仮説
本日五回目の更新です笑。
「もっと、過去にいく?」
「そうだ。キミたちが来た世界でも、天上世界でもなく、もっと過去に飛ぶんだ」
「どうして?」
さくらが、そう言った。こいつが会話に参加するのは珍しい。
老人は、続ける。
「おそらく、天上世界は、おまえたちの世界とこの最果ての世界の中間にある世界だ」
たしかに、天上世界はおれたちが住んでいたあののどかな世界と、赤い大地のような荒廃した世界が併存していた。
「そして、その世界を改編したことで、この世界では植物が生えるようになった」
「はい」
「ここでひとつ仮説をたてるのだ」
「仮説ですか?」
「そう、仮説だ。三つの仮説がある」
「仮説その一。過去改編の影響は、より過去にいくほど大きくなるのではないかという仮説だ」
「どういうことですか?」
「この世界に近い時間軸の世界を変えたことで、この影響が生まれた。より、過去から歴史を変えることで、影響を複利的に増やすことができるのではないか」
「なるほど……」
「仮説その二。エンシェントドラゴンを倒した黒い影は、あの世界よりも前から存在していたと考えるのが普通だろう。そいつが、その世界でエンシェントドラゴンを操っていたということは、もっと過去の世界でも動いている可能性が高い。それを見つけ出してして、倒すことができれば、天上世界での監視社会構築も防ぐことができるはずだ。そうすれば、世界の崩壊よりも前に、世界を救うことができる」
「その三は?」
「これは、仮説ともいえないものだが、キミたちはこの世界、そして、天上世界へと未来にしか来ていない。よって、過去にさかのぼることができれば、より真実に近づけるかもしれない」
「どうやって、過去にいけばいいんですか?」
「おそらく、時の泉のトリガーは強く念じることにある。過去へと戻り真実に近づきたいと考えれば、おそらくは……」
「わかりました」
「とりあえず、お前たちの世界に戻って、一度休息を取った方が良いだろう」
「そうします」
※
おれたちは、おれたちの世界へと戻った。
博士とは別れて、おれたちの家へと向かう。
おれたちが旅立ってから、まだ半日しか経過していなかった。
「向こうで、あんなに過ごしたのに、まだ半日しか経ってないんだね」
さくらがそう笑った。
「たしかにな。不思議な感覚だよ」
「ねえ、ユウト? 夕食食べたら話したいことがあるの。ユウトの部屋に行ってもいい?」
少しドキリとする。そんなわけがないとわかっていても……。
「ああ」
おれは短く了承した。
少し休憩して、夜から更新再開します。




