脱出
ブロックを強く押すと、ドアが回転し、おれは隠し部屋へと入ることができた。
その隠し部屋の奥には、上へと向かう階段が続いている。
これならば……。
期待と不安が入り乱れた逃避行だ。
もしかすると、これは罠かもしれない。
階段のゴールは、兵士たちの詰め所で、おれはその後……。
最悪の選択肢が頭をよぎる。
だが、ここであきらめるわけにはいかなかった。
サクラの顔をもう一度、見るまでは……。
おれは、階段を走って登った。
そして、昇りきったところは、どこかの洞窟だった。
なにかのための、避難経路だったのだろうか。
おれは、急いで洞窟の外に出て、仲間との合流ポイントまで向かった。
※
みんなは、無事に合流ポイントにいた。
おれの姿を確認すると、みんな安心した表情になった。
おれもその姿を見て、気持ちが落ち着く。
サクラがおれを見て、駆け出してきてくれた。
「ユウト、よかった」
彼女はそう言うと、おれに強く抱き着いた。
おれも抱きつき返す。
彼女の体温がおれに伝わる。
「ユウトくん。ああ、よかった」
「よく帰ってきてくれたな。ユウト」
博士とヌーさんもそう言って、おれをたたえてくれた。
「ユウト。怪我してるんじゃない?」
サクラが、おれの怪我に気がついた。
「ああ、ちょっとヘマして、な……」
安心感なのか、急に力が抜けた。
おれは、砂漠にたおれこんだ」
※
「ここは……」
目がさめた。
どうやら、ここは洞窟らしい。
「よかった。目がさめたね」
サクラがそこにはいた。
「悪い。心配かけたな」
「まったくだよ。いきなり倒れて。ずっと、回復魔法をかけて看病していたんだからね」
「だからか。体が軽いよ」
「でしょ」
「ああ、ありがとう」
そう言って、おれたちは笑いあった。
「いったい、どれくらい寝ていたんだ?」
「半日くらいかな」
かなり寝てしまったようだ。
「おお、目がさめたか。ユウトくん」
博士がにこやかに笑いかけてくれた。
「はい、ご心配かけました」
「それで、洞窟内はどうだった?」
おれは、みんなに洞窟内でおきた出来事を説明した。
 




