオオーッ! シャアアアアーッ バッ! ババーッ! クルッ!
すれ違った後、かなり離れた位置でアニスのブレードナイト「アウシュレッザD型RFAアウディ」はその場所で反転し、すれ違った場所の状況を見た。 そこには煙に包まれたブレードナイトらしき物が速度を落として動いていた。
「アウディすごいッ! 全部命中だよ!」 グッ
『………』 ピッ ピッ ピッ
「アウディ?」
『Rej、アニス、相手は無傷です』
「え?、全部命中したじゃないか」
『Lst、モニターに写します』
ピッ ピッ ポン!
「えーッ⁉︎」 ガバッ!
アウディの目から見たその模様を、アニスの前にある操縦席のモニターに映ったそこには、煙が徐々に晴れて、全くどこにも被弾した後がない、青いブレードナイト「シュバルツライザー」の姿がそこにあった。
「なんで、なんで?」
『Lst、アニス、あれが『フォトンフィールド』ですよ』
「フォトンフィールド?」
『Rog、まさか、あのブレードナイトに装備されてるとは思いませんでした』
シュウウウウ〜… パリッ! パリパリッ!
そう、それはまさしく、アウディの言ったとうり「フォトンフィールド」であった。 アウディの突進、すれ違いざまの高速攻撃に対し、「シュバルツライザー」は回避できず、咄嗟に使用したのが今回の「フォトンフィールド」であった。
「フォトンフィールド」はある程度の攻撃を打ち消す防御膜で、大量のエネルギーを使用するため、本来は巡航艦い以上の艦船に使用される物であった。それを、ベルダム大佐のブレードナイト「シュバルツライザー」は装備していたのであった。あくまでも、緊急防御用の装備である。
「ずるいッ!」
『Lst、アニスいきなり何を…』
「だってあんなのあったら当たらないじゃないか」
『Rej、アニス忘れてませんか?』
「ん?」
『Lst、「フォトンフィールド」は私も持ってますよ』
『へ? じゃあアウディも使えるんだ」
『Rog、ですが、私は使いませんね』
「え、なんで?」
『Rog、当たらなければいいのです』
「あ〜、それ聞いたらアイツすごく怒るぞ!」
『Lst、大丈夫ですよ、アレにはわからないから』
「わああ、ひっでえ〜」
「『Lst、あははは』」 ケタケタ
ピッ ピッ ピッ シュウウウウ…
「ふう…助かったぜッ、ありがとなジェシー」
『う…うう…』 ポン
「うん? どうしたジェシー?」
ピッ ピピピッ ビコッ ビーッ!
『ゆ、許さないッ!』 ポン
「お、おいジェシー、どうした?」 カチカチ ピッピッ!
ビーッ! ビビ ビコッ! ピコンッ!
『この私が、フィールドを張るなんて…しかも、あの機体…私にあんなこと言ってるッ!許せません』 ピッビーッ!
「は?何を言ってるんだジェシー、待てッ…」ガチャガチャ
『攻撃を再開します。標的、前方の『アウシュレッザ』型ブレードナイト、突入開始』 ピッ
ビュウウウンンンーッ!シュアアアアーー!
「うおおおッ! ジェシーッ! おいッ ジェシーッ!」 グッ
ビーッ! ピッ ピコピコ ポンッ!
『Lst、アニス、相手が高速で接近、どうしますか?』
「ん、アウディ、目標の船の方に向かって」
『Rog、しかし、アレはいいのですか?』
「目的は 皇太子達、生徒の救出ッ! アレを倒す事じゃないからね」
『Rog、では目標に向かいます』 グイッ! ピピピッ!
クルッ! バウウウウウーーッ! ギュウウウンンーーッ!
「アウシュレッザD型RFAアウディ」は、その場で向きを変え、逃走中の装甲重巡航艦「バルゲイト」に向かって、スラスターを全開にしていった。
ピッ ピピー ピコンッ!
『あ、逃げるッ! 待ちなさいッ!』 グイッ! ピコンッ!
バウウウウウーーッ! ギュウウウンンーーッ!
アウディが反転して、装甲重巡航艦「バルゲイト」に向かったのを見て、「シュバルツライザー」もその後を追うように、スラスターを全開にして後を追った。
「ウググッ! おいッ! ジェシーッ! 何をそんなにムキになるッ!」
キイイイイイーーーン! ビュウウウーーッ!
『大佐ッ! アイツッ! アイツらッ! 私を笑ったのッ! こんな屈辱は初めてッ! だから許せませんッ!』 ポン ビーッ! ビーッ! ビコッ!
「いや、笑ったって、それ中のライナーだろッ!」
キイイイイイーーーン!
『違うッ! アイツよアイツッ! あの白い生意気なブレードナイトッ! アイツ自身が笑ったのよッ!』 ポン
「はあ?、(まさか、ジェシーと同じ…)」 ピッピーッ! ポン
ベルダム大佐がジェシーとの会話の途中に、隊内無線が入った。
『大佐、大佐ーッ! 聞こえますか?』 ピッ
「誰だ?」
『2番隊のダニアです。今から大佐を援護します』 ピッ
「援護? 今どこだ⁉︎」
『敵機の前方、2000の位置です! 直ぐ仕掛けます』 ピッ
「よせッ! 『ヴァルヴィル』では、歯が立たんッ!」
『1番隊がコイツにやられてるんです!やらせてくださいッ!』 ピッ
「2番隊ッ! おいッ!2番隊ッ!」
ザーーーッ
「クソッ! ジェシーッ! もっと早く出来ないか?」
キイイイイイーーーン! シュバアアアアーーッ!
『これでも一杯よッ! アイツが早すぎるのッ!』 ポン
「なんて奴だッ!」 ググッ
シュゴオオオオオーーッ
ヒイイイイインンンーーッ! シュバアアアアーーッ!
『Lst、敵ブレードナイト急速追尾ッ!』 ビコッ! ピッ ピピピッ!
「ん、あの青いヤツか、すごく早いね」
『Rog、ゼルファ神帝国のブレードナイト「シュバルツライザー」ですね、確か私と同じ自律型の機体ですね』
「同じ自律型?」
『Rog、アニス、私がそうなんでしょ?』
「ん、違うよ」
『Rej、違うとはどういう意味ですか?』
ビーッ! ビコッ! ビビコッ! ピコンッ!
進路前方に多数のブレードナイトが魔力ライフルを構え、アニス達待ち構えている警告音が鳴った。
『Lst、アニス、話は後にしましょう』 グイッ! バウウウウウーーッ
「そうだね、ん、あれは…」
その時、アニスは、敵ブレードナイト隊の上空にもう一機、彼らに急降下で迫るブレードナイトに気がついた。
ピッ ピッ ピコンッ!
『Lst、敵味方識別信号確認、友軍機です』
「友軍機、誰だろ?」 ジッ!
アニスは、敵ブレードナイトに上空から突進していくその機体をじっと見つめていた。
ズオオオオオーーッ! ピピピピピッ! ビコ ビビコッ!
『敵集団捕捉、攻撃可能デス』 ピッ
「多対一なんざ、ライナーの風上にも置けねえッ!」グイッ! カチカチッ! ピッ
カチャンッ! カチャンッ! ババッ! バラッ! バラッ!
急降下で突っ込んできたそに機体のライナーは、突撃に邪魔な増槽タンクと追加ブースターを切り離し、専用のフォトンライフルを構えた。
ギュワアアアーッ! ピコンッ!
「アニスーッ! 助けに来たぜえーッ!」 カチッ! ピッ
ヴオオオオオーッ! ババババーッ! シュッ! シュッ! シュッ!
そこに現れたのは、戦闘空母「フェリテス」を緊急発艦した「アウシュレッザD型カスタム」の【レオハルト・ウォーカー】少佐であった。
ビーッ! ビーッ! ビコッ!
「うん! なんだ?」 ピッ
『上方ヨリ 高熱原体接近、敵機デス』 ピッ
「なにッ⁉︎ うわあああーッ」 ドドドドッ! ガンガンッ! バシイイッ!
ドガアアンンッ! ズゴオオオオッ! バンッ! メラメラ ヒュウウウ…
「よっしゃあーーッ!」 グッ! シュワアアアアアーー!
6機編隊で、アニスを待ち構えていた、2番隊の「ヴァルヴィル」は、上空から突進して来たレオハルト少佐の「アウシュレッザD型カスタム」の攻撃により3機が一瞬で火だるまになり、地表に落ちて行った。それを見た残りの3機はバラバラに逃走して行った。
シュウウウウー ピッ ピッ ピッ
「あ、レオンだ!」
『Lst、アニス、あなたの知り合いですか?』
「ん、あ、はい 知り合いです」 コクン
『Lst、「助けに来たぜえ」と言ってましたが、恋人ですか?』
「はあッ⁉︎ なんでそうなるッ!」 カアア
『Rog、ただ何と無く』 ブンッ!
ピッ ピピーッ! ポンッ!
その時、通信が入った。
『おいッ! アニスなんだろッ⁉︎ 返事しろッ!』 ピッ
『Lst、アニス、返事した方がうさそうですよ』
「う、うん…」 ピッ カチッ! ポン
「やあ、レオン、元気だった?」
『なにが元気だっただあッ!』 ピッ
「ヒイイッ!」 ビクッ
『俺、言ったよな、大人しく待ってろって!』 ピッ
「はは、言ってたねえ」
『全く、お前というやつは… で、ソレは何だ?』 ピッ
「ソレ?」
『おまえが乗ってるブレードナイトの事だよッ!』 ピッ
「ああ、この子は『アウディ』君、よろしくね」
『アウディって、まさかあの壊れた…』 ピッ
「ん、正解」 コクン
『はあ〜、お前ってやつは、まあいい、それで今どうなってんだ?』 ピッ
ビーッ! ピッ ピコンッ!
『Lst、アニス、例の機体が追いついて来ます』
「あ、そうだ、レオンちょといい?」
『うん? なんだ?』 ピッ
「後ろからしつっこいのが追ってくるの、任せてもいい?」
『しゃあねえな、任せろッ!』 ピッ
「ありがとう! じゃあ行くねッ! アウディ」 ピッ ピコッ
『Rogッ!』 グイッ!
バウウウウウーーッ!
「あッ! おいッ て、もう行っちまいやがった。まあいい、追ってくるやつを片付けて追いかけるか」 グイッ!
バアアアーーッ! ピッ ピッ ピコンッ!
「うん? 来た来た、アイツか、え〜っと、 はあッ⁉︎ アイツとんでもねえモンに追われてんじゃねえかあッ!」 ピッ ピピーーッ!
シュゴオオオオオーーッ! ピッ ピピピッ! ビコッ!
『前方に敵機、追いついた』 ポン
「じゃあ、やるかい?」
『もちろんです、 ベルダム大佐』 ポン
ギュウウウンンーーッ
徐々に近づき、相手の姿がしっかりとわかって来た。
「クソッ! アニスのヤツ、『ブルーサキュラ』なんざ連れてくるな!」 カチカチッ! ピピピッ!
シュバアアアアーーッ ジャキッ!
そう言って、レオハルトはアウシュレッザを固定して、フォトンライフルを構えた。
キイイイイイーーッ ピピ ビコッ! ピーッ!
『違うッ! アイツじゃないッ!』 ピッ
「どうする、ジェシー?」 グッ
『そんな物、分かってるわよね』 ポン
「うむ、じゃあ押し通るッ!」 グイッ! ギュウッ!
バウウウウウーーッ! ジャキンッ! ピッ ピピピピ ビコッ!
ギュワアアアーッ!
ベルダム大佐の「シュバルツライザー」は、フォトンライフルを構え、レオハルト少佐の乗る「アウシュレッザD型カスタム」に向かって突進して行った。レオハルト少佐も、アウシュレッザのフォトンライフルを突進してくる「シュバルツライザー」に向け構えた。
ピピピピピッ ビコッ!ビビコッ! ポンッ!
「「 さあ、これでどうだッ! 」」 カチッ! ピッ
ヴオオオオオーッ! ババババッ! シュシュンシュシュシュシュンッ!
お互いが、ライフルを連射モードで撃ち合った。盛大な銃の撃ち合いだった。
ヒイイイイインンンーーッ! ピッ ピッ ピッ ピコンッ!
『Rog、アニス、捉えました。敵の装甲重巡航艦です』
「ん!」 ババッ!
ゴウン ゴウン バウウウウーッ ゴンゴンゴン…
「見い付けたッ!」 ニコ
アニスは目的の船を見つけてほくそ笑んでいた。
いつも読んでいただきありがとうございます。
次回もでき次第投稿します。