〈参〉ツクヨミに仕える者たちと…
なんか超展開!自分でもよくわかりません。
※登場人物が少々多いです。最初に名前を()で表示いたしますので、それを参考に誰が言ってるかなんとか予想してください。すいません。
《二鬼は神の如く》
あれから10分は経って、もうあの3人が探し始めてる頃だろうか。
といっても3対1は辛い。
…そういえばあの時望月さんが取っていったあの資料…あれには何が書いてあったんだろう。
十弐月姉妹…あの3人のことだろうか。
おそらく12月生まれだから十弐月…になったと思うんだけど、それにしても、何故そんな資料が一々置いてあるのだろうか。
気になる…とっても気になる…だけど今は隠れてなければならない。
ガチャ…(扉の開く音)
(淋)「真実ちゃんどこかな〜?どこに隠れているのかな〜?ここかな?ここかな?」
(真)(やばい…次は私の隠れてるロッカーだ…)
「ここは飛ばして、ここかな?」
奇跡か、故意かは分からないけど、私のロッカーは飛ばされて見られずに済んだ。
そして淋月さんはまたどこかに行ってしまった。
(よかった…ばれなくて…)
(望)「まーちゃん、ここにいるんだよね?」
(望月さん!?)
「これだけは言いたいの。このかくれんぼが終わって、景品をもらったら、すぐにこの館から出て行って。本当はもっと遊びたい。でもまーちゃんだけは巻き込みたくない。けど…」
(月)「一六八。そこの部屋には誰もいないのよ?1人で何話してるの?早く真実ちゃん探しに行くよ」
「…わかった」
(どういうこと…この館から出て行ってって…それに巻き込みたくないって…この後、何かあるのかな…)
50分後…
「真実ちゃーん!50分経ったよ!おめでとう!景品あげるから戻ってきて!」
どうやら終わったみたいだ。やっとこのかくれんぼの緊張からは、解放される。
「はい、どうぞ、望月の髪飾りよ」
「え?こんなのもらっていいんですか?望月さんは?」
「もういないよ」
「なっ…」
「あの子、私たちの秘密を知っちゃったから、送ってやったの。獄に」
「ご、獄って?」
「地獄のようなところよ」
「真実ちゃん、その髪飾り、大事にとって置いてね。一六八、真実ちゃんのこと好きだったみたいだから」
「そ、そんな…」
「真実ちゃんの見つけたこの資料、私たちのことが書いてあるのよね」
「十弐月姉妹ってね、実を言うと、淋月 音葉、月見 舞流 の2人のことで、一六八のことは含まれていないのよ」
「な、じゃあ望月さんは何でここに?」
「あの子ね、何故かは分からないけど、本当に小さい頃から私たちのことを色々と探っていたらしいの。この資料はあの子が長年かけて作ったものなのよ」
「あの子、真実ちゃんからこの資料をもらう時、『返して』って言ってたでしょ?それは元々、あの子の物だったからなのよ」
「あの会話、聞いてたんですか?」
「あの子には盗聴器をつけさせていただいたのよ」
「あんな小さい子に…」
「真実ちゃん、あとあなたも気づいたことがいくつかあるでしょう?」
「…そうですね。私もいくつか聞きたいことがあるんです」
「さぁどうぞどうぞ♪」
「あなた方のご両親は…今どうなされてるんです?」
「もう死んだよ。とっくの昔に」
「私たちが殺しちゃったの。殺した時の記憶は残ってないけどね」
「…二つ目の質問です。あの手紙の内容、あの事実って、なんです?」
「そうね。あれはね、私たちが月の使者、要するにツクヨミに仕える者たちだったということ」
「ツクヨミ…あの月の神の…」
「さて、最後の質問をどうぞ?」
「…」
「あら、どうしちゃったの?まだ一つ質問があるはずよね?」
「何故あなた方は瞬時に互いの状況を把握できるんです?」
「私と舞流は元々は一心同体の存在。だから記憶を共有してる状態とそう変わらないの」
「…なるほど」
「さて、全てを知った真実ちゃん。ここらでピリオドを打ちましょうか」
「私たちはね、新月の夜には、一時的に重なり合うことができる。そして本来の力を完璧に発揮できる」
「聞いたことはありますが…それが本当だったとは…」
「さて、どうします?大人しくやられますか?それとも逃げます?」
「戦うっていう選択肢は…ないんですかね?」
「ふふ、あなたみたいな平凡な探偵さんが私たちに刃向かおうと?」
「少しでも可能性があるのなら…!」
(淋)&(月)「可能性なんて少しもないわ!さぁ、逃げるなりなんなりして私たちを楽しませなさい!」
バタンッ(扉を勢いよく開ける)
「今はとりあえず逃げなきゃ…どこか隠れる場所を見つけなきゃ…!」
「まーちゃん…?」
「その声は…望月さん!」
「よかった。まーちゃんに髪飾りが無事に届いてくれて」
「えっ、あれ?望月さんは獄にいたんじゃ?」
「そう。でもね、獄に行った時、音葉にこの髪飾りをまーちゃんに渡してって、私の形見にしてって言ったの。その時に私の魂ごと、この髪飾りに宿したの」
「望月さんがそんなことをできるなんて…でも、身体は?」
「まだ獄にいる。でも大丈夫だよ。ちょっと火傷はしてるかもしれないけど」
「そう…」
「今、音葉と舞流に追われてるんだよね?」
「そうなんですそうなんです!でもどうすればいいか分からなくて…」
「とりあえず、あの部屋に!」
「わかりました!」
ガチャ(扉の開く音)、バタンッ(閉まる音)
「音葉&舞流、通称『音舞月』は火に弱いの。昔経験した火事がトラウマになってるのかも」
「火事…?」
「実は、この館は昔、火事を起こして全焼してるの」
「えっ、でも何でこの館は今残ってるんですか?」
「何故かは分からないけどね、この館はこの日になると元どおりになるの、そしてまた、焼けて消える」
「…なるほど。だった明日になる0時まで、耐えきればいいってことですか?」
「そうなんだけど…まーちゃん、そこまで持ち堪えられる?」
「0時まであと1時間…正直耐えれません」
「なら、音舞月を獄に連れて行くしかないね」
「直接獄に!?そんなことできるんですか?」
「獄に行くにはある条件が必要なの。この館にいること、そして音舞月にある呪文をかけてもらう。そうすればいけるんだけど…」
「えぇ、私も獄に行くんですかぁ?」
「少し辛いかもしれないけど音舞月が獄に来るのはその時だけなのよ」
「うーん…それに呪文ってなんです?」
「簡単に言っちゃえば音舞月たちの心の中に入れる呪文」
「心の中…ってことは獄っていうのはその音流の?」
「そう、そして自らの心の中に実体あるものを取り入れて、その中で殺して魂を食べるの」
「そんなことができたなんて…」
「まーちゃん、あなた『相手の心を読み取る』能力と『神の力を弱める』能力があるよね?」
「え…バレてました?何でわかったんです?」
「…それは後で教える。今はその能力を音流に使って欲しいの」
「こんな能力使えるんですか?」
「獄はね、心の中といえど、ツクヨミの力を使った言わば神域の様なもの、その能力を使えば神域での力を弱めることができる。そして、心を読み取る能力、それは私の身体がその神域の何処にあるか、それに使って欲しい」
「わかりました…やりましょう!なら音舞月を見つけなければいけませんね」
「あのパーティをやった部屋に行って」
「はい!」
《一隠神に救わる》
ガチャッ(扉を開ける音)
(音舞)「まさかあなた自らやられに来るなんて。資料室にいた時の一六八みたいですわね」
(真)「あの子は…」
「私たちの獄中で、ぐっすり眠っているよ。それも永遠にね」
「あの子を返して!!」
「そう…ならあなたも獄に行きなさい!!」
そうすると、音舞月は呪文を唱え、私を獄の中に閉じこめた。
「…ここが、獄…?」
(望)「そう。でも力を弱めてるおかげであまり熱さは感じないはず」
「そうですね。あんまり熱くはないです」
「あとは音舞月が来る前に私を見つけて!」
「わかりました!」
そこはまるで洞窟の様な場所で、だいぶ入り組んでいた。だけど、周りには溶岩があり、壁から吹き出されている。
こんな場所に何時間も閉じ込められたら文字通り地獄だ。
「…見つけた!望月さんの身体!」
獄の一番奥にいるみたい…だけど、そこまでに行く道で音舞月に見つかるのではないだろうか、そんな心配もあった。
「音舞月がきてる…早く行かないと!」
「はい!」
必死に走って、必死に走って、やっとのことで一番奥の部屋に来た。
「望月さん…!着きましたよ!」
「髪飾りを私の髪につけて!」
「わかりました!」
焦ってなかなか付けることができない。自分の命と人の命がかかってるとこんなに焦るものなのだろうか。
「真実ちゃんみーっけ」
「ね、音舞月!?」
「さて、これで最後にしましょうか。ではさようなら♪」
も、もうダメだ……我が人生に悔いありまくっている。あの店のパフェ一度でもいいから食べたかったなぁ…それにもう少し、探偵らしいことしたかったなぁ…あぁ…
____その瞬間、目の前が光り出した。
「な…一体あなた何を!?」
「音舞月が弱ってる…?」
「まーちゃん、ありがと。ちょっと付け方は雑だったけど、なんとか戻ることができたよ」
「も、望月さん!」
「な、一六八…あんた死んだはずじゃ!!?」
「残念!もっとしっかりやっておけばよかったね、音舞月さん」
「あぁぁぁぁぁ!!」
悲痛な叫びが獄中に木霊する。
望月さんは一体何をしているのだろうか。見ようとするが、なかなか見れない。
「あっ…」
突然、白い光に包まれて、元の館に戻って来た。
「あぁ…あんたみたいなチビ助がそんな力を持っていたなんてね…驚きだよ」
「あれもこれも、まーちゃん…いや、真実のおかげだよ。真実があなた達の力を弱めてくれなかったら一発じゃとても決められなかった」
「真実…ただの平凡な探偵なのに!!!」
「あなたたちは知ってるかしら?この世には、神の過力を抑えるものたちがいることを」
「!!!まさか、真実が…!?」
「ね?真実?」
「…そうですね。私は確かに神の力を極限まで抑制させる力があります。変な力ですが」
「そんな…でも一六八、あなたには何の能力もないはずよ!なんでそんなに力を出せるの!?」
「ただの小さな女の子、だとでも思ってたの?」
その瞬間、望月さんから白い光が出て、その光はやがてある姿へと変化した。
「な…その姿は…」
「も、望月さん…それは…」
「…音舞月、久しぶりね」
「月黄泉…様?」
(月黄)「あなた達がこの世界に来てから、色々としてることは大体把握してましたよ。新月の日に人を襲い魂を食べていたことも全て」
「ち、違うんです!私たちはそんな…」
「嘘はいけませんよ。ちゃんとこの子から情報が入って来てたんですからね」
「…だから小さい頃からあんなに私たちを追っていたのね…」
「さて、真実。最後の仕事です。あの人の心を読み取って、全てを知ってください」
「…わかりました」