Part19
「これで終わりか」
俺は丘の高いところに登り、その場で腰が抜けた。一応は妹を殺したようなものだ、心に傷をつけるなと言われる方が難しい。座って冷静になると、足首当たりに切り傷ができていることに気づいた。それは来ていたゴム製の服を貫通していて、傷ができている。どこかで切ったのか?
少し休憩して外に歩い出す。車に乗ると行きと同じで勝手に動き出し来た道を引き返していった。車内で着替え、外の風景を見て時間を潰す。そして、保護されていたところに帰ってきた。そこには、アメリア、エリック、ドミニカを筆頭に多くの人が迎え入れてくれた。
「わぁー!カールさん!勝手にどっか行くなんて酷いですよォ!」
「カール、写真はとってきてくれたか?」
「私とアメリアちゃんで作った銃はどうだった?」
記者脳な人に写真を撮られる中、それぞれの質問に答えてやった。面倒臭いから適当にね。
「あ!カールさん!エクレアたくさん買ってあげましたよ!このあと一緒に食べましょう!」
やたら元気がいいと思ったらあいつがエクレア食べたいだけかよ。
「お〜、これは凄い」
見物客の中に一際目立つ白衣の集団がいた。一人のキョロキョロしている若い男を筆頭にぞろぞろと歩いてくる。
「え?あれ!師匠!!」
アメリアが突然大声を出したかと思うと、キョドキョドしていた男性に抱きついた。あいつが師匠なのか。
「師匠?あの日パリに行ったんじゃないんですか?」
アメリアが泣きながら師匠の腕の中で聞いている。
「ん?俺は確かバリに行ってくると言ったはずなんだが…」
「ええーー!!バリー!?」
どうやらアメリアは何かしら勘違いをしていたらしい。そして視線をしたに向けると、アメリアが師匠を見つけた喜びで落とした箱から裸のエクレアがもろ落ちていた。嗚呼もったいない。今俺の目の前には楽しそうに話しているアメリアとイチャイチャしているエリックとドミニカ。俺も、この輪に混ざりたいな。混ざれるようになりたいな。
そう、
沼に横たわりながら思った。