表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/93

連携

「ユウト、よく聞け」

 おれが、博士が作り出した壁に驚いていると、博士はおれに語りかけてきた。

 防壁は、衝撃を防いでその形を崩し始めている。


「あいつの攻撃方法は、かなり単純だ。衝撃波を放って、遠距離から自分に近づかれないようにしている」

「たしかに」

 博士はまだ、数発のパターンしか知らないのに、カシウスの本質に気がついたようだ。

 おれは、その状況に一種の恐怖すら感じていた。

 博士が、“味方”でよかった。


「そして、あいつは魔導士のローブをつけている。あのタイプは、魔術軽減を付与されているものだ。だから、あいつには、魔術からの遠距離攻撃は効かない」

 彼は続ける。

 博士はいつになく、真剣な表情だった。

 そして、冷静だった。

 氷が出現して、部屋の気温が低下しているが、博士の表情はもっと冷たかった。

 少しずつ崩れる音がする。


「裏を返せば……」

 そういって、おれの目をじっと見た。

 もう、説明しなくてもわかるだろう?

 博士の目は、そう語っていた。

「あいつは、近距離の物理攻撃に弱い。だから、衝撃波でひとを近づけないようにしている」

「そうだ。氷壁が崩れたら、ユウトまっすぐあいつのもとに近づけ。わしが、サポートする」

 おれたちは、うなづき意志を統一する。


 氷が崩れ去り、再びあいつの姿が確認できた。


「くっ、小癪な……」

 カシウスは、再び衝撃波を用意した。

 おれは、かまわずあいつに向かって突撃した。


 衝撃波が、おれに襲いかかった。

 また、空気が凍てつく。

 博士が、おれのまえに防御壁を作り出して、衝撃波を吸収する。


 氷は、瞬く間に崩れていく。

 おれは崩れた氷の真ん中を動いた。


「なに」

 カシウスはここに来て、はじめて動揺した。

 おれたちの狙いに気がついたからだ。


「うおおおおおおお」

 おれは、さらに勢いをつける。

 剣を力強く振るった。


 カシウスは刃をかわすこともできずに、ただ茫然と立っていた。

 そして、剣があいつの体を切り裂くまさにその瞬間……


 笑ったのである……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ