Part12
その柱は生きていた。そう、あの人型だ。
「お前ら!早く表にでろ!」
逃げるために走るポーズを作りかけたところで、アメリアが叫んだ!
「ドミニカちゃんがいない!」
そこを見渡すとどこにもドミニカの姿はなかった。
「さっさと行くぞ!あいつはいつもこうだ。どうせ消えて安全に避難してるんだよ。」
といい行ってしまった。俺も不安がるアメリアの手を引いて表に出る。表は大きな影に覆われていて、今度は近くであいつの姿を見ることが出来た。こいつはひとつひとつテントの屋根を破壊して、そこを覗き込んでいる。
「お前らは逃げろ、とにかく逃げろ。ここから離れることだけを考えるんだ。」
そういうと彼は周りの警官の指揮を始めた。ドミニカのことを未だ気にしているアメリアをまた引っ張ろうとすると、あいつがこっちを見ていた。アシンメトリーな位置にある目がきっちりとこちらを捉えている。
「キャァァァァ!!」
ここで絶叫したアメリアが後ろ、つまりは俺の方に倒れてくる。そしてアメリアに乗られたまま尻餅をついてしまった。あいつが来る。
「ちょっ!アメリアどけ!重いんだよ!」
アメリアは絶叫したまま動いてくれない。叩いてもバタバタしてみても動かない。そうしている間にもどんどんあいつが近づいてくる。もうついに叫ばなくもなったが放心状態らしいのでこのまま抱き上げる形で立つ。でも重すぎる。肩を貸して歩かせるがすぐに崩れ落ちる。あいつの手が伸びてきた。すると、俺らの目の前の空間が大きく歪んだ。そこには大きな大砲とそれに乗るドミニカが現れた。この大砲は少し前に輸送されていたのとは話にならないほど大きさが違う。
「うてー!」
という掛け声とともに擬音にできない様な大きな音が鳴った。そのおかげで人型の腕は吹き飛び、人型は溶けるように街の排水溝に自ら流れていった。音のおかげでアメリアは起きたみたいだが、俺の脳裏には悲しそうにこちらを見つめていた人型の姿が残っていた。