接触
「じゃあ、行こうか」
おれは、さくらにそう呼びかけ、ふたりはホテルを後にする。
約束の駅で、浦島たちを待った。
彼らは車でおれたちを迎えに来た。
「久しぶりだのう、ユウトたちよ。いいから乗りたまえ」
ふたりは、不老不死ということで、400年前見た姿と変わっていなかった。
不思議な感覚になる。
「それで、浦島さん。おれたちは、どこに向かっているんですか?」
車は高速道路に乗り、少しずつスピードをあげた。
浦島さんは、前の世界でも潜水艦を乗り回していただけに、乗り物が好きらしい。
この場の最年長者だとは思えなかった。
「執行者が、根城にしている樹海だ。そこならば、ひとめにつかずにあいつと接触できるはずだ」
おれたちは、無言でうなづいた。
さくらの手がおれの手を強く握っていた。
※
「ここだ。ここはあいつの影響か、磁石も使えない迷宮となっている。みんな離れるなよ」
政さんがそう言った。
ここは、確か自殺の名所として有名な場所だったはずだ。
それも、執行者の影響かもしれない。
おれたちは30分ほどかけて、迷宮を歩いた。
一際、大きい大木がそこにはあった。
その根元に、異形の怪物はいた……。
「よく来たな。ユウトよ。400年ぶりだな」
あいつは、博士の声を使っておれたちに挨拶をする。
「すべては、アカシックレコードの導きでしょう? 博士?」
おれは嫌味で返す。
「やはり、キミはおもしろいことを言うな。それでは、はじめようか」
あいつが、そう言うと、樹海の木々は凍りついた。
最後の戦いがはじまった……。




