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第113話 アニスと学園生徒達

―アトランティア帝国領内 森林地区ー


パチパチ メラメラ  コポコポコポ カチャ


アニスは焚き火の前で紅茶を注ぎ、昨日からの事を考えていた。


コクン フウ〜


「さて、まずは整理しよう、昨日この世界に戻ってきて初めに感じたのは、この世界の魔素の少なさだ」 コク


「私はこの世界に降り立った時、魔素は充分にあった、その後なんらかの理由でこの世界が神界より逸脱、そのままではこの世界が消えてしまうので、そうならない様に、あの時処置をしたんだよな」 コクン


「その後、崩壊に至りそうな元凶のコア達を調整、そんな中、異次元世界、向こう側の『アーク』に召喚されて、向こうの世界の崩壊を防ぐため、第29神界世界の創造、それが終わった所でこの世界に戻ってきた」 コク


「で、ここまではいいんだが…」 コクン カチャ メラメラ パチパチ


「……ん、この世界、やはり魔素が少ない」 メラメラ カタン パチパチ


「昨日、ここの国の少年達、学生か? 魔力操作が上手く出来てなかった…」


「あと、あの得体の知れないヤツ…」


「あの場にいた学生達を襲って来たよな。危なそうだったから、思わず助けに入っちゃたけど、アレは見境無しか?」


「400年以上経つと、こんなにも世界は変わるのか…」 パチパチ


「もしかして、魔法が衰退している?」 カタン メラメラ 


「有り得るかな、あの時、少年達は魔道具から魔法を使ってた。つまり、魔道具を使わないと魔法が打てない? 多分そうだろうな」 パチパチ


「だとすると、あの物体はどうやって動いてるんだ?」


「もうちょっと調べてから、この世界の者達と接触した方がいいかな」


そう、焚き火の前で紅茶を飲みながら結論付けた時、近くの草むらが揺れた。


ガサガサッ! 


「ん? また何か来たか?」


アニスはそう感じ、腰裏のミドルダガーに手を当て構えた。


ガサガサガサッ ババッ! タンッ! ピッ! ピッ! ピッ!


草むらから現れたのは、防衛センターの放った準戦闘型のフィアットという小動物型ドローンであった。


「なんだ、また君か」 スッ!


『ビーッ!』 ダダダッ! ビュンッ!


フィアットは、アニスを確認すると、急激に動き襲ってきた。それに対して、アニスは右手を差し出し魔法を使った。


「《バルゼスタッ!》」 キンッ バリバリバリッ! バアアンンッ!


『ギギイイッ!…』 カタカタ…クシャンッ! シュ〜…


アニスの雷撃系魔法攻撃を受けたフィアットは、その場で機能を停止して、崩れ落ちた。


「よしッ! これで26っと、……やっぱり消えない、コイツらは魔素還元しないんだ。なんでだろ」 シュン


アニスは倒したフィアットを異空間に仕舞った。そのまま放置もまずいと思い、倒していった物全てを異空間に仕舞っていった。その後、アニスは周りを片付け歩き出す。


「やはり、この世界の誰かに聞いた方が早いのかなあ…」ザッ テクテク


アニスは、再び森の中を進んでいった。アニスが森の中を好んで進むには訳があり、昨日から上空をなんか得体の知れない物が飛んでいたからであった。


ヒューッ


「ん、また飛んでるな!」 ジ〜


アニスが上空に目をやると、偶に飛んで見える物があった。それは防衛センターが出したドローン、索敵探索のヴェルパーであった。だが、アニスの認識阻害魔法には無駄な事だった。


「ま、いっか、でもしつこいな…なら、これならどうだッ!《刹那ッ!》神蒼走破!《ベルウィング.グラン.ハリアーッ!》」 キュインッ!シュッ!


すると、アニスの姿は一瞬で消え、その場には強い風が巻き上げた。


シュッ  シュッ  シュッ


森林特有の木々や覆い茂った茂みをを、何一つかすらず高速移動して交わし進んで行く。技の発動から1分、その移動距離は、すでに10kmにも達していた。


「これほどの高速移動なら、 アレも追いつけないだろ…」 シュッ シュッ


アニスはそのまま、高速移動をした。さらに、2分程走ったところで、アニスの耳に、微かな悲鳴が聞こえた。それを聞き、アニスは足を止めた。


ザッザザーッ! スタッ


「ん? 確かになんか聞こえたんだが…」 スッ


「誰かー……」 


「聞こえた! 随分距離があるなッ! 向こうかッ!」 ザッ シュンッ!


アニスは微かな悲鳴が聞こえる方に向かって走った。走って1分、声の聞こえたあたりに近づいた時だった。


ドガアアアアッ! 


「きゃあああッ!」


「ん、まずいッ!」 ギュンッ! シュッ!


アニスは、爆発音と女性の悲鳴を聞いて、緊急性を感じさらに速度を上げた。すると煙が立ち上る、その場所が見えてきた。


「ん、いたッ! あ、何人かいるな」 ザザーッ! スタッ!


アニスはその声のする場所に辿り着いた。そこには数人の人影があったので、すぐにはそこに出ず、近くの大木の上で様子を見た。


「あれかッ!…うん? アレは…」 ザッ スタッ


それは、昨日見た演習場にいた若者達と同じ制服を着た男女が6人、あの防衛ドローン2体と対峙していた。よく見れば、6人のうち男女2人が倒れ、その2人を3人が介抱し、もう1人は防衛ドローンに対し武器を構えていた。


「大丈夫かマイロッ!」 グッ


「うう、痛えッ!」 ポタポタ


「きゃっ!血が出てるよッ!」


「はやく止血だッ! 実習で習ったろッ!」


「ルナッ! ルナッ! 気をたしかにしてッ!」


「うう…う〜ん…」


ブ〜ン ブ〜ン スーーッ!


「やばいッ! 近づいて来たッ!」 ザッ! チャカ!


『帝国反逆者ト認定、排除 排除 排除』 ブ〜ン ブ〜ン ガチャッ!


『帝国反逆者ト認定 排除 排除 排除』 ブ〜ン ブ〜ン ガチャッ!


「くそうッ! この分からず屋の機械共があッ!」 ブブブッ! タンタンタンッ!


カンカンッキンッ!



「ん? 機械? アレのことか?」 ジッ


アニスは彼らと、2体の物体とのやり取りをじっと見ていた。


『『 排除シマス 』』 ドンドンドンッ!


「みんな避けろッ!」 ババッ!


「わあああッ!」 ババッ!


「きゃあああッ!」 グウッ!


「んッ! まずいッ!」 ガサッ! シュンッ!


2体の防衛ドローンの攻撃が始まった時、学生達は、その場を逃げたり、倒れた仲間を庇って目を瞑ったりしていた。そして、防衛ドローン達の攻撃が当たる瞬間、彼らの前にアニスが立ちはだかった。


ザザーッ! ババッ スタッ!


「《アルテミス.リングッ!》」 キンッ! パアアアンンッ! ドカドカドカガアアンンッ!


「えッ!」 ぱッ!


アニスは2体の防衛ドローンの攻撃を、その魔法、絶対シールドの魔法で防ぎ切った。シールドの向こう側で全てが爆発四散し、強い爆発音と振動、光だけが漏れてきた。


倒れた仲間を介抱していた、学園少女は、自分の前に立ちはだかり、防衛ドローンの攻撃を防いでいるその白銀髪の白い少女を見て思った。


「(女神さま?)…」


バシュウウーーー……


全ての攻撃を防ぎ切り、魔法のシールドを出したままアニスは彼らに語りかけた。


「大丈夫ですか?」 ニコ  シュルシュル


その圧倒的な防御力とアニスの姿、そしてその澄んだ声と笑顔に彼らは一瞬固まってしまっていた。


「ん?聞こえてます?」 シュルシュル


「は、はい(…凄い、それに…綺麗)」 


「じゃあ、ちょっと待っててね」 シュルンッ! パッ テクテク


アニスはシールドを消し、防衛ドローンに向かって歩いていった。


「お、おい、誰だあの娘」 ガバッ!


「私に聞かないでよッ!」


「学園の生徒では無いようですが、今の見ました?」


「ああ、見た。なんだ今のは? あの防衛ドローンの攻撃を全部防いだぞ」


「あんなの見た事がないぜ、何者なんだあの娘は?」


アニスに助けられた帝国学園の生徒達は、突然現れ、自分たちを守ってくれた少女に困惑していた。


「さて、とりあえず話をするには君たちが邪魔なんだよね」 テクテク


『『 驚異的存在ト認定 排除シマス 』』 ギュルンッ! チャカッ!


2体はまるで一体かのようにシンクロして、同じ動きをした。その両腕の筒から魔力弾を連続で撃ち始めた!


ドンバンバンバンバンッ! シュッシュッシュッ!


2体から打ち出された無数の魔弾がアニスを襲う!それを見た学園生徒達は、その少女、アニスに声をかける。


「だめだあッ! 逃げろおおッ!」


「無理よッ! 逃げてえッ!」


しかしアニスは意に介さず、それに対してアニスも高速戦技を使った。


「《縮地!》神聖近接戦技!《バーゼル.グラン.リッパーッ!》」 ビュンッ! シュッシュッ!


「「「「「 ええーッ⁉︎ 消えたああッ! 」」」」」


ドカドカッ!バアアン! メラメラ!


魔弾は全て、アニスがいたところに着弾したが、一瞬早く、アニスはそこから早く消えていた。そのすぐ後だった、2体の防衛ドローンは強い衝撃を受け、後方へと吹き飛んでいった。


ガギイイイーッ! ドカンッドンドンッ! ゴロゴロ ドオオンッ!


「「「「「 吹っ飛んだあああーーッ‼︎ 」」」」」


シュンッ! ザザーッ スタッ! チャキッ!


そこには、2体の防衛ドローンを吹き飛ばしたアニスが、右手に神器「アヴァロン」を構え持ち、颯爽とスカートを靡かせながら立っていた。


それは一瞬の出来事だった。2体の防衛ドローンの攻撃が始まり、無数の魔弾がアニスを襲う瞬間、その場からアニスは消え、魔弾が着弾、爆発したと同時に、2体の防衛ドローンは後方へと吹き飛んでいったのである。


帝国学園の生徒達は、今、信じられないものを見た事で唖然としていた。あの強固なボディーで守られているはずの防衛ドローンが、1人の少女に吹き飛ばされて転がっていったからだった。


「な、なんだよこれはあッ!」


「す、凄いッ! なんなのあの娘、凄すぎるッ!」


「俺、あの防衛ドローンが吹っ飛ぶの、はじめてみたぜッ!」


「まだだッ! これくらいで終わるドローンじゃないッ!」


1人の生徒の言う通り、2体の防衛ドローンは、すぐさま起き上がってきた。


ビーッ! ビビーッ! ピ ピッ! ガバアアッ! ブ~ン!


『『 驚異度大! 緊急排除行動ニ移行! 戦闘モード二突入 』』 ブオンッ!


「ん? あいつらの胴体が開いた?」 ザッ!


防衛ドローンの中央が上下にスライドし、そこの部分に一つの穴が開いていた。


「ん?へそ?」


アニスがそう言った瞬間。その穴が光り、アニスに向けて一筋の光の矢が襲ってきた・


『『 目標補足! 発射ッ! 』』 ヒイインンッ! バシューッ‼


「うわッ‼」 ババッ!


ビイイイイッ! ジジュワアアアッ‼  ドロドロドロ~…


アニスは間一髪 2体の防衛ドローンが放った、2本の胴体ビームから逃れた。が一部、スカートの裾が焦げていた。避けたビームは大地を焦がし、岩に当たり、その岩を溶かし始めた。


チリチリチリ  シュ〜…


「なかなかどうして、侮れないね」 チャキッ!


アニスは再度、2体の防衛ドローンに向けて構えた。


「な、なんて娘だッ! 普通あんなの避けれねえよッ!」


「もういいからッ! 逃げなさいッ! あんなの当たったら死んじゃうわよッ!」


「ジェシカ、それは無理だ!」


「なぜよッ⁉︎ このままだとあの娘、死んじゃうかも知れないわよ!」


「防衛ドローンが彼女を敵と認識した。逃げられないんだ」


「それじゃあ…」


「あの娘が助かるには、防衛ドローンを破壊するしか無いんだ!」


「そ、そんな…無理、絶対無理よッ! そんな事……」


「ああ、わかってる。だけど僕らではどうしようも無いんだ。わかってくれ!」


その後は誰も口を開くことは無かった。 誰も解決策がなかったからだ…


「さて、そろそろ終わりにしようか」


『『 目標ヲ補足! 強制排除行動 発射ッ! 』』 ヒイイイイインンン!


「ん、《刹那!》 神級迎撃剣技!《ガイエリアス.グラン.ファングッ!》」

 シュンッ!


バシュウウーーーッ! ビシイイッ! ドガアアアアンンッ‼︎


「うわあッ!」 ババッ


「きゃあッ?」 グッ


「ぐうっ!…こ、これは…」 ビリビリッ!


アニスの剣技と2体の防衛ドローンの攻撃が同時に炸裂しぶつかり合った。その場に強い熱と爆風、轟音が周りに広がった。しばらくは、土煙が立ち登り、誰も身動きができなかった。


その煙が晴れ、あたりの様子がはっきりとしてきた。


「アラン、どう見える?」 ソ〜


「わからない、だが、ドローンの作動音は聞こえない」 フリフリ


「あの娘は? あの娘は無事なのッ⁉︎」 ババッ


「落ち着け、ジェシカ、まだ何もわからん」


ガチャンッ! ドオオンッ! ズドオオンッ! カランッカラカラ…


2つの大きな音が聞こえた。何か大きな物が倒れ崩れる音だった。やがて、風が吹き、その場の土煙を吹き飛ばした時、その場の様子がはっきりと見て取れた。


「なッ! なんだとおおッ!」 ガバッ!


「うそおおおッ!」 バッ!


「はは、なんて娘だ…凄いやこれは…」 ニコ


「よ、よかたあああー!」


そう、そこには、切り刻まれ、活動不能状態になっている2体の防衛ドローンと、衣服はコゲだらけであったが、青みのかかった白銀髪をなびかせ、片手に神器「アヴァロン」を持ったアニスが、倒れた2体の防衛ドローンを見ていた。


「「 おおおおッ! すげええッ! 倒しちまったよッ! 」」


「ねえ! あなた大丈夫? ケガは?」 タタタ


アニスを心配して、学園生の女生徒が駆け寄ってきた。


「ん? あ、大丈夫だよ」 クルクルクルッ! チャキンッ!  クルッ!


「よかったあーッ!  えッ⁉︎」


アニスが神器「アヴァロン」を腰裏の鞘に収め、駆け寄って来た女生徒に振り返った時、事件は起きた。


クルッ!  ストンッ! ファサ……


「 えッ⁉︎ 」 


「 あッ‼︎ 」


「「「  おおおーッ!♡ 」」」


「キャアアアーーーッ!」 ババッ!


それは一瞬の出来事だった。アニスが振り向いた瞬間、アニスのスカートが落ち、純白の下着とそこから伸びるきれいな両足が露わになったからだ!


「「「 ウヲオオオッ! ラッキイイイー♡ 」」」


「いやあああーーッ!」 ペタンッ!


「バカ男子い! 見るなああッ!」 ガバッ!


先程までの緊張感が一気に無くなった瞬間であった。




いつも読んでいただきありがとうございます。

次回もでき次第投稿します。

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