表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/93

祭り当日

 ついに祭りの当日となった。

 夕方までは準備をすることとなる。


 今日のおれは、祭りの主役なので昼を食べたら、衣装に着替えたり練習したりでてんやわんやとなるはずだ。


「おはよう。ユウト」

「おはよう。さくら」

 おれたちはいつものように挨拶をする。本当に普通の光景だった。


「今日はお祭り本番だね」

「うん」

 短く返答すると、さくらは笑いだした。


「いつもと違うね。緊張しているの?」

 さすがは、鋭い。

「うん」

「やっぱりね。お昼ご飯は、ユウトの好きな肉料理にするね」

 彼女の心遣いが嬉しかった。なんだか、安心する。


「母さんと父さんは?」

「お祭りの準備をするからって、出かけていったよ」

「ふうーん」

 

 ふたりで朝食を食べはじめる。

 野菜スープとパンの質素な朝食だ。


 さくらが作ってくれたようで、とても美味しかった。

 スープの塩味と野菜のあまみが体にしみていく。

 少しだけ緊張がとけていく。


 この前、手をつないだ時に感じた彼女のぬくもりを思いだす。


 恥ずかしさと幸福感が同居する()()()気持ちになってしまう。

 少しだけ恥ずかしさが勝っていたので、彼女の顔を直視できなくなっていた。


「ねぇ、ユウト?」

 彼女の声が、少しだけ湿っぽくなっていた。


「なに?」

「あのさ、よかったらなんだけど……」

 彼女の声がふるえていた。


「儀式が終わったら、一緒にお祭りまわらない?」

 決心がこもった声だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ