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神殺し

「神殺しですか?」

「そうだ、神殺しだ」

 アカシックレコードを管理する世界の中枢のことを、老人は神だと言っていたんだろう。例えば、彼の目の前に現れた乙姫……。神はいったいなにを目的に動いているのだろうか……。


「どうやって?」

「あいつらは、無作為に人間を選んで、観測者に任命しているのは分かっていた。伝説や伝承によって、その観測者を動かし、最終的には破滅させて、人類を壊滅させる。これがあいつらの手口だった」

 バベルの塔、浦島さんの国の崩壊、シンデレラの毒殺によるお家騒動。神は、大なり小なり人々に絶望を与えていた。そして、おそらくエンシェントドラゴンも観測者として選ばれた存在だったのだろう……。


 神は、最終的に協力者を裏切り破滅させる。エンシェントドラゴンのように、人間の絶望をなにかに利用しているというのは、簡単に推測できた。


「そして、わたしは仲間を集めた。観測者として任命されて、不老不死の力を与えられたものは何人かに会うことができたのだ。神は、自分の活動に支障が出ないと考えた者たちには、その力を与えていたようだ。逆に、脅かす存在になり得るものは、途中で粛清していた。その判断基準は、よくわかなかったがな……」

 老人は水を飲んで気分を落ち着ける。


「そして、わたしは、神殺しの協力者を集めたのだ。メンバーは、私を含めて四人いた」


「一人目は、不思議な生い立ちで力を与えられ、鬼殺しの英雄“ももたろう”。彼は、英雄として祭り上げられた後に、異形の力を持つ者として迫害をうけるようになっていた」


「二人目は、政という中国人だった。あいつは、神の啓示を受けて、かの国最初の皇帝となった男だが、やはり手のひらを返され、破滅し敵対した相手に拷問を受けた過去があった。さらに、神の呪いを受けてあの国は騒乱が絶えない呪いをかけられたのだ」


「三人目は、ドラキュラと恐れられた東欧の英雄だった。やはり、やつも裏切られて悲惨な環境に追いやられて、血で血を洗う戦争で多大な犠牲者をだすこととなっていた」


「われらは、神殺しを決意して、世界中の情報を集めたのだ。その時は、わたしがアカシックレコードより学んだ知識も大いに役立てることができた。そして、百年前ついにわたしたちは、神がひとりの人間に接触している情報を得ることができたのだ」

「その人間とは、一体誰なんですか?」

 今まで黙っていた博士が口を開く。


「ドイツの天才錬金術師ファウスト博士だった」

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