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悪口3
いつも通りに、弓道場で矢を放つ。
静まり返った道場に、ささやき声が聞こえる。
「夏子先輩って、ブスだよね」
わたしは、次の矢を弓につがえると共に、
怒りと悲しみと切なさと情けなさが一気に込み上げた。
「…あんたらに向けて、矢放ってやろうか!!」
と心の中で思い、カッとなって、後輩である、ねことりすに矢先を向けたかった。
「…あんたらだって、ブッサイクな顔してるじゃん!!」
と、わたしは部活が終わり、自主練習の時間となると、トイレに向かう途中思いながら、
涙がこぼれていた。悔しかった。
わたしの中では、後輩は先輩を敬うもの、と思っている。
それが、侮辱されているのだ。
それが、本当に許せないし理解しがたいことだった。
わたしは、そんなにブス…?