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地上へ
翌日。
おれたちは再びエンシェントドラゴン様と天空城で面会した。
「それでは、地上へのゲートを開く。そのゲートはおまえたちしか通ることはできない。カシウス打倒後は、そこを通り戻るとよい」
エンシェントドラゴン様が目を閉じて、念じると時空のゆがみが生まれる。
「それでは、時空の勇者たちよ。頼むぞ。わしに代わって、この世界の破壊者カシウスを打ち倒してきてくれ」
彼の言葉におれたちは力強くうなづいた。
おれたちは、ひとりずつゲートをくぐった。
この先にいったいどんな世界が広がっているのだろうか。
そんなことを考えて、おれはゲートをくぐるのをためらってしまう。
この先にいってしまえば、もう二度ともとに戻れなくなってしまうのではないか。
そんな変な疑念に包まれていく。
足が動かなくなりそうだった。
「大丈夫? ユウト?」
サクラが心配そうに手を差し伸べてくれる。
灰色に見えた世界が色づいた瞬間だった。
彼女の手を握り返す。
ふたりのぬくもりが共有される。
もうどうなってもいいと思った。
この先に彼女と手をつなげる未来がひろがっているのなら……




