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6 賞金首モンスターとランク制度

「賞金首モンスター?」

 そういえば、そういうモンスターがいるという説明は受けた気がする。

 というか、地道にザコモンスターを倒して角をゲットして換金するよりは、本来、町や村から恐れられてる賞金首モンスターを倒すほうが冒険者のまっとうな仕事なのだ。


「そうそう。あなたの実力なら、この付近の賞金首モンスターなら倒せると思うの。レベル15ぐらいあれば、なんとかなる相手だけど、あなたの生命力が事実とするならやれると思うわ」


 俺の生命力は「840093」だからな。多分、痛恨の一撃みたいなのを百発連続で喰らってもびくともしないと思う。


「賞金首モンスターを倒せれば、一気にお金が増えるし、冒険者のランクもアップするわ。悪い話ではないと思うの。けど、あなた、冒険者になったばっかりだし、ちょっと具体的に説明するわね。ここで待ってて」


 リーチェさんはそう言い残すと、ばたばたと部屋を出ていって、また資料を持って戻ってきた。


「これが西にある『廃神殿の草原』エリアに出現するファイアリザードのデータね」


=====

賞金首モンスター:ファイアリザード

攻略目安レベル:15?

攻略可能ランク:銅ランクまで

獲得賞金:金貨10枚(銀貨100枚)

出現場所:廃神殿の草原にある廃神殿のあたりに住み着く

備考:広範囲に炎を吐くのでパーティーで行った場合、生命力の低い者が死ぬ危険がある

=====


 そういった情報とともに、イラストが描いてある。モンスターだから当たり前かもしれないけど、なかな壊そうだ。トカゲとドラゴンの中間みたいな生き物だな。


「ふうむ……。少なくとも、駆け出し冒険者一人で倒すことは想定されてないですよね……。俺、レベル2だし」

「だけど、攻略可能ランクは銅ランクまでだから、基本的には青銅あたりの冒険者パーティーでしっかり倒してほしいってことなんですけどね。銀クラスの冒険者にポコポコ倒されちゃっても、若い冒険者が稼げないし」


「というか、このランクって何ですか? 俺、全然知らないんですけど」


「そういえば、まだあなたにはギルドランクについて話してなかったわね。そっちを説明するわ」

 リーチェさんは本棚に差さってある本を一冊抜き出した。


「冒険者はね、実力ごとに、上から白金・金・銀・銅・青銅・真鍮の六段階に分かれて登録されてるの。あなたみたいに冒険者になったばかりの人は、まず真鍮でその後の活躍に合わせて、上になっていくの」

「なるほど。冒険者としてのレベルみたいなものですね」


 リーチェさんがうなずく。

「そういうこと。これに何の意味があるかというと、ギルドの依頼内容と関わってくるの。受けられる範囲をこのファイアリザードみたいに定めておかないと、ものすごく強い冒険者がこういう奴を倒しまくっちゃうかもしれない。そうなると、今から成長していくぞって冒険者は仕事にありつけないことになっちゃうからね」


「ああ、そうか、銀や金のクラスの冒険者が青銅クラスの依頼を受け続けると、青銅クラスの人は食えなくなってしまうってわけですね」

「そうそう。ギルドの任務は依頼の解決だけじゃなくて、冒険者を育てることも込みなの。新しい冒険者が成長できるチャンスが全然ないのであれば、ギルドのシステムが成り立たなくなるからね。なので住み分けが必要なの」


 そして、俺はやっと獲得賞金に目がいった。


「金貨10枚(銀貨100枚)って書いてありますけど、とんでもない額ですよね……」

 銀貨1枚が一万円と換算すると、百万円の仕事か。


「でしょ。といっても、冒険者の武器や防具って高価だから、いいのを買えばすぐにもっとお金がかかっちゃうんだけどね。意外と儲からないのよ、冒険者って。金貨200枚の高品質な鎧なんて大きな都市に行けば売ってるし」

 日本円で二千万円相当……。けど、特注品みたいなのを買うとしたら、ありうる範囲だな。


「とはいえ、あなたがそのボロボロの剣と鎧を、鋼のちゃんとした剣と量産品のプレートメールに買い替えるぐらいのお金は金貨10枚もあれば手に入るわ。あと、一人で倒したとなれば、青銅ランクを通り越して、銅ランクにまで進めるはず。つまり、冒険者として自立できるレベルに達してると認めてもらえる」


 そのあと、リーチェさんは銅ランクの腕章をつけていると、本格的な職業冒険者だとして町の人間からも認めてもらえるといった説明をした。で、銀と金・白金の冒険者数は銅からと比べると激減するとか。


 青銅まではいわば冒険者見習いであって、一般的な冒険者は銅ランクということらしい。


「このファイアリザード退治を昇進試験みたいなものと思えばいいんですかね」

「うん、そうとらえてもらっても、そこまで違わない」


 俺の生命力を考えれば、そう分の悪い賭けでもないな。


「わかりました、リーチェさん。明日、行ってきますよ」

「うん、頑張って!」

 両手を握って、鼓舞するようなしぐさをリーチェさんはした。


「それと……実はもう一つ理由があるのよね……」

 そこりーちぇさんは顔を曇らせる。この時点で絶対に何か理由がある。


「いったい何ですか?」

「実は、青銅の冒険者が無理をして、このファイアリザードを倒そうとしてるって連絡が違うギルドから来ててね。武闘家らしいんだけど、失敗したら死んじゃうし……。ここのギルドに来たらやめとけって言うぐらいのことはできるけど、直接乗り込んでるかもしれないし……」


「なるほど。それを防ぐには先に賞金首を倒しちゃえばいいってことですね」

「うん、そう! 話が早いわね!」


 これはいよいよ賞金首モンスターを倒さないといけなくなったな。

 まあ、目的があるのはいいことだ。銅ランクに昇進するなら悪いことじゃないし。


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