きぼう
今日は、できる限り更新をがんばります!
おれたちは、再び老人の住処へと向かった。
この前、ここに来たときと同じで、この世界は赤い大地で覆われている。
生き物も異形なものしかおらず、数も少ない。ここが死んだ世界だということを嫌でも認識させられる。
「こんどは、ちゃんとコップを用意しておいたよ」
老人はそう言って笑った。
土を焼いて固めたコップだった。まるで歴史の教科書でみた土器のようなものだ。
魔法を使って、水を作り出す。
おれは、もらった水を一気に飲み干した。
※
「なるほど、別の世界ではそんなことが起きたのか」
おれたちは、天空世界で起きた出来事を老人に説明した。
向こうの世界で、黒幕に踊らされて、結局は世界を滅亡させてしまったことを……。
「いや、そんなに気を落とすことはない。キミたちは、人間の尊厳を救ったんだ。立派な英雄だよ」
老人は、そう慰めてくれた。
だが、おれはどうしても後悔を捨てることはできなかった。
あそこで、おれが介入しなければ……。
カシウスの遺産、パンドラの箱を開けなければ……。
天空世界は、いびつな形とはいえ存続できたはずだ。そうすれば、この世界も……。未来も……。
「それに、キミたちがしたことはどうやら無駄ではなかったようだよ。その証拠を見せよう」
おれたちは、洞窟の裏側に連れていかれた。
そこには、赤い大地が広がっているはずだった。
それは、小さな公園くらいの広さでしかなかった。
でも、そこにはあったのだ。
変化と……。
希望が……。
※
そこにあったのは、単なる雑草だった。
いつも見慣れていた雑草がそこにはあった。この世界には、存在していなかった緑色の植物がそこにはあった。
「これは……」
「昨日まではなかったんだ。だが、今日いつの間にか存在していた。キミたちが過去を変えたからできたものだと思うよ」
いや、おれたちだけの功績じゃない。
地上に降りたヌーさんの努力のたまものである。彼らが、おれたちに希望をくれたのだ。
おれは、さくらに抱きついておえつをこらえた。
「まだ、頑張ってくれるか?」
老人はおれたちに問いかけた。
「はい」
おれはゆっくりとうなづいた。
「それでは、こちらに来てくれ。キミたちの説明を聞いて、ひとつ妙案が生まれたんだ」
老人は、笑顔でそう言った。




