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第118話 アニスとレオハルト・ウォーカー

ーアトランティア帝国 森林地区野営地ー


ピッピッ ビッ ビビッ


「1.2.3…全部で7人か…学生?…こんなとこで何をしてるんだ?」


『ライデンコントロール こちらアルファー1 聞こえるか』 ピッ


『アルファー1 こちらライデンコントロール 受信良好』 ピッ


『高エネルギー射点と思われる地点に到達 現場にそれらしき設備、痕跡無し』 ピッ


『ライデンコントロール了解 引き続き調査されたし』 ピッ


『アルファー1了解 なお、目標地点において、帝国の学生7名を確認 対象照合依頼』 ピッ


『ライデンコントロール了解 照合検索開始』 ピッ


『アルファー1より各機へ 上空警戒を厳とせよ』 ピッ


『アルファー2 了解』 ピッ バウウウーッ!


『アルファー4 了解』 ピッ バウウウーッ!


上空の2機の「アウシュレッザ」は スラスターをふかし、上昇していった


『こちらライデンコントロール、アルファー1 コンタクト』 ピッ


『こちらアルファー1』 ピッ  ガンガン!


『照合完了 対象は昨日より捜索願のあった 帝国学園 演習遠征隊、第3班の生徒と判明 保護されたし』 ピッ


「なんだ、迷子かよ」


『アルファー1 了解 対象を保護します』 ピッ ガンガン!


『ライデンコントロール了解 こちらも救援に向かうそこで待機せよ オーバー』 ピッ


『アルファー1 了解 現地にて保護 待機する アウト』 ピッ ガンガン!


「ふう〜 さっきからなんだ? ガンガンとうるさい」 ピピ


アルファー1は操縦席のボタンを操作し、モニターを見た。 ピピ パッ!


「なッ! なにやってんだよおおッ!」 ガバッ!


モニターに映し出されたそれは、「アウシュレッザ」の足を、岩を使って叩いている、帝国学園の制服を着たアニスの姿だった。


「ん、意外と硬いな!」 ガンガン!


「ア、アニスちゃんッ! そんな事しちゃダメです!」 


「ん? ジェシカはこれが何か知ってるの?」 ガンガン! ポロ


「あ、取れた…」 カタン! 


「「「 アーッ! 」」」 


「あはは、なんだ、簡単に取れたな」 


ビーッ! ビーッ! 『左脚サービスポート 開放 カバーヲツケテクダサイ』


「ああ、なにはずしてんだよお、しょうがねえなあ」 ピピピッ


プシューッ バクンッ バクンッ


すると、「アウシュレッザ」の胸の部分が開き、操縦席から1人の男が出てきた。


「おい!アラン、ライナーが出てくるぜ」


「ア、アニスちゃん、早くこっちに来て、ライナーが降りて来る」


「ん? ライナー?」 ポイッ ドサッ テクテク


アニスは持っていた岩を捨て、皆がいる所へ行った。


カシュン! ウイイイイイイ…


その男は、操縦席の全面カバーから延びる、一本のワイヤーにつかまり、地上まで降りて来た。


カシュン! スタッ! ザッ! ザッ! ザッ! カパ!


降りてきた「アウシュレッザ」の搭乗員は、ヘルメットを脱ぎアニス達の方に歩いてきた。その姿は、背丈は190cm程、痩せ型ではあるが、がっしりとした筋肉のついた体格で、金髪の好青年であった。


「よう!帝国学園の学生さんッ!」 バッ!


その好青年は、アニス達の前までくると、ヘルメットを脇に抱え気さくに声をかけてきた。


「は、はは、初めまして!じ、自分は帝国学園3回生、演習遠征隊、第3班班長の【アラン・フォン・ウィルソン】ですッ!」 ビシッ!


ザッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!


アランはその男に対して、胸にこぶしをつける、帝国軍式の敬礼をした。それに続いて、マイロやオスカー、ジェシカ達、女子も同じ敬礼をした。 ただ、アニスだけはキョトンとして、彼らを見ていた。


「うん、俺は、帝国軍、第一方面隊、第2遊撃大隊所属、第1中隊、第1小隊隊長の『ブレードライナー』【レオハルト・ウォーカー】少佐だ、よろしくなッ!」 サッ


「「「「「「 はッ!(少佐ーッ‼)」」」」」」 ビシッ!


「ああ、そんなにしなくていいから、楽にして」 ササ


レオハルトにそう言われても、なかなかそうもいかない、少佐と言えばその部隊の中隊長格である。今のアラン達にとっては雲の上の存在に近かった。


全員が緊張し整然としている中、アラン達男子の後ろに並んでいるジェシカに、アニスが問いかけた。


「ねえ、ジェシカ」


「(な、なにッ!)」 ビシッ!


「それ、何やってんですか?」


「(アニスちゃん! 敬礼よッ!敬礼!)」 ビシッ!


「敬礼? なんで?」


「(『ブレードライナーよッ!ブレードライナー』)」 ビシッ!


「『ブレードライナー』? ああ、アランが成りたがってたヤツだ!」


「(ア、アニスちゃん!黙っててええ!)」 ビシッ! タラ〜


アランは敬礼しながら、自分の後ろで、ジェシカと話す、アニスの言葉に冷や汗をかいていた。


「(そうよッ!『ブレードライナー』は皆、偉いのッ!しかも少佐!)」 ビシッ!


「偉い? アレが?…」 ビッ!


アニスは、レオハルトに指差して聞いた。


「「「「「「 (ヒイイッ! アッアニスちゃ-んッ!) 」」」」」」 アセッ!


「はははッ! 君の言う通りだ!」 ザッ ザッ


「 ん? 」


「俺はしがない平民からの成り上がりでね、爵位なんざ無いから偉く無いッ!」 グイ


レオハルトはアニスに近づき、顔を近づけて話した。160cmくらいのアニスに対し、190cmもあるレオハルトにとっては、まるで、大人と子供のようだった。


「お嬢さん、あんただろ、アレやったの?」 


「ん、触ったら取れた」


「いや触ったら取れるもんじゃ無いし!お前、岩で殴ってたろ!」


「(なんだ、見てたのか。)アレで取れるようじゃダメですよ」 ニコ


「岩ぐらいで普通は取れねえよッ!」


「(そうなのか?)でも取れた」


「はあ〜、うちの整備員が手ェ抜いたのかあ? クリーチャーの攻撃でも取れねえような作りなんだが…」


「ん、私にかかればアレも、クリーチャーと一緒だな!」


「(アニスちゃん! アニスちゃんッ! ダメええッ! それ言っちゃダメええッ!)」 タラ〜


「ほう、なかなか言うじゃ無いか、お嬢さん」


「ん、事実だ」


「ふむ(なんだこの娘は? 貴族には違いないが魔力がすごいな、アレとクリーチャーが一緒? まさかこの娘が⁉︎ 言葉使いは平民寄りだな、試してみるか)」


「で、どうする? アレを弁償してくれるかい?」 クイ


「アレ? ああ、私の作った朝食を踏み潰した、非常識なアイツの足の事か? 場所を弁えずここに降りるが悪い! 私は知らない!」 イライラ


「(おいジェシカ!)」 ビシッ!


「(なに?アラン)」 ビシッ!


「(アニスちゃんの顔を見て)」 ビシッ!


「(アニスちゃんの顔?…ッ!)」 ジロ ビクウウッ! ビシッ!


「(アレ、大丈夫か?)」 ビシッ!


「(不味いッ アラン! アニスちゃんッ! ものすごく怒ってる!)」 ビシッ!


「(止められるか?)」 ビシッ!


「(むりむりむりッ! 絶対むりッ!)」 ブンブンブン! ビシッ!


「(あの少佐殿はどうなる?)」 ビシッ!


「(無事を祈るしかないわ…)」 ビシッ!


はあああ〜…


アランとジェシカ達は軽くため息をつき、ことに成り行きを姿勢正して見ていた。


「え? 朝食? 踏み潰した? なんの事だ? そんな物があったのかあ?」


「ん、惚けるのか? じゃあ証拠を見せよう!」 グッ テクテク シュリン!


アニスは、レオハルトの愛機、「アウシュレッザ」の方に歩きながら、腰裏の神器「アヴァロン」を抜いた。


「うん?その短剣でなにをするんだい?」


「証拠を見せると言った、コイツの足を切り落としてそれを見せる」


「はあ⁉︎ お嬢さん、なかなかに冗談がうまい」 はは


「じゃあ、遠慮なく…」 ググッ


「(やばいッ! ジェシカ! アニスちゃんならやっちゃうよ!)」 ビシッ!


「(アニスちゃん! やめてえーッ!)」 ビシッ!


「(アラン! 止めろ! 俺、ブレードナイトが壊れるのは見たくない)」 ビシッ!


「(どうやって止めろって言うんだよッ!)」 ビシッ!


アラン達が小声でやりとりしてる中、アニスが構え出した。それをレオンハルトはじっと見ていた。(ほう、いい構えだ)


「じゃあ、アイツの足を切り落とします」 ザザッ! ブワアッ!


「むッ!(いかんッ!)」 ババッ!


アニスが構え、神器「アヴァロン」に力を込めた時、アニスの目の前にレオハルトが現れた。


シュンッ! ザザッ! 


「「「「「( ええーッ! あの動き、アニスちゃんと同じ…)」」」」」


「ん、《瞬歩》か…」 シュウウウウ……


「悪い、俺の負けだ、試して悪かった。アレを壊さないでくれるか?」 ニコ


「わかるのですか?」 


「ああ、お嬢さんのその魔力、相当強いだろ?」


「では、」


「ああ、朝食を台無しにしたのは謝罪する。あとアレの弁償もいい、俺がするから」 ペコ


「ん、わかりました」 チャキン


「(ええーッ! アニスちゃんって何者?)」 ビシッ!


「(凄ええ! 「ブレードライナー」が頭を下げた!)」 ビシッ!


「(うん、やっぱり私のアニスちゃんね)」 ビシッ!


「ん、あらためて、私はアニス、よろしくね、レオハルト少佐」 ニコ


「お、おう、まあなんだ、俺の事はレオンでいい、親しい奴にはそう呼ばせてる」 カカア!


「じゃあ、レオン! これでいい?」 ニコ ギュ


「おう い、いいぞ、それでいい!(可愛いじゃねえか)」 ギュ


2人はその場で握手をした。


「ああ、お前達、いつまでそうしてんだ? 軍隊じゃないんだから解散していいぞ!」 ザッ


「「「「「「 はッ! 」」」」」」 フウ〜


「アニスちゃ〜ん!」タタタ! ガバッ!ギュウウ


「ん? ジェシカ!」 ギュウウ


「良かったあーッ!」 ギュウ


「ん?」


「もうッ! レオハルトさんは少佐なんですよッ! 少佐ッ!」


「少佐?」


「そうッ! 凄く偉い人なんですからッ!」 バッ!


「レオン! あなたは偉いのですか?」


「ヒイイッ! 呼び捨てダメええーッ!」


「はは!いいって、いいって、アニスは特別だ!」


「へ? アニスちゃんは特別ですか?」


「ああ、どうやったかわからんが、彼女なんだろ? クリーチャーをやったの」


「は、はい…」 コクン


「じゃあ、いいじゃないか」


「アニスちゃん凄え! 少佐に認められた!」


「で、レオン、どうですか?」


「まあ、偉い方か? 一応中隊長でその第一小隊長だからな!」


「ふ〜ん、では、偉い第一小隊長のレオン!」


「なんか砕けてきたな…なんだ?」


「アレ! 邪魔、すぐどかして!」


「お、おう、今どける!」

 タタタ カシュン ウイイイ バクンッ! ヴン!


ギュワンッ ガシュン! グワッ ズン! ズン! ズン!


「凄いわアニスちゃん、ブレードライナーに命令してブレードナイトをどかしてる」


「俺、コレからずっと、一緒について行こうかなあ…」


「ダメッ! アニスちゃんは私達と一緒に行くんだから!」


「ええー! 俺も一緒に…」


「ダメッ! 大体、アニスちゃんは女の子よ! 男子とずっと一緒にいられるわけないでしょ!」


「ダメかあ…」


レオハルトはアニスに言われ、落着地点から少し離れた所へ移動していった。その時通信が入る。


『隊長、ライデンが接近 アプローチに入ります』 ピッ


『わかった。ここへ誘導してくれ、お前達はライデンの護衛をせよ!』 ピッ


『了解』 ピッ


シュウウウウ…バクンッ バクンッ カシュン ウイイイイイイ カシュン!


「ここでいいか?」


「ん、いいけど…鍋ぺっちゃんこ」


「う、すまない…これでいいか?」 ゴソゴソ サッ!


レオハルトがアニスに渡したそれは、昨日の晩、ジェシカ達が食べようとした、軍支給の棒状の栄養補助食品だった。


「それまずい、いらないです」 フリフリ


「ははは、やっぱり不味いよなあコレ、俺もそう思ってた」 ウンウン


「もう一回作り直そっかな」 ウ〜ン


そう悩んでいた時、上空を2機のブレードナイト『アウシュレッザ』がやってきて、空中で静止した。


シュウウウー バウウッ! ヒイイイインン!


『隊長! ライデン来ます!』 ピッ


すると辺り一面に巨大な影が覆い、上空にその主が現れた。


シュゴオオオーーッ! ゴウンゴウン! バビュウウウウウ! ババババアアア


「んッ! なんだかズゴイなアレ!」 ジイッ!


「おう!凄いだろ!」 ふふん


「アランッ! アランッ! アレッ! アレえッ!」 ガクガク


「お、おおおおッ! すげええええッ!」 ババッ!


「はああ! おっきいですねえ!」 ググッ! 


「もうッ! 男って何でこう大きいのがいいのかしら? 可愛くない」 ハア〜


「本当、理解できません!」 フリフリ


「同感」 ウンウン


ドウウウウンン! 


そう、今アニス達の頭上には巨大な物体が現れ、逆噴射をしてそこに静止していた。


「ん、船?」


「ああ、そうだ 俺の母艦さ 帝国軍第一方面隊所属、シンデン級攻撃型駆逐艦『ライデン』だ!」


そう、この500年後の世界には、空中を飛ぶ船、「グランドシップ」が存在し、軍艦から商船まで多岐に渡り存在する。この攻撃型駆逐艦「ライデン」もその一つであった。


アトランティア帝国軍 大陸艦隊 シンデン級攻撃型駆逐艦


『ライデン』  全長 235m

        全高 124m

        速度 巡航速度 27ノット

           戦闘速度 80ノット

        乗員 230名

《主兵装》   12.7cm連装フォトン砲 x1

        40mm近接防御兵装 x2

        両舷ミサイルポット x2

        60cm空間魚雷発射管 x6

        空間爆雷投射機 x2

        VLS発射装置 x12

《搭載機》   ブレードナイト『アウシュレッザ』 4機

        連絡艇         x1



ゴウンッ! ゴウンッ! ゴウンッ!


「どうだアニス、こいつで、お前達を帝都にある学園まで送ってやる」


「ん? 帝都?」


「ああ、お前達 そこの生徒だろ?」


「ん、私は別…ムグッ!」 ガバッ! ギュウウッ!


アニスがレオンに話そうとした瞬間、ジェシカ達3人に、口を塞がれ身体に抱きつかれた。


「あ、ありがとうございますわ!レオハルト少佐!」 ギュウ


「はい、物凄く助かります!」 ギュ


「よろしくお願いします!レオハルト少佐!」 ムガムガ!


「お、おう…じゃあ連絡艇を下ろすから待っててくれ」


「「「 はいッ!(ムガーッ!) 」」」 ギュギュウウ


そう言ってレオハルトは自分の愛機の方へ歩いて行った。


パッ! 


「ごめんね、アニスちゃん」 ペコ


「ん、もういいけど、どうしたの?」


「だって、アレに乗してもらえれば、帝都なんてすぐよ」


「そう、それに安全だもんね」 ウンウン


「ん、そうか、そうだな。ではそうしよう」


アニスがジェシカの提案を受け入れた時、上空の駆逐艦から連絡艇が降りてきた。


ヒュウウウンン  バシュウウーーー タン!


ウイイイイイインン カチャ


「えっと 少佐殿が言ってた学生ってこの方達ですかあ?」


「おう! そうだ、『ライデン』に乗せてやってくれッ! そのまま帝都へ連れて行く」


「了解しました。 では、皆さん、こちらへどうぞ」


連絡艇の兵士に招かれ、アニス達7人はそれに乗り込んでいった。


「では、皆さんシートベルトを絞めてください。すぐ着きますから」 ポン


『ベルトヲ確認シテ下サイ、当艇ハ間モナク発進シマス』 ポン


「では行きますよ」 ヒュイイイイイインンン! バウウウー!


体が宙に浮く感じがして、備え付けの窓から外を見ると、すでに森林地区全体が見えるくらいの高さまで昇っていた。


「うわあーッ! 凄い!』 ジイ〜


「森林地区ってこんなだったんだ」 ジイ〜


「凄く綺麗!」 ジイ〜


 ヒュイイイイイインンン ピピイー ポン


『マモナク到着シマス』 ポン


連絡艇は駆逐艦艦艇部の格納庫に吸い込まれて行った。




いつも読んでいただきありがとうございます。

次回もでき次第投稿します。

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