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ねがい
「未来を変える?」
おれは、もうわけがわからなくなっていた。老人の言葉をオウム返しすることが精一杯だった。
老人は震えながら語りだした。
「そう。お主らが、一番最初にここにきたというのは、超越者もそう望んでいるということだろう。この時間の終わりともいえるこの世界に。どうか、どうかこの世界を頼む。世界の結末を変えてくれ」
「……」
「お主たちに、このように依頼するのが私の運命なのだ。どうか、どうか頼む」
老人のすがるような懇願におれたちは動揺していた。
世界の歴史を変えるなんて、いきなり言われても。そんな気持ちだった。
「さて、どうやら時間がきたようだな。すべてが終わったら、またこの世界に来なさい。また会おう」
老人はあっさりとおれたちに別れの言葉を告げる。
おれたちの姿は少しずつ透明になっていった。
「待って。どうして、あなたは遺跡のことを……。時の泉を知っているんですか」
「時間が……。運命……。抗え」
老人の口は、かすかに動いたものの何を言っているかは聞き取れなかった。
そして、おれたちは青い光のなかに包まれた……。




