新世界へ
おれたちは、遺跡の前で博士と合流した。
「では、行こうか」
博士はやさしい笑顔を浮かべていた。
時の泉の前におれたちは立っている。
おれたちは、過去へとさかのぼることを強く念じた。
そして、泉の中へ向かっていく。
泉の中は、冷たく気持ちよかった。
いつもの感覚に襲われる。
※
目がさめた時、そこには海があった。
天空世界、最果ての世界にはなかった青く美しい海。
水平線上に朝日が昇っていた。
「きれい」
さくらが、思わずそうつぶやいていた。
おれも、久しぶりの海に目を奪われていた。
その感動の後に、周囲を見回した。
明け方のためか、人影はほとんどなかった。
自然が豊かで、道路は舗装がされていなかった。
おれたちは道路に沿って街へと向かった。
少しずつ、日が高くなっていく。
ほどなく、街に着くことができた。
木造建築が並んでいる。
街並みから考えるとは、科学はそこまで発展していないようだ。
そもそも、この街並みには見覚えがあった。
実際に見たわけではないのが、見覚えはある。
前世の教科書の内で……。
そうこれは、江戸時代の街並みのようだった。歴史博物館やテレビの時代劇でみたような長屋が並んでいる。
町人がおれたちに注目している。
そう服装が違うからだ。和服の住人達と、洋服に近い服装を着ているおれたち……。
明らかにおかしい。
町人たちは、おれたちをまるで怪物のようにおそれているように思えた。
このまま、街に入ったら、大パニックになるおそれがある。
ここで博士が機転をきかせてくれた。
「失礼致します。わたしたちは旅の者なのですが、船が遭難しそこの海岸までうちあげられました。援助をお願いしたいのですが、この街の代表者さんはいらっしゃいませんか?」
堂々とした物言いだった。
言葉が通じない可能性を心配したが、それは杞憂だった。
「なるほど、旅の方でしたか。御奉行様のところにご案内いたします。どうぞ、こちらへ……」
親切な町人が案内をしてくれる。
立派な屋敷に案内された。
「こちらです。私が話をつけてきますので、しばしばお待ちを」
そう言って屋敷に入り、すぐに戻ってきた。
「御奉行様が、お会いしたいということです」
おれたちは屋敷の中へと向かった。
これで全体の75%くらいです。もう少しで最終章へと突入します。
 




