計画
「なるほど、カシウスと接触して、投獄されたのか。そして、もうじきカシウスの最終兵器で天空世界は攻撃されると」
博士は、おれの話を聞いて納得する。
「はい。でも、そのおかげで、秘密通路を見つけることができました。そこから、みんなで突入すれば……」
「でも、中の兵士はたくさんいるんでしょう? 兵士たちはどうするの?」
「……」
それにたいしての具体的な対処策はなかった。
おれたちには……。
「万事休すだな」
博士はそう言ってため息をつく。
「わたしに考えがあります」
ヌーさんが、力強く答えた。
「どうするんですか?」
「エンシェントドラゴン様の力を借りるのです」
そう言って、ヌーさんは胸元からペンダントを取りだした。
「このペンダントは、天空の民に授けられたものです。これを使えば、どこでもエンシェントドラゴン様と繋がることができるのです」
そう言って、彼は念じはじめる。
しばらく、無言の時間が続いた……。
※
「終わりました」
ヌーさんは、力が抜けたようにそう言った。
額には汗がにじんでいる。
「それで、エンシェントドラゴン様は?」
おれがそう言うと、ヌーさんはうなづく。
「はい、明日の早朝ですが、エンシェントドラゴン様自ら出陣してくださるそうです」
「えっ、でもエンシェントドラゴン様は結界で、あのアジトには入れないんでしょう?」
「そうです。だから、エンシェントドラゴン様は囮になると言っておりました。地上で、天空軍とカシウスの兵隊が激突しているうちに、我らが敵の大将を討ち取れ、と」
「……」
たしかに、そうすれば、敵の兵士たちはアジトから離れて、手薄になる。
まさか、天空軍本体が囮とは思わないだろう。
「わかりました。サクラ、預けていたおれの剣を持ってきてくれ」
サクラに剣を持ってきてもらった。
そして、剣におれは祈った。
世界の未来を変えることができますように、と。
そして、サクラと……。
決戦まで、あと七時間……。




