Part9
アメリアに強引に引っ張られる形で巨大な人型から逃げていると、大急ぎで駆けつけてきたたくさんの警官と遭遇した。その中には、あの青年もいた。
「大丈夫か!?もう安心しな、誰か本部に連れて行ってやれ」
「私が行きます」
俺たちは保護されたらしい。青年が「行きましょう」とだけ言い、俺らは警察が来た方向と逆の方向に連れていかれた。先に進むと大きな車が何台も通り、恐らく兵器を積んでいるのか荷台には布が被せてある。その青年は何も話さなかったが、俺たちを五秒ほどギロりと見て怪我のないことを確認したらしい。遠くでは銃声のようなものが聞こえ、その方向をアメリアがじっくりと見ている。止まりかけるメガネを今度はこちらが強引に引っ張り歩かせると、目の前にテントの集まりのようなものが見えてきた。そこでやっと青年が口を開く。
「ここが本部だ」
小さいテントを抜け一際目立つ大きなテントに入る。そこには忙しいように資料を書いたり受け取ったり渡したりしている十名ほどの警官がいる。その中の一人の警官がこちらにやってきた。
「え?エリックさんもう帰ってきたんですか?」
「こいつらを保護した。それと同時に聞かなきゃいけないこともあってな、そこの部屋空いてるか?」
この青年はエリックというらしく、エリックは広いテントに接続されている小さなテントへの扉を指さした。
「あ〜この部屋はドミニカさんが使ってましたけど、しばらく何の音もしないんですよ。ちょっと確認してみますね」
小柄な警官は扉を開けると、「あれ?居ない」と言い、「居ないんならいいんじゃないっすか?」と言ってきた。エリックは少しめんどくさそうな顔をして、俺らに「入れ」と言ってきた。小さなテント内は質素な作りで円状の部屋の中に机がポツンとあるだけだ。小柄な警官がアメリア用の椅子を持ってくると「じゃあごゆっくり」と言い残していった。エリックは倒れるかのような勢いで椅子に座ると、
「じゃあ教えてもらおうか、お前らとあの化け物の関係をな」
といい、ギロりと睨んできた。俺ら関係なんてないんだけど!と言いたいが、それが何故か抑制されてしまう。確かに俺らのいる方に来るから疑いもかけられるか。はぁ、なぜこんな目に遭ってしまうんだろう。そして何故かアメリアはこんなにもキョロキョロしてる。今そんな状況じゃないだろという意を込めてこっそり足を蹴った。