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レヴィクトゥス  作者: 若葉
16/19

Part16

この十字路には見覚えがある。ここを右に曲がると家があり、左に曲がると大きめな公園がある。間違いない、俺が住んでいた家の近所だ。この公園でよくマーニュと遊んだな。

『お兄ちゃん!』

十字路を真っ直ぐ行くと、ここにはたしかスイーツ専門店的なのがあった気がする。僕はエクレアマーニュはマカロンというセットが定番で、店に顔を出せば待っていたかのようにエクレアとマカロンが出てきたっけ?

『お兄ちゃん!』

しばらく歩くと、そこはだだっ広い沼地になってしまっているが俺とマーニュが通った学校があった。休み時間とかに遊んでやって特に人気な遊具を先にとってマーニュを待ってたりしたなぁ。

『お兄ちゃん!』

その後も歩き続けると、先程のスイーツ店の裏に出た。そういえばここには買ったスイーツをその場で食べられるようになってたんだ。ここでよく俺はエクレアの中身を落としてたな。もちろん被害者は俺だけではなく、店員さんが床を拭いていない日は見たことがない。特に被害に遭うのはズボンで、塊が落ちたその悲惨さといったら…。

『カールさん!』

ここで、ハッとなった。そうだ、俺は何思い出に浸っているんだ、俺がここにいる理由は写真撮影だ。あの日、車内で無理やりエクレアを頬張らされたことを偶然にも思い出してしまった。同時にあのうるさいあいつも。

『まったく、こんな状況でも食べ物の事だなんてカールさんって食い意地が張ってますね』

「うるせえお前に言われたくねぇよ。クソが、なんでお前は俺の頭の中でもうるせぇんだよ」

この気持ちを鎮めるかのように周りの写真を撮る。しかし、周りは同じ泥沼が続いていて殺風景だ。でもいいだろ別に、だってこれしかないもん?元々看板だった所も全て崩れ去りかろうじて残っている外壁も俺がここ育ちだったからよかったが知らなかったらただのこんもりとした泥の集まりだろう。そして俺は、無意識のうちに行こうとしていた沼のことを思い出した。子どもも大人も入ってはいけないと言われていた超危険な沼だ。いいだろう、そこだな。そこに行けばいいんだな。

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