エンシェントドラゴン①
夜が明けた。
おれたちは、天空城の門前に立っていた。
「それでは、手続きをしてきます」
ヌーさんそう言うと、番兵のもとへと向かう。
村長さんの書状を見せて、説明をするとすんなりと中に入ることができた。
「こんな簡単に、入ることができていいのか」
おれたちは、あまりにも簡単なチェックに驚いていた。
「この天空世界に、悪人などいませんよ」
ヌーさんはそう言って笑うのだった。
「それでは、みなさん、こちらがエンシェントドラゴン様が住まう天空城です」
ヌーさんがそう説明すると、そこには大きな階段と、その先には玉座の間があった。
「浮いているのか」
博士は思わずそうつぶやいていた。そう、玉座の間は浮いている。
「あれは、エンシェントドラゴン様の魔力によって浮いているのです」
「まさか、あのような巨大な物体を、魔力だけで……?」
「そうです。エンシェントドラゴン様は、偉大な魔力を持っているのです」
おれ以外のメンバーが驚いている。
「さくら、それはそんなにすごいことなのか?」
魔法の才能がないおれは、その偉大さがよくわからない。
「すごいことだよ。あんな大きな物体を、常時、宙に浮かしているなんて、普通の人間では無理。ハル博士くらいの魔力があっても、数時間が限界じゃないのかな?」
「へ~そうなんだ」
なんとなくだが、エンシェントドラゴン様のすごさがわかった。
「本当にわかってる? ユウト?」
「ああ、とにかくすごいんだろ?」
「魔法の才能がないからって、勉強さぼりすぎでしょ、まったく……」
さくらは呆れていた。
「それでは、みなさん、行きましょう」
ヌーさんが先行して、階段を登る。
天まで届くような高い階段から見る光景は絶景だった。大陸のふちには、青空と雲が広がっていて、ここが天空であることがよくわかる。
階段を登り終えると、そこには大きな扉があった。
ヌーさんが、祈りをこめて、扉を開く。玉座の間が、少しずつ明らかになる。
中には、赤いじゅうたんといくつもの窓から光が差し込んでいる。部屋の奥には、巨大な玉座があり、そこにはひとりの男が座っていた。その様子は、まさに神が住まう場所としてふさわしいものだった。
「ようこそ、お待ちしておりました。こちらへおいでください」
玉座の男は、柔らかな声でそう言った。




