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レヴィクトゥス  作者: 若葉
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Part1

外に出れば、当たり前のように空は青く澄んでいる。遠方に望むアルプス山脈は美しくにそびえ立ち僕の朝を歓迎しているようだ。こんな僕の、これから始まる長い旅の。


「わりぃ遅れた!」

いつもの調子で彼は店に訪れた。いつも通りのダサいジャージ姿で。

「てめぇはまた俺を待たせるのかよ」

いつもの事なのだが勿論これが初めてではなく、もはや何回目か数えるカウンターすらカンストしてしまいそうだ。

「すまないね。君のこんな大事な日に遅れてしまって」

俺は今日、居なくなった妹のマーニュを探す長い旅に出ることにしていた。それまでにどれだけの量の仕事をしただろうか。貯まったお金は専門家曰く一年間なら平気で生活を営めるとか。我ながら凄いと思う。別にこのまま一般人らしく生活をしてもいいのだが、このお金も全は妹のため。そんなことのために使うわけにはいかない。

「すいませーん!フライドポテトアルプス山脈の如し下さい!」

そしてと遅刻魔兼大食いのアホは、これでもこの世界の神様らしい。彼曰く自分は世界の管理人であって、世界には何も口出しをしていないらしい。むしろ彼の部下である天使の方が良く働くんだとか。

「むわっ!ももいだした!」

山盛りだったポテトの山がもう平らになっており、そのポテトを頬張っていた神が何かを思い出したらしい。せめて口の中をカラにして欲しかったな。

「これから別世界の神に会う予定だったんだ!最近勇者の友達ができたとか無駄にテンション高かったな…フ…なんとかっていうやつだって」

これから妹探しの旅に出るというのに、他の世界の神の事情なんて聞いてられるか。

「あ!やべぇまた遅刻してしまう!じゃあポテト代は置いておくぞ!」

彼はぶっきらぼうにお金を机に叩きつけるとワタワタと帰る準備を始めた。でも明らかにお金の量が多い。

「ちょっとカミ?千円くらい多いよ?」

「あ?あぁ!?それ俺からのプレゼントッッッダ!」

言い終わるのがドアから出るのと同時だったため最後が変な感じになっていたが、まぁこれもまたいつもの事だ。静かになった店の中、一人になった寂しさをコーヒーと共に飲み込み、これから始まる長い旅に思いを馳せていた。

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