表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/93

洞窟

 洞窟までは、歩いて三日程かかった。

 危険な動物や魔物も存在しない延々と続く荒野。

 砂漠と同じで、日中は殺人的な暑さで、夜は凍えるような寒さだった。

 この極限な世界で、生きる人間を見つけることはできなかった。

 

 おれたちは、道中ではほとんどしゃべることはなかった。

 なにをしゃべればいいのかわからかった。

 この絶望的な大地を見ているだけで、言葉は消えていく。

 ずっと重苦しい雰囲気がおれたちを包まれていた。


「あそこです。やつらのアジトの入り口は……」

 おれたちは、目的の場所にたどり着いた。

 おれたちは、エンシェントドラゴン様からいただいた望遠鏡を用いて、遠方の崖よりアジトを偵察する。


 地表にはなにもない場所がほとんどだった。だから、このアジトは目立っていた。

 その状況が、逆に禍々しさを際立たせていた。


 屈強な兵士が、入り口を監視している。

 兵士はこの酷暑のなか、ピクリとも動かず、銀色の鎧を身に着けていた。

 その様子から、やつらがそうとう戦闘に慣れていることがうかがえた。


「どうやって潜入する?」

 おれは博士に問いかけた。

 兵士はあいつひとりではない。

 表で騒動を起こしたら、ただちに増援が駆けつけてくるだろう。


 いくらこちらに、伝説の聖剣や怪力を誇るルーさん、大魔導士の博士がいても多勢を相手にするのは厳しい。

 勝てたとしても、かしらのもとに行きつくまでに消耗してしまう。


「ふむ。まず、わしの魔法で見張りを眠らせる。そして、やつが着ている鎧を脱がせて、誰かがそれを身に着けて密入し、仲間が潜入できるように工作するのがいいのではないかな」

 工作員に多大なリスクを背負わせる作戦だ。

 しかし、そうするしかないだろう。


「誰が、潜入します?」

 サクラがおそるおそる口を開いた。

「おれが行きます」

 力強く俺が言った。


「ユウト……」

「頼んだぞ」


「じゃあ、行こうか」

 博士がそう言って、おれたちはうなづいた。

 敵の本拠地へとおれは突入する。


 サクラが、おれのことを心配そうに見つめていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ