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悪口4
いつも通りに学校から家に帰る。
晴れているので自転車に乗って。
自転車は苦手だ。風をあびると、髪の毛が全部後ろにいってしまい、このデカい顔を隠す手段がなくなるからだ。
わたしはいつも、デカい顔を隠すために、髪の毛で輪郭を覆っている。
「こんな醜い顔、見られたくない…」
という気持ちとは裏腹に、自転車を漕ぐと風が輪郭を隠す髪の毛を奪っていく。
人とすれ違うのが怖かった。
「ブス」と侮辱されるのではないかという恐怖が心身を支配する。
今日も、ビクビク怯えながら自転車に乗る。
すると、向こうから西高校の女子たちがきた。
「わたしの顔を見ないでくれ…」
と思いながら通り過ぎる。
すると、
「さっきの南高校の人?やばくない?顔デカくてブスじゃなかった?(笑)」
「南高校って、かわいい人が多いのにねー。あんなブスもいるんだね」
心臓に刃物を突き刺されたような痛みが走る。
目の周りが熱くなり、涙がこぼれた。