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第119話 アニスと駆逐艦ライデン

―アトランティア帝国 駆逐艦ライデン―


ゴゴゴゴッ バウウウーッ!


「進路1.256マーク34、速度24ノット」 ピピピッ


「周辺区域内敵影なしッ! 進路オールクリアー」 ポンポン ピッ


「右舷第3遠方域、チャートNo.9 マークポイント6 グリーン22 友軍艦艇、護衛艦『キーファー』 速度20ノットで巡航中、距離 27000」 ポンポン ビビッ


「艦長! 先行作戦行動中のアルファー1 より入電」 ピピ


「『我、目標地点に達するも、敵影なし 帝国民と思われる学生を確認』だそうです」


「学生? こんな所でか?」


「アルファー1より追伸、『学生の身元照合依頼』」 


「うむ、直ちに照合検索、観測員!まだ敵がいるかもしれん気を抜くなよ!」


「はッ! 了解であります」 ピピ ピピ ピピ ポンポン!


「フウ〜…」 ギシッ!


「ライデン」艦長は深いため息をつき、艦長席に座った。


「副長」


「はッ! 何でしょうか?」


「君はどう思う?」


「今回のクリーチャーの侵入でしょうか?」


「ああ、私はどうも腑に落ちん」 ギシ


「私も同感です」


「副長もか、考えることは同じだな」


ビーッ!


「回収部隊より報告! アルファー3 【ハリス】少尉を無事収容、帰還します」 ピピ


「おお! 無事だったか、帰還急げ」


「はッ!」


「で、話の続きだが、副長の考えはどうかな?」


「はッ!では僭越ながらも申し上げます」


「うむ」


「今回、侵入したクリーチャーですが、どれも強襲型の足の短いタイプです!」


「そうだ、だとすれば…」


「だとすれば、恐らくどこかに奴らの母艦が潜んでいるかと進言します」


「うむ、副長の考えは正しい。今より一層警戒が必要だな!」


「それがよろしいでしょう」


ピピッ!


「身元照合終了、 帝国学園よりの捜索依頼対象者です」


「うん? 学園の生徒か、アルファー1に至急連絡 保護するように」


「了解しました!」


カチャッ! ポン!


『全艦に通達、本艦はこれより、人命救助活動に移行する!』 ピッ


「副長、行くぞ」


「はッ! 了解しました!」 サッ


「操舵手ッ! 艦回頭! 進路1.233 マーク25 イエロー18 速度27ノットッ!」


「アイサーッ! 艦回頭! 進路1.233 マーク25 イエロー18 速度27ノット」 ピッ ピッ ピピッ!


バウウウーッ! ババッ! ゴゴゴゴ バッ!ヒイイイッー バウウウーッ!


「進路クリアー、スラスター噴射! コース設定23 固定 両舷最大!」 ピピ ピッ ピッ!


「機関出力 最大巡航速度へ!」 ピピッ! ポンポン


ゴゴゴゴッ  バウウウーッ!


「ライデン!発進!」


ブヲオオオーッ! ビュウウウーーー!


駆逐艦「ライデン」は、アニス達のいる野営地に向かって進路をとった。その十数分後、アニス達と合流し、今は、「ライデン」の兵員食堂に連れてこられていた。



―駆逐艦ライデン艦内―


「ここで待っていてください。今艦長をお呼びします」 サ


連絡艇からここ食堂まで案内し、その兵士は出て行った。アランやジェシカ達はいまだに緊張しながら、指示通り食堂の席に座り、艦長が来るのを待った。アニスを除いて…


「ん、食堂ですね、何か作ってるのかな?」 テクテク コソ


「アニスちゃん、ここで待てって言われてるから、あまり動かない方がいいよ」


「でも、みんな朝食まだだったでしょ? お腹、空きません?」


「そりゃあ空いてるけど…」 クウ〜


「あははは……」 クウ〜


「ん? 厨房か?」 ガチャ ソ〜


アニスは食堂横の扉から中を除いた。


「(おお、ちゃんとした厨房だ!)」 ジ〜


「ここ、軍艦の中だし、勝手な行動はやっぱり…その…」 クウ〜


「ええい! 私が作るッ! 厨房ッ! 入るよッ!」 バンッ! テクテク


「きゃあああーッ! アニスちゃんッ! ダメえええッ!」


「うおッ! なんだ貴様はあ!」 ババッ


厨房には、白衣と白い帽子を被った1人のコックが、鍋の前で調理をしていた。


「ん、飛び入りだよッ!」 バッ!


「飛び入りって、お嬢ちゃんはどこからきたんだ?」


「ん、どこだっけ?」


「あたま、大丈夫か?」


「ん、森からこの船に乗れって言われたからなあ」


「森から? 誰にだ?」


「レオンから」


「レオン?」


「ん、【レオハルト・ウォーカー】」


「少佐殿じゃねえかッ!」


「ああ、少佐、少佐、そう言ってた」


「お前さん、少佐のこれか?」


そう言って、そのコックは右手の小指を立てた。


「ん? これ? 何だそれは?」


「お嬢ちゃんにはわかんねえか、つまり、少佐の恋人か?という事だ」


「なッ! ち、違うッ! それは断じて無い!」 カカア!


「お! 顔が赤いぞ! 満更でも無いのだろ!」 ニイイ!


「うぐぐッ!」


「アニスちゃん、大丈夫?」 ソ〜


厨房の入り口から、ジェシカ達が中に様子を伺ってきていた。

           ・

           ・

           ・

           ・

―駆逐艦ライデン ブリッジ―


「艦長、学生達7名、無事保護しました。現在、当艦食堂にて待たせています」


「ん、じゃあ会いに行こうか。副長、ここを頼む」


「はッ! 了解しました」


ビーッ


「少佐の『アウシュレッザ』帰還します」


「少佐にも、食堂に来るよう伝えてくれ」


「はッ!」


艦長は、アニス達に会うため、ライデンのブリッジから出て行った。



―ライデン格納庫―


ヒュウウンン プシュウウウ ウイイイインン ガタン


ビイーッ! ビイーッ!


『第2デッキ、アルファー隊帰還「アウシュレッザ」収容準備』


『第1班 第2班 作業準備 ハッチ解放! 着艦用誘導開始』 ビビ!


グウイイイイッ  ガコンッ!


『誘導ビーコン受信 アルファー1 着艦する』 ピピッ!


シュウウウッ! ジャギイイイインン! シュオンン! ブシュウウ…


『アルファー1 着艦! 続いてアルファー2 着艦準備!』


ビーッ! ビーッ! ガコン! ガコン!


パシュウー! バクン!バクン!


「ふう~、無事着艦っと」


「少佐ーッ!」


「うん? おう!甲板長!」


ウイイイイイ カシュン!


「無事お帰りなさい!」


「おう!」


「しかし、少佐が被弾してたとは思いませんでしたなあ」


「被弾? 俺は一発も受けてないぞ!」


「またまたあ、ほらそこ、左足のカバーがとれてますぜ!」


「カバー? あ!」


「ほら やっぱり、被弾したんでしょ?」


「いや違う!」


「違う? じゃあ何ですかいこれは?」


「いや…これはその…」 ポリポリ


「ま、いいですぜ、今回は黙っておきますから」


「(まさか、甲板長に『女の子に壊された』なんて言えんしなあ)」


ビーッ!


『アルファ―2 着艦します!』


シュウウウッ! ジャギイイイインン! シュオンン! ブシュウウ…


『アルファ―2 着艦、続いてアルファー4 着艦準備!』


「皆順調だな、…」


ポン『レオハルト少佐!至急兵員食堂へ』


「うん? ああ、たぶんアニス達の事か…」 タタタ


館内放送で、レオハルトは艦内の兵員食堂へと向かった。


ビーッ!


『アルファー4 着艦します!』

          ・

          ・

          ・

          ・

―駆逐艦ライデン 兵員食堂厨房―


ジュワア~ パチパチパチ  ジュジュユウウ~


「ほい!いっちょ上がりッ!」 ジュウシイ~


「なッ! おいッ嬢ちゃんッ‼ なんだこれは⁉」


「ん? カラアゲ」 ふふん


「カラアゲ? なんだその料理は?」


「私のいたとこでは普通の料理だぞ! アラン! ジェシカ! できたから持って行って!」


「いいの? でも…」 ジロ


「ん、気にするな! 材料も、調味料も、油も私のだ! 遠慮はいらない! ねッ!」


アニスがそう言って、厨房にいたコックに目配せをした。


「え? あ? いや、その…」


「ん? なんですか?」


「なあ 嬢ちゃん」


「ん?」


「俺にもそれ、一口いいか?」


「ええ、かまいませんよ」 ニコ


ドキンッ! コックは、アニスのその笑顔で顔を真っ赤にして胸を抑えた。


「じゃ、じゃあ、一つ貰うぜ!」 パクッ! じゅわッ!


「 ッ! 」 モグモグ ゴクン!


「ん? 美味しいですか?」 


「うまい…美味すぎるッ! ククク…」 ジ〜ン


「ほら、みんなも食べて」 サッ


「わああッ! アニスちゃん! ありがとう!」 


パクパク! ムシャッ!


「「「「「「 美味しいいッ! 」」」」」」 ッ!


「なにこれ! なにこれッ! 美味しいッ!」 サクッ! ニコ


「ウマッ! ウマッ! うまいッ!」 バクバクムシャムシャ!


食堂にいたアランやジェシカ達は、アニスの作った唐揚げに、夢中で食べ、若いお腹を満たして行った。


皆が唐揚げを食べ終わった頃、食堂の扉が開き、艦長が入ってきた。


シュウウ タンタン


「うん? 何だこの美味そうな匂いは?」


「か、艦長ーッ!」 ババッ!


「へ? かかか、艦長ーッ⁉︎」 バババッ! ガタン! ビシッ!


艦長が食堂に入ってくると、コックとアラン、ジェシカ達は急に立ち上がり、全員、直立不動の姿勢で敬礼をした。


「かんちょう?」 うん?


「(ア、アニスちゃん! アニスちゃんッ!)」 ビシッ


「ん? なにジェシカ?」


「(け、敬礼よ! 敬礼してッ!)」 ビシッ


「敬礼? 何で?」


「(何でって、物凄く偉い人なのよッ!)」 ビシッ


「ん〜、レオンとどっちが偉いんだろ?」 はて?


「うん? レオンとはレオハルト少佐のことかねお嬢さん?」


「ん、そうそう、その少佐ッ!」


「(ヒイイイッ! アニスちゃんッ! 敬語! 敬語をつかってええッ!)」 ビシッ


「ワシも少佐だしのう、どっちが偉いかというとなあ…」 


と、アニスの質問に、艦長と2人、考えていたら、1人の男が入ってきた。


「艦長だよアニスッ!」 ダン


入ってきたのは、「ブレードライナー」のレオハルト少佐だった。


「あ、レオンだ」 ビシッ


「(もうダメだあーッ! アニスちゃんのばかあーッ!)」 シクシク ビシッ


「ほう、レオハルト少佐をレオンとなッ!」 ははは


「全く、アニス、お前なにやってんだよ!」


「ん、このかんちょうっていう人が入ってきたとこですが?」


「それで?」


「えっと、偉い人ってジェシカが言うから、レオンとどっちが偉いかと言っていた所だ」


「(わ〜ん!私に振らないでよおッ!)」 シクシク ビシッ


「まあ、同じ少佐だが、俺は艦長の艦に乗ってるんだから、艦長の方が偉いッ!」


「なる程、レオンは艦長のオマケか…」


「いや、その考え方はおかしい!」


「クククッ ぶわはははははっ!」 


レオハルトがアニスを咎めた時、艦長は大笑いをした。


「か、艦長…」


「あ、いやすまん! レオン、このお嬢さんが 突拍子もないことを言ったのでな、つい笑いのツボにハマった」 ククク


「レオン」


「なんだ、アニス?」


「この人、本当に偉いのか?」


「こら、ちゃんと艦長って言え」


「でもなあ、まだ自己紹介もしてないからねえ…」


「おっと、すまん、すまん。アニスさんだったかな?」


「 ん 」 コクン


「私は、この『駆逐艦ライデン』の艦長、【アレックス・グレイ】少佐だ、宜しく」


「ん、私はアニス、宜しくね! 艦長さん」 ニコ


「ううッ! おい! レオン!」 ババッ


「なんだよアレク?」


「お前、まさかこの娘に手ェ出してないだろうな?」


「するかッ! まだ会って1時間くらいだぞ! だいたい、『アウシュレッザ』に乗ってたんだから何もできねえよッ!」


「本当かあ? お前2番機の【アシュリー】に手を出したって聞いたぞ!」


「なッ! だ、誰だッ! そんなデマを流したのはッ!」


「私が聞いたのは、甲板長からだが…」 ふむ


「ふ、ふふふっ! ダゴスのホラ吹き野郎めええッ!」 ググッ


「うん? デマなのか?」


「当たり前だッ! 誰があんな筋肉女ッ! 相手にするかあッ!」


ドオオオンッ! 


突然大きな音がしたと思ったら、そこには、レオハルトと同じライナースーツを着た、美女がうすら笑いを浮かべて、食堂の壁を叩き立っていた。


「レオン隊長、今なんて言いましたか?」 フフフ タン タン


「ヒッ! ア、アシュリイイッ!」 ババッ


「あ、アニスッ! すまんッ! 後でまたなッ!」  ババッ!ダダダッ!


そうアニスに言い残し、レオハルトは脱兎の如く、反対側にあったもう一つの扉から出て行った。


「あ、逃げた」


「ま、待ちなさいッ! 少佐ああッ!」 タタタッ!


レオハルトとアシュリーは食堂から去っていった。


「レオンはアレで偉いのか?」


「まあ、アレでも偉いんだアニスさん」


「ん、グレイ艦長、私の事はアニスでいいですよ」


「では、私の事もアレクと呼んでいいですよ! アニス!」


「ん、ではアレク これでよろしいでしょうか?」


「うむ、それでいこう! はははッ!」


そんな状況を見てアランやジェシカ達はまたも驚く。


「(か、艦長まで! アニスちゃんっていったい…)」 ビシッ


「(すげえッ! アニスちゃん! 俺もああなりてえッ!)」 ビシッ


「うん? ああ、君たち、休んでくれたまえ、君達には学園より捜索願いが出ている。この艦で無事送り届けるから、 ゆっくりしたまえ」 サ


「「「「「「 ありがとうございますッ! 」」」」」」 ペコ ふう〜…


アランやジェシカ達は、皆気を抜き、席に座った。


「じゃあアニス」


「ん?」


「私はブリッジに戻る、会えてよかったよ」 サッ


「ん、またねアレク」 フリフリ


艦長のグレイはそう言って、食堂を出て行った。



ー駆逐艦ライデン ブリッジー


ピッ ピッ ポンッ! ビーッ!


「ソナーに微弱信号聴知ッ! チャートNo.10 マークポイント08 ヴィクター12 チャーリーッ!」 ピッピッ ポンポン ビビーッ!


「副長おおッ!」


「艦長を呼び戻せッ! 大至急だッ!」


「はッ!『ブリッジより艦長! 至急お戻りください!』」 ポン


「エリア190 ダイブ108 速度 18ノット 更に接近」 ピッ ピッ! ポンポン


艦長のグレイは、慌ててブリッジに入ってきた。 ダダダッ! バンッ!


「副長ッ! 状況報告!」 ギシッ!


「はッ! ソナーが微弱な反応を確認しました」


「位置は?」


「当艦右舷方向、距離にして約20000、推進音解析、現在照合中です」


ビーッ! ピッ ピッポン!


「推進音照合ッ! クリーチャーの潜空艦ですッ!」


「くッ! こんな時にッ!」


「艦長!」


「全艦、第一級戦闘配備、対潜戦闘ッ!」 グッ


ビビーッ! カンカンカン! 


『対潜戦闘ッ!』 ビイー!


「副長CICへ!」


「了解 、各種センサー最大、『ライデン』武器システムオンライン」


「操舵手 艦回頭 進路1.258 マーク22 イエロー12 戦闘速度へ」


「アイサー! 艦回頭 進路1.258 マーク22 イエロー12 戦闘速度へ」ポンポン ピッ


バビュウウウウウッ! バシュッ! バシュッ! バウウウー!


「チャートNo.10 コース18に固定 進路クリアー」 ピッ ピピッ! ポン


ヒイイイイインンンッ! バウウウー!


駆逐艦ライデンはどんどん加速していった。


「機関最大 戦闘速度へ! 28、31、39、40ノット! 第2戦闘速度ですッ!」


「CIC、対潜戦闘始めえッ!」


「アイサー! 1番から4番ッ!「ジークリッド」装填!5番6番デコイ発車用意ッ!」


ピッ ピッ ピピッ! ポンポン


「艦首発射管 1番から4番 「ジークリッド」装填完了! 5番6番デコイ発射準備良しッ!」


駆逐艦ライデンの、全ての準備が整った時、観測員の1人が異常音を探知した。


ピッ ピッ 『バシュウウーーー』 


「なッ! 敵潜より発射音ッ! 雷数12ッ 至近ですッ‼︎」


「なにいいッ!」


シュバアアアアーッ! バシュッ! バシュシューッ!


「通常空間にでましたあ! 距離に3000ッ! 雷速 80ノットッ!」


それは、あまりにも突然の攻撃であった。



いつも読んでいただきありがとうございます。

次回もでき次第投稿します。

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