《肆》過去
これ昔書いたものですが、
自分で今見てみて、とっても恥ずかしい。
この文章力のなさに。
睡蓮の花には
「優しさ」「信頼」「純情」「信仰」「甘美」「清純な心」「純粋」「潔白」というものと
もう一つ、
『滅亡』という花言葉があります。
さて、年年歳歳花相似たり歳歳年年人同じからず。どうなるのでしょうか…
《歳歳年年人同じからず》
私は、小さい頃、親に可愛がられていた。
お父さんは仕事で忙しがしく、あまり帰ってこなかったものの、私のことをいつもいつも気にかけてくれていたし、お母さんはずっと隣にいてくれた。
(音)「ねぇ?これなぁに?」
淋月 詩音「これはね、お母さんがお父さんから昔もらった、胡蝶蘭よ。この花にはね、あなたを純粋に愛していますっていう花言葉があるの」
「へぇ、綺麗なお花だね」
(詩)「そうでしょ?」
「うん!あ、この花は?」
「この花はね、睡蓮っていうのよ。庭に生えてて綺麗だから活けたの」
「ほんと!綺麗だね!お母さんみたい!」
「まぁ、音葉ったら。ふふ、ありがとね」
「うん!」
でも、ある日から、その平穏な日常が少しずつ変わってきた。
「ご、ごめんくださーい」
「あら?誰かしら?」
ガチャッ(玄関の扉が開く音)
「はっ、こ、こここ、この館に住んでいるお方でしょうか!?」
「そうですけど、何か用ですか?」
「あ、あのぅ…音葉ちゃんっていますか?」
「音葉?いますけど、音葉のお友達ですか?」
「友達というか何というか…この前山で迷った時に音葉ちゃんが助けてくれたんです。だからそのお礼をしっかり言おうと…」
「まぁ、あの子がそんなことを…それならどうぞどうぞ、ゆっくりしてってくださいね。あ、音葉呼んでくるわね」
「は、はひぃ」
彼女の名前は後々私と運命を共にする
月見 舞流だった。
「あ!この前の!たしか、舞流ちゃんだったよね?」
(舞)「そうですぅ、この前は助けてくれてありがとうございました」
「そんな敬語なんてやめてよ、友達と同じように接していいよ?」
「う、うん!」
その後来る日も来る日も遊びまくって、本当に仲良くなった。
だけど、その2年後の12月24日にあの事実を知った。
「そんな…音葉がツクヨミの生贄に…相応しい…って?」
「そうです」
「何でですか!?何で音葉が!わたし、私にしてください!血の繋がりがあれば誰でもいいんでしょう!?お願い、お願いします!」
「ダメです。ツクヨミは子供を生贄にする事を望んでいます」
「そ、そんな…」
「さて、引き渡してもらいましょうか」
淋月 深夜「どうにかなりませんか、何でもします…お願いします…」
「あなたが承諾したんですよ。今更あなたに私たちをとやかく言う権利はありません」
「…」
「さて、どこにいるのでしょうか?音葉さんは?」
「隣の子供部屋です…」
「あなた!!」
「…仕方ない事なんだ…静かにしてなさい…」
「うぅ…」
「音葉さん、こちらに来てください」
「だれ?知らない人にはついて行っちゃいけないって、お母さんから言われてるから行かないよ!」
「いいから来なさい!」
「う、うぅ、怖いよぉ…助けて、お母さん…お父さん…」
「音葉ちゃんは渡さない!!」
「なっ、この小娘が!」
バンッ!!
「ま、舞流…ちゃん?」
そこには腕から血が流れている舞流が倒れていた。
「い、いたい…よ…」
「舞流ちゃん…舞流ちゃん!しっかりして!」
「さて、来てもらいましょうか?」
「アナタタチはユルサナイ」
「なっ…その姿は…」
「私は行かない。あなた達には死んでもらうよ」
「小癪な…撃て!」
「ざんねーん!そんなもの効かないよ」
「んな馬鹿な…!」
「さて、静かに殺されてくださいね♪」
「うわぁぁぁぁぁ!」
悲痛な叫びが木霊する。
私は、暴走し、その後の記憶が一切残っていない。
ただ、何故か鮮明に残っているのは、この館が燃え、私たちが火事に遭ったこと。焼かれそうになったこと。それだけ。
それから、いつの間にか、私たちはどこかもわからない、山奥に舞流と2人でぽつりと置き去りにされていた。
「ここ、どこだろう…はっ、舞流ちゃん!?舞流ちゃん!?」
「あぁ…お、音葉…ちゃん?ここは…」
「わからない…山の奥みたいだけど…」
「音葉ちゃん…私たち…」
「そうだね、何か可笑しな力があるみたい」
「そうだね…とりあえず、帰ろう」
「そうだね、帰ろう」
それから私たちはあの館に帰った。
何故か館は綺麗に残っていて、鍵も開いていたので、中に簡単に入ることができた。
「おとうさーん!おかあさーん!」
いくら呼んでも返事は無かった。
「どこに行ったんだろうね」
「ほんと…いつもなら返事をしておかえりって言ってくれるのに…」
私たちは全ての部屋を隅々まで探しまくった。
「あれ?こんなところにこんな部屋あったっけ?」
そこには奥に続く廊下、そして一番奥に私たちも知らない部屋があった。
「行ってみよ?音葉ちゃん」
「うん!」
その部屋は何か異様な匂いがしていた。
「これっ…て…」
「音葉ちゃんの、お母さんとお父さん…だよね?」
「この手紙…!」