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第104話 ジオスの力と王城談義

―魔王城 謁見の間への通路―


コツコツコツ、ザッ ザッ


魔王城の通路を今2人の男が話しながら歩いていた。


「しかしジオスよ」 コツコツ


「ん?」 ザッザッ


「おまえの魔力はどうなっておるのだ?」 コツコツ


「魔力?」 ザッザッ


「そうだ」 コツコツ


「何かおかしいのか?」 ザッザッ


「気づいておらんのか」 コツコツ


「何にだ?」 ザッザッ


「はあ~、ジオスよ今一度言うぞ」 コツコツ


「ん!」 ザッザッ


「先程の蜘蛛の魔物、どう見ても災害級のヤツだった」コツコツ


「ああ、アブダイルね、まあそうだろうな」 ザッザッ


「知ってたのかッ!」 ザッ!


「ん、知ってた。だから消した」 ザッ!


「またおまえは平然と答える、いいかよく聞け!」


「お、おう…」


「災害級ってのはな、一撃で一つの都市が吹っ飛ぶ様な魔物だぞッ!それをおまえはあ…」


「ん? 大丈夫だ、確かに災害級だが、ヤツが動く前にとどめを刺せば、ただのちょっと大きい蜘蛛じゃないか」


「ジオス…」


「ん?」


「自分の物差しで語るのはやめてくれ、我々にはアレはどうにもならんようなヤツだから」


「イヤイヤ、アゴンでも倒せるって、今度街に現れたらやって見る?」


「だああーッ! 街一つとその住民を犠牲にしてまでやりたくはないわッ!」


「え? あんなの一撃で消せるだろ?」


「はああ〜、まあいい、ジオス…おまえは強すぎるんだ! 少しは自覚してくれ」


「ん?」


「おまえは、私の理解を超える。強い!だが、そんな強者でありながら、何か安心感の様なものを感じるのだ」


「ふむ、どこからそんなものが…」 サスサス キョロキョロ


「いや、別に体からそんなものが漏れてるわけではないから…」


「ん、そうか、で、俺の魔力量だが、枯渇したことが無いからわからない」


「は?」


「だから、魔力切れなんて無いんだ、俺は!」


「ジオスよ、おまえそれ本気で言っておるのか?」


「ああ、事実だからな!」


「ち、ちなみに聞くが」


「ん?」


「おまえが今まで使った魔力で、一番だったのは何だ?」


「一番?」


「ああ、一番だ」


「はて、何だっただろ?」 ウ〜ン


「(ジオスの奴、本当に悩んでおる。 一体今までどんな戦いをしてきたのだ?)」


アゴンがそう思っておる間も、ジオスは真剣に悩んでいた。


「(え〜ッ! 一番って、やっぱ新、神界世界創生か? だがこの堅物にそんなこと言っても通じるとは思えんしなあ。どうしよう? う〜ん、あッそうだ! アレなら納得するか、魔族のアゴンだものな!)」 ポンッ


ジオスは手を叩きアゴンの質問に答えた。


「アゴン」


「うん?」


「俺が一番使った魔力はなあッ!」


「おう、思い出したか、で、何だったのだ?」


「此処とは違う世界、その世界の月を《ルテナリア.グラン.ゼルガ》で粉砕した時だ!」


「は? 月? 月とはあの夜空に浮かぶ月のことか?」


「ん、いやあ〜、あの時は使った使った、なんせ月だろ! こっちも一杯一杯でさ、慌てちゃったよ、人々を守りながら、巨大魔獣は出るわでさ」 コクコク


「なッ!(この男はなにを言ってる? 月? 月だとおお! あんなもの破壊できる訳なかろうがああッ!)」 タラ


「ん? どうしたアゴン?」


「い、一応聞くが、なぜ月を破壊した?」


「いやそれがさあ、その世界にいた破壊神の奴がさ、俺に負けた腹いせに、その世界の月を落としていったんだ。さすがの俺もびっくり! で、俺がそれを止めるために、月を破壊した。それだけだ!」


「そ、『それだけだ』って、ん?ちょっと待て」


「なんだ?」


「今、物凄い事を言わなかったか?」


「物凄い事?、ああ、月を破壊したってやつか?」


「違うッ! おまえ今、破壊神とか言わなかったか?」


「ああ、【ウルス】の奴の事か、ん、言った。それがなんだ?」


「は、破壊神【ウルス】だとおおッ! 神ではないかああッ!」


「まあな、アイツ、壊してばっかだからな、一撃を与えたら悔しがって月を落として来たんだ。だからそれを破壊したんだが、たしか……」

          ・

          ・

          ・

          ・

ー300年程前、第6神界世界、23号世界ワルター ー


その世界は、突然の破壊神覚醒により、消滅の危機に瀕していた。


「デラー大陸消滅! トレイナ王国崩壊! 破壊神、移動します。目標、ホーン大陸中央、グリシュナ帝国に接近ッ!」


「ジオス様ッ!」


「ん、出遅れたか、だがまだ間に合う、【ゼクス】ッ!」


「はいッ!」


「直ちにセラフィー達を率いて対処しろ! 破壊神の侵攻を遅らせるんだ!」


「了解しました、直ちに!」


「ジオス様ーッ!」


「ん?」


「ホーン大陸に邪神軍、数およそ20000ッ!大型魔獣数十を先頭に接近!蹂躙されます」


「クッ! 俺は破壊神で手一杯だしな、そうだ、ゼクスッ!」


「はいッ なんですか?」


「クルセイダーで邪神軍を抑えてくれ! 一時でいいッ! 時間を稼げッ!」


「は、はいッ!」


「【シュウゴ】ッ! 聞こえるか」


「ああ聞こえるぜ!ジオス」


「オーダーだッ!」


「うん、わかった、でなにをする?」


「第6神界世界、23号世界ワルターにシーラムを打てッ!」


「了解、ちょっと待ってね、準備するから」


しばらくすると、ワルター世界の遥か上空に、ゲートが開いた。 ブウ〜ン!


「準備完了! シーラム! 斉射ッ!」 バアアアアンンーッ!


シュワアアアアアーーッ  ギャギャアアーッ! バババババアアーッ


ホーン大陸に迫っていた20000の邪神軍は消滅していった。しかし、数体の巨大魔獣が生き残り、街や村を蹂躙し始めた。


「ん、残したか」


「ジオス様、後は我々がやります。ジオス様は破壊神の方を!」


「ん、わかった」 ババッ!




ドガアアアアンン!


「フン、セラフィーがいくら来ようが我の敵ではないッ!《ゲルバアーッ》」

 ビシュウウーッ


ドガアアアアンン!


「ク、我々では抑えられん!」


「死ねええッ! セラフィー共おおッ! 《ゲルバ… ん?  ガアアアッ!」

 ドゴオオオン!


「ふう、間に合ったか…」 ザザッ!


「ジオス様ッ!」


「セラフィー達、後は任せろ! ここは引けッ!」


「わかりました、全員引けえーッ」 バババッ!


「よう、破壊神【ウルス】、死んだふりはもういいぞ」


ガラガラガラッ ガバアッ!


「ふん、やはりわかるか」


「まあね、で、また眠りに着いてはくれないか?」


「なにを戯言を、我が目覚めたと言うことは、この世界の終焉を、消滅をせよと言うことだ。いかに創造者といえど、この法則は曲げられない。諦めるのだな」


「やっぱりダメか、じゃあ強制的に眠らせるがいいか?」


「出来るものならやってみるがいいッ 《ゲルバアー》」 ビシュウウウーッ


破壊神ウルスは、いきなりジオスに向け、破壊魔力を吐き出して来た。

 シュオオオオーッ


「おっと、ご挨拶だな、ウルス、これでもくらえッ!」 キイインンッ


「させるかあッ! 《グラデラス.ベンムッ!》」 ギュオオオーッ!


「んッ! 《ファントム》」 ブンッ!   ビシュウウーッ


ジオスの体がブレる、それと同時に破壊神の暗黒魔弾がジオスを襲った。


シュアアアアーー!


「フファハハハハアーッ どうだジオスよ、流石の創造者もタダでは済むはずがない。しばらくは動けないはずだ、その辺にでも転がっているがいい」 ザンッ ザンッ!


「いいや、転がるのはおまえだッ!《ガルバリア.グラン.バスターッ!》」

 キュイインッ! ドバアアアアアアンンンーッ!


「グォオオオーッ! ジ、ジオスッ 貴様ああーッ」 バババババーッ


「このまま眠れえーッ ウルスーッ!」 ババババーッ


「グウッ! ジ、ジオスッ! 今回は引こうッ! だが、タダでは引かんッ! ハアアーッ! 《デラセリア.メテオ.ラッシューッ!》」 シュパアアアアーッ、


「ん⁉︎ おまえッ!まさか….」


「ふふふ、悔しいが俺の負けだあッ! だが、置き土産だ食らうがいいッ! ハハハハハーッ!」


シュアアアアーー  シュンッ!


そうして、破壊神ウルスは消えていった。だがその直前、ウルスはこの世界の月に向かって、落下の魔法を放った。それにより、月は徐々に移動を始め、この地に落ちようとしていた。


「ジ、ジオス様ーッ! つ、月が、月が落ちて来ます」


「ん、最後の最後まで手間をかけさせる」ググッ!


「ジオス様?」


「ふざけるなよ!ウルスッ、はああッ!《ルテナリア.グラン.ゼルガーッ!》」 キュイインンッ! ビュホオオオオオンンンーッ! ドガアアアアンンンーーッ‼︎


「うわあああーーッ! 月が吹っ飛んだああーッ!」  ババババアアアーッ!


パアアアンンーッ! バラバラバラッパッ  パパッ パ……


          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

「そ、それで、その後はどうなったのだ?」


「もちろん! アイツは封印させてもらったさ。そういえばこの世界にもいるはずだが…」


「か、神を封印だとおおッ! はああ〜 聞くんじゃなかった」 フウ〜


「なんならここの月でやって見せようか?」


「やめろーッ!」 ガシッ!


「冗談だよ、冗談! するわけ無いだろ、そんな事」 アハハ


「いや、ジオスの事だ、やりかねん! 頼むからやめてくれ!」


「お、おう、善処する」


「約束しろおおーッ!」


そんな会話をしていると、謁見の間の方から数人がか、ジオスたちの方へかけて来ていた。


タタタタッ!


「うん?」


「ん?」


「マスターッ! ジオス様ーッ!」 タタタ


それは、クリスを先頭にアヴィスランサーの少女達であった。


「うん、どうしたのがクリス?」


「ハアハア、はいマスター、じ、実は、ハアハア」 


「ん、ちょっと落ち着いてからのほうがいいか?」


「追いついた、ハアハア」 タタタ ザザッ!


「え〜ッと、たしかフォルテさんだったかな?」


「わあ、覚えてくれてたんですね、ありがとうございます」 ペコ


「姉様。いきなり走るので驚きました」 タタ


「だ、だって~...マ、マスター! ジオス様!」


「「 うん? 」」


「ミストですッ! いきなりミストの生体シグナルが現れたんですッ!」


「そうッ! 私も驚きました。だからこうして、ミストの感じる方へと走って来たのです」


「ん? 生体シグナル?」


「ああ、ジオス、コイツらはその生体シグナルで、お互いの生存を確認しておる様なのだ」


「ふ〜ん」


「あ、あの、もしかしたらジオス様が…」


「そうだクリス、ジオスがミストを甦らせたのだ! おまえとの約束を果たしてくれたぞ!」


「ううッ! ジ、ジオス様…ありがとうございますッ!」 グスッ ペコ


クリスは、涙を浮かべながら、ジオスに感謝し頭を下げた。


「ん、いいよ! それより、ミストはマスターのスカラと治療室にいるぞ」


「はいッ! あ、マスター…」


「うむ、スカラとミストを見舞ってやってくるがいい」


「ありがとうございますッ! マスターッ!」 ペコ


「じゃあ、私たちも行きましょエリスッ!」 ササ


「はい、フォルテ」 ササ


「ではマスター、お言葉に甘えて、いって来ますね」 ササ


「うむ」 コクン


タタタタ


3人は、貴族流の挨拶、カーテシーをした後、治療室の方へ走っていった。


「ああ見てると、普通の女の子だよなあ」


「ジオスはアヴィスランサーを持たないのか?」


「そうだなあ、それも……いやいい」 フリフリ


「そうか…」


ジオスは一度、その案に乗ろうとしたが、取りやめた。アゴンはその様子を見て、それ以上言わなかった。やがて、2人は謁見の間につき、中へと入っていった。


ギイイッ バタン!


「よう、アゴン、それとジオスだったか? お帰り」


「ああ、それより魔王様はまだ帰らぬのか?」


「ああ、まだだアゴン、今しばらく待つほかないな」


「ではジオス」


「ん?」


「さっきの話を聞かせてくれ」


「ん、ではあそこのテーブルにでも行こうか」


「ああ」


「俺も参加してもいいかい?」


2人に声をかけたのは、アゴンの盟友【デルタ】であった。


「ん、別に構わないぞ」


「ああ、と言うよりも、おまえにも聞いてほしいのだ」


3人はミニテーブルと椅子が4脚あるところに座り話し始めた。


「さてジオスよ、先の蜘蛛の魔物について教えてくれて」


「ん、」


「蜘蛛の魔物? ブラックスパイダーの事か?アゴン」


「いや違う、そのブラックスパイダーの上位に位置する蜘蛛だ、名があった」


「なにいいッ! 名持ちの魔物だとおッ!」


「そうだ、デルタ。そしてそいつにスカラはやられたのだ」


「おいおい、スカラは無事なのかよ」


「ああ、大丈夫だ。このジオスに助けられた」


「そっか、ありがとよ、ジオス」 ペコ


「ん、いいよ。それより、アブダイルの事だな」


「うむ、頼む、教えてくれ」


「アブダイル? なんだそれは?」


「デルタ、そのアブダイルこそ、ブラックスパイダーの上位種なんだ」


「アブダイルかあ、よし、俺も知りたい、ジオス頼む」


「ん、わかった。では両者ともこの魔族領出身で間違いないよな?」


「「 ああ、当然 」」 コクン


「じゃあ、『ラングリオン』にある『アルフヘイム』のことは知っているのか?」


「ああ、俺は知ってるぞ。たしか、この魔族領の東隣にある国が、『ラングリオン』で、その中にあるエルフの住まう国、それが『アルフヘイム』だったかな」


「ああ、そうだアゴンの言うとうり、それで間違いないはずだ」


「で、ジオスよ、それがどうしたんだと言うのだ? あそこはエルフの国だぞ」


「そう、エルフの国、妖精界だ」 カチャカチャ コポコポコポ


ジオスは、異空間よりコーヒーセットを出し、2人にコーヒーを注ぎ出した。


「む、すまんな。 おいデルタ、ジオスの淹れたコーヒーは美味いぞ」


「本当かい、アゴンが言うんだ、相当上手いのだな」 ゴク


「どうだ?」


「……うまい」 ゴクゴク


「で、話の続きだが、アゴンとデルタ」


「「 うん? 」」


「【イーデル・アイン・ミラービリス】を知っているか?」


「なッ! 知ってるもなにも、そのお方は、『アルフヘイム』の女王様で『ラングリオン』の総統ではないか」


「また、えらく大物の名が出たねえ」 ゴク


「こっちでも一緒か、で、そのイーデルだが」


「「 (おいおい、呼び捨てか) 」」


「表向きは、エルフの女王だ、心優しい民に慕われている女性、だが彼女には、その裏があることは知っているか?」


「「  !ッ  」」


「その様子じゃ知らなさそうだな」


「ジオス、裏とはなんだ?」


「僕も知りたいねえ、その裏とやらを」 ゴクン カチャ


「イーデルには弟がいる」


「「 弟? 姉弟か? 」」


「ん、でその弟が、今回の騒動の黒幕さ」


「「 なにッ⁉︎ 」」


「では、ブラックスパイダーや、災害級のアブダイルもか?」


「ああ、そうだ。奴は『アルフヘイム』の地下深くに、妖精界とは別の世界を持った」


「『アルフヘイム』の地下だとッ!」


「そう、人の身では絶対にたどり着けない場所、幻冥界『ニブルヘイム』、そしてそこの統治者であり総統でもある者が、【レグニッツア】、【レグニッツア・アイン・ミラービリス】、イーデルの弟さ」


ジオスは、淡々と、自分の知っている事を2人のグレーターギルスに話し始めた。それはこの世界の真実に迫る話、終焉に向かって走り始めている世界の話であった。





いつも読んでいただきありがとうございます。

次回もでき次第投稿します。

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