第131話 ブレードナイト ライデン隊
ー駆逐艦ライデン ブレードナイト格納庫ー
目的の山岳地帯、グラウンドバレーまで、約1時間前となった時、ライデン全艦が、第一戦闘配置となり、ハリス少尉はじめ、ブレードライナー達は格納庫に集合されていた。
「ふ~ん、前の時より広くなってるねえ…」 テクテク
「アニスちゃん、来たことあるの?」 テクテク
「う~ん、前にね、でも今度はまた随分と広いね、ブレードナイトもいっぱいあるし」 テクテク
「そうね、『アウシュレッザ』が3機、『ウルグ・スパイアー』が2機ね」 テクテク
「ん?ここ一ヶ所、空いてるよ」 スッ!
「あ、ほんと、積み忘れたのかなあ」 ピタ
「積み忘れじゃないわ、元々5機が配属で、そこは空きなのよ!」
アニスとジェシカが、格納庫内を見学して、空いているブレードナイト用ハンガーの前にいると、彼女らの後ろから声がかかった。
「「 ん(え)? 」」 クル
アニスとジェシカが、声のする方に振り向くと、腰に両手を当て、白いヘルメットをかぶり、作業用工具をいくつもぶら下げ、オレンジ色のつなぎを来た整備兵の少女がそこにいた。
「貴女たち、見学? ここにはいろんな物があって危ないから、それ以上は近づかないでね」
彼女は、アニスとジェシカをただの見学者と思っていたのだった。背中越しの後ろから見れば、アニスの髪で大尉の制服はよく見えず、また、ジェシカは、まだ学園生徒の制服のままだったからだった。
「見学? 違うよ」 フリフリ
「そうよ、違うわ」 フリフリ
「違う? じゃあここには何しに来たわけ? 本当はここは関係者以外立ち入り禁止のはずなのよ」
「うん、知っている」 コクン
「じゃあ、何よ⁉︎ 関係が無いのなら早く出ていきなさい、怒られるわよ」 サッ
「え、いや、その…」
「何よ、はっきりしなさいよ!」 スタスタスタ
彼女はアニスとジェシカ達に近づいてきた。そして、アニスの腕をつかんで自分にアニスを向けた。
「ん、あ、ちょっとッ!」 グイッ!
ガシッ! クルッ!バッ!
「こっち向きなさいッ!… へ⁉…え、えええーッ⁉」 ぷるぷる ペタン!
アニスを自分に向きなおしたその時、彼女はアニスの制服と、その襟章に気がつき、その階級を見て震えながら床に腰を落としてしまった。
「お~いッ! アニス特務大尉殿―ッ!ブリーフィングします。こちらへ来てくださーいッ!」
ハリス少尉が、格納庫入り口付近の集合場所で、こちらに呼び掛けて来た。
「はーい、今いきまーす」
「ジェシカ、呼んでるから行こ」
「う、うんいいけど、この娘どうするの?」
「ん?この娘?」 スッ!
アニスが目線を下にすると、アニスの制服の袖を握ったまま、床に震えている整備兵の少女がいた。
「あ、…貴女たち…ブ、ブレードライナーだったんですか?」 ぶるぶる
「「 そうよッ! 」」 コクン
「ど、どうしよう!わ、私はどうなるの!」 ぶるぶる
「そうね、まあ、上官侮辱罪ってので、よくて投獄、悪くすれば銃殺刑かしら♡」 ンフ
ジェシカがふざけ気味にそういった瞬間、その少女はいきなり床に土下座をし、泣きながら謝って来た。
ババッ! ベターッ!
「も、申し訳ありませんでしたあーッ!」 ペコ!
「ん⁉」
「と、特務大尉殿とは知らなく、大変失礼いたしましたッ! ど、どうかッ!どうか、銃殺刑だけはお許しくださいッ!」ううッ! シクシク
彼女の許しを請う声は、ブレードナイト格納庫全体に響き渡った。それは、そこで、作業をしていた数多くの作業員の耳にも聞こえた。
「なんだ、なんだッ!」
「お、おい!見ろよ!」
「ああ、見たッ!あの鬼曹長が土下座してるぜ!」
「よく見て見ろあの娘ッ!」 ビッ
「あ、あの銀髪ッ!あの娘はッ!我らの姫様だあッ!」 ざわッ!
「そうだ、間違いない、あの気品と威圧感、あの曹長がまるで召使のごとく足元にひれ伏している!まさに、女王様って感じだな!」 ざわざわッ!
整備兵達がそう言うのも、今、アニスが着ている帝国軍特務大尉の制服がそんな感じに映るからであった。青みのかかった白銀髪を靡かせ、紺色のジャケットに膝丈のスカートとストッキング、艦内ブーツを履いて颯爽としているアニス。そして、その前で平伏している、オレンジ色のツナギを着た曹長の少女、実に様になっていた。
そこへ、格納庫の総責任者、甲板長のダゴス中尉がやって来た。
「おらあッ! お前ら何を騒いでおる! さっさと仕事をせんかあ! バカ者どもめえ!」 ザッ!ザッ!
「しかし、甲板長、あれ…」
「うん? な、誰だッ! 俺のかわいい部下に土下座なんぞさせてるのは⁉」 ギリッ!
「はあ、どうも曹長が、新人ライナー達ともめたみたいで…」
「うぬぬ、許せんッ!俺がいっちょ活を入れてやる! ここ格納庫では甲板長の俺を怒らすとどういう事になるか教えてやるぜッ!」 ズカズカズカ!
「あ、甲板長ッ!ちょっと甲板長ーッ!」 バッ
「おい、甲板長、いっちまったぜ」
「俺しーらねッ!」
「俺もだ!」
甲板長のダゴスは、周りのいう事を聞かず、目の前で土下座をしている自分の部下の相手に突っかかっていった。
「やい!てめえッ!よくも俺のかわいい部下に土下座なんかさせてくれたなッ!」
「ん?(この声は…)」
「え⁉︎ だれ?」 ビク
「マリーッ!俺が来たからにはもう大丈夫だからな!安心しろ!」 ふふん!
「へ⁉ あ、こ、甲板長! だ、だめ‼ だめだめだめーッ!」 ぶんぶん!
甲板長の部下、【マリー曹長】は、土下座の最中に聞こえた声で、顔を少し上げて見るとと、そこには、顔を真っ赤にして怒りながらこちらに近づいてくる、甲板長のダゴス中尉の姿があった。
それを見て、マリー曹長は、全力で首を横に振り、両手で「こちらに来るな」のジェスチャーをしたが、そんなものを無視して、ダゴス中尉は、アニスの背後までやって来た。
「おら新人ッ! こっち向けやあ! 俺がいっちょここのしきたりってヤツを教えてやるぜえッ!」 グイッ!
アニスの肩をつかみ、自分の方へ、向き直させた。 クルッ!
「どんな面だああッ!……」 ババッ!
「ん、やあ、ダゴスじゃないか、なにか?」 ニコ
「あ…ああ…ぎゃあああああーッ‼」シュバッ‼ ザッ ベタンッ ははああーッ!
ダゴスは、アニスのその姿を見た瞬間、悲鳴をあげながら後方へ飛びのく、世にも珍しい後方ジャンピング土下座を成功させたのであった。
「ア、アニス様ーッ、度々のご無礼、申し訳ございません!」 ははああー
「ん、なんだダゴス、私に何か意見があるのだろ?それとも抗議か?」
「め、滅相もありません!アニス様に意見など、私は貴方の忠実な僕です」 ブルブル
「わああ、アニスちゃんってすご〜い」
「ん、ジェシカ、別に私は何もしてないよ?」
「それでアニス様、私の部下が何か粗相を致したのでしょうか?」
ダゴスが恐る恐る、アニスに尋ねると、横にいたジェシカがダゴスに答えた。
「ああ、この娘ね、アニスちゃんの腕を引っ張って文句を言おうとしたのよ!」
「ちょ、ちょっとジェシカ~…」
「な、なんと! マリー、おまえ!それは本当か⁉︎」
「わ、私、私知らなかったの…」 コクン
「何をだッ!」
「こ、この方が、ブレードライナーで特務大尉殿だったなんて!」
「は⁉ 」 ババッ!
ダゴスは、今一度アニスの方を見た。そして今、アニスが着ている制服とその襟章を見て、再び床にひれ伏した。
「も、もうしわけありませ〜ん…(どうなってるんだ? この前まで帝都学園の制服を着ていた者が、今は特務大尉だとおおッ! やはりレオハルト少佐の言った事は本当だったんっだ!)」 オヨヨ…べたあ! ははああ〜
甲板長のその行動を見た作業員達はざわついた。
「おいおい!マジかよ! 鬼曹長に続いてあの甲板長まで…」
「本物だッ! 本物の女王様だったんだああッ!」
「うおおおおッ! たぎってきたあ!」 ワナワナ
「俺、俺もあそこで平伏したいッ!」 ドキドキ
ワイワイ ザワザワ ワーワー!
各、ブレードナイトの整備士達の間で、様々な言動のやりとりがあった。
「はあ、もう、いいですよ」 ニコ
「アニスちゃん、いいの?」
「ん、いいの」 コクン
「アニス様、許して貰えますので?」 ガバ
「勘違いなんですよね♡ マリーさん?」 ニコ
「は、はい…(わあ〜…よく見ると綺麗な人だ…)」 ポッ!
「じゃあ、私たちはブリーフィングがありますから…」 サッ!
アニスとジェシカはその場から離れ、ハリス少尉の元へ向かった。
「甲板長…」
「なんだマリー?」
「私、あの人に就きたい」
「は? おまえ何を…」
「お願いしますッ! 甲板長ーッ! 私をアニス様専属の整備士にしてください!」 ガシッ!
マリーは甲板長のダゴスに掴みかかった。
「あ、ああ、わかった! わかったから離せッ!」
「じゃあ…」 パアア
「まあ、やってみな」
「はい、じゃあ、行ってきます」 タタタ!
マリーはアニスとジェシカの後を追って、走って行った。
ーブリーフィングー
アニスとジェシカが、ハリス少尉の元に来て、ようやくブリーフィングが始まった。
「さて、後30分ほどで発艦体制に入る。で、だれがどの機体に乗るか今決めて、ブレードナイトに登録、調整をして欲しい」
「ん、まだ決めてないのですか?」
「ええ、大尉殿、まだです」
「どの様に決めますか?」
「アニス大尉殿、貴女に決めてもらいませんか?」
「私が?」
「はい、ここでは一番上の階級ですし、何より艦長から、『ブレードナイト、ライデン隊の隊長は、アニス大尉』だと、ですからよろしくお願いします。大尉殿」 ニコ
「はあ⁉︎ 私は聞いてないよ! 何勝手に決めてんだグレイは!」 バッ
「自分はいいと思いますが?」
「ハリス少尉?」
「アニス大尉殿、ここは引き受けてくださいよ〜」
「ハリス少尉が隊長をすればいいのではないですか?」
「いやいやいや、自分はまだ小隊長止まりです!部隊長なんて…だから、お願いします!」
「はあ〜、仕方が無いですね、皆んな、じゃあ決めてもいい?」
「「「「 お願いします 」」」」 コクン
全員が納得して、アニスに搭乗割を決めてもらった。
「じゃあ、……」
搭乗割は次のようであった。
駆逐艦「ライデン」 ブレードナイト ライデン隊
部隊長 アニス特務大尉(仮)
第一小隊 符号「アップル小隊」
一番機 ハリス少尉 「アウシュレッザD型LSビエラ」
ニ番機 アラン准尉 「アウシュレッザD型ライナー」
三番機 マイロ准尉 「アウシュレッザD型ライナー」
第二小隊 符号「ベリー小隊」
一番機 アニス特務大尉 「??????????」
ニ番機 ジェシカ准尉 「ウルグ・スパイアーD型」
三番機 マシュー准尉 「ウルグ・スパイアーD型」
以上の搭乗割になった。
「うおおおッ! マイロッ! 愛機だッ! 自分専用のブレードナイトだぜ!」 グッ
「やったなッ! アランッ! 夢だったもんな! 自分専用のブレードナイトを持つ事がッ!」 グッ
「お前ら、大事にしろよッ! 自分しか動かせない愛機になるんだからな!」
「「 はいッ! 」」 バッ!
アトランティア帝国では、ブレードナイトの製造と整備は国が責任を持って行う。ブレードライナーには、その搭乗資格を持った時点で帝国から一機、そのライナー専用という事で無償譲渡され、個人の持ち物として扱われる。但し、譲渡されるからには、国軍の兵として戦場に駆り出され、戦火の中に投入される。これは、ブレードナイトを所持する者の定めであった。
機種変更はライナーの技量が機種に合わない場合と、乗機の機体が、激しく損傷した時のみである。(例外として、複数の機体を持つ者もいる)
「じゃあ、登録と調整に入れッ!」
「「 はッ! ハリス隊長ッ!」」サッ タタタ ウイイイイ カシュン! バッ!
アランとマイロの2人は、割り当てられた「アウシュレッザD型ライナー」のコクピットに乗り込み、自分専用機の登録と調整を始めた。
ピッ ピピ カチカチ ビョンッ! ピポッ! タタタタ
『アトランティア帝国 国軍 ブレードナイト「アウシュレッザ」』 ピッ
『駆逐艦「ライデン」搭載機 機体No.BNA-602D シリアルNo.DR002』 ピッ
『システムオンライン、初期設定開始、搭乗員ノ登録ヲシテ下サイ』 ピッ
「おおッ! これこれ! これこそブレードナイトだぜえ! え〜っと、搭乗員っと…」 ピッ ピピッ! カチャカチャカチャ ピピッ!
ブンッ!
『搭乗員登録完了 搭乗員「アラン・フォン・ウィルソン」准尉、登録シマシタ』 ポン!
「よっしゃーッ! 二番機いーッ! 俺の愛機だあーッ!」 グッ
『マスター、今ヨリ機体設定ニ入リマス」 ピッ
「おッ! よろしく頼むぜ!」
『了解シマシタ』 ポンッ!
「おッ! アランのやつ、もう終わったのか。早いな!」
マイロは、受領した機体のマニュアルを読んでいたので、今から設定をする所だった。
「さて、始めるかな!」
ピッ ピピ カチカチ ビョンッ! ピポッ! タタタタ
『アトランティア帝国 国軍 ブレードナイト「アウシュレッザ」』 ピッ
『駆逐艦「ライデン」搭載機 機体No.BNA-603D シリアルNo.DR003』 ピッ
『システムオンライン、初期設定開始、搭乗員ノ登録ヲシテ下サイ』 ピッ
「では、搭乗員登録っと…」 ピッ!ピピッ! カチャカチャカチャ ピッ!
ブンッ!
『搭乗員登録完了 搭乗員「マイロ・フォン・カルヴァン」准尉、登録シマシタ』 ピッ
「よし、これからよろしくな、俺の愛機よ!」
『了解シマシタ、マスター』 ポン
『コノママ、機体設定ニ入リマス』 ピッ
こうして、アランとマイロは、自分の愛機の登録と調整を済まして行った。
第一小隊の方は順調だったのだが、第二小隊、アニスの隊は少し手間取っていた。
「ねえねえ、アニスちゃん」
「ん?」
「私とマシューの機体はあるけど、アニスちゃんの機体はどうするの?」
「ああ、え〜と、まだかな?」
「え? まだって、なに?」
「ん、そのうちね」 えへ
「じゃあ、後で教えてね」
「うん」
おおおおッ!
一際多きな雄叫びが、格納庫内にこだました。 ブレードナイト「ウルグ・スパイアー」のコクピットで大声を出している、マシュー准尉であった。
アトランティア帝国 国軍 前主力ブレードナイト
ブレードナイト「ウルグ・スパイアー」
身長 12.2m
重量 32.4t
出力 18200kw
速度 地上 60km/h
空中 740km/h
武装 120mm魔力ライフル x1
腕部、固定12.7mm機銃 x4
ブレードナイト用ライトニングセイバー x2
(フォトンソードⅹ1 フォトンショートソードx1)
腰部ウェポンラック(対ナイト用投擲武器)
乗員 1名
*「アウシュレッザ」の前の主力ブレードナイト、「レスタリッザ」の次期主力戦闘機になるはずだったのだが、採用半年で、その座を「アウシュレッザ」に譲ることになる。「アウシュレッザ」が高速格闘戦闘機に対し、「ウルグ・スパイアー」は、武装重視の戦闘攻撃機であったため、機動力の差が大きく、その主力機種の座を譲ったのであった。
「ウルグ・スパイアー」は、高速戦闘よりも陸上の森林や市街戦の様な、複数連携作戦使用で、たまに『レンジャー』と呼ばれる事もある。 大陸艦隊ではD型仕様で、対艦攻撃用の装備を施し、対艦猟兵として運用されている。 攻撃力と機体の防御力及び、ライナーの生存率は他のブレードナイトよりもかなり高い数値が出ている。
「マシューは、騒がしいわね」
「ん、まああれはアランと一緒だよ。自分専用のブレードナイトを得た喜びの表れさ」
「男って単純ね!」
「ん、それよりも、ジェシカも登録しないと」
「ええ、アニスちゃん一緒にやってくれない?」
「ええ、かまいませんよ」 ニコ
「ありがとう!」 ガバッ! ギュウン!
「ちょっとジェシカ准尉!」 タンタン
ジェシカがアニスに抱きついていると、ジェシカの後ろから足を床で鳴らし、マリー曹長の声がかかる。
「え⁉︎ なんですか? マリー曹長」
「アニス様…もとい、アニス特務大尉にあまりべたべたしないでください!」
「はあ⁉︎」
「私のアニス特務大尉が汚されてしまいます!」
「ちょっとッ! 『私のって』それどういう事よッ! 大体、アニスちゃんは、私のです!私とずーッと一緒だったんですからね!」 ギュウーッ
「ずーッと⁉︎ くく…そ、そんなの関係ないです!」 キッ
「何が関係ないのよッ!私はアニスちゃんに本気だからッ!」 キッ
「私だって、本気なんですから―ッ!…はッ きゃああーッ!」カアアッ!タタタ
「なッ!ちょっと待ちなさいよッ!」
マリー曹長は、自分が今何を言ったか気が付き、顔を真っ赤に染めて、整備員待機室へと走って行った。
「ジェ、ジェシカ…」
「え⁉ あ、そ…そのう…アニスちゃん…」 モジッ
ガバッ!ギュウウ
「えッ!アニスちゃん⁉」 ギュウ
「ありがとうね、ジェシカ」 ギュウ
「うん、アニスちゃん…」 ギュウ
「さ、登録と調整しちゃおっか?」
「そうだね、隊長ー♡」 コク
ウイイイイ カシュン! ババッ
アニスとジェシカは、2人で「ウルグ・スパイアーD型」のコクピットに入り、ジェシカの設定を始めた。
ピッ ピピ カチカチ ビュオン! ピポ タタタタ
『アトランティア帝国 国軍 ブレードナイト「ウルグ・スパイアー」』 ピッ
『駆逐艦「ライデン」搭載機 機体No.BNU-615D シリアルNo.DR005』 ピッ
『システムオンライン、初期設定開始、搭乗員登録ヲシテ下サイ』 ピッ
「じゃあ、ここで、ジェシカの名前を打ち込むの」
「私の名前ね、えっと…」 ピッ ピピッ! カチャカチャカチャ ピッ!
ブンッ!
『搭乗員登録完了 搭乗員「ジェシカ・フォン・ルーカス」准尉、登録シマシタ』 ピッ
「はあ、できた! できたよアニスちゃん!」
「うん、おめでとう、これでこの子はジェシカの物だからね」
「私の…うんッ!大切にするッ!」 コク
『マスター、続イテ機体ノ設定ニ入リマス』 ピッ
「あ、よろしくね」
「了解シマシタ、マスター』 ピッ
こうして、駆逐艦ライデンのブレードナイトは、全て搭乗者と設定が終わり、出撃準備は整っていった。
「大尉殿、全機出撃準備完了!」
「ん~、…」
「どうしたの、アニスちゃん?」
「私の機体も準備できたんだけど…ちょっとねえ…」
「へえー、アニスちゃんの機体か、で、どこにあるの?」
「あ、それ、俺も興味ある、見てみたい!」
「自分も見てみたいですね、アニス大尉殿」
そこに、やっと落ち着いた整備士のマリー曹長もやって来た。
「アニス大尉殿、私も専属整備士として、アニス様の機体が見たいです」うるうる
「ん~ じゃあ、このあいたところに出すけどいい?」
「あ、ああ、6番ハンガーか、いいですよアニス大尉殿」
甲板長のダゴスにも許可をもらったので、アニスは自分のブレードナイトを、異空間、ストレージから出した。
「じゃあ、出すね!」 シュウイイイインンッ!パアアアーーッ!
格納庫全体が眩い光に包まれ、真っ白な世界に一瞬なった。
「「「 うわああッ! まぶしいいッ! 」」」 ババッ!
ドオオオオンンンッ! シュウウウーー…
光が収まり、段々と目が慣れてきた時、アニスの声がみんなの耳に届いた。
「お待たせ、これが私のブレードナイトだよ!」 サッ!
シュウ〜… ビョンッ! ピピピッッ! プシューッ!
「「「「「「「 なんだこれはああああーッ! 」」」」」」 ババッバアアーッ!
そこには、誰も見た事のないブレードナイトが一機、6番ハンガーに備わっていた。
プシューーーッ‼︎
いつも読んでいただきありがとうございます。
次回もでき次第投稿します。