第136話 最強のアニスとアウディ
ーアトランティア帝国 山岳地帯 山間部ー
ビーッ! ビーッ! ビーッ!
「目標ッ フラットジャック全弾破壊ッ! そのまま突っ込んできますッ!」
ピピ ビゴッ! ピッ ピッ!
「クッ! ここを通すわけにはいかん! 全砲門斉射ッ! アレを撃ち落とせええ!」 バッ!
「ヤーッ! 主砲捕捉次第発射ッ! 対空砲ッ! 撃ち方始めえ!」 ピッ タンタン!
グウインッ! バウッ! バウッ! ウイインッ! ババババッ!
護衛巡航潜「ガルト」は、その持てる火力の全てを、アニスの乗るブレードナイトに撃ち込んできた。
ヒイイイイインンンーッ! シュッ! シュシュッ! バッ! バッ!
「ん、凄い弾幕だね、大丈夫?」
『Rog、大丈夫ですよアニス、弾道計算はできてます。私に当たる事は皆無でしょう』
「へ〜、アウディはやっぱ凄いね」 コクコク
『Lst、それよりもアニス、間も無く目標が射程内に入ります』
ピッ ピッ ピピ ビコッ! ビビコ! ポンッ!
『Rog、目標を捕らえました。照準固定、アニス、よろしいのですか?』
「ん、アウディ、アレを無力化して」
『Rogッ!』 グイイッ! ピッ!
ヒュウウウンンンッ! バウウンッ! バウウンッ! ビュウウウーッ!
ブレードナイトであるアウディは、その両脇にあった対艦攻撃兵装の、「フェイズライン・カノン」を目標に向けて撃ち込んだ。
ビーッ! ピピピピーッ!
「敵機発砲ッ! 高エネルギー弾急速に接近ッ! 目標ッ! 本艦ですッ!」
ピッ!ピピピ ビーッ! ビーッ!
「機関最大ッ! 左舷スラスター全開ッ!」 ババッ!
「間に合いませんッ! 着弾ッきますッ!」 ピーーーッ!
ガンッ! ゴンッ! ドゴオオオオッ! ドガアアアアーーンッ!
「「「 うわあああーーッ! 」」」 ズドオオオオーッ! グラグラ!
ビーッ! ビーッ! ビーッ! ビーッ!
「う、ググ…ど、どこをやられたあッ!」 ビーッ! ビーッ!
「う、うう…メ、メインジェネレーターに被弾、推力低下…」 ビーッ! ビーッ!
「第1第2動力停止ッ! 格納庫は大破ッ 大火災中です!」 ビーッ! ビーッ!
ギギギッ! グラッ! メキメキ メラメラ モクモク ボンッ! ドカンッ!
メキイッ! ドガアアアアーーンッ!
「第1主砲大破ーッ!」 グワアアンンンッ! グラグラ
「主砲制御室ッ!主砲制御室ーッ!」 ビッ! ザザザ… ドオオンッ!
「機関停止ッ! 高度を維持できません!」 ピッ ピッ
「主砲制御室応答なしッ! 火器管制システムダウンッ!」 ピコ!ビビッ!
「グウウッ! たった一撃でコレかッ⁉︎」 ドオオンッ! グラグラ
アウディのたった一回の攻撃で、護衛巡航潜「ガルト」は、その殆どの機能を消失してしまった。
ギギギッ ギュアアッ! メキメキメキッ ドオンッ! バアンッ! バチバチ
至る所で誘爆が起こり、その艦体からは、悲鳴にも似た音が出始めていた。
「艦長ッ! もダメですッ! 本艦はッ! 本艦はああーッ!…」 ドオオオン!
「「「 わああッ!… 」」」 ドガアアーッ! ボウッ! メラメラ!
「だ、大丈夫かあッ!」 バサッ!
「か、艦…長…」 バタンッ!
「航海長―ッ」 バッ! ガシッ!
少佐は、いきなり倒れた航海長の元へ駆け寄った。
「し、死んでいる? バカなッ! どこもケガなどしてはいないではないか! どうしたというのだッ! うん?」 バッ!
バタンッ! ドタンッ! ズシャッ!
「な、何が…何が起きたッ…?…」 ババッ!
少佐が、航海長の死に疑問を抱いていたその時、ブリッジ要員の通信手、索敵手そして、少佐の副官まで、いきなり床に崩れ、倒れてしまった。
「い、いったいこれは、どういう…ウッ‼…グワアッ!」 ズシャッ!
少佐はいきなり、頭に強烈な頭痛がおき、床に崩れた。両手で頭を押さえている時、頭の中に声が響いた。
『神徒番号2010558 大陸艦隊所属「バディ・グレイシス」少佐の炭素体ユニット活動停止、廃棄命令』 ピッ!
「だ、だれ…だ」 ピクピク ドオンッ! ボウッ!メラメラ…
『当、炭素体ユニットは使用不能、廃棄処分、活動停止、接続解除』 ピッ
ガクンッ! グシャッバタンッ!
頭の中に響くその命令を聞いた途端、少佐は力なく、まるで人形のように、床に倒れた。自分でも何が起きたかわからなかった。(なぜ動かない? なぜ頭の中に声が聞こえる? この声はなんだ? 単素体ユニット?)その時、少佐は、まだ見える目でブリッジの天井を凝視した。
「うううッ!…なッ! あ、アレ…がやったのか⁉︎…」 ボウボウッ メラメラ… ジッ
ブリッジ内は吹き飛び、様々な機械は破壊され、ブリッジ要員は力なく倒れた。その床に倒れた艦長のバディ少佐の目には、天井の裂け目から、自分達を攻撃したブレードナイトの姿が映っていた。
そこには、純白の輝きを放ち、両脇のフォトン砲がまるで天使の翼のように見える、アニスの乗ったブレードナイトが空中で静止していた。
「美しい…なんて神々しいんだ…」 ツ~
そのブレードナイトを見たバディ少佐の目からは涙が一筋流れた。
「ま、まさか… 神⁉︎ うッ!」 ドオンッ! ドガアアンン! メラメラ!
誘爆音が続き、艦内は火災と煙でいっぱいになってきた、ブリッジ内も火災が起き、その中で動かせない体で横たわる少佐は、薄れゆく意識の中で以前大佐から受けた質問を思い出した。
『少佐は神という存在をどう思う』…
「た、大佐殿…か 神という存在は…その質問を答えるなら…神は…神とは…ッ!….」 ドオオオーッ!グワアアンンンッ! メラメラ! ヒュウウウゥゥゥ…
ドオオオンンーッ! バアアア―ッ
護衛巡航潜は地表に落ち、大爆発を起こしながら粉砕していった。
『Lst、敵艦の撃沈を確認 当初の標的に向かいます』
「ん、お願い」
『Rogッ』 グウインッ! バウウウウウーーッ!
ー装甲重巡航艦「バルゲイド」 ブリッジー
ビーッ! ビコッ! ポンッ!
「大佐ッ! 護衛巡航潜「ガルト」反応ロストッ!」 ピッ ピーーーッ
「撃沈されたもようッ! 未確認ブレードナイトッ そのままこちらへ急速接近!」 ピッ
「少佐…全艦、先頭配置ッ! ブレードナイト全機発進準備ッ!」
「ヤーッ! 『全艦戦闘配備ッ! ブレードナイト隊 全機発艦命令発令、準備せよ!」 ピッ カチカチ ポンッ!
カチャ、ピッ!
「整備長聞こえるか?」
『こちら格納庫、聞こえます』 ピッ
「私だ、ベルダムだ」
『大佐殿おおッ!』 ピッ
「私も出るッ!」
『た、大佐殿が出撃するのですか⁉』 ピッ
「そうだ、アレは普通のブレードナイトじゃないッ! だから俺が出るッ!」
『ヤーッ! すぐに準備します』 ピッ
ガチャ、タン
「大佐殿、本気でありますか?」
「ああ、艦長、あとは任せるッ!」 ババッ ザッ ザッ ザッ!
「大佐殿、ご武運をッ!」 サッ!
ベルダムは、艦長の言葉に、歩きながら振り返りもせず、片手をあげて返事をした。
ビーッ! ビーッ! ビーッ!
『全機発艦ッ! 全機発艦ッ!』 ビーッ! ビーッ!
「『ヴァルヴェル』はすべて、高速戦闘使用だッ! ええ~い、バックサックは外せえッ!迎撃の邪魔だあッ!」 ガンガン ダダダッ!
「仕上がった機から順次発艦させろおッ!急げええッ!」 ダダダ
「整備長ーッ! 1番2番4番機完了ッ! 出せますッ!」
「よしッさっさとライナー乗せて出せッ!」
ガシュン! ガシュン! ゴン ゴン プシュー
「整備長すまんな!」
「1番隊のお前さん達が出んと後がつかえる! さっさと行けッ!」
「おう!行って来る」 サッ
グイイイン ガシュン バクンッ ピッ! ヒュウウウンンン
『認識番号照合、ゼスタ中尉確認シマシタ!』 ポン
「よし出るぞッ」 グイッ ガシュン ガシュン! ゴン! プシューッ
『電磁カタパルト確認 直ちに発艦してください』 ピッ
「1番隊 発艦ッ!」 ピッ
ガシュンッ! シャアアアアーッ ドオオオンーッ!
整備の終わったブレードナイトから次々とアニスの乗るブレードナイト、アウディに向かって飛んでいった。
「整備長、準備はいいか?」 コツコツ
そこには、黒に赤ラインの入ったライナースーツを着たベルダム大佐が立っていた。
「大佐殿、準備はできてます」 ザッ!
ゴウン ゴウン ゴオオオンン ピッ ピッ ピッ プシューッ
「ブレードナイト、『シュバルツライザー』またお前に乗る事になるとはな…」
それは他のブレードナイトとは全くの別物、規格外の青いブレードナイトがそこに立っていた。ベルダム大佐は、早速コクピットに乗り、ブレードナイトのスイッチを入れ始めた。
ウイイイイイ カシュン バッ スタッ カチカチ ポン ビョンッ!
グオオオオオオオオーッ! ピッ ピッ ビゴ ビゴッ! ポンッ!
『シュバルツライザー』はゼルファ神帝国の4大ブレードナイトの一つで、他のブレードナイトとは類のない機能と性能を持って完成された、謎の多い機体である。そのサポートシステムは、優しい女性の声でライナーを補助する。
『認識番号照合 ベルダム大佐、またお会いしましたね』 ポン
「ああ、『ジェシー』久しいな、悪いがまた頼む」 ピッ ピピッ!
『了解しました。モードはいつも通りでよろしいのですか?』 ポン
「いや、今度は最高のヤツで頼む!」 カチャ カチ! ピッ
『あら、それではフルオートで私自身が動かす事になりますがいいのですか?』 ポン
「今回の敵は尋常ではないのだ、お前の力を貸してほしい」 ピッ ポンポン!
『分かりました。全力を尽くします』 ポン
「ああ、『ジェシー』よろしく頼む」ピッピピッ! カチッ!
『はい、ベルダム大佐』 ポン
「よし出せる!」 グイッ! ガシュン ガシュン ガシュン! プシューッ
「シュバルツライザー」は、メンテナンスベッドから離れ、ブレードナイト発進デッキへ動き出した。
ビーッ! ポンッ!
『大佐、目標は高速にてこちらに接近、気をつけてください』 ピッ
「ああ、先に出た連中はどうだ!」
『1番隊はすでに全滅しました。今、二番隊が牽制しつつ応戦中です』 ピッ
「1番隊がもうッ⁉︎ ただのブレードナイトではないと思っていたが…」 グッ
『大佐殿、電磁カタパルト準備よし、発艦どうぞ』 ピッ
「よしッ!『シュバルツライザー/ベルダム』発艦するッ!」 ピッ
ガシュンッ! シャアアアアーッ ドオオオンーッ!
「ふんッ!」 グイッ! ギュン! ピピピッ!
バウウウウウーーッ! ギュウウウンン
ベルダム大佐のブレードナイト、青い「シュバルツライザー」は、スラスターを全開にして飛んでいった。
ゼルファ神帝国 帝国4大ブレードナイト
ブレードナイト「シュバルツライザー」
身長 12.8m
重量 32.2t
出力 24000kw
速度 陸上 80〜120km/h
空中 720〜950km/h
武装 127mm魔力ライフル x1
頭部12.7mm機銃 x2
腕部20mm機関砲 x2
腰部ウエポンラック(対ナイト用兵器各種)x2セット
ブレードナイト用ライトニングセイバー x2
(フォトンセイバー)
乗員 1名
特殊兵装 フォトンフィールド発生装置
光学迷彩装置
ヒイイイイインンンーッ シュバアアアアーッ
ベルダム大佐が出撃する少し前、アニスは装甲重巡航艦から出撃して来た、ブレードナイト隊と遭遇した。
ピッ ピッ ポンッ!
『Lst、アニス、前方から多数のブレードナイトが接近中です』
「多数ってどのくらい?」
『Rog、『ヴァルヴィルFw159』が12機 一個中隊です』
「ん、1対12か…アウディ大丈夫なの?」
『Rog、アニス』
「ん?」
『Lst、もう少し私の能力を大きく見てください』
「じゃあ、問題ないんだ」
『Rog、アニス、私はあなただけのナイトです。任せてください』
ビーッ! ピッ ピッ ピッ ビゴッ! ビビッ! ポンッ!
『Lst、アニス、では行きます』 ピッ
「アウディ、無茶しないでね」
『Rog』 グイッ! バウウウウウーーッ
ヒイイイイイインンーッ!
『Lst、フォトンライフル『トルーパーAS46k』アクティベート』 ヴァンッ!
シュンッ! ジャキン!
『Lst、敵ブレードナイト、二手に分かれました、前衛を先に排除します』 ビコッ!
ギュウウウンンーッ シュバアアアアーッ!
ー装甲重巡航艦「バルゲイト」ブレードナイト隊 1番隊ー
バアアアーーッ!
『全機に告ぐ、探知レンジ内に映っているコイツが標的だッ!』 ピッ
『隊長、一機相手にコレは過剰戦力じゃあ無いんですか?』 ピッ
『フォル、 大佐が後で出る』 ピッ
『大佐がッ⁉︎』 ピッ
『そうだ、それまで1番隊の俺たちがしっかりとそいつを足止めしなくてはいけない』 ピッ
『了解しました』 ピッ
ビーッ! ピピピッ ピッ ポンッ!
『補足したッ! 1番隊は俺に続けッ! 2番隊はそのまま待機ッ!』 ピッ
『『『 ヤーッ! 』』』 ピッ
「さて行くか、アトランティア帝国の新型、どれ程のものか…」 グイッ!
バアアアーーッ!
12機の「ヴァルヴィルFw159」は6っ機ずつにわかれ、1番隊の6機がそれぞれのフォトンライフルを撃ちながらアニスのブレードナイトに急接近していった。
ギュウウウンンーッ! ピピピピッ ビゴッ!
「もらったあーッ」 カチッ!
バンバンバンッ! シューッ! シューッ! シューッ!
6機ものブレードナイトが同時に攻撃を開始した。数多くのフォトンライフル弾がアニスのブレードナイトを襲ったが、どれひとつ命中する弾はなかった。その間にも、正確無比なアニスのブレードナイト アウディからの反撃フォトンライフル弾が返って来た。
ビュアアーッ! ジュウウウーッ! ビュウウウー! ドゴオオオオー!
『ギャアアアーッ』 ドガアアアアーーンッ! バラバラバラ…
『ワアアアアーッ!』 グワアアンンンーッ! メラメラ ボウンッ!
『た、隊長ーーッ! ガアアーッ』 ドゴオオオンッ!
「ッ! クソおッ! えッ⁉︎」 ババッ! ビジュウウウ! ブアンッ!
「ガアアアアーッ」 ドゴオオオオーーン! ボウンッ! バラバラ…
ブアンッ! ビシュウウーッ ブオンッ! ビジュアアーッ!
「「 グヲオオオーッ! ギャアアアーッ 」」 ボウンッ!
バアアアーーッ! メラメラ バアアアーーッ!
いきなり3機の「ヴァルヴィルFw159」が消えた。そんな事に躊躇した1番隊はすぐそばまで来たアニスのブレードナイト、アウディの実装剣「ナイトバスター」の手捌きで、残りの3機もそのブレードナイト用の剣で斬り倒されてしまい、火を噴きながら、地表へと落ちていった。
1番隊は一瞬で全滅してしまった。
『Lst、敵ブレードナイト6機撃墜しました』 ピッ ピッ
「ん、アウディ、流石だね」
『Rog、アニス、残りの6機はこちらを牽制していますがどうしますか?』
「ん〜、攻撃してこないのなら、ほっとこうか」
『Rog、わかりました』 ピッ ピピピッ! ポンッ!
「ん、また何か来たの?」
『Rog、今までとは違い、かなり高速でこちらに近づく機体があります』 ピッ ピッ ビゴッ! ビビッ!
「強そう?」
『Rog、探知した限りでは、今までの中で最強だと思いますよ』
「最強か…相手をしたい?」
『Lst、アニス、こちらが拒んでも、向こうから来るのであれば…』 ビコッ! ピイッ!
「『Rog、やっちゃえッ!』」 グイッ! ヴアンッ!
バウウウウウーーッ! シュバアアアアーッ!
アニスのブレードナイト、アウディは加速して、接近してくるブレードナイトに近づいて行った。
『ベルダム大佐、敵ブレードナイトが、高速で接近して来ます』 ピピピ!ポンッ!
「うむ、さて、どんな奴かな?」 グイッ! ピッピッ ピピピッ!
バウウウウウーーッ ギュウウウンンーーッ!
2機のそれぞれ独特なブレードナイトが高速急接近して行った。
いつも読んでいただきありがとうございます。
次回もでき次第投稿します。