ゆめ
今日はあと二回ほど更新を予定しています。
ノックの音が聞こえた。
さくらだ。おれは、部屋の扉を開いた。
「ありがとう、ユウト」
さくらがそこにはいた。
おれたちは、部屋のイスに腰掛けた。
ふたりはいつもの決まった場所に座る。ずっと前から決まっている指定の場所だった。
「それで、どうしたんだ?」
「うん」
さくらは、言いだしにくそうにしていたので、おれが話を促す。
「大変なことになっちゃたよね」
さくらは、冒険をはじめてからいつもそう言っている。
「ああ」
「ユウトは、次の世界にも行くんでしょう?」
「そのつもりだ。おまえは、一緒に来てくれないかのか?」
「そういうつもりで言ったんじゃなくてね……。その……」
「怖いんだ、すごく」
さくらは、いつも時の冒険をするときに恐怖感を口にしていた。
具体的に聞こうとしても、いつもはぐらかされてしまう。
だが、今回は違うようだ。
「あのお祭りの少し前から、変な夢ばかりみるんだ」
「ゆめ?」
「そう、最初は怖い夢をみたことしかおぼえていなかったんだけど、最近はどんどんリアルになってきてね」
「どんな夢だ?」
「わたしたちが、離れ離れになってしまう夢だよ。毎回、シチュエーションは違うんだけどね。ユウトがいきなり目の前で死んでしまったり、わたしの手が届かない場所に行ってしまったり……」
「……」
「ごめんね。こんなこと話しても、どうしようもないのにさ」
さくらの目からは、涙があふれでてきた。
おれは無言で彼女に抱きついた。
おれの存在を力強く彼女に伝えた。
※
早朝、おれたちは博士と合流するために、遺跡へと向かった。
村から離れて、おれたちはいつの間にか手をつないでいた。




