32/93
エンシェントドラゴン③
「カシウス……」
おれは、彼の言葉を繰り返した。
反乱者たちのリーダーの名前だ。
「そうだ、カシウスだ。奴は、わしの側近だったが、ある日、この天空城を出奔し、地下に潜伏したのだ。地下にはわたしの力が及ばない結界を張っているので、わたしは手出しができないのだ」
「そいつの目的は、なんですか?」
「秩序の崩壊だ」
短い言葉だったが、ズシリとした質量を持っていた。
「おれたちは、一体なにをすればいいのでしょうか?」
「お主たち人間たちならば、結界を無効化できる。どうか、奴を亡ぼして世界を救ってほしい」
この世界を救う。つまりは、世界の未来を救う。
おれたちの目標とも一致した願いだった。
「わかりました」
おれたちはうなづいた。
「ありがとう。それでは、明日の朝、ここに来てくれ。地上へと繋がる門を開けておこう」
彼は静かに笑っていた。




