悪口
「生クリーム多すぎたかな(笑)ちょっと飲みにくい」
そう言うM子とわたしは、学校の近くにあるカフェで、2人で生物のテキストを開いているである。
「でさぁ、小林先輩ってカッコいいよね。先月引退しちゃったけど」
話題は生物…ではなく恋愛だ。
「そうだね」
と、わたしは笑顔で応えるものの、(M子なら、アタックすればすぐに付き合えるんだろうな)と思い軽くショックを受けていた。
その時だった。
「ねぇ。あそこの奥にいる人。すっごく美人じゃない!?目鼻立ち整ってるし、小顔だし。スタイルもいいし」
その声がする方を見てみると、他校の女子高校生が数人こっちを見て話している。
すっごく美人。M子のことだ。
「小林先輩さぁ、茜先輩と付き合ってるって噂あるんだけど、本当かな!?」
M子は、他校の女子高校生たちの存在に全っっく気づいていない様子だ。
「ええっ?本当に?でもそう言えば、一緒に自転車押して帰ってる姿見たことある」
そうわたしが答えた後だ。
「あの人とは違って、一緒にいる人ブスじゃない?(笑)」
わたしはゾクッとした。わたしのことだ。わたしのことを他校の女子高校生たちがバカにしてクスクス笑っているのだ。
「うん、ブスw」
「一緒にいると、美人が引き立つよねw」
「いや、一緒にいる人のブスさが引き立つんだよw」
「それを言ったら終わりw」
「よくあんな美人と一緒にいれるよねw」
わたしはその会話を聞いてないふりをしながら、M子の話を聞いてるふりをしながら、
心臓はドキドキと音を立て、
耳が熱くなり、
恐怖で手汗が滲んだ。
「ええっ。残念だなー。小林先輩がねぇ。ショック」
「そうだね。M子」
M子、ショックなのはわたしよ…