Part13
前回の事件から一週間ほど経過した。あの後正気を取り戻したアメリアが頬を赤らめてなんだか恥ずかしそうにしていたのだけ覚えてる。あの人型は見ているだけで吐き気がするし、事実毒沼の成分が含まれているのなら気分が悪くなるのは当たり前といえば当たり前だ。人型は今も各地で突如現れ町を襲っているらしい。あれから俺たちは被害者ということで警察の保護下に入ったままだった。今いる場所は俺以外にも家を壊された街の住民なども居て、男女別に分けられている。アメリアがなにかしでかしてないか心配だが、それよりもまるであの人型に対して作ったであろう兵器があったことに驚いている。元々あいつがいるのが知っていたのか?きっとすごい発明家であろうドミニカだろうとあんなものすぐに作れるわけない。話し合いの場を設けてほしいとエリックに言ったがエリック曰く「あいつは一度姿を消すと一週間は見つからない」らしい。だから一週間待った。そしてちょうど一週間たった日にエリックはドミニカを連れ戻してきたみたいだ。そして俺、アメリア、エリック、ドミニカで話し合えることになった。俺は今その部屋にいる。俺が入るとエリックが先にいて、会釈以外特に関わっていない。少し経つとアメリアが入ってきた。
「あ、カールさん久しぶりー!あれ?ちょっと痩せた?」
「お前は少し太ったみたいだな」
アメリアは驚きの表情のあとにシュンとしたまま隣に座った。すると、アメリアが席に座った瞬間エリックが隣の席の空気にグーでパンチを入れた。その瞬間「ぐえっ!」と声がして、空間からドミニカが現れた。やっと集まったか。
「揃ったみたいだな。じゃあ単刀直入に聞く。お前らはあの人型の事を知っていたのか?」
「あぁ、少なくとも私を含む上層部は知っていたよ」
ドミニカがイヤリングを揺らしながら答える。
「じゃあ、あんな化け物がいるのを知っておきながら放置していたのか?」
「ドローンで見て居たのは知ってたけど存在がわかってからこれまで音沙汰無しだったんだもん。勿論最初は警戒してたけどね。」
「じゃあつまり、一応兵器だけ作っておいてそれ以外は放置していたってことでいいのか?」
ドミニカとエリックが首を縦に振る。
「あの大砲は強力な空気砲のようなものでな。泥を吹き飛ばすという点においてはドンピシャだったが如何せん置き場に困るし輸送も大変だしチャージ時間が長すぎるんだ。それに…」
ドミニカが反省会を勝手に始めてしまった。それに目もくれずにエリックが衛星写真を見せてくれた。この写真にはパリを根として南に毒沼が細く枝分かれしている様子がわかる。
「あの怪物のルート通りに毒沼が広がっている。このままではフランスどころか周辺国にも影響するかもしれない」
でも、残念なことに俺はただの一般人なのだ。怪物を殺して沼の拡大を防ぐことなんてできない。
「あのぅ…」
この状況でアメリアがあの時のようにドミニカに話しかけた。
「それって小型化できませんかね?」
「小型化?」
「はい、威力は護身用レベルに落として、でも下げすぎないようにこの公式を利用して…」
女性二人が訳の分からぬ話をし始めた。俺らはどうする?エクレアの話でもするか?そして今日は隣の異国語とも思える会話を聞きながら何時間も殺風景な部屋で過ごしたのであった。
次回急展開です