そして……
博士は、光に包まれた後、異形な姿へと身を変えた。
おれが、見たオニのような姿だった。
おれは、執行者に向かって聖剣を振るうがために、飛びかかった。
しかし、あいつは簡単に刃をかわして、おれのみぞおちに一撃を加えた。
「そう、焦るな。まだ、早い」
おれは激痛で意識が薄れていく。
執行者は笑っていた。
※
目がさめた時、そこにはさくらがいた。
おれが倒れた時、いつもさくらがそばにいてくれる。
彼女の顔を見た時に、とても安心した。
「みんなは……」
「浦島さんと政さんは無事だったよ。あとのふたりは……」
そのあとに続く言葉はなかった。
「不老不死のはずじゃないのか……」
「そうなんだけどね。あいつの魔法で、あんな感じに……」
さくらの目線には、ふたつの氷のオブジェクトがあった。
桃太郎さんと、ドラキュラが氷漬けとなっている姿だった。
自分を封印する可能性がある聖槍対策ということだろう。
「博士が、博士が……」
さくらは、博士の裏切りを悲しんでいた。
おれもどうすればいいのか途方に暮れる。
おれたちは、博士とアカシックレコードに踊らされてここまで来てしまった。
ということは、世界はまだ破滅のらせん状に存在しているということだ。
そして、数百年後には、あの隕石が降り注ぎ、天空城は落下する。
多くのひとが犠牲となって、アカシックレコードの肥やしに変わっていく。
そんな絶望の運命からは、この世界は逃れることができないのだろうか。
さくらにおれは抱きついた。彼女の存在だけが、唯一の心の救いだった。
※
浦島さんたちは、しばらく無言のままだったが、しばらくしておれたちに話しかけてきた。
おれたちも、少しは落ち着いてきたので、それに応じる。
「情報を整理しよう。そうすれば、次にするべきことが見えてくるはずだ」
浦島さんは、青白い顔でそう言った。




